商標拒絶査定不服審判
2022-018808
ライムハマチ、ライム
- 審判番号
- 2022-018808
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-010945
- 請求日
- 2022年11月22日
- 審決日
- 2023年09月21日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社九州食品
- 【請求人代理人】松本 秀治
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W29) / T18 .272-Z (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-10945拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年2月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 6月 8日付け:拒絶理由通知
令和4年 7月23日 :意見書の提出
令和4年 8月19日付け:拒絶査定
令和4年11月22日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「LIME HAMACHI」の文字を標準文字で表してなり、第29類「はまち(生きているものを除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「LIME HAMACHI」の文字を標準文字で表してなるところ、この構成中「LIME」の文字は、「ミカン科の常緑低木。果実は直径約3センチメートルの球形で、熟すと黄色だが緑のうちに生食・ジュースに用いる。」を意味する「ライム」を認識させるものであり、「HAMACHI」の文字は、本願の指定商品そのものを表す「はまち」を認識させるものである。
ところで、近時、柑橘類などの果実を餌に混ぜて養殖した魚が取引されており、餌に使用した果物と魚の名称を組み合わせて称されている実情があることからすれば、本願商標は全体として、「ライムを使用した餌で育てたはまち」ほどの意味合いが理解される。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、その商品が「ライムを使用した餌で育てたはまち」であることを認識するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記文字に相応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「LIME HAMACHI」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「LIME」の文字は「ミカン科の常緑低木。果実は直径約3センチメートルの球形で、熟すと黄色だが緑のうちに生食・ジュースに用いる。」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)として、我が国において広く親しまれている「ライム」に通じるものであり、「HAMACHI」の文字は、魚名の一つと理解される「ハマチ」に通じるものである。
そして、原審において示された事実(別掲1)及び当審における職権による調査(別掲2)によれば、養殖魚を取り扱う業界において、[1]2007年に鹿児島県で、魚の生臭さや変色を抑えるために、柚子の果皮や果汁を餌に混ぜて養殖した魚が商品化されたところ、付加価値の高い養殖魚として注目され、その後、当該養殖技術が全国に広がり、柑橘類の果皮や果汁等を餌に混ぜて養殖した魚が、主に西日本で次々と商品化されるようになったこと、[2]柑橘類の果皮や果汁等を餌に混ぜて養殖した魚は「フルーツ魚」と称されるようになり、遅くとも2013年11月以降、各種用語事典等に「フルーツ魚」の定義が掲載され、また同年頃から、マスコミで「フルーツ魚」が取り上げられることが多くなったこと、[3]「フルーツ魚」を紹介する記事においては、その代表的な商品として、柑橘類名に魚名を組み合わせた名称の養殖魚を例示するほか、「柑橘類の名を冠した魚」などと紹介していることが認められる。
以上からすると、柑橘類の一である「ライム」に通じる「LIME」の文字と、魚名の一つである「ハマチ」に通じる「HAMACHI」の文字とを組み合わせた本願商標は、構成文字全体として「ライムを餌に混ぜて養殖したハマチ」の意味合いを容易に理解させるものといえ、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「ライムを餌に混ぜて養殖したハマチ」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
してみれば、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、上記商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その視覚上、全体が一体不可分の構成であるから、本願商標の構成文字を「LIME」と「HAMACHI」に分離してそれぞれの意味を抽出し、全体の意味合いを把握しようとすることは通常許されず、また「LIME HAMACHI」の語句は辞典類、専門用語集等に一切掲載されていないため、本願商標は全体で一つの造語と把握されるべきであって、特定で単一の観念を想起させるものではない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、我が国において広く親しまれている「ライム」に通じる「LIME」の文字と「ハマチ」に通じる「HAMACHI」の文字とを組み合わせた構成からなると容易に理解されるものであり、成語である各文字の意味及び上述の「フルーツ魚」に係る実情からすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、構成文字全体をもって「ライムを餌に混ぜて養殖したハマチ」と認識するにとどまること、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、「LIME」も「HAMACHI」も食用の物質名であるが、それぞれ柑橘類/食用魚介類であり、意味合いとして互いに結び付きがたい単語同士といえるため、なぜ「LIME」という単語が突然に「ライムを使用した餌で育てた」という意味合いのみに断定できるのか理解できない、と述べるとともに、「柑橘類などの果実を餌に混ぜて養殖した魚」を製造できる又は製造しようとする養殖業者は、実は今のところあまり存在せず、実際に、そのような魚が全国的に広く一般的に流通し販売されているという事実は見当たらないため、餌に使用した「果物」の名前と「魚」の名称を組み合わせた商品名の魚として生産・販売される、いわゆる「フルーツ魚」は、未だ全国的に需要者等に広く一般に認知されていない、とした上で、本願商標に触れた一般的な取引者、需要者は、例えば「ライム風味のハマチ」「ほのかにライムの香りが感じられるハマチ」等を想起することも十分考えられ、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標を、商品(ハマチ)の品質として「ライムを使用した餌で育てたハマチ」と直ちに認識するとは言えず、一種の造語として認識するとみるのが自然である旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、各種用語事典等に「フルーツ魚」の定義が掲載されていること、現在においては、柑橘類を餌に混ぜて魚を養殖する技術は全国に広まっており、各地で次々と商品化されていること、これらの養殖魚を称する場合、柑橘類名に魚名を組み合わせた名称を用いる例が相当数に上ること、そして別掲1及び別掲2に示したとおり、これらの実情が複数報道されていることに鑑みれば、本願商標をその指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「ライムを餌に混ぜて養殖したハマチ」であると認識するとみるのが相当である。なお、別掲1及び別掲2によれば、フルーツ魚は、その生産方法や出荷時の形態等により、餌に使用した柑橘類の香りや風味を感じられる商品も存在するため、本願商標に接する取引者、需要者が、請求人の主張する意味合い(「ライム風味のハマチ」「ほのかにライムの香りが感じられるハマチ」)を想起し得る場合もあるとはいえるが、それはあくまでも「ライムを餌に混ぜて養殖したハマチ」から生じる副次的な意味合いにすぎないものである。
ウ 請求人は、餌に使用した果物と魚の名称を組み合わせた商標がやや散見された、として、過去の商標登録例を列挙している。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるところ、本願の指定商品を含む養殖魚を取り扱う業界において、フルーツ魚の先駆けとなる養殖魚が商品化されてから15年以上経過し、柑橘類名に魚名を組み合わせた名称を用いるフルーツ魚が相当数存在する現在においては、柑橘類の一である「ライム」に通じる「LIME」の文字と、魚名の一である「ハマチ」に通じる「HAMACHI」の文字とを組み合わせた本願商標は、フルーツ魚の一である「ライムを餌に混ぜて養殖したハマチ」の意味合いを理解させるにすぎないといわざるを得ない。そして、請求人が挙げる過去の商標登録例は、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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