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商標拒絶査定不服審判

2022-018634

カチオツクルカチオマモル、カチオツクル、カチオマモル

審判番号
2022-018634
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2021-048740
請求日
2022年11月21日
審決日
2024年04月12日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】大成有楽不動産株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 渡邉 潤
分類
T18 .16 -Z (W0936374245)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、特許法第150条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2021-48740拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第36類、第37類、第42類及び第45類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年4月21日に登録出願されたものである。 本願は、令和4年2月8日付けで拒絶理由の通知がされ、同年3月22日付けで意見書が提出されたが、同年8月26日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年11月21日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「価値をつくる。」及び「価値をまもる。」の各文字を、上下2段に横書きしてなるところ、その構成中、「価値」の文字は、「物事の役に立つ性質・程度。」の意味を有する語、「を」の文字は、対象を示す格助詞、「つくる」の文字は、「別の新しいものを生み出す。」の意味を有する語、「まもる」の文字は、「大切にする。世話をする。」の意味を有する語として、それぞれ知られており、本願に係る指定商品又は指定役務を取り扱う業界を含む様々な業界において、「価値をつくる」の文字及び「価値をまもる」に通ずる「価値を守る」の文字等が、宣伝広告又は企業理念等を表すものとして一般的に使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品又は指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、商品・役務の宣伝広告又は企業理念等を表す際に一般的に使用される語句を上下2段に表したものであることを認識するにすぎないから、本願商標は、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを実施した結果、別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し令和5年12月21日付け証拠調べ通知書により、その結果を通知し、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。 第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見 請求人は、前記第3の証拠調べ通知書に対し、令和6年2月14日付けで意見書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べ、参考資料1ないし参考資料8を提出した。 1 「価値をつくる」及び「価値を守る」の文字が、企業のミッシビジョン、経営理念等で一般的に使用され、「価値」に対して、作用や状態の変化を加える等の複数の表現がなされている事実があるとしても、本願商標は、「価値をつくる。」の文字と「価値をまもる。」の文字の結合商標であるところ、その識別力の有無は、当該結合商標の外観、称呼、観念、取引の実情を考慮して結合商標全体として判断される必要があり、構成要素である「価値をつくる」と「価値をまもる」に通じる「価値を守る」が夫々経営理念等で一般的に使用されているからといって、それを以て、商品・役務の宜伝広告又は企業理念等を表す際に一般的に使用されている語句を組み合わせて上下2段に表したものであることを認識させるにすぎないとして識別力を否定するのは妥当ではない。すなわち、以下のとおりである。 (1)本願商標は、同書・同大・等間隔に表された「価値をつくる。」の語旬と「価値をまもる。」の語句を、上下2段に近接して横書きしてなり、上下段の両語旬は、前2文字が漢字の「価値」で、後ろ4文字が平仮名文字であるとともに語尾を「る。」としているため、両語旬に文字構成上の類似性があり、そして、これら両語旬を横並びではなく、上下2段に表すことにより、上下段の語旬幅が同一で、かつ、上下段の語句が視覚的に調和し、上下段の語句全体に視覚的に強い一体感を与えている。 (2)また、構成全体から生じる「カチオツクルカチオマモル」の称呼も語呂良く一連に称呼し得るものであり、さらに、観念的にも、「価値を創り、その価値を守る」という意味合いを暗示させる点、上下段の語句は観念的な繋がりを有する。 (3)さらに、本願商標は、本願に係る指定商品・役務の宣伝広告とはいえず、企業理念や経営方針等を表したものともいい難い。 (4)加えて、証拠調べ通知書及び原審で提示された計22件の「価値を~」の用例の証拠(ウェブサイト)には、2種類の「価値を~」の語句を上下2段に近接して表した用例は全く見当たらない。 2 以上より、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標を商品・役務の宣伝広告又は企業理念等を表す際に一般的に使用される語句を組み合わせて上下2段に表したにすぎないものと認識するとみるのは不自然であり、むしろ、本願商標を上下段の語旬全体が一体不可分の出願人固有の一種の造語よりなる商標と認識するとみるのが自然である。 3 証拠調べ通知書及び原審で提示された計22件の証拠(ウェブサイト)のうち、本願商標に類似する事例は、遠州信用金庫のウェブサイトであるところ、かかる1件の使用例で、本願商標を、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標とはいえるものではない。 このことは、2件の異議決定と1件の無効審判の審決からも明らかである(参考資料6~参考資料8)。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第6号について 商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は自他役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品又は自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10323号 同25年1月10日判決参照)。 2 本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について (1)本願商標を構成する文字及びその使用例について 本願商標は、別掲1のとおり、「価値をつくる。」の文字と「価値をまもる。」の文字を、明朝体風の一般に用いられる書体で2段に横書きしてなるところ、構成中の「つくる」は、「作る」又は「創る」の語に、「まもる」は「守る」の語に、それぞれ通じるものである。 そして、インターネット情報によれば、企業等のウェブサイトの企業理念、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、トップページ上部や会社情報のページ等において、「価値を作る」や「価値を守る」の文字のほか、「価値」に関連した同種のフレーズが採択、使用されている事例を、別掲3及び別掲4(原審で示した事実)のとおり確認することができる。 そして、これらの使用事例において、「価値」の文字は、例えば、「お客さまのニーズを先回りし」(別掲3(3))、「お客様に喜びを」(同(4))、「社会に幸せとなる」(同(4))、「世の中に貢献できること」(同(5))、「服づくりでお客様に愛され、喜ばれているか」(同(5))、「アスリートの価値の向上と社会への恩返し」、(同(6))「「個人」「社会」「環境」それぞれの実現したい姿」(同(7))等の文句とともに用いられるように、顧客や社会等にとっての価値あるものを指しており、企業等の事業者側は、こうした価値あるものを作り出し、提供し、又は守ることを、企業の強み、優位性、特性等として紹介するとともに、顧客等に対する約束事や宣言、メッセージなどのように発信するにあたり、端的に表現した「価値を作る」や「価値を守る」といった文字を使用している様子がうかがえる。 また、「価値」を「つくる(作る、創る)」や「まもる(守る)」のみならず、「生み出す」、「創造する」、「創出」、「提供」、「向上」、「共感」、「見える化」等、「価値」に対する作用や状態への変化を加える等の多様な表現が用いられるほか、例えば「価値をつくる。・・・価値を届ける」(別掲3(2))、「価値を見つけ、縫製で形にしていく」(同(5))、「価値と価値をつなぎ、新しい価値をつくる。・・・価値の向上と・・・新しい価値の創造」(同(6))、「価値を生み出す・・・価値を引き出す・・・価値を共感できる・・・価値をつくる」(同(8))、「価値を守ること、生み出すこと」(同(10))、「価値を守る・・・資産価値を向上させ」(同(13))、「価値を守る、高める。」(同(14))、「価値をつくり、価値を守る。」(別掲4(4))、価値を磨く 価値を見つける 価値を創る 価値を伝える 価値を守る」(同(5))など、複数の表現が同時に用いられるものもあることを考慮すれば、本願商標を構成する「価値をつくる。」及び「価値をまもる。」の文字は、いずれも、顧客等にとっての価値あるものを作る(創る)ことができる又は守ることができるという企業の強み、優位性、特性等を表した、企業理念、経営方針等の一類型と認識されるとみるのが相当である。 (2)判断 上記(1)のとおり、本願商標構成中の「価値をつくる。」の文字及び「価値をまもる。」の文字は、いずれも企業等の事業者の企業理念やMVVの一環等として採択、使用されるものであり、かつ、企業の強み、優位性、特性等を表した企業理念、経営方針等の一類型と認識されるにすぎないものである。 そして、本願商標は、一般に用いられる書体で表された両文字を、同じ大きさ、等間隔で横書きして上下2段に配置されたものであって、構成上特別な書体や装飾、配置方法などのデザイン化がなされたものとはいえない。 そうすると、「価値をつくる。」の文字及び「価値をまもる。」の文字を単純に2段で表してなるにすぎない本願商標を、その指定商品及び指定役務に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、顧客等にとっての価値あるものを作り(創り)、守ることができるという企業理念、経営方針等を、単に2段書きで表したものと認識するにとどまるというべきであるから、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品又は自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 請求人の主張について (1)請求人は、本願商標は、上下の文字の種類や文字数などの特徴により、外観、称呼及び観念において一体的に表されていることから、本願商標を商品及び役務の宣伝広告又は企業理念等を表す際に一般的に使用される語句を組み合わせて上下2段に表したにすぎないものと認識するとみるのは不自然であり、むしろ、本願商標を上下段の語旬全体が一体不可分の出願人固有の一種の造語よりなる商標と認識する旨主張する(上記第4 1及び2)。 しかしながら、上記2(1)のとおり、顧客等にとっての「価値」に関連した企業の強みや優位性等を表す複数の表現が同時に使用されている事例は多く見られるものの、これらが自他商品又は自他役務の識別標識として機能し、又は需要者に認識されているとみることはできず、また、こうした複数の表現が、横一列に表現されているか、上下2段で表されているかによって、与えられる印象に格別の差異が生じるとみるべき事情も見当たらない。 また、本願商標が、2つの文字を単純に2段で表してなるにすぎないものであって、構成上顕著な特徴が見られるものでないことは、上記2(2)のとおりであるから、請求人が主張するように本願商標の構成について一定程度の工夫がなされているとしても、それによって、本願商標が一体不可分の造語であるとみることはできないし、自他商品又は自他役務の出所識別標識として機能し、認識されるとみることもできない。 (2)請求人は、2件の異議決定と1件の無効審判の審決を引用しつつ、わずか1件の使用事例によって、本願商標が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものというべきではない旨主張する(上記第4 3)。 しかしながら、本件においては、上記2(1)のとおり、「価値」を「つくる(作る、創る)」や「まもる(守る)」の文字の使用事例や同種の使用事例が多くみられることを考慮して、本願商標が企業理念、経営方針等の一類型と認識されると判断したものであり、1件の使用事例のみを根拠として判断したものではなく、また、請求人主張の異議決定や審決に係る商標と本願商標とは、商標の構成が異なるものであるから、かかる請求人の主張によって上記判断が左右されるものではない。 (3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 4 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-018634

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