商標拒絶査定不服審判
2022-019325
- 審判番号
- 2022-019325
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-133671
- 請求日
- 2022年11月30日
- 審決日
- 2023年12月27日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サラ
- 【請求人代理人】弁理士法人森特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .16 -Z (W31)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第5条第4項、特許法第150条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-133671拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年10月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 6月 9日付け:拒絶理由通知書
令和4年 7月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 8月25日付け:拒絶査定
令和4年11月30日 :審判請求書の提出
令和4年12月 2日 :手続補足書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1(1)のとおりの構成からなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書記載のとおりに記載して、第31類「野菜」を指定商品として、位置商標として登録出願され、その後、本願商標の「商標の詳細な説明」は、前記1の手続補正書により、別掲1(2)のとおりに補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、別掲1のとおりの商標記載欄の記載、位置商標である旨の記載及び商標の詳細な説明の記載から把握されるものである。
ところで、本願の指定商品を取り扱う業界においては、商品の包装等において、美感を発揮させるため、または需要者の注意を惹く目的等で、出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の図形及び色彩が使用されているところ、中身の野菜商品を見せることをメリットとした逆台形状の包装パッケージが提供されており、野菜商品の販売促進のために、包装用パッケージによる商品の見せ方について、様々な工夫がされている実情がある。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用したとしても、単に商品の包装等において、美感を発揮する等のために施された装飾、模様等の一形態を表示したものと理解するにとどまるから、本願商標は、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき、その結果を令和5年9月5日付け証拠調べ通知書によって請求人に通知し、意見を求めた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記4の証拠調べ通知に対し、令和5年10月30日付け意見書及び同年11月1日付け手続補足書を提出し、要旨以下の意見を述べた。
(1)確かに、証拠調べ通知書に掲載された商品の画像においては、開口上面側より閉塞底面側がやや狭い透明な包装袋であって、概略下半分の位置より彩色が施された下側部分の中央付近に透明な図形が配置されており、当該包装袋にレタス等の葉物野菜が収納された状態においては、培養土がついた根毛の存在が外部から視認されるという点で本願商標の使用態様と共通しており、とくに別掲2(1)とは、その中央下寄りにおいて覗き窓として機能する装飾的な図形が真円である点においても共通している。
(2)本願商標は、2019年5月15日の出荷開始以来、請求人によって継続して、野菜、とくに衛生管理が徹底された植物工場内で生産されるリーフレタスの包装袋に使用されてきた。ところが、別掲2(1)の使用者は、2021年4月から、首都圏に約130店舗を展開する小売店に対して、「天然水のサラダ」の商品名で、本願商標の使用態様と比べると基本的な彩色や、3つのイラストの配置までも酷似した包装袋を用いてリーフレタスを販売するに至った。そのため、取引者間において商品の出所の混同が生じ、請求人は、納品先から工場出荷価格等について確認の問い合わせを受ける事態も生じた。
(3)根に培土がついたリーフレタスをそのまま包装袋に包装し出荷提供するという販売形態自体は、請求人が発案し普及したものであっても、競業他社による同様な商品の追従を排除することはできないが、別掲2(3)にみられるような、包装袋全体の彩色やデザイン、覗き窓部分の輪郭形状等が相違していれば、需要者・取引者においても十分に商品の識別が可能と考える。
(4)本願商標は、日本で初めて市場に提案された「元祖」の商品包装袋として、小売店頭においては、陳列された葉物野菜に近寄らずとも遠方から一見しただけで、請求人の生産出荷したレタス等であることが判別でき需要者等に認知されているから、十分に自他商品識別機能を発揮し、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、標章を付す位置が特定された位置商標であり、別掲1のとおり、逆台形状の透明な包装用袋の下半分に、逆台形状の白色図形を配し、当該白色図形の下側中央には、真円形の無着色部分を有する構成からなるものである。
ところで、本願の指定商品である「野菜」を取り扱う業界においては、商品の品質維持や保管・輸送における利便性の向上のため、野菜を包装して販売することが一般に広く行われているところ、各野菜の性質、形状、色彩等により適する包装が異なるという一定の制約の下においても、商品の魅力向上や需要者の関心を引くなどといった目的のため、種々のパッケージデザインが用いられており、例えば、透明な包装用袋の下方に、略逆台形状の図形を配し、当該図形の下側中央には、真円形等の無着色部分を有する構成からなる包装用袋を用いた商品も、一般に製造、販売されている実情が認められる(別掲2及び別掲3参照)。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、その商品の包装用袋に通常採用され得る位置に付された図形の一類型として認識されるにとどまり、それ自体が単独で商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として認識されることはないとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、レタスの根に培土がついたまま包装し出荷する、という斬新な販売形態を日本で初めて提案した旨述べ、本願商標に係る包装用袋は、根周辺の培土部分は白色図形部分で隠しつつ、綿毛のようなレタスの根の部分を、無着色とした透明な覗き窓から容易に視認することができるという極めて特殊なデザインが施されているため、小売店頭においては、遠方から陳列された野菜を一見しただけで、請求人の生産出荷したレタスであることが容易に判別できること、また、2019年5月15日の出荷開始から間もなく、購入者によるインターネット上の書き込みがはじまり、生活情報誌において読者推薦で商品紹介がされる等、本願商標を用いた包装形態が大いに話題となっている旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願の指定商品である「野菜」を取り扱う業界では、一定の制約の下においても、商品の包装に様々な形状や装飾が用いられているという取引の実情があることに鑑みれば、本願商標に接する取引者、需要者は、商品の魅力向上等のために使用され得るパッケージデザインの一類型として認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
イ 請求人は、自身の生産するレタスは、関東から九州を中心に出荷されており、2022年10月現在においても商品市場における市場占有率が92%に及ぶ(資料3)と述べ、そうすると、本願商標は、相当程度需要者の間に広く知られていることが明らかである旨主張する。
しかしながら、「スーパーマーケットPOSデータサービスより請求人が作成」したとする「本願商標を使用した商品の市場動向」(資料3)に示されている数値が、仮に「根付きレタス」の市場占有率だとした場合、「根付きレタス」の市場占有率のみをもって、本願の指定商品である「野菜」の取引者、需要者の間に広く認識されているということはできない。そして、本願の指定商品に係る市場占有率の算出方法は、我が国における「野菜」全体の出荷金額を分母とし、請求人の生産に係る商品の出荷金額を分子として算出すべきであるところ、資料3には、母数について「POSデータを提供するスーパー店舗ベース」とのみ記載されており、母数の値が、我が国における「野菜」全体の出荷金額であるかは明らかでないことから、請求人が主張する市場占有率は、算出の基礎が不明である。
ウ 請求人は、2021年から市場に投入された他社競合品が、本願商標の使用態様に酷似した包装用袋を用いて商品を販売するに至ったため、取引者間において商品の出所の混同が生じ、請求人は、納品先から工場出荷価格等について確認の問い合わせを受けたこと、また、別掲2(3)にみられるような、包装袋全体の彩色やデザイン、覗き窓部分の輪郭形状等が相違していれば、需要者・取引者においても十分に商品の識別が可能である旨主張する。
しかしながら、本願商標の使用態様に酷似した包装用袋を用いた商品が販売されていたとしても、上記アのとおり、本願の指定商品に係る取引の実情に鑑みれば、本願商標に接する取引者、需要者は、商品の魅力向上等のために使用され得るパッケージデザインの一類型として認識するにとどまるとみるのが相当である。そして、本願商標が請求人の商標として、取引者、需要者において十分に自他商品の識別標識として認識されているとする客観的な証拠の提出もないし、また、そのような取引の実情も発見できない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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