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商標拒絶査定不服審判

2022-018812

ニンチコードーリョーホーシ、ニンチコードーリョーホー

審判番号
2022-018812
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2021-134941
請求日
2022年11月23日
審決日
2024年03月21日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】石川 千鶴
  • 【請求人代理人】松崎 隆
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 茂木 祐輔
分類
T18 .13 -Z (W4144) / T18 .17 -Z (W4144) / T18 .272-Z (W4144)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2021-134941拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「認知行動療法士」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第44類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、令和3年10月29日に登録出願されたものである。 本願は、令和4年1月14日付けで拒絶理由の通知がされ、同年2月24日に意見書が、同年7月21日に上申書が提出されたが、同年8月22日付けで拒絶査定がされたものである。 これに対して令和4年11月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、指定役務については、審判請求と同日に提出された手続補正書により、第41類「心理療法または心理カウンセリングに関する知識の教授,心理療法または心理カウンセリングに関するセミナーの企画・運営又は開催,心理療法または心理カウンセリングに関する図書及び記録の供覧,心理療法または心理カウンセリングに関する図書の貸与,心理療法または心理カウンセリングに関する電子出版物の提供,心理療法または心理カウンセリングに関する書籍の制作,心理療法または心理カウンセリングに関する映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う心理療法または心理カウンセリングに関する映像の提供,心理療法または心理カウンセリングに関する放送番組の制作,心理療法または心理カウンセリングに関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),心理療法または心理カウンセリングに関する教育研修のための施設の提供」及び第44類「心理療法または心理カウンセリングに関する医療情報の提供,心理療法または心理カウンセリングに関するセラピー,心理療法または心理カウンセリングに関する健康管理に関する指導及び助言」に補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「認知行動療法士」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「認知行動療法」の文字は「情緒障害や気分障害などに対する治療技法の一」の意味を、「士」の文字は「特別の資格・技術を身につけた人。」の意味をそれぞれ有する語であるから、本願商標は全体として「認知行動療法に関する資格・技術を身につけた人」ほどの意味合いを、容易に理解、認識させるものであり、また、医療業界において、「認知行動療法士」の文字は、「認知行動療法に関する資格・技術を身につけた人」を指す語として普通に用いられている。そうすると、本願商標を、その指定役務に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、「認知行動療法に関する資格・技術を身につけた人に関する役務」(例えば、「認知行動療法に関する資格・技術を身につけた人による知識の教授」等)であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いに照応する役務以外の指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)商標法第3条第1項第3号について 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。 そうすると、本願商標が、その指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標が指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。 そして、当該商標の取引者、需要者によって指定役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号同4年1月25日知的財産高等裁判所判決参照)。 (2)本願商標の語義及び使用状況について ア 本願商標を構成する文字の語義について 本願商標は、「認知行動療法士」の文字を標準文字で表してなるところ、各構成文字について、「広辞苑第7版」(株式会社岩波書店発行)には以下(ア)及び(イ)の記載がある。 (ア)「認知行動療法」:「心理療法の一つ。議論や問題解決的な思考などを通じて、不調の原因とされる認知の歪みを修正する。」 (イ)「士」:「一定の資格・役割をもった者。「弁護-」」 (ウ)なお、「認知行動」や「療法士」の文字についての載録はない。 (エ)また、上記(ア)ないし(ウ)で挙げた各語の載録状況は、「大辞泉第2版」(株式会社小学館発行)及び「大辞林第4版」(株式会社三省堂発行)でも同じである。 イ 本願の指定役務の分野における「認知行動療法」の文字の使用の実情について (ア)上記ア(ア)のとおり、「認知行動療法」は、不調の原因とされる認知の歪みを修正する、心理療法の一つであるところ、心理療法をはじめとした医療機関や関連団体、障がい者を支援する事業者、教育機関等、心理療法を行う又は心理療法に関連した情報を取り扱う事業者のウェブサイトにおいて、「認知行動療法」の文字の使用状況は、以下のインターネット情報で確認することができる。 a 厚生労働省が運営する「e-ヘルスケア」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)」の見出しの下、「うつ病などの様々な心の病に対する有効性が医学研究で立証されている心理療法。・・・認知行動療法は、ある状況に出くわした時に、私たちが持つ感情と行動が、その状況をどうとらえるか(認知)によって影響を受けることに着目します。・・・患者さんの感情や行動に影響を及ぼしている極端なとらえ方(歪んだ認知)を、治療者と患者さんが共同で確認していくことが、認知行動療法の第一歩です。最終的に、患者さんが、より現実的で幅広いとらえ方(認知)を自分自身によって選択できるようになることで、必要以上に落ち込んだり、不安になったりするといった不快な感情を軽くして、ご本人が本来持っている力を発揮できることを目指します。」の記載がある(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-044.html)。 b 「Terapi」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法とは?効果や自分でやるやり方などを解説」の見出しの下、「認知行動療法とは、人の気持ちの動きや行動パターンに大きく影響する「認知」を修正し、心のバランスを整えることでストレスを軽減する心理療法です。元々はうつ病の治療法でしたが、昨今ではさまざまな精神疾患や心の症状の治療に活用されています。認知行動療法は、医師やカウンセラーなど専門家の元での治療だけでなく、自分自身で取り組むことも可能です。」、「世界中どこからでも認知行動療法が受けられるオンラインカウンセリング「テラピ」では、日本では数少ない認知行動療法の専門家が多く在籍しています。」の記載がある(https://terapi.jp/column/what-is-cognitive-behavioral-therapy/#page2)。 c 「NHK」のウェブサイトにおいて、「心のリラックスでストレス解消 認知行動療法で考え方を見直す」の見出しの下、「ストレスがたまりがちな場合、偏った考え方が関係していることがあります。・・・「うまくいくわけがない」と否定的に考えたり、「この人は嫌いだから、悪い人だ」などと感情的に判断したりすることもあります。こうした偏った考え方(認知のゆがみ)の多くは、心のトレーニングである認知行動療法で改善できます。これは、手順を踏んで状況を分析し、心の中を整理していくものです。通常は専門家と面談しながら行いますが、ポイントを理解しておけば1人で行うこともできます。」の記載がある(https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_218.html)。 d 「一般社団法人日本臨床心理士会」のウェブサイトにおいて、「臨床心理士に会うには」の見出しの下、「臨床心理士の面接療法/臨床心理士が面接で行う「臨床心理学」を基礎とした相談・支援の方法/認知行動療法/認知行動療法は、クライエントの自助力(セルフヘルプ)の回復や向上を目的とする、問題解決型の心理療法です。(略)認知行動療法は、うつや不安などに効果があることが、諸研究によって確かめられている心理療法です。とくに心理的な問題の再発予防効果が高いことが知られています。」の記載がある(http://www.jsccp.jp/near/interview9.php)。 e 「認知行動療法センター」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法とは」の見出しの下、「認知療法・認知行動療法は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。」の記載がある(https://cbt.ncnp.go.jp/contents/about.php)とともに、「CBTをうけたい」の見出しの下、「認知行動療法センターでは、・・・有料での認知行動療法の提供を一部始めております。」、「CBTセンターの研究環境において研究指導を受け、下記の大学院で学ぶことができます。」の記載がある(https://cbt.ncnp.go.jp/contents/study.php)。 f 「芦屋もの忘れと心の診療所」のウェブサイトにおいて、「カウンセリング・認知行動療法」の見出しの下、「当院では、心理士(臨床心理士・公認心理師)が水曜日と金曜日に在籍しており、心理検査(保険診療)や必要に応じたカウンセリングや認知行動療法を自費で受けることができます。」の記載がある(https://ashiya-mental-clinic.com/treatment/counseling/)。 g 「みずほクリニック」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法について心理士が解説しました。」の見出しの下、「認知行動療法とは、自身の考え方や行動の癖に“気付き”“見直す”ことで、問題やストレスへの対処方法を身につけていく心理・精神療法のひとつです。」、「認知行動療法は、カウンセラーと一緒に実践していくこともできますし、コツを掴めばそれらの技法を使って、自分一人でストレスに対処することができる心理療法でもあります。対処方法を身につけ、“自分の価値を大切にしながら生きていくこと”を目指していきます。」の記載がある(https://mizuhoclinic.com/blog/認知行動療法について心理士が解説しました。/)。 h 「LITALICOワークス」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法(CBT)の方法や効果とは?病院や自分で行う場合を解説します」の見出しの下、「認知行動療法(CBT)とは、物事のとらえ方(認知)や行動に働きかけて、ストレスを軽減する心理療法のことです。」、「認知行動療法は医師やカウンセラーなどと一回30分以上の面談を16~20回ほど行うことが多く、以下のような流れで進めていきます。」、「認知行動療法は個人で行っても効果があると言われています。ただしやり方によっては逆効果になることもあるので、書籍などに従って行っていくといいでしょう。現在は本以外にもWEBサービス、アプリなどで手軽に認知行動療法を行うこともできます。」の記載がある(https://works.litalico.jp/column/system/018/)。 i 「こころのスキルアップ・トレーニング」のウェブサイトにおいて、トップページには、「認知行動療法を活かした「具体的なストレスの対処法」を練習できる会員制のサイトです。」の記載があるとともに、「本サイトでできることは?」の小見出しの下、「認知行動療法を「知る・学」」、「認知行動療法を「生活に生かす」」、「認知行動療法の「スキルを練習する」゛7つのスキル゛」の項目があり、さらに各項目ごとに、さらに細分化された見出しの情報が掲載されている(https://www.cbtjp.net/)。 j 「LITALICO仕事ナビ」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法(CBT)とは?基本的な方法、効果やメリット・デメリット、療法の流れなどについて解説します。」の見出しの下、「【専門家監修】認知行動療法(CBT)はさまざまな精神疾患の治療に活用されている心理療法の一つです。思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで生活や仕事上のストレスを減らしていく方法のことを言います。」、「医療機関を受診する場合/基本的には、医師やカウンセラーのもとで受ける心理療法となるため、まずは精神科や心療内科メンタルクリニックなどで診察を受けましょう。」、「まとめ(略)またセルフ・カウンセリングが可能な場合もありますが、認知行動療法の治療を受けたいときは、自己判断せずに、まずは医師に相談しましょう。」の記載がある(https://snabi.jp/article/39)。 k 「Musashino University」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法研究所」の見出しの下、「認知行動療法研究所は、・・・認知行動療法に関する臨床、研究および教育・研修を行う機関として、2019年4月1日に設立されました。・・・様々な不安障害に対するエビデンスのある治療法として認知行動療法への関心が高まっています。武蔵野大学人間科学部や心理臨床センターでは従来から、PTSD、複雑性悲嘆、社交不安障害に対する認知行動療法の開発、効果検証などの研究に取り組み、また臨床家に対する研修も行ってきました。認知行動療法研究所では、これらの実績のもとに、精神障害や心理的な問題を抱える方のためのエビデンスのある治療法として、認知行動療法の研究、臨床、教育・研修に取り組んでいきます。」の記載がある(https://www.musashino-u.ac.jp/research/laboratory/cognitive_behavioral_therapy.html)。 l 「WEBシラバスWEB syllabus/法政大学 2023」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法Cognitive Behavior Therapy」の見出しの下、「授業の概要と目的(何を学ぶか)(略)認知行動療法とは、心の問題を、認知・行動・感情の側面から捉えて、アプローチする心理療法です。本授業では、認知行動療法の様々な技法を、それらの理論的根拠も含めて、紹介します。」の記載がある(https://syllabus.hosei.ac.jp/web/preview.php?nendo=2023&t_mode=sp&template=&no_id=2302512&gakubu_id=現代福祉学部&gakubueng=AJ)。 m 「東京認知行動療法アカデミー」のウェブサイトにおいて、「東京認知行動療法アカデミー認定カウンセラー試験」の見出しの下、「東京認知行動療法アカデミーでは、認知行動療法のみならず関連する精神療法および医療を行う際に必要な最新の知識を提供しております。一定の受講を行った方に対し、認知行動療法の一定の水準の学習を修めた事を証明する「東京認知行動療法認定カウンセラー」という資格を発行しております。認定(筆記試験・面接試験)には認知行動療法の基礎理論と応用ならびに関連する精神療法や医療知識に習熟しており、認知行動療法を使っての臨床経験があることです。」の記載がある(https://fuanclinic.com/tokyo_cbt_academy/nintei.html)。 (イ)上記aないしmの使用事実からすれば、「認知行動療法」は、本願の指定役務に関連する分野において、不調の要因とされる認知の歪みを修正する、心理療法の一つとして、心理療法を行う又は心理療法に関連した情報を取り扱う事業者によって広く利用されており、本願の指定役務を提供する業界において広く認識されているというべきである。 また、上記(ア)の各事例からすると、認知行動療法を行う者として、医師、カウンセラー、公認心理師、臨床心理士等の専門家が挙げられるとともに、専門家でない一般の者も同療法を学ぶことにより、一定程度のスキルを身に着けられることが確認できるものである。 ウ 本願の指定役務の分野における「認知行動療法士」の文字の使用の実情について 本願商標の構成中、「士」の文字は、上記ア(イ)のとおり、「一定の資格・役割をもった者。」の意味を有する語であり、その例として「弁護士」が挙げられるものである。これに加え、「マッサージ・温熱・電気などを用いる物理療法と、筋力増強・機能訓練・歩行訓練などの運動療法とを組み合わせて、運動障害の回復・改善をはかる治療法。」である「理学療法」(広辞苑第7版)について、「厚生労働大臣の免許を受けて、・・・理学療法を行う者。」である「理学療法士」の語(同掲書)や、「工芸・手芸・陶芸など一連の作業を通じて上肢から手機能の改善や心身機能の向上をはかる治療活動。」である「作業療法」(同掲書)について、厚生労働大臣の免許を受けて、・・・作業療法を行う者。」である「作業療法士」の語(同掲書)が存在すること、さらには、上記イ(イ)のとおり、「認知行動療法」が、心理療法の一つとして、本願の指定役務を提供する業界において広く認識され、同療法を行う専門家がいることをも併せて考慮すると、本願商標構成中の「士」の文字は、「一定の資格・役割をもった者。」の意味を認識させるというべきである。 そうすると、「認知行動療法」と「士」を結合させた「認知行動療法士」の文字は、本願の指定役務の分野において、「認知行動療法の資格又は役割をもった者」ほどの意味合いを理解させるものというのが相当である。 そして、「認知行動療法士」の文字が、本願の指定役務に関連する分野において、上記意味合いをもって使用されていることは、例えば以下のインターネット情報からも確認することができる(※審決注:下線や、一部の画像を抜粋したものは、合議体による。以下同じ。)。 (ア)「千葉大学 大学院医学研究院/認知行動生理学」のウェブサイトにおいて、「脳とこころの科学をきわめる。」の見出しの下、「「お知らせ(略)2011.06.15 認知行動療法士トレーニングコースのお知らせ」の記載がある(https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/phys1/)。 [図:0001411407000001.jpg] また、そのリンク先である「お知らせ」の見出しのページには、「認知行動療法士トレーニングコースのお知らせ 2011.06.15/2010年4月より千葉認知行動療法士トレーニングコースを開始いたしました。」の記載がある(https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/phys1/info/index.html#info_01)。 (イ)「千葉大学/子供のこころの発達教育研究センター」のウェブサイトにおいて、「センター長ごあいさつ」の見出しの下、「2011年4月に、千葉大学大学院医学研究院に新設された「子どものこころの発達教育研究センター」は、高度な専門職業人としての子どものための「認知行動療法士」を養成するシステムづくりを研究することを目的としております。「認知行動療法士」は、心の健康を担う新しい臨床免許となるでしょうから、・・・認知行動療法を提供できる専門家「認知行動療法士」をどのように養成していけばよいのか。・・・大学および大学院の至上課題の一つです。」の記載がある(https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/rccmd/outline/greeting.html)。 (ウ)「講談社BOOK倶楽部」のウェブサイトにおいて「認知行動療法のすべてがわかる本」の見出しの下、「著者紹介(略)千葉大学大学院医学研究院教授、精神科医。・・・専門は認知行動生理学、認知行動療法など。千葉大学にて認知行動療法士トレーニングコースを主宰。」の記載がある(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195909)。 (エ)「千葉大学大学院医学研究院」のウェブサイトにおいて、「概要」の見出しの下、「連携体制(略)さらに、2010年から、精神科医、心理職等向けの強迫、不安、慢性うつ、自閉スペクトラム等の重症患者への高強度(週1回50分16週)の 認知行動療法士コースを立ち上げ、8年間で100人を超える医師、心理職、看護師、精神保健福祉士などの多職種の人材養成を行ってきており、千葉県心理士会との連携もできています。」の記載がある(https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/phys1/MHEP/outline/index.html)。 (オ)「東京ビジネスカウンセラー学院」のウェブサイトにおいて、「脳科学&認知行動療法士資格コース」の見出しの下、「※受講後、課題試験に合格すると、米国ハワイ州NPC法人ホームメンタルカウンセラー協会認定『脳科学&認知行動療法士』の資格が取得できます。(自宅受験)」、「アメリカでは、うつや不安障がいに効果がある治療として、抗うつ薬などの薬物療法とともに、「認知行動療法」が第一選択薬(治療の筆頭に挙げられる治療法)として採用されています。認知行動療法を用いることによって、うつ病の改善が認められているのです。イギリスでもその効果が認められ、認知行動療法士の養成計画が実施されています。」の記載がある(https://www.tbl-school.com/全コース案内/脳科学-認知行動療法プロコース/)。 (カ)「グッドスクール」のウェブサイトにおける「米国ハワイ州NP法人ホームメンタルカウンセラー協会認定資格/脳科学&認知行動療法士資格コース」の見出しの記事において、上記(オ)と同様の情報が掲載されている(https://gooschool.jp/sc/7101903/le/00267/sh0002/)。 (キ)「東京心理音楽療法福祉専門学校」のウェブサイトにおいて、「目指す職業」の見出しの下、「介護福祉士」や「ホームヘルパー」、「心理カウンセラー」等と並列に、「認知行動療法士/認知行動療法は「できないこと」を少しずつ「できること」 へ変えていくセラピーです。良くも悪くも今までに培ってきた価値観や優先順位を、じっくりと検証し、ゆっくりと理解しながら、少しずつ新しい行動に慣れていきます。そういった療法を身につけた療法士です。」の記載をもって、「目指す職業」として紹介がされている(http://www.ikueigakuen.ac.jp/shinri/job/job1.html)。 (ク)「公認心理師 世界の大学を歩く/丹野義彦のページ」のウェブサイトにおいて、「WCBCT2004 神戸大会」の見出しの下、「2004年7月20日(火)~24日(土) に、神戸国際会議場において、世界認知行動療法学会(WCBCT)が開かれました。丹野研究室ではこの大会を全面的にバックアップしました。そこでこの大会のことについて、記録に残しておきます。(略)4.来日した外国の臨床家・研究者の情報.(略)15.ダニー・ラム Danny Lam/ダニー・ラム(Danny Lam)は、ロンドンのキングストン大学の健康社会看護科学部の助教授である。・・・英国認知行動療法学会の認定認知行動療法士の資格を持っており、アメリカのアルバート・エリスのもとで、論理情動療法の訓練も受けた。」の記載がある(http://tannoy.sakura.ne.jp/cbt/wcbct2004.html)。 (ケ)「紀伊國屋書店」のウェブサイトにおいて、「Challenge the CBT/認知行動療法セルフカウンセリング・ガイド―いつまでも健康で幸せに生きる!」の見出しの下、「著者等紹介(略)1995年に創立した全米認知行動療法士会(The National Association of Cognitive‐Behavioral Therapists)の代表。「合理生活療法」と呼ばれる技法を開発。合理生活療法研究所の所長でもある。・・・NACBTから認知行動療法のディプロマを与えられていると同時に、・・・認定医療ヒプノセラピストでもある(略)米国コロラド州立大学大学院卒業。カリフォルニア州立ランタマン発達障害センターにてインターン終了。インターン中に全米認知行動療法士会(NACBT)にてトレーニングを開始」の記載がある(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784772414920)。 (コ)「東洋図書株式会社」のウェブサイトにおいて、「認知行動療法に学ぶコーチング」の見出しの下、「■著者紹介:マイケル・ニーナン(Micheal Neenan)・・・イギリス行動認知療法学会(BABCP)認定、認知行動療法士。12冊の著作がある。」の記載がある(http://www.tokyo-tosho.co.jp/books/ISBN978-4-489-02087-2.html)。 (サ)「melcare」のウェブサイトにおいて、「療育手法について」の見出しの下、「◆認知行動療法はうつ病や不安障害をはじめとしたさまざまな障害に有効であることが「科学的実証研究」によって証明されてきています。・・・昨今の英国や米国の医療現場では認知行動療法士の人材不足が懸念されています。/◆日本においても、2010年度より認知行動療法が診療報酬化され、認知行動療法や認知行動カウンセリングに対する多くの関心が寄せられるようになりましたが、ナショナルスタンダードで治療ができる認知行動療法士(CBT)は日本では数少ないといえるでしょう。」の記載がある(https://www.melcare.jp/www-melcare-jp/療育アプローチの種類/)。 (3)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、上記第1のとおり、「認知行動療法士」の文字を標準文字で表してなるものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法で表示されたものである。 そして、その構成中の「認知行動療法」の文字は、上記(2)イのとおり、認知の歪みを修正する心理療法の一つとして、本願の指定役務を提供する業界において広く認識されているものであることに加え、当該文字に「資格又は役割をもった者」の意味を有する「士」の文字を結合した「認知行動療法士」の文字は、上記(2)ウのとおり、「認知行動療法の資格又は役割をもった者」ほどの意味合いを理解させるものであり、また実際にそのような意味合いをもって使用されている実情がある。 そうすると、「認知行動療法士」の文字よりなる本願商標を、その指定役務中、第44類の指定役務に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、「認知行動療法の資格又は役割をもった者」による役務の提供であること、すなわち役務の内容(質)を表すものと認識するにとどまるものというべきである。 また、上記(2)イ及びウの事例に見られるように、認知行動療法は一般の者でも学べるとともに、大学の講座や専門学校でのカリキュラムに見られたり、認知行動療法を学ぶためのウェブサイトなども見られたりすることをも考慮すれば、本願商標を、第41類の指定役務、例えば「心理療法または心理カウンセリングに関する知識の教授,心理療法または心理カウンセリングに関するセミナーの企画・運営又は開催」に使用するときには、「認知行動療法の資格又は役割をもった者」を目指すために学ぶためのもの、又は「認知行動療法の資格又は役割をもった者」による役務の提供であることなど、いずれにしても役務の内容(質)を認識させるものというべきである。 してみれば、本願商標は、役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であるとともに、本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定役務の取引者、需要者によって役務の質を表示したものと一般に認識されるものというべきである。 したがって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 商標法第3条第2項該当性について 請求人は、本願商標は、資格の名称等、請求人及び請求人が代表を務める団体が使用する商標として、指定役務の需要者の間で全国的に認識されているから、商標法第3条第2項の要件を具備する旨主張し、証拠方法として、原審における令和4年2月24日付け手続補足書に添付の甲第1号証ないし甲第124号証及び同年7月21日受付の上申書に添付の甲第125号証ないし甲第129号証(枝番を含む。以下同じ。)を、また、当審における同年11月25日受付の手続補正書に添付の甲第1号証ないし甲第63号証を提出した。そこで、本願商標が同項の要件を具備するに至ったか、以下検討する。 なお、当審における令和4年11月25日受付の手続補正書に添付の甲第1号証ないし甲第63号証の証拠番号は、原審において提出された甲第129号証に続けて、甲第130号証ないし甲第192号証と読み替える。 (1)商標法第3条第2項について 商標法第3条第2項は、同条第1項第3号に該当する商標であっても、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」は、商標登録を受けることができるとする。この趣旨は、当該商標が、本来であれば、自他商品識別力を持たないとされる標章であっても、特定人が当該商標をその業務に係る商品、役務に使用した結果、当該商品等から、商品等の出所と特定の事業者との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至った場合には、登録商標として保護を与えない実質的な理由に乏しいといえること、当該商標の使用によって、商品等の出所であると認識された事業者による独占使用が事実上容認されている以上、他の事業者等に、当該商標を使用する余地を残しておく公益的な要請は喪失したとして差し支えないことにあるものと解される。 商標が商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるかを判断するに当たっては、上記の観点を勘案して、当該商標及び商品、役務の性質・態様、取引の実情等を総合考慮すべきである(平成19年(行ケ)第10050号同年10月31日知的財産高等裁判所判決参照)。 (2)請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 ア 請求人並びに請求人が代表者を務める「一般社団法人日本推進カウンセラー協会」(以下「協会」という。)及び「ハートフルライフカウンセラー学院」(以下「学院」という。)(以下、請求人、協会及び学院を合わせていうときは、「請求人等」という。)は、請求人等が行う資格の認定や講座の実施において、2010年から本願商標を使用し、現在に至るまで使用をしている(甲12~甲17)。「認知行動療法士」の資格取得者は2021年8月までに462名となっている(甲18)。 イ 請求人等は、認知行動療法士の養成講座が記載された案内やウェブサイトのページ(甲31~甲34)、パンフレット(甲35)を作成するとともに、パンフレット(甲35)については、2014年4月から2016年2月まで新宿校の教室及び事務所として使用していたテナントで配布したほか、雑誌「ケイコとマナブ」を通じて資料請求があった場合に送付したとされる。資料請求によって配布したパンフレットの部数は2008年から2022年まで15,020部とされる(甲179の3)。 ウ 請求人等は、学院のホームページや学院のブログで「認知行動療法士」の養成講座等に関する情報を発信した(甲36~甲54、甲180の9)ほか、雑誌の「ケイコとマナブ」や「稼げる資格」、学び・資格情報のウェブサイトである「ケイコとマナブ.net」や「BrushUP学び」、「ケア資格ナビ」に広告を掲載した(甲178、甲180の1~5、甲181の1~2、甲182)。また、「PHPスペシャル5月増刊号」において請求人が紹介され、そのプロフィールの欄に「認知行動療法士」の記載がある(甲184)。 エ 2名の著名人(1名は女優、もう1名は女優であり参議院議員。)が「認知行動療法士」の資格を取得し、講演会やセミナー、選挙活動、SNS、所属事務所のウェブサイト等で同資格に関する情報を発信したり、インターネット記事で取り上げられたりするなどした(甲61~甲129、甲186~甲190)。また、「認知行動療法士」の資格を取得した他の者が自らのウェブサイトで同資格について情報発信を行っている(甲55~甲60)。 オ Wikipediaに掲載されている「日本の心理学に関する資格一覧」のページにおいて、認知行動療法に関する資格としては「認知行動療法士」のみが掲載され(甲24)、認知行動療法の資格を紹介するウェブサイト「心理相談室HappyFeeling」において、他の2団体とともに3つある資格の一つとして紹介された(甲174の2)ほか、資格に関するウェブサイトにおいて「認知行動療法士」が掲載されている(甲25~甲29、甲183の2)。 カ Googleで「認知行動療法」と「スクール」、「資格」、「講座」、「資格」を合わせて検索すると、検索結果の上位に「認知行動療法士」がヒットする(甲170~甲173)。 (3)判断 ア 上記(2)アのとおり、2021年8月までに462名の者が「認知行動療法士」の資格を取得したとされる。ところで、上記1(2)イのとおり、認知行動療法を行う専門家としては、公認心理師や臨床心理士等も挙げられるところ、例えば、臨床心理士は、1988年から現在に至るまで40,749名の資格取得者がおり(http://fjcbcp.or.jp/jigyounaiyou/jigyou-1/)、公認心理師は、2023年12月末日現在の登録者数が71,821名である(https://www.jccpp.or.jp/download/pdf/number_of_registered.pdf)(資料掲載元のウェブサイト:https://www.jccpp.or.jp/toroku.cgi#regist_001_anchor_09)。そうすると、これらの人数と比較しても、上記の「認知行動療法士」の資格取得者数は、決して多いということはできず、当該資格取得者数によって、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 イ 上記(2)イのとおり、請求人等は、第35号証に係るパンフレットを15,000部以上配布したと主張する。 しかしながら、同パンフレットには、9ページの「コース終了後のスキルアップ制度」の見出しの下に「認知行動療法士養成講座」の文字が記載されているものの、その下には、「プロフェッショナルコースを終了された方を対象に、認知行動療法のスキルを更に高める、実践力強化プログラムです。」の記載があり、当該記載は、認知行動療法のスキルを高める旨の講座の内容を説明した記載であると受け止められることから、上記「認知行動療法士養成講座」の文字はこの内容を端的に表したものと認識されるものといえるほか、当該養成講座は、「カウンセラー養成講座(エキスパートコース)」、「カウンセラー養成講座(プロフェッショナルコース)」、「コミュニケーション講座」、「相談者中心療法/認知行動療法 スキルアップ講座」等の講座と並列的に掲載されており、これらの講座の名称と同様に、「認知行動療法士養成講座」の文字は、講座の内容を端的に表示したものと認識させるものであって、これによって「認知行動療法士」の文字部分が殊更注目され、また出所識別標識として認識されるとはいい難いものである。 してみれば、上記(2)イに係るパンフレットによって、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 ウ 上記(2)ウのとおり、請求人等は、学院のホームページや学院のブログでの「認知行動療法士」の養成講座等に関する情報を発信のほか、「ケイコとマナブ」等の雑誌や学び・資格情報のウェブサイトに広告を掲載したものの、上記雑誌や学び・資格情報のウェブサイトには、学院の情報や他の資格に関する記載は見られものの、「認知行動療法士」の記載が見られないものが見られる(甲178、甲180の1~5、甲183の1)ほか、「カウンセラー&メンタルトレーナーになれる」の記載に合わせて「認知行動療法士・・・になれる」の記載(甲180の9)、「心理カウンセラー」の上位資格として紹介されているにすぎないもの(甲181)、「カウンセラー&メンタルトレーナー養成講座や認知行動療法士養成講座があります。」と並列的に紹介されているもの(甲183の2)、また、請求人自身のプロフィールとして、学院長であることと同様に資格の名称が紹介されているにすぎないもの(甲184)など、いずれも出所識別標識として表されているとはいい難く、これらのウェブサイトへの掲載等によって、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 また、学院のブログとして、「認知行動療法士」の記載がある18件の記事が紹介されている(甲37~甲54)ものの、例えば甲第39号証の右側に表示されている、過去の記事をまとめたリンク先表示をみると、2010年1月から2014年12月の記事だけでも約1,000件に上ることからすれば、上記18件の記事は決して多いということはできず、これによって「認知行動療法士」の文字が需要者の記憶、印象に強く残るとはいい難く、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 さらに、「BrushUP学び」のウェブサイトにおける「心理・メンタルの資格・スキル」の見出しのページ(甲182の1)においては、「認知行動療法士」が「各種心理カウンセラー資格」の一つとして、「その他のカウンセラー系資格一覧」に記載されているものの、一見して請求人等の業務に係るものであるか認識することができないものである。 エ 上記(2)エのとおり、2名の著名人が「認知行動療法士」の資格を取得し、講演会や選挙活動等、様々な機会を捉えて情報発信をしていることは確認できる。 しかしながら、例えば、講演会、セミナーについては、いずれも「認知行動療法士」(の資格や活動内容等)とは直接の関連性がみられないテーマによるものであり(甲61~甲102、甲186~甲188)、「認知行動療法士」の文字は、プロフィール欄の複数ある資格の一つとして表示されているのみであり、かつ、「心理カウンセラー」等、他の資格と並列に紹介されて紹介されていることから、「認知行動療法士」の文字が請求人等の出所識別標識として強く記憶、印象に残るものはいえない(甲61~甲102、甲186~甲188。なお、「心理カウンセラー」の文字のみなど「認知行動療法士」の文字が見当たらないもの、極めて不鮮明で確認できないものもある(甲61、甲62、甲69、甲72~甲74、甲81、甲82、甲85、甲86、甲88、甲89、甲92、甲95、甲101)。)。 こうした他の資格(心理カウンセラー、メンタルトレーナー等)と並列的に紹介されている状況は、著名人を取材、特集記事にした新聞記事やインターネット記事、自身のSNS、選挙活動に用いた名刺や広報等においても同様のものが多数みられる(甲103、甲104、甲108~甲116、甲119、甲120、甲123~甲127、甲129、甲189)。 さらに、上記2名の著名人以外の者であって「認知行動療法士」の資格を取得した者によるウェブサイトについても同様の状況が見られる(甲55~甲59)。 こうした状況からすると、これらの情報に接した者が、「認知行動療法士」の文字のみが強い印象をもって印象、記憶に残るとはいい難い上、「認知行動療法士」の文字のみが請求人の提供する役務と結び付けて認識されるものともいい難く、これらの情報によって、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 オ 上記(2)オのとおり、Wikipedia等、資格に関連したウェブサイトにおいて、「認知行動療法士」の文字が掲載されていることは確認できるものの、他の資格も多数あり、当該文字のみが特に目立つものとはいい難い(甲24、甲25、甲27)ことに加え、例えば「心理相談室HappyFeeling」のウェブサイトにおいては、「日本推進カウンセラー協会が発行している「認知行動療法士」は、より一般に開かれた認知行動療法士の資格といえるのではないかと思います。」との記載があり(甲174の2)、特定の事業者のみが取り扱っている資格とは必ずしも認識されていない様子がうかがえるものもあることからすれば、これらの掲載内容によって、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 カ 上記(2)カのとおり、Google検索の結果、「認知行動療法士」に関連したウェブサイトがヒットするとしても、例えば上記ウやオのように、そのウェブサイトの内容によって需要者の印象は異なるといえるものであるから、検索結果の上位にウェブサイトがヒットすることをもって、直ちに本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものと判断することはできない。 キ そのほか、「認知行動療法士」の文字(資格)に着目した新聞記事やインターネット情報が多数あるとする事実、「認知行動療法士」が注目を浴びるような宣伝広告が多数行われたという事実、需要者による本願商標の認知度が高いことを示すアンケート結果等はみられない。 ク 以上アないしキよりすれば、本願商標の構成、使用されたとされる役務の性質・態様、取引の実情等を総合考慮しても、本願商標が使用された結果、役務の出所と請求人との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至ったものということはできないから、本願商標が請求人等によって使用された結果、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至ったと認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 3 商標法第4条第1項第16号該当性について 本願の指定役務は、上記第1のとおり、審判請求と同時に補正がされ、いずれの役務についても「心理療法または心理カウンセリング」に関するものに限定された。 しかしながら、本願商標は、上記1のとおり「認知行動療法の資格又は役割をもった者」ほどの意味合いを認識させるものであるところ、需要者としては認知行動療法に関する役務を期待するというべきであり、「認知行動療法」が上記1のとおり「心理療法の一つ」であるから、「認知行動療法」以外の「心理療法または心理カウンセリング」に使用された場合には、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。 したがって、本願商標は、補正後の指定役務との関係においても、商標法第4条第1項第16号に該当する。 なお、請求人は、審判請求書において、本願商標が依然として商標法第4条第1項第16号に該当すると判断される場合には、指定役務を補正する用意がある旨述べているが、上記1及び2のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとともに、同条第2項の要件を具備しないものであるから、指定役務の補正をしたとしても、これらの拒絶理由が解消しないため、当合議体として、補正は必要ないと判断した。 4 請求人の主張について (1)請求人は、本願商標は「認知行動」と「療法士」の組合せともみてとれる旨主張する。 しかしながら、「認知行動」及び「療法士」は、複数の辞書に採録がなく、請求人が主張する「認知行動」の定義を示したとする事例(甲130の1~7)についても、その定義内容があいまいであったり、内容が異なったりするものであって、一概に意味内容を特定することはできないから、本願商標は、上記1(2)のとおり、「認知行動療法」と「士」の語の組合せたものであって、各語の語義から「認知行動療法の資格又は役割をもった者」ほどの意味合いが自然に理解されるというべきである。 (2)請求人は、「士」の語には、複数の意味があることから、「資格又は役割をもった者」の意味に限定されるべきではない旨主張する。 しかしながら、上記1(2)イ及びウのとおり、「認知行動療法」を行う専門家が存在することや、「弁護士」、理学療法士」、「作業療法士」等の用例に照らせば、「認知行動療法士」の文字は、「認知行動療法の資格又は役割をもった者」ほどの意味合いが容易に理解できるというべきである。 (3)請求人は、「士」の文字を含む商標の登録例を挙げ、本願商標も自他役務の識別力を有するものであって、同様に登録すべき旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、構成態様の異なる登録商標が存在することをもって、本願商標の判断が左右されるべきではない。そして、本願商標を構成する各文字の語義や指定役務の分野における使用状況、各文字の関連性等を総合して検討、判断すれば、本願商標が役務の質を認識させることは上記1のとおりである。 (4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。 5 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-018812

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