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特許拒絶査定不服審判

2022-019348

フレキシブル配線回路基板および撮像装置

審判番号
2022-019348
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-083301外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月30日
審決日
2023年11月07日
公報発行日
2023年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018- 83301「フレキシブル配線回路基板および撮像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月29日出願公開、特開2018-190972、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年4月24日(優先権主張 平成29年4月28日)の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。

令和4年 3月14日付け 拒絶理由通知

令和4年 5月17日 意見書・手続補正書 提出

令和4年 9月 5日付け 拒絶査定

令和4年11月30日 審判請求書・手続補正書 提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年9月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1および4に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2ならびに3に記載された周知技術に基いて、この出願の請求項2ないし4に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2ないし5に記載された周知技術に基いて、この出願の請求項5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2、3ならびに6に記載された周知技術に基いて、この出願の請求項6および7に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2ないし7に記載された周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.国際公開第2017/047072号

2.国際公開第2016/204208号(周知技術を示す文献)

3.特開2003-034828号公報(周知技術を示す文献)

4.特開2007-294918号公報(周知技術を示す文献)

5.特開2017-059708号公報(周知技術を示す文献)

6.特開2004-207642号公報(周知技術を示す文献)

7.特開2005-210628号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和4年11月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、
前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、
続きを表示(全52行)
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、
前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え、
前記シールド層は、
導電層と、
前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層と、を備え、
前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、
前記バリア層は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択され、
前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、
前記第2絶縁層は、前記配線と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2絶縁層と直接接触し、
前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記導電層と直接接触し、
前記第3絶縁層は、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層と直接接触し、
前記導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下であり、
前記シールド層は、前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触することを特徴とする、フレキシブル配線回路基板。
【請求項2】
前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のそれぞれの材料は、ポリイミドであることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項3】
前記バリア層は、チタン、クロム、ニッケル、パラジウムおよびタンタルからなる群から選択される1種の金属であることを特徴とする、請求項2に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項4】
前記配線は、グランド配線を含み、
前記シールド層は、前記バリア層が前記グランド配線と接触することにより、前記グランド配線と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項5】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、
前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、
前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え、
前記シールド層は、
導電層と、
前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層と、を備え、
前記厚み方向において、前記配線と前記第2絶縁層との間に配置される第4絶縁層および第2配線をさらに備え、
前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、
前記バリア層は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択され、
前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、
前記第4絶縁層は、前記配線と直接接触し、
前記第2配線は、前記第4絶縁層と直接接触し、
前記第2絶縁層は、前記2配線と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2配線および前記第2絶縁層と直接接触し、
前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記第3絶縁層と直接接触し、
前記導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下であり、
前記シールド層は、前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触することを特徴とする、フレキシブル配線回路基板。
【請求項6】
撮像素子を実装するための撮像素子実装基板であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板と、
前記フレキシブル配線回路基板に実装される撮像素子と、を備えることを特徴とする、撮像装置。」

第4 引用文献

1 引用文献1および引用発明

(1)引用文献1の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

原査定の拒絶理由に引用された引用文献1(国際公開第2017/047072号)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付加した。以下同様。)。

ア 「技術分野
[0001] 本発明は、シールドプリント配線板の製造方法に関するものである。
背景技術
[0002] 従来より、プリント配線板には、配線された回路から発生する電磁波を遮蔽するための電磁波シールド層を設けている。例えば、携帯電話やデジタルカメラのような小型の電子機器では、画面の面積が大きくなる傾向があり、それに従って配線回路の信号の伝送周波数が大きくなっていく傾向がある。このようになってくると、電磁波シールド層がないと配線回路から電磁波が周囲に漏れてしまい、その電磁波が周囲の電子機器に誤動作を起こさせてしまう。従って、配線回路から電磁波が漏洩しないように、電磁波シールド層を設けることが重要になる。
続きを表示(全26行)
[0003] また、電子機器の小型化が進んでいく最近の状況では、プリント配線板も面積を小さく、厚みを薄くする方向に開発が進んでいる。従ってフレシキブル基板(FPC)が多く使われるようになってきている。電磁波シールド層を備えたFPCとして、多数回の屈曲や摺動に耐えうる電磁波シールドフィルムを備えたシールドプリント配線板が特許文献1に開示されている。また、薄くても絶縁層に傷がつきにくい電磁波シールドシートを備えたシールドプリント配線板が特許文献2に開示されている。
先行技術文献
特許文献
[0004] 特許文献1:特開2011-187895号公報
特許文献2:特開2015-53412号公報
特許文献3:特開2000-59030号公報
特許文献4:特開2013-257669号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0005] しかしながら、特許文献1,2に開示されているシールドプリント配線板における電磁波シールドフィルム・電磁波シールドシートは、シールド層がフィルム・シートの全面に設けられたものであり、このような構成であると配線回路とのインピーダンス不整合が生じてしまうという問題があった。インピーダンス不整合を防止するためにはシールド層をメッシュや市松模様等のパターン形状にする必要があるが、特許文献1,2に開示されている電磁波シールドフィルム・電磁波シールドシートにおいてパターン形状を形成するには、シールド層が導電性粒子や金属片と樹脂とを含むものであるので、複数の複雑な工程が必要となり、コストが増大してしまうという問題があった。
[0006] 本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、配線回路とのインピーダンスを容易に整合させることができるシールドプリント配線板を、低コストでかつ短時間に製造する方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] 上記の課題を解決するため、本発明のシールドプリント配線板の製造方法は、シールド層を備えたシールドプリント配線板の製造方法であって、ベース基材と、前記ベース基材上に設けられたグランド配線と、前記グランド配線の一部を覆う絶縁層とを有するプリント配線板本体部を用意する工程と、少なくとも前記絶縁層の上に、レジスト樹脂を所定のパターン形状として載せるレジスト載置工程と、前記レジスト樹脂が載せられた前記プリント配線板本体部の上に金属層を設ける金属層形成工程と、前記レジスト樹脂を溶剤により除去することにより、前記金属層のうち前記レジスト樹脂上に設けられた部分を前記レジスト樹脂と共に除去して、前記所定のパターン形状以外の部分に存する前記金属層をシールド層として形成する工程とを含む構成を備えている。
[0008] 前記シールド層の厚みは7nm以上0.3μm以下であることが好ましい。
[0009] さらに、前記シールド層の上に電気絶縁性の保護層を設ける保護層形成工程を有していてもよい。
[0010] 前記金属層形成工程では、前記金属層を蒸着、スパッタリング、CVD、又はめっきにより前記プリント配線板本体部の上に設けてもよい。
[0011] 前記レジスト載置工程は印刷によって行ってもよい。
[0012] 前記レジスト樹脂は感光性の樹脂であり、前記レジスト載置工程の後に前記レジスト樹脂に光を照射して前記レジスト樹脂を硬化させる工程をさらに含んでいてもよい。
[0013] 前記レジスト樹脂は熱硬化性の樹脂であり、前記レジスト載置工程の後に前記レジスト樹脂を加熱して前記レジスト樹脂を硬化させる工程をさらに含んでいてもよい。
[0014] 前記溶剤は水であってもよい。
発明の効果
[0015] 絶縁層の上に所定のパターン形状としたレジスト樹脂を載せて、その上に金属層を全面に設け、その後レジスト樹脂を溶剤により除去することによってレジスト樹脂上の金属層をともに除去し、レジスト樹脂上以外に設けた金属層は絶縁層の上に残してシールド層とするので、所望のシールドパターンを少ない工程で容易に作成することができる。」

イ 図3

[図:0001404449000001.jpg]

ウ 「[0035] 本実施形態に係るシールド層を備えたシールドプリント配線板を図3に示す。プリント配線板本体部10は、ベース基材11と、ベース基材11の上に設けられたグランド配線12および信号配線14と、前記グランド配線12を覆うと共にグランド配線12の一部が露出するように開口部18が設けられた絶縁層13を有している。プリント配線板本体部10の上には所望のパターン形状のシールド層31,32が載せられてプリント配線板となっている。一部のシールド層31は開口部18から露出したグランド配線12と接続している。
[0036] このシールドプリント配線板を伝送配線として用いる場合、シールド層31,32の所望のパターン形状を適切に選択することにより、入出力回路と合わせたインピーダンス不整合によるノイズの漏れ、及び外部からノイズを拾ってしまうことを防ぐことができ、シールドプリント配線板の高周波伝送特性が良好となる。なお、入出力回路及びプリント配線板本体部10の種類によって適切な所望のパターン形状は変わってくるので、入出力回路及びプリント配線板本体部10の種類毎に所望のパターン形状を設定する必要がある。」

エ 「[0040] それから、プリント配線板本体部10の上に、レジスト樹脂20及び開口部18から露出しているグランド配線12を覆うように金属層30を設ける。金属層30を設ける前に、レジスト樹脂20の表面をコロナ処理して金属層30との密着性を向上させることが好ましい。金属層30の金属種は銅、銀、金、ニッケルなど種々のものを使用することができる。ここでは銅を用いる。金属層30の形成方法は、蒸着、スパッタリング、CVD、又はめっき等様々な方法を用いることができる。ここでは蒸着により厚み0.2μmの金属層30を形成した。」

オ 「[0047] シート抵抗=金属層に固有の抵抗率×金属層の長さ/(金属層の断面積×金属層の厚み)
従って、図5とその所定の式とから図6に示す関係が得られる。電磁波シールド効果は40dB未満であると不十分となるおそれがあるので、金属層30の厚みは7nm以上であることが好ましい。一方、金属層30の厚みが0.3μmを超えるとレジスト樹脂20を完全には除去できなくなるおそれがあり、0.4μmになると水洗を行っても多くのレジスト樹脂20が残存してしまう。従って、金属層30は0.3μm以下であることが好ましい。」

(2)引用発明

上記(1)の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「配線回路とのインピーダンスを容易に整合させることができるシールドプリント配線板であって、
絶縁層の上に所定のパターン形状としたレジスト樹脂を載せて、その上に金属層を全面に設け、その後レジスト樹脂を溶剤により除去することによってレジスト樹脂上の金属層をともに除去し、レジスト樹脂上以外に設けた金属層は絶縁層の上に残してシールド層とするので、所望のシールドパターンを少ない工程で容易に作成することができるものであり、
シールド層を備えたシールドプリント配線板のプリント配線板本体部10は、ベース基材11と、ベース基材11の上に設けられたグランド配線12および信号配線14と、前記グランド配線12を覆うと共にグランド配線12の一部が露出するように開口部18が設けられた絶縁層13を有しており、
プリント配線板本体部10の上には所望のパターン形状のシールド層31,32が載せられており、
このシールドプリント配線板を伝送配線として用いる場合、シールド層31,32の所望のパターン形状を適切に選択することにより、入出力回路と合わせたインピーダンス不整合によるノイズの漏れ、及び外部からノイズを拾ってしまうことを防ぐことができ、シールドプリント配線板の高周波伝送特性が良好となるものであり、
金属層30の金属種は銅、銀、金、ニッケルなど種々のものを使用することができ、
金属層30の厚みは7nm以上、0.3μm以下であることが好ましい
シールドプリント配線板。」

2 引用文献2ないし7

(1)引用文献2

原査定の拒絶理由において、周知技術を示すものとして引用された引用文献2(国際公開第2016/204208号)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「技術分野
[0001] 本発明は、配線基板に実装された部品を被覆する封止樹脂層と、封止樹脂層に積層されたシールド層とを備えるモジュールおよびその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 携帯端末装置などに搭載されるモジュールには、電磁波を遮蔽するためのシールド層が設けられる場合がある。この種のモジュールの中には、配線基板上に実装された部品がモールド樹脂で被覆され、該モールド樹脂の表面を被覆するようにシールド層が設けられるものがある。シールド層は、電磁波のシールドを目的とするCuやAl、Agなどの導電膜を有するのが一般的であるが、これらの金属膜は、いずれもモールド樹脂との密着強度が弱く、耐腐食性も十分ではないという課題がある。
続きを表示(全12行)
[0003] そこで、従来では、樹脂との密着性が高く、耐腐食性に優れたシールド層が提案されている。例えば、図5に示すように、特許文献1に記載のモジュール100は、樹脂基板101と、該樹脂基板101の上面に積層されたシールド層102とを備え、シールド層102が、樹脂基板101上に成膜された密着膜102aと、該密着膜102a上に成膜された導電膜102bと、該導電膜102b上に成膜された保護膜102cの3層構造で形成される。ここで、導電膜102bは、Cu、Ag、Alのうちのいずれかで形成される。また、密着膜102aは、樹脂基板101との密着強度が導電膜102bよりも高いSUSで形成される。また、導電膜102b上に成膜される保護膜102cは、導電膜102bよりも耐腐食性の高いSUSで形成されている。このように、シールド層102を3層構造で形成することで、密着強度と耐腐食性等の向上が図られている。
先行技術文献
特許文献
[0004]特許文献1:特開2007-243122号公報(段落0019~0026、図1等参照)
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0005] しかしながら、従来のシールド層102の保護膜102cを形成するSUSは、その表面においてCrが酸素と結合して不動態被膜を形成するため耐腐食性に優れるが、硬度が低く(ビッカース硬度…SUS304、SUS310ともに200HV以下)、シールド形成後の工程(バンプ印刷や測定など)で製品が冶具などに接触する際、シールド膜表面に傷が入りやすい問題がある。そこで、シールド層の耐傷性の向上を図るために、保護膜の硬度の向上が要求されている。
[0006] 本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、密着強度および耐傷性に優れたシールド層を備えるモジュールを提供することを目的とする。」

イ 図1

[図:0001404449000002.jpg]

ウ 「[0019] <第1実施形態>
本発明の第1実施形態にかかるモジュール1について、図1を参照して説明する。なお、図1はモジュール1の断面図である。
[0020] この実施形態にかかるモジュール1は、図1に示すように、配線基板2と、該配線基板2の一方主面に実装された複数の部品3と、配線基板2の上面に設けられ、各部品3を覆う封止樹脂層4と、封止樹脂層4の表面を被覆して設けられたシールド層5とを備え、例えば、高周波信号が用いられる電子機器のマザー基板等に搭載される。
[0021] 配線基板2は、例えば、低温同時焼成セラミックやガラスエポキシ樹脂などで形成され、上面(本発明の「配線基板の主面」に相当)には、各部品3の実装用の複数のランド電極6が形成される。また、内部には、接地用のグランド電極7や各種配線電極(図示省略)、並びに複数のビア導体(図示省略)が形成されている。ここで、グランド電極7は、配線基板2の端面(側面)から露出するように設けられている。
続きを表示(全11行)
[0022] 各ランド電極6、グランド電極7および配線電極は、それぞれCuやAl等の配線電極として一般的に採用される金属で形成されている。また、各ビア導体は、AgやCu等の金属で形成されている。なお、各ランド電極6には、Ni/Auめっきがそれぞれ施されていてもよい。
[0023] 各部品3としては、SiやGaAs等の半導体で形成された半導体素子や、チップインダクタ、チップコンデンサ、チップ抵抗等のチップ部品などが挙げられる。
[0024] 封止樹脂層4は、配線基板2の上面と各部品3とを被覆するように設けられている。この封止樹脂層4は、エポキシ樹脂等の封止樹脂として一般的に採用される樹脂で形成することができる。
[0025] シールド層5は、封止樹脂層4の表面に積層された密着層8と、密着層8に積層された導電層9と、導電層9に積層された保護層10とを有する多層構造で形成され、封止樹脂層4との密着性および耐傷性の向上が図られている。また、シールド層5は、配線基板2の側面に露出したグランド電極7と電気的に接続される。
[0026] 密着層8は、導電層9と封止樹脂層4との密着強度を高めるために設けられたものであり、この実施形態では、Ti、Cr、Ni、TiCr、TiAl、NiAl、CrAl、CrNiAlのうちのいずれかの金属から成る第1密着膜で形成される。また、密着層8は、配線基板2の側面で、当該側面に露出したグランド電極7に電気的に接続される。なお、密着層8の膜厚は、側面などの最薄部で0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
[0027] 導電層9は、シールド層5の実質的なシールド機能を担う層であり、Cu、Ag、Alのうちのいずれかの金属から成る導電膜で形成される。なお、導電層9の膜厚は、側面などの最薄部で0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。
[0028] 保護層10は、導電層9が腐食したり、傷が付くのを防止するために設けられたものであり、この実施形態では、Ti、Cr、Ni、TiCr、TiAl、NiAl、CrAl、CrNiAlのうちのいずれかの金属の窒化物、酸化物または酸窒化物から成る保護膜で形成されている。なお、保護層10の膜厚は、側面などの最薄部で0.03μm以上1.5μm以下であることが好ましい。保護層10の厚さが0.03μm以上であることにより、導電層9の腐食を、効果的に抑制することができる。また、保護層10の厚さが1.5μm以下であることにより、シールド層が不必要に厚くなるのを回避できる。」

(2)引用文献3

原査定の拒絶理由において、周知技術を示すものとして引用された引用文献3(特開2003-034828号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0036】尚、基体上に,下地層,Ag合金膜,保護層が交互に積層されていても良い。この際、Ag合金膜と下地層および/または保護層の密着性を向上するために、該膜間にNi,Cr,Ni-Cr合金などの金属層を設けてもよい。」

(3)引用文献4

原査定の拒絶理由において、周知技術を示すものとして引用された引用文献4(特開2007-294918号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 図1

[図:0001404449000003.jpg]

イ 「【0016】
図1に示すシールドフィルム1は、絶縁層2の片面に金属層3と、接着剤層4とを順次設けてなるものである。
【0017】
絶縁層2は、カバーフィルム又は絶縁樹脂のコーティング層からなる。
カバーフィルムは、エンジニアリングプラスチックからなる。例えば、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、アラミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
あまり耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、難燃性が要求される場合においては、ポリフェニレンサルファイドフィルム、さらに耐熱性が要求される場合にはアラミドフィルムやポリイミドフィルムが好ましい。
絶縁樹脂は、絶縁性を有する樹脂であればよく、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂などが挙げられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、及びそれらのメタクリレート変性品などが挙げられる。なお、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化などどれでもよく、硬化するものであればよい。
なお、絶縁層2の厚みは1μm~10μm、好ましくは3μm~7μmであることが好ましい。」

(4)引用文献5

原査定の拒絶理由において、周知技術を示すものとして引用された引用文献5(特開2017-059708号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0036】
[絶縁層の表面抵抗値]
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層の表面抵抗値が1×105以上であることが好ましい。絶縁層の表面抵抗値が1×105Ω/□以上になることで絶縁信頼性がより向上する。
【0037】
続きを表示(全19行)
「黒色樹脂組成物」
続いて、絶縁層を形成するための黒色樹脂組成物を構成する、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤等について、それぞれ説明する。
【0038】
(熱硬化性樹脂(A1))
熱硬化性樹脂(A1)は、加熱による架橋反応に利用できる官能基を複数有する樹脂である。
官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シラノール基等が挙げられる。
上記の官能基を有する熱硬化性樹脂(A1)は、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、縮合型ポリエステル樹脂、付加型ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも表面抵抗値とインキ耐性の点から、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、付加型ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましい。
【0039】
本発明では熱硬化性樹脂(A1)に加え、熱可塑性樹脂を併用できる。
熱可塑性樹脂としては、前記硬化性官能基を有しないポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、α-オレフィン化合物などのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンプロピレンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、α-オレフィンポリマー等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合により得られるポリマーおよびビニルエステルとエチレンなどのオレフィン化合物とのコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレンや(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド類などからなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルコポリマー、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
ジエン系樹脂は、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物のホモポリマーまたはコポリマーおよびそれらの水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。テルペン樹脂は、テルペン類からなるポリマーまたはその水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂が挙げられる。
石油系樹脂は、ジシクロペンタジエン型石油樹脂、水添石油樹脂が好ましい。セルロース系樹脂は、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAポリカーボネートが好ましい。ポリイミド系樹脂は、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂が好ましい。」

(5)引用文献6

原査定の拒絶理由において、周知技術を示すものとして引用された引用文献6(特開2004-207642号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 図1

[図:0001404449000004.jpg]

イ 「(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態における多層基板の製造方法を示す工程別断面図である。尚、本実施の形態における多層基板は、例えば携帯電話等の電磁波シールドが必要な電子機器等に用いることができる。
【0023】
図1(a)に示すように、1は樹脂フィルム2の片面に貼着された導体箔をエッチングによりパターン形成した導体パターン3及びGNDパターン4を有する片面導体パターンフィルムである。ここで、樹脂フィルム2としては、例えば熱可塑性樹脂であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)65~35重量%とポリエーテルイミド(PEI)35~65重量%とからなる厚さ25~100μmの樹脂フィルムを用いることができる。また、導体箔としては、例えばAu、Ag、Cu、Alの少なくとも1種を含む低抵抗金属箔が良く、望ましくは安価でマイグレーションの心配のないCu箔が良い。
続きを表示(全33行)
【0024】
GNDパターン4としては、導体パターン3と同一の金属を用い、製造工程の短縮ため、ほぼ同時に形成される。GNDパターン4は、後述するシールドパターンと電気的に接触するが、詳細については後述する。尚、導体パターン3及びGNDパターン4の形成は、導体箔のエッチング以外にも、印刷法を用いて行われても良い。
【0025】
図1(a)の片面導体パターンフィルム1形成工程が完了すると、次に、図1(b)に示すように、樹脂フィルム2側から例えば炭酸ガスレーザを照射して、導体パターン3を底面とする有底孔であるビアホール5を形成し、当該ビアホール5に層間接続材料である導電性ペースト6を充填する充填工程が行われる。
【0026】
ビアホール5の形成には、炭酸ガスレーザ以外にもUV-YAGレーザやエキシマレーザ等を用いることが可能である。その他にもドリル加工等により機械的にビアホール5を形成することも可能であるが、小径でかつ導体パターン3を傷つけないように加工することが必要とされるため、レーザによる加工法を選択することが好ましい。
【0027】
ビアホール5の形成が完了すると、ビアホール5内に層間接続材料である導電性ペースト6を充填する。導電性ペースト6は、Cu、Ag、Sn等の金属粒子に有機溶剤を加え、これを混練しペースト化したものである。導電性ペースト6には、その他にも適宜低融点ガラスフリットや有機樹脂、或いは無機フィラーを添加混合しても良い。この、導電性ペースト6は、図示されないスクリーン印刷機やディスペンサ等を用いてビアホール5内に充填される。尚、導体パターン3に対して導電性ペースト6の充填されたビアホール5を形成する例を示したが、GNDパターン4を底面としたビアホール5を形成し、導電性ペースト6を充填しても良い。
【0028】
ここで、片面導体パターンフィルム1の形成と平行して、片面導体パターンフィルム1に対して導GNDパターン4が形成されない片面導体パターンフィルム1aの形成と、シールドフィルム10の形成が行われる。
【0029】
シールドフィルム10は、静電気或いは電磁波シールドを目的として形成されるものであり、樹脂フィルム2の片面に貼着された導体箔をエッチングによりパターン形成したシールドパターン11とランドとしての導体パターン12を有する。また、その大きさは、フィルム10の平面方向において、多層基板を構成する他の片面導体パターンフィルム1等の略同一である。ここで、樹脂フィルム2としては、片面導体パターンフィルム1,1aと同一の例えば熱可塑性樹脂であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)65~35重量%とポリエーテルイミド(PEI)35~65重量%とからなる厚さ25~100μmの樹脂フィルムを用いることができる。片面導体パターンフィルム1,1aと同一の熱可塑性樹脂からなると、接着性が向上されるので好ましい。また、導体箔も、片面導体パターンフィルム1,1aと同一の例えばAu、Ag、Cu、Alの少なくとも1種を含む低抵抗金属箔を用いることができる。
【0030】
さらに、シールドパターン11及び導体パターン12を底部として、ビアホール5が形成され、導電性ペースト6が充填される。ビアホール5は、後述する積層工程において、位置決めした際に、GNDパターン4と接触する位置に形成される。尚、ビアホール5の形成、及び導電性ペースト6の充填は、片面導体パターンフィルム1,1aにおけるビアホール5の形成、及び導電性ペースト6の充填と同一の工程,及び材料が用いられる。従って、製造工程を短縮できる。
【0031】
尚、シールドパターン11は、後述する静電気或いは電磁波シールドすべき部位をシールドするように、樹脂フィルム2の所定の位置にシールドすべき部位に対応したパターンをもつようにエッチングされる。従って、後述する積層工程において、シールドフィルム10の位置決めを行えば、シールドすべき部位に対してシールドパターン11が位置決めされることとなるので、位置決めが容易である。ここで、シールドすべき部位に対応したシールドパターン11とは、シールドすべき部位の形状と略同等の形状か、若しくはシールドすべき形状よりも大きく、シールドすべき形状を完全に覆うことのできる任意の形状を示す。尚、静電気或いは電磁波シールドについては後述する。
【0032】
ビアホール5への導電性ペースト6の充填が完了すると、図1(d)に示すように、片面導体パターンフィルム1を含む複数の樹脂フィルム2を積層する(本例では6枚)。このとき、6枚の樹脂フィルム2からなる積層体は、上層からシールドフィルム10、片面導体パターンフィルム1、片面導体パターンフィルム1b、3枚の片面導体パターンフィルム1aの順で積層されている。尚、多層基板(積層体)の形態(層数及び導体パターン3等の構成)は本実施の形態に限定されるものではない。
【0033】
図1(d)に示すように積層工程がなされた後、この積層体の上下両面から図示されない加熱プレス機を用いて加熱しつつ加圧し、多層基板を形成する加熱・加圧工程がなされる。このとき、シールドフィルム10が、他の片面導体パターン等と略同等の大きさを有し
ているので、積層体の表面に均一に加圧されることなり、導体パターン3等の位置ずれを防止できる。本実施の形態では、プレス条件として、250~350℃の温度に加熱し、1~10MPaの圧力で加圧した。尚、加熱プレス機と積層体の表面との間には、導体パターン3、及びシールドパターン11の位置ずれを防ぐために、緩衝効果を有する図示されない緩衝部材を設けても良い。さらに、緩衝部材と積層体との間、及び、緩衝部材と加熱プレス機との間に、夫々の間の離型性を良くする目的でポリイミド等の図示されない離型部材を設けて、加熱・加圧工程を行っても良い。
【0034】
上述の製造工程を経て、各樹脂フィルム2が熱溶着して一体化すると共に、ビアホール5内の導電性ペースト6により隣接する導体パターン3,12或いは導電性ペースト6との間で層間接続がなされ、図1(e)に示すように多層基板20が形成される。
【0035】
ここで、多層基板20は、当該基板20の内部に静電気或いは電磁波シールドすべき部位として、例えば電磁波に弱い導体パターン3aを有している。そして、この導体パターン3aに対して、その積層方向における多層基板20の表面に、シールドフィルム10のシールドパターン11が配置されている。
【0036】
このシールドパターン11は、導電性ペースト6を介してGNDパターン4と電気的に接続されているので、シールドパターン11はGNDパターン4と略同電位となっている。従って、多層基板20が外部から電磁波を受けても、導体パターン3aが吸収する前に、シールドパターン11が電磁波ノイズを吸収する。GNDパターン4に接続されたシールドパターン11の電位と導体パターン3aの電位との電位差は電磁波を受ける前後で変化しないので、多層基板20の導体パターン3aを含む回路部は通常通り動作することができる。また、シールドパターン11にて吸収された電磁波を、GNDパターン4を経て多層基板20の外部へ逃がすこともできる。
【0037】
また、図1(e)に示されるように、多層基板20の表面に配置されたシールドフィルム10には、その下層に形成されたランドとしての導体パターン3に対応する位置に、当該導体パターン3に導電性ペースト6を介して電気的に接続されるランドとしての導体パターン12が形成されている。従って、多層基板20表面のシールドフィルム10上に、導体パターン12をランドとしてIC等の電子部品を実装することができる。」

(6)引用文献7

原査定の拒絶理由において、周知技術を示すものとして引用された引用文献7(特開2005-210628号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 図2

[図:0001404449000005.jpg]

イ 「【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図2は本発明に係る撮像用半導体搭載用基板の一例の平面図である。撮像用半導体を搭載する為の配線パターン11が形成された基板12上に、撮像用半導体に対して光学系レンズ鏡筒の位置合わせを精度良く行う為のガイドとなる樹脂成形部10が設けられている。」

ウ 図3

[図:0001404449000006.jpg]

エ 図4

[図:0001404449000007.jpg]

オ 「【0016】
図3は同じく裏面図であり、撮像装置を搭載する部位の基板裏面に水分浸入防止層13が設けられている。また図4は同じく断面図である。」

カ 図5

[図:0001404449000008.jpg]

カ 「【0017】
図5は同基板を用いて作製した撮像装置の一例の断面図である。撮像用半導体に対して光学系レンズ鏡筒の位置合わせを精度良く行う為のガイドとなる樹脂成形部10は、表面にCu等により撮像用半導体を搭載する為の配線パターン11が形成された基板12の上に成形される。裏面には撮像用半導体を搭載する部位の反対面側に水分浸入防止層13が設けられている。この水分浸入防止層は金属で形成されることが好ましい。
【0018】
撮像用半導体3は接着剤等を用いて撮像用半導体を搭載する為の配線パターン11が形成された基板12に接着され、またワイヤー4を用いて配線パターン11に接続される。また、撮像用半導体に対して光学系レンズ鏡筒の位置合わせを精度良く行う為のガイドとなる樹脂成形部10の上には撮像用半導体保護用のガラス蓋9が接着されている。更に樹脂成形部10をガイドとして光学系レンズ5が固定された鏡筒6が基板12上に接着剤等で固定されている。」

キ 図6

[図:0001404449000009.jpg]

ク 「【0020】
図6は撮像用半導体として、デバイス化されたいわゆるチップサイズパッケージ(CSP)14を用いた場合の本発明の撮像装置の断面図である。撮像用半導体に対して光学系レンズが搭載される鏡筒の位置合わせを精度良く行う為のガイドとなる樹脂成形部10を基準にして、光学系レンズ5が固定された鏡筒6が、配線パターン11が形成された基板12上に接着剤等で固定されている。この場合、撮像用半導体14はデバイス化されているため、保護用のガラス蓋は用いられていない。」

第5 対比・判断

1 本願発明1

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことが認められる。

ア 引用発明の「ベース基材11」、「ベース基材11の上に設けられたグランド配線12および信号配線14」、「前記グランド配線12を覆う」「絶縁層13」、「プリント配線板本体部10の上」の「所望のパターン形状のシールド層31,32」は、それぞれ、本願発明1の「第1絶縁層」、「前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線」、「前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層」、「前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層」に相当し、引用発明の「シールドプリント配線板」は、本願発明1の「配線回路基板」に対応しているといえる。

したがって、本願発明1と引用発明とは、「第1絶縁層と、

前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、

前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、

前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、

前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え」る「配線回路基板」である点で共通しているといえる。

しかし、本願発明では、配線回路基板が「フレキシブル」であるのに対して、引用発明では、フレキシブルであるか否か明らかでない点で相違している。

イ 引用発明において、「絶縁層の上に所定のパターン形状としたレジスト樹脂を載せて、その上に金属層を全面に設け、その後レジスト樹脂を溶剤により除去することによってレジスト樹脂上の金属層をともに除去し、レジスト樹脂上以外に設けた金属層は絶縁層の上に残してシールド層とする」ものであり、「金属層30の金属種は銅、銀、金、ニッケルなど種々のものを使用することができ、金属層30の厚みは7nm以上、0.3μm以下であることが好ましい」とされている。

ここで、引用発明の「金属層30」は、「レジスト樹脂上以外に設けた金属層は絶縁層の上に残してシールド層とする」ことにおける「金属層」であるから、本願発明1の「シールド層」が「備え」る「導電層」に相当するといえる。

また、引用発明の「金属層30の金属種は銅、銀、金、ニッケルなど種々のものを使用することができ」るとされているから、本願発明1と同様に、「前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され」ているといえる。

さらに、引用発明も、接着剤層等を介することなく、「グランド配線12および信号配線14」と「ベース基材11」とが接しているから、本願発明1と同様に、「前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し」ているといえる。

また、引用発明も、接着剤層等を介することなく、「絶縁層13」と「グランド配線12および信号配線14」とが接しているから、本願発明1と同様に、「前記第2絶縁層は、前記配線と直接接触し」ているといえる。

そして、引用発明の「金属層30の厚みは7nm以上、0.3μm以下であることが好ましい」とされているから、「導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下であ」る本願発明1と同様の場合を含むといえる。

したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記シールド層は、導電層」「を備え、「前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、」「前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、前記第2絶縁層は、前記配線と直接接触し、」「前記導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下であ」る点で共通しているといえる。

しかし、本願発明1では、シールド層が「前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層」を備え、「前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2絶縁層と直接接触し、前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記導電層と直接接触し、前記第3絶縁層は、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層と直接接触し」ているのに対し、引用発明では、シールド層がバリア層を備えていない点で相違している。

また、本願発明1では、シールド層が、「前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触」しているのに対し、引用発明では、シールド層は、所望のシールドパターンとなっており、面全体に接触していない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明1と、引用発明とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。

ア 一致点

「第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、
前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、
続きを表示(全12行)
前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え、
前記シールド層は、
導電層、を備え、
前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、
前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、
前記第2絶縁層は、前記配線と直接接触し、
前記導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下である、
配線回路基板。」

イ 相違点

(ア)<相違点1>

本願発明では、配線回路基板が「フレキシブル」であるのに対して、引用発明では、フレキシブルであるか否か明らかでない点。

(イ)<相違点2>

本願発明1では、シールド層が「前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層」を備え、「前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2絶縁層と直接接触し、前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記導電層と直接接触し、前記第3絶縁層は、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層と直接接触し」ているのに対し、引用発明では、シールド層がバリア層を備えていない点。

(ウ)<相違点3>

本願発明1では、シールド層が、「前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触」しているのに対し、引用発明では、シールド層は、所望のシールドパターンとなっており、面全体に接触していない点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて、まず、<相違点3>について検討する。

引用発明では、「シールドプリント配線板を伝送配線として用いる場合、シールド層31,32の所望のパターン形状を適切に選択することにより、入出力回路と合わせたインピーダンス不整合によるノイズの漏れ、及び外部からノイズを拾ってしまうことを防ぐことができ、シールドプリント配線板の高周波伝送特性が良好となるものであ」るから、引用発明において、本願発明1の<相違点3>に係る「前記シールド層は、前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触する」という構成と同様に、シールド層を絶縁層13(第2絶縁層)の全体に接触する構成に変更することは、「配線回路とのインピーダンスを容易に整合させることができる」という引用発明の解決すべき課題と相反することになるから、引用文献2ないし7の記載事項にかかわらず、本願発明1の<相違点3>に係る構成への変更に阻害事由があるといえる。

したがって、引用発明および引用文献2ないし7の記載事項に基づいて、当業者は本願発明1の<相違点3>に係る構成を容易に想到することができない。

(4)小括

したがって、本願発明1は、その他の<相違点1>および<相違点2>について検討するまでもなく、引用発明および引用文献2ないし7の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし4

本願発明2ないし4は、いずれも、本願発明1を減縮したものであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、上記1で述べた本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2ないし7の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明5

本願発明5は、本願発明1の全ての構成に、「第2配線」および「第4絶縁層」を加えて、多層化したものであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、上記1で述べた本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2ないし7の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明6および7

本願発明6は、本願発明1あるいは本願発明5の構成を全て備えたフレキシブル配線回路基板の発明であり、本願発明7は、本願発明1あるいは本願発明5の構成を全て備えたフレキシブル配線回路基板を備えた撮像装置の発明であるから、上記1で述べた本願発明1、あるいは、上記3で述べた本願発明5と同じ理由により、引用発明および引用文献2ないし7の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について

上記第5の1ないし4で述べたように、本願発明1ないし7はいずれも、引用発明、および、引用文献2ないし7の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえないから、原査定の拒絶の理由(進歩性)は、解消している。

よって、原査定の理由は、維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-019348

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