2022-019407
空気処理装置
- 審判番号
- 2022-019407
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-153917外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月01日
- 審決日
- 2023年08月17日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成30年6月27日(優先権主張 平成29年8月28日)に出願した特願2018-121558号の一部を令和元年8月26日に新たな特許出願としたものであって、令和3年3月22日に手続補正がされ、令和4年2月15日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年9月6日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされた。
これに対し、同年12月1日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされ、令和5年3月22日に上申書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1、2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2007-46864号公報
2.特開2011-27328号公報
第3 本願発明
本願の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和4年12月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される次のとおりである。
「 【請求項1】ケーシング(20)と、前記ケーシング(20)内の空気を搬送するファン(40,40a)と、前記ケーシング(20)内に収容される熱交換器(43)と、続きを表示(全28行)前記熱交換器(43)の下方に配置されるドレンパン(60)と、前記ドレンパン(60)の画像データを取得する撮像装置(70)とを備え、前記撮像装置(70)は、前記熱交換器(43)を通過する空気の流れ方向において、前記熱交換器(43)とオーバーラップしない位置にあることを特徴とする空気処理装置。【請求項2】請求項1において、前記撮像装置(70)は、上面視において、前記ケーシング(20)の側板(23)と、前記熱交換器(43)との間に配置されることを特徴とする空気処理装置。【請求項3】請求項2において、前記ドレンパン(60)内の水を汲み上げるドレンポンプ(66)を備え、前記撮像装置(70)の撮像方向が、前記ドレンポンプ(66)を向いていることを特徴とする空気処理装置。【請求項4】請求項1において、前記撮像装置(70)は、上面視において、前記ケーシング(20)内における該ケーシング(20)の隣接する2つの側板(23,25)の間の隅部に配置されることを特徴とする空気処理装置。【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、前記ケーシング(20)から吹き出される吹出空気の平均流速をVaとすると、前記撮像装置(70)は、前記吹出空気の平均流速Vaの30%以下の空気が流れる位置に配置されることを特徴とする空気処理装置。【請求項6】請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、前記撮像装置(70)は、前記空気処理装置の運転に連動して前記画像データを取得することを特徴とする空気処理装置。【請求項7】請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、前記熱交換器(43)は、一面式の熱交換器であり、前記撮像装置(70)は、前記ケーシング(20)の側板(23)と、前記熱交換器(43)の側面の間の空間に配置される、または該空間と前記空気の流れ方向にオーバーラップする位置に配置されることを特徴とする空気処理装置。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。)。
(1)「【課題を解決するための手段】【0005】第1発明に係る保守支援システムは、空調装置に含まれる部品の保守を支援する保守支援システムであって、撮像手段と、画像伝送手段とを備える。撮像手段は、空調装置のケーシングの内部に設置され、部品の画像を撮像する。画像伝送手段は、撮像手段に接続され、撮像手段により撮像された画像をケーシングの外部に伝送する。この保守支援システムでは、空調装置のケーシングの内部に撮像手段が設置され、この撮像手段により撮像された空調装置に含まれる部品の画像が空調装置のケーシングの外部に伝送される。これにより、フィルタや熱交換器のように、人の目の行き届きにくい箇所に存在する部品であって、視覚的な情報に基づいて判定することが効果的である部品の状態を簡易に監視することができる。」
(2)「【0018】<保守支援システム>図1に、本発明に係る保守支援システムが、工場施設に配備された空調システムに導入された様子を示す。(空調システム)続きを表示(全11行)図1に示される空調システムは、複数の室外機1と、複数の室外機1のいずれかに冷媒連絡配管5を介して接続される複数の室内機2とを備えており、室内機2が設置された工場施設内の空間を空気調和する。【0019】(保守支援システムの全体構成)図1に示すように、本発明に係る保守支援システムは、複数のカメラ4と、複数のカメラ4とローカルエリアネットワーク(以下、LAN)6を介して接続される集中監視装置3とからなる。カメラ4は、空調システムを構成する複数の室内機2のケーシングの内部に設置され、同じく室内機2のケーシングの内部に設置されるフィルタの画像を撮像する。【0020】集中監視装置3は、空調システムが配備される工場施設内の中央監視室に設置され、集中監視装置3の管理者により管理される。集中監視装置3は、カメラ4により撮像されたフィルタの画像に基づいてフィルタの状態を監視するための監視プログラム32を内蔵しており(図3)、フィルタの保守を支援する装置として動作する。」
(3)「図1[図:0001401471000001.jpg]」
(4)上記(1)から、室内機のケーシングの内部には熱交換器が備えられているといえる。
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ケーシングと、前記ケーシングの内部の熱交換器と、ケーシングの内部に設置されるフィルタの画像データを取得するカメラ4とを備える室内機2。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【技術分野】【0001】本発明はガイド部材に関する。さらに詳しくは、空気調和機のドレンパンから凝縮水を排出するためのチューブやホースなどの筒体をガイドするガイド部材に関する。」
(2)「【0010】本発明のガイド部材では、ドレンパン内の凝縮水を機外に排出するチューブやドレンパンの内部を見るためのファイバースコープなどのフレキシブルな筒体が、ガイド通路によりガイドされる。その際、ガイド通路は、挿通された筒体の先端がドレンパンの底面付近に到達できるように下方を向いているので、ドレンパンの底面付近の凝縮水をチューブで機外に排出したり、ドレンパンの底面付近をファイバースコープで見たりすることができる。さらに、点検口に対する位置決めを行う位置決め手段を備えているので、ガイド部材を所定位置に保持することができ、ひいてはガイド通路に挿通される前記筒体を所定位置に保つことができる。」
(3)「【0029】〔空気調和機の構成〕図1は、本発明のガイド部材を用いて水抜きを行うことができる空気調和機の一例の側面説明図であり、図2は、同空気調和機の平面説明図であり、図3は、同空気調和機の要部説明図である。この空気調和機は、天井裏に配設される天井埋設型の空気調和機であり、ケーシング1と、化粧パネル10と、前記ケーシング1内に配設された送風機20と、この送風機20を囲むように前記ケーシング1内に配設された熱交換器30と、この熱交換器30からの凝縮水を貯留するドレンパン40と、このドレンパン40に溜まった前記凝縮水を機外に排出するドレンポンプ50とを備えている。【0030】ケーシング1は下面が開口した略箱形状を呈しており、鋼板などで作製されている。ケーシング1は、吊金具2(図2参照)に係止される吊ボルト(図示せず)によって天井スラブ又は上階の床スラブから吊り下げられている。また、ケーシング1の内周面には断熱部材3が配設されている。【0031】化粧パネル10は、前記ケーシング1の下面中央の開口を覆うように配設されており、空調室の空気を吸い込むための吸込口11と、この吸込口11の外周において矩形を描くように配置された4つの吹出口12とを有している。また、矩形状の化粧パネル10の各隅部には、図2~3に示されるように、着脱自在のコーナーカバー13が配設されている。そして、4つのコーナーカバー13のうちドレンポンプ50が配設される箇所に対応するコーナーカバー13(図2参照)の上方のケーシング側壁1bには、図3に示されるように、後述するガイド部材が取り付けられる点検口4が形成されている。点検口4は、通常の運転時には点検蓋5により閉止されている。この点検蓋5は、例えばネジやボルトなどの固着手段によってケーシング1の側壁1bに固定されている。」
(4)「【0038】〔ガイド部材〕次に本発明のガイド部材の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第1実施の形態に係るガイド部材60の斜視説明図であり、図5は、図4に示されるガイド部材60が点検口4に装着された空気調和機の要部説明図である。【0039】ガイド部材60は、ケーシング1の側壁1bに形成された矩形状の点検口4を覆う大きさの矩形状のベースプレート61を有しており、このベースプレート61に位置決め手段及びガイド通路64が設けられている。ガイド部材60は、ABS樹脂などの合成樹脂の一体成形により作製することができるが、各要素を別々に作製し、それらを接着などで接続して作製することもできる。一体成形の場合は、ガイド部材60を簡単に製造することができ、また、部品点数を減らすことができる。」
(5)「【0049】凝縮水を排水した後に、図6に示されるように、ガイド通路64内にフレキシブルな筒体であるファイバースコープ81を挿入してドレンパン40の内部を検査する。【0050】検査の結果、ドレンパン40の底面40aに塵埃などの塊やスライムが付着していることが判明した場合、一旦、ファイバースコープ81をガイド通路64から引き抜いて、当該ガイド通路64内に注水用のチューブ(図示せず)を挿入する。そして、注水用チューブからドレンパン40内に洗浄水を注水して前記塵埃などの塊やスライムの洗浄を行う。洗浄後、ドレンパン40の底部に残った洗浄水は、注水用チューブに代えてガイド通路64に挿入したチューブ80により機外に排出する。汚れの程度に応じて、かかる洗浄工程を複数回繰り返す。そして、最後に再度ファイバースコープ81をガイド通路64に挿入してドレンパン40内の再検査を行う。【0051】なお、塵埃などの塊やスライムの付着がひどく、洗浄水の注水によってはきれいにすることができない場合は、例えば、ドレンパン40を空気調和機から取り外して、洗浄することができる。【0052】ファイバースコープ81によりドレンパン40内が汚れていないことが確認されると、ガイド部材60を点検口4から取りはずし、ついで当該点検口4を点検蓋5で閉止し、その後コーナーカバー13を化粧パネル10に取り付けることで作業が終了する。なお、ガイド部材60を点検口4から取りはずしたときに、抗菌材を収納した袋体を当該点検口4からドレンパン40内に入れるようにしてもよい。」
(6)「図6[図:0001401471000002.jpg]」
上記(1)-(6)によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。
「ケーシング1と、前記ケーシング1内に配設された送風機20と、この送風機20を囲むように前記ケーシング1内に配設された熱交換器30と、この熱交換器30からの凝縮水を貯留するドレンパン40とを備えた空気調和機であって、空気調和機の4つのコーナーカバー13のうちドレンポンプ50が配設される箇所に対応するコーナーカバー13の上方のケーシング側壁1bに対して、ガイド部材60が取り付けられる点検口4を形成し、ドレンパン40の内部を検査するために、ガイド部材60に設けられたガイド通路64にファイバースコープ81を挿入可能とすること。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「ケーシング」は、本願発明1における「ケーシング(20)」に相当する。以下同様に、「前記ケーシングの内部の熱交換器」は「前記ケーシング(20)内に収容される熱交換器(43)」に、「カメラ4」は「撮像装置(70)」に、「室内機2」は「空気処理装置」に相当する。
また、引用発明における「ケーシングの内部に設置されるフィルタの画像データを取得するカメラ4」は、本願発明1の「ドレンパン(60)の画像データを取得する撮像装置(70)」と、「部品の画像データを取得する撮像装置」である限りにおいて一致する。
したがって、本願発明1は引用発明と、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。
(一致点)
「ケーシングと、前記ケーシング内に収容される熱交換器と、部品の画像データを取得する撮像装置とを備える空気処理装置」
(相違点1)
本願発明1は「ケーシング(20)内の空気を搬送するファン(40,40a)」を備えるのに対して、引用発明はファンを備えるものであるか不明である点。
(相違点2)
本願発明1は「熱交換器(43)の下方に配置されるドレンパン(60)」を備えるのに対して、引用発明はドレンパンを備えるものであるか不明である点。
(相違点3)
「部品の画像データを取得する撮像装置」に関して、本願発明1は、「ドレンパン(60)」の画像データを取得する撮像装置(70)」であるのに対して、引用発明では、ケーシングの内部に設置されるフィルタの画像データを取得するカメラ4である点。
(相違点4)
本願発明1は「撮像装置(70)は、前記熱交換器(43)を通過する空気の流れ方向において、前記熱交換器(43)とオーバーラップしない位置にある」のに対して、引用発明は「カメラ4」の位置が不明である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点4から検討する。
引用文献2記載の技術的事項は、上記のとおりであって、引用文献2には、「撮像装置は、前記熱交換器を通過する空気の流れ方向において、前記熱交換器とオーバーラップしない位置にある」という技術的事項は、開示されていない。
よって、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項から、当業者が容易に想到することはできない。
また、他に、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を、当業者が容易に想到できたといえる根拠も証拠もない。
したがって、上記相違点1-3について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2-7について
本願発明2-7も、本願発明1の「撮像装置(70)は、前記熱交換器(43)を通過する空気の流れ方向において、前記熱交換器(43)とオーバーラップしない位置にある」という発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-7は、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-019407