2022-018617
衝突冷却のための装置および方法
- 審判番号
- 2022-018617
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-527356外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月18日
- 審決日
- 2023年10月26日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ドミニオン エスセティック テクノロジーズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】清原 義博
- 【請求人代理人】弁理士法人清原国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)11月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年11月22日(US)アメリカ合衆国、2016年11月22日(US)アメリカ合衆国、2016年11月22日(US)アメリカ合衆国、2017年11月22日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本件発明
令和4年11月18日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)により、補正前の請求項1-28から、請求項3、5、20、21、24-28が削除された。そして、補正前の請求項22は、本件補正により請求項18に繰り上げられた。
そして、本件補正後の特許請求の範囲の請求項18に記載された発明(以下「本件発明」という。)は、請求項18に記載された以下のとおりのものである。
「衝突冷却装置であって、該衝突冷却装置は、処置領域に隣接して処置領域に向けられる窓を有するハウジングであって、処置中に処置領域から空間的に離れた位置にあるように設計される、ハウジングと、ハウジングに結合される電磁放射(EMR)ソースと、ソースからのEMRが処置領域まで通って向けられることができる際に通る、ハウジングの窓上の光学的に透明な領域と、窓の開口部であって、EMRとの干渉を回避しながら、EMRによって照射される処置領域上に衝突するように、流体流が処置領域に向けられる際に通る、窓の開口部と、を含む、衝突冷却装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本件補正前の請求項22(本件補正後の請求項18)に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(以下は、当審が作成した日本語訳であり、下線は当審が付した。)。
ア「Referring to Fig. 9, system 23 includes a handpiece 27 for delivering both the cooling medium and laser beam. The hand-piece 27 may be coupled with laser system 26 (Fig. 8), directly or indirectly through light- delivery system 28 for delivery of laser beam 60 to the target region of skin 30. The hand piece may also be coupled to one or more cooling-delivery tubes 25a for delivering spray stream 29 of a cold medium to the same target region of skin. The handpiece may also be used with more sophisticated systems and may be varied if needed to add other functions.」(30ページ15行~同ページ25行)
(図9を参照すると、システム23は、冷却媒体及びレーザビームの両方を送達するためのハンドピース27を含む。ハンドピース27は、レーザビーム60の皮膚の標的領域30への送達のための光送達システム28を直接的又は間接的に介して、レーザシステム26(図8)と連結される。ハンドピースはまた、同じ皮膚の標的領域に冷たい媒体のスプレー流29を送達するための1以上の冷却送達管25aに連結されることができる。ハンドピースはまた、より洗練されたシステムと共に使用されてもよく、他の機能を追加するために必要に応じて変化させることができる。)
イ「The handpiece includes an optical portion 31, a cooling portion 33 that includes coupling piece 37. Optical portion 31 includes one or more well-known laser- matched optical lens (not shown) in an optical cavity (also not shown) for delivering laser beam 60 to the target skin region 30. The optical portion is provided with a tubular coupling piece 34 which fits into bore 36 of cooling portion 33, which includes one or more nozzles 33 for passing cooling spray 29 from tubes 25a to the target skin region 30. The hand-piece 27 should be spaced a predetermined distance d from the skin. Preferably this distance should not exceed 85 millimeters.」(30ページ26行~31ページ3行)
(ハンドピースは、光学部分31と、連結部材37を含む冷却部分33と、を含む。光学部分31は、レーザビーム60を標的皮膚領域30に送達するための光キャビティ(図示せず)内に1つ以上の周知のレーザ整合光学レンズ(同じく図示せず)を含む。光学部分は、冷却部分33のボア36に嵌合する管状連結部材34に受け入れられ、この管状連結部材は、管25aから標的皮膚領域30に冷却スプレー29を通すための1以上のノズル33を含む。ハンドピース27は、皮膚から所定の距離dだけ間隔を空ける必要がある。好ましくは、この距離は85ミリメートルを超えないようにする。)
ウ「図9
[図:0001408543000001.jpg]
」
エ 図9に、連結部材37が、標的皮膚領域30に隣接して標的皮膚領域30に向けられていること、及び、標的皮膚領域30から距離dだけ離れた位置にあることが図示されている。
オ 図9に、ノズル33を、レーザビーム60を送達する軸線からオフセットした位置に配置することにより、レーザビーム60とスプレー流29の連結部材37からの放出位置を異ならせ、干渉を回避するとともに、標的皮膚領域30のレーザビーム60が送達される位置にスプレー流29を送達することが図示されている。
2 引用文献1に記載の技術的事項
ア 上記1のイに、冷却部分33に連結部材37が含まれることが記載され、さらに、ハンドピース27は、皮膚から所定の距離dだけ間隔を空ける必要があることが記載されており、これらが処置中の状況を意味することは明らかである。そして、上記1のエを踏まえると、引用文献1には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「標的皮膚領域30に隣接して標的皮膚領域30に向けられる連結部材37を有する冷却部分33であって、処置中に標的皮膚領域30から距離dだけ間隔を空けるようにされている冷却部分33」
イ 上記1のアの「ハンドピース27は、レーザビーム60の皮膚の標的領域30への送達」をするという記載、及び、「同じ皮膚の標的領域に冷たい媒体のスプレー流29を送達するための1以上の冷却送達管25a」を設けるという記載、並びに、上記1のエ、オから、引用文献1には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「連結部材37のノズル33であって、レーザ60との干渉を回避しながら、レーザ60によって照射される標的皮膚領域30上に送達するように、スプレー流29が標的皮膚領域30に向けられる際に通る、連結部材37のノズル33」
3 引用発明
上記1、2から、引用文献1には、次の発明(「以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「冷却媒体及びレーザビームの両方を送達するためのハンドピース27であって、標的皮膚領域30に隣接して標的皮膚領域30に向けられる連結部材37を有する冷却部分33であって、処置中に標的皮膚領域30から距離dだけ間隔を空けるようにされている冷却部分33を有し、ハンドピースは、光学部分31を含み、光学部分31は、冷却部分33のボア36に嵌合する管状連結部材34に受け入れられ、光学部分31は、レーザビーム60を標的皮膚領域30に送達し、連結部材37のノズル33であって、レーザビーム60との干渉を回避しながら、レーザビーム60によって照射される標的皮膚領域30上に送達するように、スプレー流29が標的皮膚領域30に向けられる際に通る、連結部材37のノズル33を有する、ハンピース27。」
第5 本件発明と引用発明との対比
引用発明の「ハンドピース27」は、スプレー流29とレーザビーム60は標的皮膚領域30に送達されるものであって、図9のスプレー流29とレーザビーム60が標的皮膚領域30で重なっている記載を参照すると、両者は衝突すると表現できるから、本件発明の「衝突冷却装置」に相当する。
引用発明の「標的皮膚領域30」は、その機能・作用から本件発明の「処置領域」に相当する。また、引用発明の「連結部材37」は、標的皮膚領域30に隣接して標的皮膚領域30に向けられるとともに冷却部分33に設けられるものである。さらに、「冷却部分33」がハウジングにより形成されていることは明らかである。したがって、本件発明の「ハウジング」と引用発明の「冷却部分33」は、「処置領域に隣接して処置領域に向けられる部材を有するハウジングであって、処置中に処置領域から空間的に離れた位置にあるように設計される、ハウジング」である限度において一致する。
引用発明の「光学部分31」は、「レーザビーム60を」「送達し」、「冷却部分33のボア36に嵌合する管状連結部材34に受け入れられ」るものであるから、本件発明の「ハウジングに結合される電磁放射(EMR)ソース」に相当する。
引用発明の連結部材37は、光学部分31からのレーザビーム60が連結部材37を通過し標的皮膚領域30に送達されるものであり、レーザビーム60が「光学的に通過できる領域」を有することは明らかである。したがって、本願発明の「光学的に透明な領域」と引用発明の「光学的に通過できる領域」は、「ソースからのEMRが処置領域まで通って向けられることができる際に通る、ハウジングの処置領域に向けられる部材上の光学的に通過できる領域」である限度で一致する。
引用発明の「ノズル33」は、「レーザビーム60との干渉を回避しながら、レーザビーム60によって照射される標的皮膚領域30上に送達するように、スプレー流29が標的皮膚領域30に向けられる際に通る」ものであり、連結部材37に設けられものである。したがって、本願発明の「窓の開口部」と引用発明の「連結部材37のノズル33」は、「EMRとの干渉を回避しながら、EMRによって照射される処置領域上に衝突するように、流体流が処置領域に向けられる際に通る、処置領域に向けられる部材に設けられた開口部」である限度で一致する。
以上のことから、本件発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「衝突冷却装置であって、該衝突冷却装置は、処置領域に隣接して処置領域に向けられる部材を有するハウジングであって、処置中に処置領域から空間的に離れた位置にあるように設計される、ハウジングと、ハウジングに結合される電磁放射(EMR)ソースと、ソースからのEMRが処置領域まで通って向けられることができる際に通る、ハウジングの処置領域に向けられる部材上の光学的に通過できる領域と、処置領域に向けられる部材の開口部であって、EMRとの干渉を回避しながら、EMRによって照射される処置領域上に衝突するように、流体流が処置領域に向けられる際に通る、処置領域に向けられる部材の開口部と、を含む、衝突冷却装置。」
【相違点】
「処置領域に向けられる部材」について、本件発明は「処置領域に向けられる窓」であって、当該「窓」上に「光学的に透明な領域」を含むのに対し、引用発明では「連結部材37」であって、当該「連結部材37」は、「光学的に通過できる領域」を含む点。
第6 判断
1 相違点について
まず、本願発明の「窓」に関して、引用発明の「連結部材37」について検討すると、当該「連結部材37」は、光学的に透明な領域を含むものであるから、EMRが通る「窓」と表現できるものである。なお、引用発明の「連結部材37」の光学的に透明な領域以外の部分について、光学的な性質は明らかでないが、本願発明の「窓」は本願の発明の詳細な説明の「表面(103)」に相当することを踏まえれば、本願発明の窓のEMRが伝導しない部分は、透明な材料を必要としないものであることが理解できる。そうすると、本願発明の「窓」は、EMRが伝導しない透明でない部分も含むと理解される。
そして、引用発明の連結部材37は標的皮膚領域30にレーザビーム60を通し得る領域を有するものである。さらに、レーザビーム60を透過させるために、透明な材料を選択したり、開口を設けるなどして、光学的に透明な領域を構成することは、例を挙げるまでもなく周知技術である。
そうしてみると、引用発明の連結部材37のレーザビーム60が通し得る領域を、光学的に透明な領域として構成することは、当業者であれば周知技術に基いて容易に想到し得たものである。
また、窓上に光学的に透明な領域を設けることによる効果も、上記周知技術を適用したことによりもたらされる以上のものがあるとは認められない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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