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商標拒絶査定不服審判

2022-019991

ゴゼンダケ

審判番号
2022-019991
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-002560
請求日
2022年12月09日
審決日
2024年03月11日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社喜多屋
  • 【請求人代理人】窪田 英一郎
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T18 .13 -Z (W33)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022- 2560拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年1月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 6月30日付け:拒絶理由通知書 令和4年 7月29日 :意見書、手続補足書の提出 令和4年 9月 1日付け:拒絶査定 令和4年12月 9日 :審判請求書の提出 令和5年 2月13日 :手続補足書の提出 2 本願商標 本願商標は、「御前岳」の文字を標準文字で表してなり、第33類「清酒(「日本酒」を含む。),焼酎(「泡盛」を含む。),合成清酒,白酒,直し,みりん,スピリッツ(飲料),ジン,ウイスキー,その他の洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,その他のアルコール飲料(「ビール」を除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要点) 本願商標は、「御前岳」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「福岡県文化百選・名勝・景観編」指定の観光名所で、福岡県内第二峰で景勝地である「御前岳」を認識させるものである。 そうとすると、本願商標は、「御前岳」の文字を普通に書してなるにすぎないから、これをその指定商品について使用するときは、「福岡県の御前岳周辺で製造又は販売される商品」ほどの意味合いを需要者に容易に理解、認識させるものであって、単に商品の産地、品質を表示するにすぎない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 4 当審においてした審尋 当審において、審判長は、請求人に対し、令和5年12月6日付けで、別掲2及び別掲3に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。 5 審尋に対する請求人の回答 請求人は、前記4の審尋に対し、令和6年1月16日受付の回答書を提出し、要旨以下のように主張するとともに、その主張を裏付けるものとして、甲第26号証を提出した。 (1)地理的名称からなる商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、当該商標が漠然と何らかの地名であるというような印象を与えるだけでは足りず、一般にその土地において指定商品が生産され又は販売されているであろうと認識され得る程度に商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものであることが必要である。本願商標の場合、「御前」は霊峰に対する「お前立ち」の意味があり(甲4)、信仰の対象となっている山の遥拝所を意味する語である(甲1)という性質から、日本において「御前」の文字を冠する山岳名は、特定の地域に限定されることなく、事典やインターネットで確認されているだけでも東北地方から九州地方まで各地に存在する。さらに、福岡県の御前岳は「新版「九州百名山」」にも選定されていないこと(甲15)に照らせば、近隣の取引者、需要者以外にまで知られているとは必ずしもいえず、また他の「御前」の文字を冠する山岳と比べても特に広く一般に知られているという事情はない。審尋においては、「コンサイス日本地名事典 第5版」に、岐阜県北部にある御前岳が掲載されていることが指摘されているが(別掲2)、この事実からは、「御前岳」といえば岐阜県にある御前岳の方が一般的には知名度が高いともいえる状況がうかがえる。以上より、本願商標から福岡県の御前岳のみを特定することはできず、同様の名称の山岳が各地に散見される状況においては、むしろただ漠然とした山の名称との認識を持つにとどまる。したがって、本願商標は、商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものとして認識されるとはいえない。 (2)請求人は、酒造業界において別掲3のような実情があること自体を争うものではないが、商標法第3条第1項第3号に該当すると認められるためには、特定の具体的な山岳を起源とする水を利用した清酒等が生産され又はそのような清酒等が販売されているであろうと一般に認識されることまでが必要となる。日本酒造りには良質な水が大量に必要とされることはよく知られているところ(甲26)、いかなる山の水でも日本酒造りに適しているわけではない。よって、あらゆる山岳名について、それが山岳名だと理解されることをもって、直ちにそこに隣接する周辺地域において当該山岳を起源とする水を利用した清酒等の商品が製造又は販売されているであろうと一般に認識されると認定することは、同号への該当性をいたずらに広く解することになり適切ではない。 (3)(1)のとおり、本願商標はそれが山岳名を指すと理解されても、福岡県の御前岳のみを指すとは認識されず、本願商標のみから特定の山岳に絞ることはできない。したがって、本願商標は何れかの山岳名を指すという漠然とした認識を抱かせるにとどまり、直ちに特定の山を起源とする水が指定商品に利用されているといった商品の具体的品質と結びつけられることはない。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「御前岳」の文字を標準文字で表してなるものである。 ところで、原審で示した用例(別掲1)、請求人が原審及び当審において提出した甲各号証、並びに、別掲2によれば、我が国において、「御前岳」の名称又は別名を有する山は、福岡県、岐阜県(甲1)、宮城県(甲2、甲17)に存在することから、我が国に「御前」の文字を冠する山岳名が複数存在することが認められる。 また、本願の指定商品である「清酒」等を取り扱う業界においては、各地域の山を起源とする水を、仕込水などに利用する酒造会社等が存在する実情も見受けられる(別掲3)。 そうすると、山岳名(地名)と認識される「御前岳」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「御前岳に隣接する周辺地域において製造又は販売される商品」であること、すなわち、商品の産地又は販売地を記述的に表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。 そして、本願商標は「御前岳」の文字を標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。 したがって、本願商標は、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、日本において「御前」の文字を冠する山岳名は、特定の地域に限定されることなく、東北地方から九州地方まで各地に存在すること、福岡県の御前岳は他の「御前」の文字を冠する山岳と比べても特に広く一般に知られているという事情はないことを述べ、本願商標から福岡県の御前岳のみを特定することはできず、漠然とした山の名称との認識を持つにとどまるものであるから、本願商標は、商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものとして認識されるとはいえない旨主張する。 しかしながら、本願の指定商品の取引者、需要者が本願商標に接したとき、必ずしもそれが福岡県あるいは特定の県に存在する山岳名と正確に認識はしないとしても、これを少なくとも我が国の山岳名(地名)を表わすものと認識することは、請求人も主張するとおりである。そして、原審及び当審において示した用例並びに請求人の提出に係る甲各号証に記載されているだけでも、我が国において、「御前岳」の名称又は別名を有する山は、福岡県、岐阜県、宮城県に存在することが認められ、さらに、「「御前」の文字を冠する山岳名は・・・東北地方から九州地方まで各地に存在する」という請求人の主張も考慮すると、我が国に「御前」の文字を冠する山岳名は多数存在するといえることから、これらの多数存在する「御前岳」は、そこに隣接する周辺地域において、商品の産地又は販売地として、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するというべきであり、そのため、一般的に使用されるものであって自他商品の識別力を欠くというべきである。 イ 請求人は、商標法第3条第1項第3号に該当するには、特定の具体的な山岳を起源とする水を利用した清酒等が生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることまでが必要となるところ、いかなる山の水でも日本酒造りに適しているわけではないため、あらゆる山岳名について、それが山岳名だと理解されることをもって、直ちにそこに隣接する周辺地域において当該山岳を起源とする水を利用した清酒等の商品が製造又は販売されているであろうと一般に認識されると認定することは適切でない旨主張する。 しかしながら、本願の指定商品の需要者には一般消費者が含まれるところ、一般消費者が、清酒等の醸造工程において、仕込水などに利用できる水源を有する特定の具体的な山岳名について、正確又は詳細な知識を持つとは考えがたい。むしろ、上記(1)のとおり、「清酒」等を取り扱う業界においては、各地域の山を起源とする水を、仕込水などに利用する酒造会社等が存在する実情からすれば、山岳名(地名)と認識される文字が清酒等に使用された場合、当該山岳の水源を利用するなどして、当該山岳に隣接する周辺地域において製造又は販売される商品であろうと需要者に認識される可能性、すなわち、需要者にその商品の産地又は販売地を表すものと認識される可能性があることは否定できない。そして、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和60年(行ツ)第68号 同61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7頁)。 ウ 請求人は、構成中に「岳」を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。 エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-019991

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