特許拒絶査定不服審判
2022-019568
癌予後の決定法
- 審判番号
- 2022-019568
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-528133
- 請求日
- 2022年12月02日
- 審決日
- 2024年12月16日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ カウンシル オブ ザ クイーンズランド インスティテュート オブ メディカル リサーチ
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】鶴田 準一
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】渡辺 陽一
- 【請求人代理人】中村 和広
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 松本 隆彦
- 審判官 北島 拓馬
- 分類
- P18 .537-WZ (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-528133「癌予後の決定法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月31日国際公開、WO2018/094469、令和 2年 5月14日国内公表、特表2020-513549〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)11月24日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年(平成28年)11月24日、オーストラリア(AU))を国際出願日とする出願であって、その手続の概略は次のとおりである。
令和 2年11月24日提出 出願審査請求書
令和 3年10月22日付け 拒絶理由通知書
令和 4年 5月 2日提出 意見書、手続補正書
同年 7月15日付け 拒絶査定
同年12月 2日提出 審判請求書、手続補正書
令和 6年 2月 7日付け 拒絶理由通知書
同年 8月13日提出 意見書、手続補正書
第2 本願発明
令和6年8月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
対象における固形癌の攻撃性の判定を補助する方法であって、前記対象のエキソソームサンプル中の1又は複数のマーカーの発現レベルを決定する工程を含み、ここで前記マーカーは、プロテアソームサブユニットα2型を含み、及び前記1又は複数のマーカーの発現レベルが、前記癌の攻撃性のレベルを示すか、又はそれと相関する、方法。」
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年2月7日付けで当審が通知した拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
・理由2(サポート要件)について
本件出願は、特許請求の範囲の請求項1に係る発明が、その範囲全体まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないので、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
第4 判断
1 理由2について
(1)発明の詳細な説明の記載
本件出願の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【発明の概要】
【0007】
本発明は、概して、対象における癌進行の予後マーカーとしての1つ以上のエキソソームタンパク質の発現レベルの決定に関する。いくつかの態様において、本発明はまた、概して、そのようなエキソソームタンパク質を用いて治療の選択又は意思決定を通知するための癌の治療にも関する。特定の形態において、癌は肺癌、例えば非小細胞肺癌である。」
「【0024】
適切には、前述の側面の癌は、肺癌であるか、又はそれを含む。好ましくは、肺癌は、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、小細胞癌及び中皮腫を含む。さらにより好ましくは、肺癌は、非小細胞肺癌である。」
「【図面の簡単な説明】
【0028】
・・・
【図3-2】図3は、上方制御されたタンパク質が患者の疾患の進行と相関することを示す。A:NSCLC患者から単離されたエキソソームは、予想されるサイズ範囲及び形態を示す。B、C:インビトロで同定された低酸素タンパク質マーカーは、最初の18ヶ月以内に再発した患者において上方制御される。D:12ヶ月以内に再発する患者を同定するための複合タンパク質サイン(GANAB、VCP及びガレクチン-3-結合タンパク質)のROC曲線。E:エキソソーム含有量に関連した患者の無病生存期間。上記マーカーのうち少なくとも2つを有した患者は、それらのエキソソームにおいてマーカーを1つしか発現していないか、又は全く発現していない患者に比較して、急速に進行した。
・・・
【図6-3】図6は、NSCLC細胞由来のエキソソームのタンパク質組成に対する低酸素誘発の変化を示す。a:単離されたエキソソームの形態が透過型電子顕微鏡を用いて評価された。酸素正常状態及び低酸素状態のSKMES1由来のエキソソーム(サイズバー200nm)の画像はまた、エキソソーム濃度の明らかな上方制御を示す。b:4つの異なるNSCLC細胞系から単離されたエキソソームのTRPSを用いてのナノ粒子分析は、大部分のエキソソームが30 150nmのサイズ範囲を有することを実証する。c:定量的質量分析は、H358及びSKMES1エキソソームにおいて一般的に上方制御される32個のタンパク質を同定した(FDR<0.1%;n=5)。d、e:質量分析の結果は、VCPのウェスタンブロット分析(FLOT1がローディングコントロールとして使用される)、及びH358、SKMES1、H23及びH1975 NSCLC細胞系におけるMAC2BP、TNC、PSMA2及びTHBS1についてのELISAを用いて確認された(● - H358、■-SKMES1、▲ -H23、◆-H1975)。*p<0.05、**p<0.01。
・・・
【図7-3】図7は、低酸素エキソソームサインがNSCLC患者における疾患進行を予測することを示す。a、b:エキソソームは、TEM(サイズバー200nm)及び20~150nmのサイズ分布により示されるように、形態に基づいてNSCLC血漿から単離され得る。c:TRPSは、健康なコントロール、又は18ヶ月以内に進行する患者、又は18ヶ月で再発していない患者から血漿におけるエキソソーム濃度に差がないことを実証する。d:NSCLC患者から単離されたエキソソームは、再発しなかった患者及び健康なコントロールと比較して、18ヶ月で進行する患者においてVCPの富化を示す(FLOT1が負荷対象として使用される)。e:低酸素エキソソームサインは、18ヶ月で進行する患者に由来するエキソソームにおいて上方制御される。f:Youdenの指標閾値を越える低酸素タンパク質マーカーの数は、18ヶ月以内で進行する患者と、18ヶ月で再発する患者との間の明確な分離を実証する。g:Kaplan-Meierは、低酸素エキソソームサインからのタンパク質の豊富さに基づいて、患者DFSの明確な分離を示す(Youden指標値を超える3以上のマーカー)。h:ROC曲線は、低酸素エキソソームサインがNSCLC患者における疾患進行(<18ヶ月)の完全な予後マーカーであるが、一方では、エキソソームにサイン濃度は予後的価値を有さないことを実証する。i:Kaplan-Meier曲線は、低酸素エキソソームサインがまた、NSCLC患者における全体としての生存と相関することを実証する。
・・・
【図8-2】図8は、低酸素エキソソームサインがEMTを受けた肺細胞に由来することを示す。a:GSEAは、顕著な上皮間葉遷移遺伝子セットが低酸素NSCLC細胞由来のエキソソームと有意に関連していることを同定した。b:間質性表現型への発癌誘発性表現型移行を示す、正常肺上皮細胞(30KT)及び形質転換された肺間葉細胞(30KTp53/KRAS/LKB1)の免疫蛍光。c:細胞様怪物中のウェスタンブロットは、30KTp53/KRAS/LKB1細胞における上皮マーカーE-カドヘリンの損失及び間葉マーカービメンチンの獲得を実証する。d:上皮(30KT)及び間葉(30KTp53/KRAS/LKB1)肺細胞由来のエキソソームにおけるVCPのウェスタンブロット(CD9が、ローディングコントロールとして使用される)。e:上皮(30KT)及び間葉(30KTp53/KRAS/LKB1)肺細胞由来のエキソソームにおけるMAC2BP、TNC、PSMA2及びTHBS1のELISA。*p<0.05、**p<0.01、 ***p<0.001。f:原発腫瘍の免疫組織化学は、E-カドヘリン発現の損失が、高いサイングループに分類された患者と相関することを実証している(Youdenの指標値を越える3以上のマーカー)。
・・・
【図11-2】図11は、発見コホートは、エキソソームタンパク質がNSCLC患者における疾患進行と関連していることを実証していることを示す。a-e:低酸素エキソソームサインにおける各タンパク質の個々のKaplan-Meier及びROC曲線。
・・・
【図11-4】図11は、発見コホートは、エキソソームタンパク質がNSCLC患者における疾患進行と関連していることを実証していることを示す。a-e:低酸素エキソソームサインにおける各タンパク質の個々のKaplan-Meier及びROC曲線。
・・・
【図14】図14は、確認コホートにおける上方制御されたサインタンパク質DFSと相関することを示す。a:VCPのウェスタンブロットは、18ヶ月後に進行する患者に比較して、18ヶ月以内に進行する患者の上方制御を実証する(FLOT1がローディングコントロールとして使用される)。b:患者44及び53の個々のサイン値は、18ヶ月以内に進行する患者53が、患者44に比較してサインタンパク質のベースラインレベルを有意に増加させていることを示す。」
「【0034】
本明細書において一般的に使用される場合、用語「癌(cancer)」、「腫瘍(tumor)」。「悪性(malignant)」及び「悪性腫瘍(malignancy)」とは、1つ以上の遺伝子突然変異、又は発癌、腫瘍マーカーの発現、腫瘍サプレッサー発現又は活性の損失、及び/又は異常又は異常細胞表面マーカー発現に関連する1つ以上の遺伝子変異又は他遺伝的変化をしばしば伴う、異常又は異常細胞増殖、分化及び/又は転位により特徴付けられる、疾患又は状態、又はその疾患又は状態に関連する細胞又は組織を指す。」
「【0037】
癌は、すべての主要な癌形、例えば肉腫、癌腫、リンパ腫、白血病及び芽細胞腫(但し、それらだけには限定されない)を含む、http://www.cancer.gov/cancertopics/alphalistでNCI癌指数に列挙されるような任意の攻撃的又は潜在的に攻撃的な癌、腫瘍又は他の悪性腫瘍を含む。それらは、以下を含む(但し、それらだけには限定されない):乳癌、肺腺癌及び中皮腫を含む肺癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮癌及び前立腺癌を含む生殖器系の癌、脳及び神経系の癌、頭頸部癌、結腸癌、結腸直腸癌及び胃癌を含む胃腸癌、肝臓癌、腎臓癌、皮膚癌、例えば黒色腫及び皮膚癌腫、リンパ性癌及び骨髄単球性癌を含む血球癌、内分泌系の癌、例えば膵臓癌及び下垂体癌、骨及び軟部組織癌を含む筋骨格系癌。
【0038】
特定の実施形態において、癌は、以下を含む:乳癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、前立腺癌、脳や神経系の癌、頭頸部癌、大腸癌、結腸直腸癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、膵臓癌、下垂体癌又は副腎癌。より好ましくは、癌は、肺癌、例えばNSCLCであるか、又はそれを含む。
【0039】
特定の実施形態によれば、本明細書に開示される側面の癌は、肺癌であるか、又はそれを含む。この目的のためには、肺癌は、任意の攻撃的肺癌、及び当業界において知られているサブタイプの癌、例えば非小細胞癌(すなわち、扁平上皮癌、腺癌及び大細胞癌)、小細胞癌及び中皮腫を含むことができることは明らかであろう。1つの好ましい実施形態によれば、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)であるか、又はそれを含む。」
「【0128】
現在、種々の固形悪性腫瘍のための非侵襲的且つ、有益な診断マーカーを開発する、満たされていない大きな必要性が存在する。腫瘍由来のエキソソームに含まれるプロテオーム及びRNA情報は、非侵襲的診断ツールとしてのエキソソームの使用に大きな関心を寄せている。エキソソーム単離技法は現在、十分に確立されているので、そしてエキソソームは、血清、尿及び唾液を含む体液中で安定しているので、それらは疾患の進行の信頼できるバイオマーカーとして大きな可能性を示す23。エキソソームがそれらの起源の細胞の分子サインを提供できることを考えると、プロテオーム及びRNA分析はまた、発癌性突然変異を決定するための効率的手段を提供し得る。最近、エキソソームベースのタンパク質、この場合、グリピカン-1(Glypican-1)の存在が、膵臓癌患者における短い無病生存期間を予測できることが示されている24。」
「【0146】
結論
それらのデータは、インビトロで低酸素エキソソームにおいて同定された上記タンパク質マーカーが、NSCLC癌患者における疾患進行又は再発についての潜在的な予後バイオマーカーを表すことを示している。従って、そのようなエキソソームバイオマーカーは、種々の固形悪性腫瘍についての信頼でき且つ、非侵襲的な予後マーカーを表し得る。」
「【0152】
次に、低酸素誘発されたエキソソーム変化が、早期NSCLCにおける疾患進行のための予後マーカーとして利用され得ると仮定した。エキソソームを、診断時にサンプリングされた32人の患者の治療を受けていない未病期I-III のNSCLC発見コホートの血漿から単離した(図7A&B)。低酸素はNSCLC細胞からのエキソソーム分泌を増加するが(図10B)、驚くべきことには、NSCLC患者の血漿におけるエキソソーム濃度が、カテゴリー変数として18ヶ月以内に臨床的再発についての予後値を有さないことを見出した(図7C)。興味深いことには、組合わされた5つのタンパク質エキソソームサイン(VCP、MAC2BP、TNCPSMA2及びTHBS1)は、再発したNSCLC対象由来のエキソソームにおいて特異的に増加した(図7D)。エキソソームサインからの各タンパク質は、個々に、疾患再発の卓越した予後バイオマーカーであった(図11)。興味深いことには、我々は、Youdenの閾値を越えたそれらの5つのエキソソームタンパク質の存在量に基づいて、無病生存期間(DFS)を明確に区別することができた(≦=再発なし;≧3=再発)(図7F&G)。重要なことには、受信者動作特性(ROC)曲線は、それらの5つのエキソソームタンパク質が、この発見コホート内で100%の特異性及び感度で疾患の進行を予測する能力を有することを実証している(図7F)。さらに、エキソソームサインは、発見コホートにおける患者の全生存期間(OS)を分離することができ(図7I)、このことは、再発及びOSの両者がエキソソームサインの存在量に関連していることを示唆する。
【0153】
エキソソームサインの予後価値に基づいて、このエキソソームサインを支える潜在的なメカニズムを調べた。最近、エキソソームのタンパク質含有量が起源の細胞の表現型を反映することができることを実証し15、正常酸素又は低酸素状態に由来するエキソソームにおける総タンパク質存在量に対する遺伝子セット濃縮分析(GSEA)を実施した。多数の遺伝子セットが、解糖、MYC標的、E2F標的及び生体異物代謝を含む、低酸素条件下で単離されたNSCLC細胞由来のエキソソームにおいて、有意に富化された(図12)。興味深いことには、低酸素エキソソームに富むトップランクの遺伝子セットは、EMTと関連していた(図3A;図12A)。低酸素が癌細胞におけるEMTの強力な誘導物質であると考えると16、間葉系表現型のみがエキソソームサイン分泌を引起すのに十分であり得ることを仮定した。5つのエキソソームタンパク質が正常又は形質転換された肺上皮細胞により分泌されるか否かを決定するために、同質遺伝子型ヒト気管支上皮細胞(HBEC)系からエキソソームを単離した。驚くべきことには、p53ノックダウン、Kras v12過剰発現及びLKB1ノックダウン(30KTp53/KRAS/LKB1)17を通して発癌誘発性EMT(図8B&C)を受けたHBECは、正常酸素条件下でさえ、増加したエキソソームサインタンパク質を分泌した(図8D&E)。エキソソームサインを分泌する間葉性肺癌細胞の関連性を検証するために、次に我々は、発見コホートからの患者の腫瘍生検におけるE-カドヘリン発現を分析した。腫瘍生検の免疫組織化学は、2以下のエキソソームサイン標点を有する患者に比較して(図8F)、3以上の高いエキソソームサイン標点を有する患者からの腫瘍における低減されたE-カドヘリン発現の有意な相関(R2=0.458、p<0.001)(図13)を明らかにした。それらのデータは、発癌的に形質転換された肺細胞におけるEMTが、NSCLC患者においてインビボの両者で、エキソソームサインに見出される増加したタンパク質レベルの原因であるという考えを支持する。
【0154】
伸長された間葉系細胞への上皮細胞の表現型の脱分極は、癌細胞の攻撃的且つ転移性の表現型のみならず、また化学療法耐性も促進する17,18。従って、独立した検証のために、併用化学療法(シスプラチン/エトポシド又はカルボプラチン/パクリタキセルの何れか)とのコンフォーマルRT(60Gy/30画分、6週間)から成る、標準治療の化学放射線療法を受ける20人の局所的に進行したNSCLC対象(確認コホート)を評価した。患者は、ベースライン、10日目、24日目及び90日目で、18F-FDG及びPET/CT及び標準CTスキャンを用いて、12ヶ月、3ヶ月間隔及びその後、6ヶ月間隔でモニターされた(図9A&B;表5)。エキソソーム濃度は、TRPSを用いてベースラインで測定された。18ヶ月以内に再発した対象は、循環エキソソーム存在量に有意な差異はなかった(図9C)。発見コホートと一致して、エキソソームタンパク質サインは、18ヶ月以内に再発しなかったそれらと比較して、18ヶ月以内に再発した対象において有意な増加及び予後値を示した(図9D:図14)。発見コホートで確立された同じ閾値及びアルゴリズム(≦マーカー=18ヶ月以内での再発のリスクが低い;≧3=18ヶ月以内に再発するリスクが高い)を用いて、そのサインは、18ヶ月以内に再発した患者と18ヶ月後に再発した患者とを明確に分けた(図9D&E)。ROC曲線分析はさらに、疾患再発に対するエキソソームサインの特異性及び感度を確認した(図9F)。発現コホートとのさらなる一致において、エキソソームサインは、OSに基づいて患者を分類し、このことは、エキソソームタンパク質サインが、早期に再発し、及び全生存率が低い対象の理想的な分類であることを示唆する。」
「図3-2
[図:0001422790000001.jpg]
」
「図6-3
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」
「図7-3
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」
「図8-2
[図:0001422790000004.jpg]
」
「図11-2
[図:0001422790000005.jpg]
」
「図11-4
[図:0001422790000006.jpg]
」
「図14
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」
(2)サポート要件の判断
請求項1には「対象における固形癌の攻撃性の判定を補助する方法であり」と記載されており、攻撃性の判定に関して、「固形癌」と特定されるに留まり、発明の詳細な説明には、(1)で摘記したように段落0037に、「癌は、すべての主要な癌形、例えば肉腫、癌腫、リンパ腫、白血病及び芽細胞腫(但し、それらだけには限定されない)を含む、http://www.cancer.gov/cancertopics/alphalistでNCI癌指数に列挙されるような任意の攻撃的又は潜在的に攻撃的な癌、腫瘍又は他の悪性腫瘍を含む。」という記載があることを踏まえると、請求項1に係る発明は、「血液癌」以外のあらゆる癌の攻撃性の判定を対象とする発明であると認められる。
発明の詳細な説明の記載全体(特に段落0007を参照。)から、請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、対象における癌進行の予後マーカーとしての1つ以上のエキソソームタンパク質の発現レベルを決定することである。
そして、発明の詳細な説明には、段落0037~0038に、様々な固形癌が挙げられているものの、実施例として具体的にデータを挙げて記載されているのは、ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株の低酸素条件下での培養によって、上方制御されたプロテアソームサブユニットα2(PSMA2)が、予後不良のNSCLC患者において有意に上方制御されたこと、発癌誘発性EMTを受けた同質遺伝子型ヒト気管支上皮細胞(HBEC)のエキソソームサインタンパク質としてPSMA2を分泌すること、エキソソームタンパク質であるPSMA2がNSCLCの疾患再発の卓越した予後バイオマーカーであること、及び、NSCLC発見コホートにおいてPSMA2が有意に増加したことであり(段落0028、0143、0152~0154、図3c、図6-3、図7-3、図8-2、図11-2、図11-4、図14)、NSCLCとバイオマーカーとの関連に留まるものである。そして、PSMA2とNSCLC以外の固形癌との関連を具体的に示すデータ等は、発明の詳細な説明に何ら記載されていない。
一般的に、癌関連のマーカーは、複数種の癌に共通するものも存在するが必ずしも全てのマーカーが複数種の癌に共通するマーカーとして機能するものではないことは、本件出願時における技術常識であり、それは、固形癌に限定しても同様であり、複数種の固形癌に共通したマーカーもあれば、特定の固形癌の種類のみ有効なマーカーも存在することも技術常識である。そのため、特定の固形癌に関する予後マーカーが、必ずしも他の固形癌の予後マーカーとしても有効であるとはいえず、固形癌の種類毎に予後マーカーの検討が必要とされるものである。
そうすると、発明の詳細な説明には、NSCLC以外の固形癌について具体的な検討がなされておらず、発明の詳細な説明によって、PSMA2との関連が裏付けられているのは、NSCLCとの関係についてのみと言わざるをえないので、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
(3)審判請求書、意見書での請求人の主張について
また、請求人は、令和4年5月2日提出の意見書において追加データを提示しているが、サポート要件の判断は、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載、および出願時の技術常識によって判断されるべきものであり、出願後に提出された追加データによって具体的裏付けを補うことができるものではないので、追加データは参酌できない。なお、仮に参酌するとしても、提示された追加データは、ガレクチン-3-結合タンパク質、プロテアソームサブユニットα2型(PSMA2)、中性α-グルコシダーゼABのエキソソーム中のレベルと癌細胞の培養条件(酸素濃度)との関連を示すに留まり、癌の攻撃性との関連を十分に裏付けるものではない。そして、乳がん細胞においては、プロテアソームサブユニットα2型(PSMA2)の発現レベルは培養条件においてほとんど差がなく、発明の詳細な説明に記載された非小細胞肺癌(NSCLC)細胞の実験データと異なる傾向であり、発現レベル差がないことから、マーカーとしての有効性そのものが疑われるから、上記技術常識を裏付けるものでもある。そして、当審の拒絶理由に対する令和6年8月13日提出の意見書においては、「「固形癌」については、本願明細書に十分にサポートされていると思料します。」と主張するが、具体的な主張の根拠については示されておらず、上記説示のとおり、発明の詳細な説明は、NSCLCとの関係だけが具体的に裏付けられているものであり、他の癌についてはその裏付けを欠くものであるから、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
第5 むすび
以上のとおり、この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-019568