審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-018574

ポリカーボネート樹脂フィルムおよびその製造方法

審判番号
2022-018574
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-226539外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月18日
審決日
2024年01月05日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B29C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-226539「ポリカーボネート樹脂フィルムおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月11日出願公開、特開2020- 89981〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本件査定不服審判事件に係る出願(以下「本件出願」という。)は、平成30年12月3日の出願であって、令和4年6月29日付けで拒絶理由が通知され、同年8月5日に手続補正書及び意見書が提出されたが、同年9月6日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされた。

本件査定不服審判事件は、「原査定を取り消す、本願は特許をすべきものであるとの御審決を求める。」との趣旨で、同年11月18日に請求されたものである。

2 本件出願の請求項1に係る発明について

本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、令和4年8月5日に提出された手続補正書による補正後の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、当該請求項1の記載は、次のとおりである。

「下記式(A)で表される繰り返し単位(A)を、全繰り返し単位を基準として30モル%以上含有するポリカーボネート樹脂から形成されるフィルムであって、下記式(1)および(2)を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂フィルム。
【化1】
[図:0001407339000001.jpg]
1m2あたりの欠点サイズ0.1mm2以上の欠点数≦20個 (1)
ヘイズ≦5% (2)」

4 原査定の拒絶の理由の概要

本件発明に対する原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。

本件発明は、引用文献1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

前記本件発明に対する原査定の拒絶の理由で引用された引用例及び周知例は、次のとおりである。

引用文献1:国際公開第2016/171194号
引用文献3:特開2008-274203号公報(周知事項を示す文献)

5 引用例及び周知例

(1)引用文献1

ア 引用文献1の記載

引用文献1は、本件出願の出願前である2016年(平成28年)10月27日に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであって、当該引用文献1には、次の記載がある。(下線は、後述する引用発明の認定に特に関係する箇所を示す。)

(ア) 「技術分野
[0001] 本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物からなるポリカーボネート樹脂フィルム、これを用いた偏光子保護フィルム、及びポリカーボネート樹脂組成物に関する。
背景技術
[0002] 従来、ポリカーボネート樹脂を得る方法としては、バイオマス資源から得られるジヒドロキシ化合物であるイソソルビド(以下、ISBと略記することがある)をモノマー成分とし、炭酸ジエステルとのエステル交換により、副生するモノヒドロキシ化合物を減圧下で留去しながら、ポリカーボネート樹脂を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。また、ISBから得られるポリカーボネート樹脂は、耐熱性を活かした成形材料としての利用の他にも、優れた光学特性を活かし、光学フィルムへの利用も検討されている(例えば、特許文献5参照)。
続きを表示(全19行)
[0003] 一般的な偏光子保護フィルムは偏光子を紫外線から守るため、紫外線吸収剤が添加されている。しかしながら、紫外線吸収剤の量が多く必要であり、ブリードアウト等の問題があった。それらを解消すべく、樹脂との相溶性が高い紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を持つポリマーを添加させる方法が知られている(例えば、特許文献6参照)。
・・・(中略)・・・
[0005] また、一般的な偏光板を用いたディスプレイの場合、偏光板越しの光は直線偏光のため、偏光サングラス越しにディスプレイを見ると角度によりブラックアウトすることがある。これを解消するために、偏光子保護フィルムの表層を位相差フィルムにする場合がある(例えば、特許文献8参照)。これらの位相差フィルムにおいても、偏光子を紫外線から守るために、紫外線吸収剤を含有する。
・・・(中略)・・・
発明が解決しようとする課題
[0008] しかし、ISBから得られるポリカーボネート樹脂は、紫外線吸収がほとんどないため、偏光子保護フィルムに用いるには大量の紫外線吸収剤の含有が必要である。その一方で、ポリカーボネート樹脂が大量の紫外線吸収剤を含有すると、フィルムの耐熱性の低下、ブリードアウトした物質によるフィルムの濁り、ロール汚れ等に起因するフィルムの異物、ギアマークなどのフィルムの外観不良、フィルム厚みの均一性の低下等の問題がある。また、特定の化合物によりロール汚染等が発生する場合がある。
[0009] そこで本発明の目的は、これらの課題を解消し、特定のポリカーボネート樹脂を用い、特定の紫外線吸収剤を含有させることにより、フィルムの耐熱性の低下、ブリードアウトした物質によるフィルムの濁り、ロール汚れに起因するフィルムの異物、ギアマークなどのフィルムの外観不良等の問題が無く、均一なフィルム厚みを有しながら、しかも特定の紫外線を吸収するポリカーボネート樹脂フィルムを提供することにある。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を用い、特定の紫外線吸収剤を添加することにより、フィルムの耐熱性の低下、ブリードアウトした物質によるフィルムの濁り、ロール汚れに起因するフィルムの異物、ギアマークなどのフィルムの外観不良等の問題の無い特定の紫外線を吸収する高品質のフィルムを提供することを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、下記[1]~[6]に存する。
[0011][1]下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂100重量部と、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、融点が135℃以上300℃未満かつ5%重量減少温度が240℃より高い紫外線吸収剤を、0.45重量部を超え7重量部以下含有する、ポリカーボネート樹脂組成物からなるポリカーボネート樹脂フィルムであって、波長380nmの光線透過率が0.001%以上15%以下であり、かつ厚みが5μm~120μmであるポリカーボネート樹脂フィルム。
[0012][化1]
[図:0001407339000002.jpg]
・・・(中略)・・・
発明の効果
[0018] 本発明によれば、大量の紫外線吸収剤を含有しながらも、フィルムを製膜する際にフィルムの耐熱性の低下、ブリードアウトした物質によるフィルムの濁り、ロール汚れに起因するフィルムの異物、ギアマークなどのフィルムの外観不良等の問題が発生することがなく、偏光子保護フィルムとして高い性能を示す光学フィルムを提供することが出来る。さらに、ロール汚れを発生させることが無いため、成形においての外観不良品を大幅に削減できることから生産性や作業性、ならびに製品の品質を向上させることが可能になる。」
(イ) 「発明を実施するための形態
・・・(中略)・・・
[0021] [ポリカーボネート樹脂]
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含む。
続きを表示(全21行)
[0022][化5]
[図:0001407339000003.jpg]
[0023] (ポリカーボネート樹脂の末端基構造)
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと触媒とを溶融下に重縮合させることにより製造できる。炭酸ジエステルとしては、後述するものを使用することができる。中でも、ジフェニルカーボネートを使用することが好ましい。
[0024] この場合、製造されるポリカーボネート樹脂の、下記構造式(2)で表される末端基(以下、「フェニル基末端」と記すことがある。)の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が、75%以上98%未満の範囲であることが好ましい。
[0025][化6]
[図:0001407339000004.jpg]
・・・(中略)・・・
[0027] フェニル基末端の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が、75%より少ないと、射出成形の際に成形品にシルバーと呼ばれる外観不良、押出成形での気泡が発生しやすくなる。また、フェニル基末端の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が98%より多いと、射出成形や押出成形での外観不良は減る傾向にある。また、(A/B)が98%より多いポリカーボネート樹脂を得ようとすると、重合条件を過酷にしたり、長時間の反応が必要となったり結果的に、ポリカーボネート樹脂の劣化に繋がり、色調が悪いものしか得られない可能性が非常に高い。
・・・(中略)・・・
[0030] (式(3)で表される化合物の含有量と含有量制御方法)
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、下記式(3)で表される特殊なオリゴマー成分を特定量含有するものがより好ましい。
[0031][化7]
[図:0001407339000005.jpg]
[0032] 上記化合物は、その量が少なすぎる場合は、ポリカーボネート樹脂の製造段階において、過剰な熱がかかったり、反応滞留時間が長くなったりする場合があり、ポリマーの色調悪化を引き起こす可能性がある。また、多すぎると成形時において装置の汚染の問題が生じたり、成形品の外観不良を発生させたりする問題がある。そのため、本発明におけるポリカーボネート樹脂中の式(3)で表される化合物の含有量は、好ましくは10重量ppm以上1200重量ppm以下である。
・・・(中略)・・・
[0034] 式(3)で表される化合物の含有量を調整するためには、ポリカーボネート樹脂製造中に、フェニル基末端の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)を98%以下にすることが好ましい。」
(ウ) 「[0040] [ポリカーボネート樹脂の製造方法]
以下、本発明におけるポリカーボネート樹脂を製造する方法について詳述する。
<原料>
(ジヒドロキシ化合物)
続きを表示(全34行)
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
[0041][化8]
[図:0001407339000006.jpg]
[0042] 本発明において、ポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に加え、必要に応じて、下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物および下記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれる一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが、好ましい。
[0043][化9]
[図:0001407339000007.jpg]
[0044] HO-R5-OH (5)
(上記式(5)中、R5は炭素数4~20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を示す。)
HO-CH2-R6-CH2-OH (6)
(上記式(6)中、R6は炭素数4~20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を示す。)
H-(O-R7)p-OH (7)
(上記式(7)中、R7は炭素数2~10の置換若しくは無置換のアルキレン基を示し、pは2~100の整数である。)
HO-R8-OH (8)
(上記式(8)中、R8は炭素数2~20の置換若しくは無置換のアルキレン基を示す。)
なお、以下において、各種の基の炭素数は、当該基が置換基を有する場合、その置換基の炭素数も含めた合計の炭素数を意味する。
・・・(中略)・・・
[0077] また、ポリカーボネート樹脂が、上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、上記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物、上記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、上記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物及び上記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含有する場合、その含有割合は、ポリカーボネート樹脂に含まれるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計に対して、好ましくは0.1重量%以上20重量%未満、より好ましくは0.1重量%以上18重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上15重量%以下が適当である。
[0078] 上記式(4)から(8)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を、ポリカーボネート樹脂中に上記下限値以上含むことにより、該ポリカーボネート樹脂を溶融し成形する際に、熱による異物や気泡の発生を防止したり、ポリカーボネート樹脂の着色を防止したりすることができる。ただし、該構造単位が過度に多いと、成形品にした際に耐光性が低下する傾向がある。
・・・(中略)・・・
[0086] (炭酸ジエステル)
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、上述した特定のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(10)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[0087][化11]
[図:0001407339000008.jpg]
・・・(中略)・・・
[0106] <ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られる。
・・・(中略)・・・
[0110] 本発明におけるポリカーボネート樹脂を得るためには、反応に用いる特定ジヒドロキシ化合物を含む全ジヒドロキシ化合物に対して、炭酸ジエステルを0.94~1.04のモル比率で用いることが好ましく、より好ましくは0.98~1.02、さらに好ましくは1.00~1.01のモル比率である。このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端フェニル基が減少して、成形の際の外観不良が発生しやすくなる。
[0111] また、このモル比率が大きくなると、エステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となったりする場合がある。エステル交換反応速度の低下は、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐候性を悪化させる可能性がある。
[0112] さらには、特定ジヒドロキシ化合物を含む全ジヒドロキシ化合物に対して、炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量や上記式(3)で表される化合物が増加し、成形時の汚れや臭気、外観不良の問題を招く場合がある。」
(エ) 「[0134] [ポリカーボネート樹脂の添加剤]
・・・(中略)・・・
[0158] <紫外線吸収剤>
本発明に用いる紫外線吸収剤は、本発明の特定する物性を有し、紫外線波長領域の光を吸収するものであれば、限定されるものではない。
続きを表示(全12行)
本発明に用いる紫外線吸収剤の融点は、135℃以上である。また、140℃以上がより好ましく、145℃以上がさらに好ましい。
また、本発明に用いる紫外線吸収剤の融点は、300℃未満である。また、290℃以下がより好ましく、280℃以下がさらに好ましい。
[0159] 融点がこの範囲内であることにより、押出製膜の際にロール汚染や、Tダイへの付着物を低減させることができ、フィルムの外観が良好になる。同時に、紫外線吸収剤を押出機混練で混練させた際に、紫外線吸収剤の粒子が完全に溶融し、均一分散するために紫外線吸収剤の粒子に由来するフィルム外観不良を防止することができる。
[0160] 本発明に用いる紫外線吸収剤の5%重量減少温度は、240℃より高い。また、245℃より高いことが好ましく、250℃より高いことがより好ましい。この範囲内であることにより、溶融混練の際に、紫外線吸収剤が分解することを防ぐことができる。これにより、紫外線吸収剤の能力を十分発揮することが出来るだけでなく、分解物が押出のベントに蓄積して連続運転を妨げたり、Tダイ、ロール等に分解物が蓄積してフィルムの外観を損なったりすることを防止できる。
[0161] 本発明において、紫外線吸収剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.45重量部を超えて含有する。また、0.47重量部を超えて含有することが好ましく、0.5重量部を超えて含有することがさらに好ましい。
この範囲内であることにより、紫外線領域で目的の透過率を維持でき、所望の効果を得ることができる。
・・・(中略)・・・
[0165] 好ましい紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、キノリノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ベンゾオキサゾール系などが挙げられる。」
(オ) 「[0183] [ポリカーボネート樹脂押出成形品の製造方法]
<製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂フィルムは、本発明に用いるポリカーボネート樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じてその他の添加剤を含有する樹脂組成物を、常法に従って成形して得られるフィルムである。該ポリカーボネート樹脂フィルムの製造法は、好ましくはTダイ成形法やインフレーション成形法等の溶融押出成形法であり、特に好ましくはTダイ成形法である。
[0184] 本発明のポリカーボネート樹脂フィルムは、画像表示装置の前面または背面にある場合に、表示される画像が欠陥や歪み等で損なわれて視認されてはいけない。このため溶融押出成形法によってフィルム化するにあたり、ゲル、気泡、焼け等の樹脂由来の異物欠点が極めて少なく、また幅方向に均一な厚さであって局所的な位相差等の光学歪が無いことが求められる。
続きを表示(全19行)
[0185] 溶融押出成形する際の樹脂温度は、通常150~265℃、好ましくは200℃~260℃、特に好ましくは210℃~250℃の範囲である。前記温度より低い場合、溶融粘度が高すぎて押出負荷が高くなる傾向がある。一方前記温度より高い場合、樹脂組成物中の少なくともポリカーボネート樹脂が熱分解し始め、着色や粘度低下などの劣化現象が生じる。
[0186] 成形に適切な溶融粘度になるよう樹脂温度を制御したうえで、原料フィーダーの吐出量、押出機のスクリュー回転数、ギアポンプの送液量等を相互にフィードバック制御させて樹脂押出を整流化させることで、フィルムの厚み精度を高めることができる。好ましい幅方向の厚み精度は用途ごとの要求物性によって異なるが、通常±10%以内、好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。
・・・(中略)・・・
[0188] 冷却ロール温度は、ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg-100℃~Tg+50℃とするのが好ましく、より好ましくはTg-80℃~Tg+40℃、特に好ましくはTg-60℃~Tg+30℃である。より具体的には、冷却ロール温度は20~170℃が好ましく、より好ましくは40~160℃、特に好ましくは60~150℃である。
[0189] 冷却ロール温度が前記温度より低い場合、フィルム表面にギアマークが生じたり、局所的な光学歪ムラが著しくなったりする。一方前記温度より高い場合、押し出されたフィルムが冷却ロールから剥離しにくくなり、剥離マークが生じたり、ロールが汚染されたりする傾向がある。
[0190] また、本発明におけるポリカーボネート樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよく、少なくとも一方向に延伸することにより位相差フィルムとすることができる。・・・(中略)・・・
[0196] 本発明のフィルムの厚みの上限は、120μm以下である。50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。フィルムの厚みの上限がこの範囲内であることにより、同じ面積のフィルムを製造するのにより少ない製膜材料でできるため効率的である。さらには、当該フィルムを使用する製品の厚みを薄く維持できると共に、均一性の制御が可能となり、精密性・薄型・均質性を求められる機器に有用である。
[0197] 一方、本発明のフィルムの厚みの下限は、5μm以上である。好ましくは10μm以上である。フィルムの厚みが過度に薄いとフィルムの取り扱いが極めて困難になり、製造中にしわが発生したり、保護フィルムなどの他のフィルムやシートなどと貼合わせることが困難になったりすることがある。本発明のフィルムの厚みの下限がこの範囲内であることにより、そのような問題を解決できる。
[0198] 本発明のフィルムは偏光子保護フィルムとして用いることができ、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよく、接着する前に表面処理としてコロナ放電処理、紫外線照射処理などを施したものであってもよい。
[0199] 本発明のフィルムは波長380nmの光線透過率の下限は0.001%以上である。0.005%以上が好ましく、0.008%以上がより好ましく、0.01%以上がさらに好ましい。透過率が低すぎると必然的に紫外線吸収剤の含有量が多くなり、フィルムの外観不良等が発生する可能性がある。
[0200] また、本発明のフィルムは波長380nmの光線透過率の上限は15%以下である。8%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましい。透過率が高すぎると、偏光子保護フィルムに用いた場合に、偏光子が紫外線によって劣化する恐れがある。
・・・(中略)・・・
[0203]<フィルムの異物>
フィルムの異物の発生はフィルムの品質を損ねるだけでなく、フィルムの生産性の観点からも好ましくない。フィルムの異物を低減するには、既述の通り、樹脂組成物中の特定の化合物の含有量を低減させること、溶融混練時の未融解物の発生やフィルム製膜時のブリードアウトに起因する製膜ロール汚れの発生を防ぐことが特に効果的である。
[0204] フィルム中の異物については、後述の方法で評価するが、15個/m2以下が好ましく、10個/m2以下がより好ましく、5個/m2以下がさらに好ましく、3個/m2以下が特に好ましい。この数値を超える異物がある場合、フィルムの外観を損ねるだけでなく、フィルムの光学物性に著しく影響する。」
(オ) 「実施例
[0205] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[評価方法]
以下において、ポリカーボネート樹脂の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
続きを表示(全43行)
・・・(中略)・・・
[0216] (9)フィルム異物
得られたフィルムから幅50mm、長さ200mmに切り出したサンプルについて、目視にて該サンプル中の直径(楕円状の場合は長径)150μm以上の異物の存在数をカウントした。異物の存在数が少ないほど、例えば光学フィルムに使用した場合に優れたフィルムである。
[0217] [使用原料]
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号、および製造元は次の通りである。
[0218] <ジヒドロキシ化合物>
・ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]
・CHDM:1、4-シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]
・TCDDM:トリシクロデカンジメタノール[OXEA社製]
<炭酸ジエステル>
・DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]
・・・(中略)・・・
[0219] <リン系化合物>
・亜リン酸[太平化学産業(株)製](分子量82.0)
・AS2112:トリス(2、4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト[(株)ADEKA製](分子量646.9)
[0220] <紫外線吸収剤>
・UVA-1:LA-31[(株)ADEKA製]
・・・(中略)・・・
紫外線吸収剤の有する物性を下記表1にまとめて表記する。
[0221][表1]
[図:0001407339000009.jpg]
[0222] ポリカーボネート樹脂の製造方法
[製造例1]
竪型攪拌反応器3器と横型攪拌反応器1器、並びに二軸押出機からなる連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISBとCHDMとDPCをそれぞれタンクで溶融させ、モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.010で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。同時に、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.5μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。第1竪型攪拌反応器での平均滞留時間が90分となるように、反応器底部の移送配管に設けられたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。反応器底部より排出された反応液は、引き続き第2竪型攪拌反応器、第3竪型攪拌反応器、第4横型攪拌反応器[(株)日立プラントテクノロジー社製2軸メガネ翼]に逐次連続供給した。第1竪型攪拌反応器と第2竪型攪拌反応器は還流冷却器を具備しており、還流比を調節することで、未反応のジヒドロキシ化合物とDPCの留出を抑制した。
[0223] 各反応器の反応温度、内圧、滞留時間はそれぞれ、第1竪型攪拌反応器:190℃、25kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:195℃、10kPa、45分、第3竪型攪拌反応器:210℃、3kPa、45分、第4横型攪拌反応器:230℃、0.5kPa、90分とした。得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.61dL/gから0.64dL/gとなるように、第4横型攪拌反応器の内圧を微調整しながら運転を行った。
[0224] 第4横型攪拌反応器より連続的にポリカーボネート樹脂を抜き出し、続いて樹脂を溶融状態のまま二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30α]に供給した。押出機は3つの真空ベント口を有しており、樹脂中の残存低分子成分を脱揮除去した。第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加し、第2ベントの手前で水を樹脂に対して2000重量ppm加えて、注水脱揮を行い、第3ベンチ手前からAS2112を500ppm、Irganox1010を1000ppm供給した。押出機(全10バレル)はシリンダー温度を220℃、スクリュー回転数を230rpmに設定した。押出機出口での樹脂温度は262℃であった。
押出機を通過したポリカーボネート樹脂は、引き続き溶融状態のままフィルターを通して異物を濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ペレットのガラス転移温度は122℃であった。得られたポリカーボネート樹脂をPC1とする。
・・・(中略)・・・
[0228] ポリカーボネート樹脂の含有するフェノール及び式(3)で表される化合物の量を、下記表2にまとめて表記する。
[0229][表2]
[図:0001407339000010.jpg]
[0230] [実施例1]
製造例1に記載のポリカーボネート樹脂(PC1)100重量部及びUVA-1の1.5重量部を、定量フィーダーを用いてベント付きニ軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α、シリンダー設定温度:240℃)に供給し、フィルターを通して異物を濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。
[0231]
その後、該ポリカーボネート樹脂組成物を2kg/HrにてOCS社製ゲルカウンターFSAフィルム検査ライン(バレル設定温度:240℃、Tダイ(幅150mm、設定温度:240℃)、チルロール(設定温度:105℃))にて、厚み40μmのフィルムを押出成形した。結果を下記表3に示す。
・・・(中略)・・・
[0235][表3]
[図:0001407339000011.jpg]
」

(カ) 請求の範囲

[請求項1] 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂100重量部と、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、融点が135℃以上300℃未満かつ5%重量減少温度が240℃より高い紫外線吸収剤を、0.45重量部を超え7重量部以下含有する、ポリカーボネート樹脂組成物からなるポリカーボネート樹脂フィルムであって、波長380nmの光線透過率が0.001%以上15%以下であり、かつ厚みが5μm~120μmであるポリカーボネート樹脂フィルム。

[化1]

[図:0001407339000012.jpg]

・・・(中略)・・・

[請求項5] 請求項1~4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂フィルムを用いてなる、偏光子保護フィルム。」

イ 引用文献1の記載から把握される発明

(ア) 前記ア(ア)ないし(オ)で摘記した引用文献1の記載から、引用文献1に、実施例1のポリカーボネート樹脂フィルムに係る発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「下記ポリカーボネート樹脂(PC1)100重量部及び下記紫外線吸収剤UVA-1の1.5重量部を、定量フィーダーを用いてベント付き二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α、シリンダー設定温度:240℃)に供給し、フィルターを通して異物を濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化し、その後、該ポリカーボネート樹脂組成物を2kg/HrにてOCS社製ゲルカウンターFSAフィルム検査ライン(バレル設定温度:240℃、Tダイ(幅150mm、設定温度:240℃)、チルロール(設定温度:105℃))にて、押出成形して得られた厚み40μmのポリカーボネート樹脂フィルムであって、
得られたフィルムから幅50mm、長さ200mmに切り出したサンプルについて、目視にてカウントした該サンプル中の直径(楕円状の場合は長径)150μm以上の異物の存在数が、2個/m2である、
ポリカーボネート樹脂フィルム。
[ポリカーボネート樹脂(PC1)]
ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]と、CHDM:1、4-シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]と、DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]を、モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.010で、竪型攪拌反応器3器と横型攪拌反応器1器、並びに二軸押出機からなる連続重合設備を用いて、重合を行い、得られたポリカーボネート樹脂であって、
フェノール含有量が613ppmであり、下記式(3)で表される化合物含有量が392ppmであるポリカーボネート樹脂。
[図:0001407339000013.jpg]
[紫外線吸収剤UVA-1]
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤であり、融点が195℃、5%重量減少温度が390℃である、LA-31[(株)ADEKA製]。」

6 判断

(1)対比

ア 引用発明の「ポリカーボネート樹脂(PC1)」及び「ポリカーボネート樹脂フィルム」は、本件発明の「ポリカーボネート樹脂」及び「ポリカーボネート樹脂フィルム」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「ポリカーボネート樹脂(PC1)」(本件発明の「ポリカーボネート樹脂」に相当する。以下「(1)対比」欄において、「」で囲まれた引用発明の構成に続く()内の文言は、当該引用発明の構成に相当する本件発明の発明特定事項を指す。)は、ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]と、CHDM:1、4-シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]と、DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]を、モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.010で、重合させて、得られるものであるから、ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]由来の繰り返し単位を、全繰り返し単位を基準として70モル%含有している。

ここで、ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]由来の繰り返し単位は、本件発明の式(A)で表される繰り返し単位(A)に該当するから、引用発明は、「下記式(A)で表される繰り返し単位(A)を、全繰り返し単位を基準として30モル%以上含有するポリカーボネート樹脂から形成されるフィルム

[図:0001407339000014.jpg]

」であるといえる。

したがって、本件発明と引用発明は、「下記式(A)で表される繰り返し単位(A)を、全繰り返し単位を基準として30モル%以上含有するポリカーボネート樹脂から形成されるフィルム

[図:0001407339000015.jpg]

」である点で一致する。

ウ 引用発明の「ポリカーボネート樹脂フィルム」は、「フィルムから幅50mm、長さ200mmに切り出したサンプルについて、目視にてカウントした該サンプル中の直径(楕円状の場合は長径)150μm以上の異物の存在数が、2個/m2である」。

一方、本件発明が欠点数にカウントしている欠点サイズが0.1mm2以上の欠点についてみると、当該欠点の長径は、最も小さく見積もっても(例えば、欠点の形状として、長径が最も小さくなる円形を想定した場合であっても)、約356μmを下回ることはない。

そうすると、引用発明において「異物」としてのカウントの対象とされるのは、「サンプル中の直径(楕円状の場合は長径)150μm以上の異物」であることからみて、本件発明において、欠点数としてカウントされる欠点は、引用発明においては、必ず「異物」(欠点)としてカウントされることになる。

したがって、引用発明における「1m2あたりの欠点サイズ0.1mm2以上の欠点数」は、フィルムから幅50mm、長さ200mmに切り出したサンプルについて、目視にてカウントした該サンプル中の直径(楕円状の場合は長径)150μm以上の異物の存在数である2個/m2を超えることはないから、引用発明の「ポリカーボネート樹脂フィルム」は、本件発明の「1m2あたりの欠点サイズ0.1mm2以上の欠点数≦20個 (1)」を満足すると認められる。

エ 前記アないしウによれば、本件発明と引用発明は、

「下記式(A)で表される繰り返し単位(A)を、全繰り返し単位を基準として30モル%以上含有するポリカーボネート樹脂から形成されるフィルムであって、下記式(1)を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂フィルム。
【化1】
[図:0001407339000016.jpg]
1m2あたりの欠点サイズ0.1mm2以上の欠点数≦20個 (1)」

である点で一致し、次の点で相違する又は一応相違する。

相違点1:

「ポリカーボネート樹脂フィルム」について、本件発明は、「ヘイズ≦5% (2)」を満足するのに対して、

引用発明では、ヘイズ値が定かでない点。

(2)相違点1について

ア 偏光子保護フィルム等の光学フィルムにおいては、通常、ヘイズ値が低いほうが好ましいこと、また、ヘイズ値の上限の目安が5%程度であることは、例えば、引用文献2(【0110】、【0113】、【0137】の【表3】における実施例3、比較例6、比較例7のヘイズ値を参照。)等に示されるように、本件出願の出願前に、当業者における技術常識であったと認められる。

ここで、引用発明のポリカーボネート樹脂フィルムは、用途の一つとして、偏光子保護フィルムが想定されたもの([0198]及び[請求項5]等)といえるから、前記技術常識を心得た当業者は、そのヘイズ値が5%以下であることが好ましいことを当然に理解しているといえる。

そうであれば、引用発明において、いわゆる外部ヘイズ値、内部ヘイズ値及び双方のヘイズ値既知のヘイズ低減手段を採用するなどして、ヘイズ値を5%以下にすること、すなわち、相違点1に係る本件発明の発明特定事項に相当する構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ また、そもそも、樹脂フィルムは、特段の手段を採用しない限り、そのヘイズ値は、きわめて小さな値を示すものであるところ(周知例である引用文献2の【0137】の【表3】には、実施例、比較例のいずれもヘイズ値が0.21ないし0.70%の範囲内の値を示している。)、引用発明が、用途の一つとして、偏光子保護フィルムを想定している以上、ヘイズ値を敢えて増加させるような特段の手段(例えば、防眩手段等)を採用していないこと等に鑑みれば、引用文献1に明記はなくとも、引用発明の「ポリカーボネート樹脂フィルム」のヘイズ値が5%以下である蓋然性は極めて高いものといえる。

(3)効果について

本件発明の効果は、本件出願の出願当時本件発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができたものであり、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものではない。

(4)請求人の主張について

請求人は、令和4年11月18日提出の審判請求書(5頁1行~7行)において、概略、次の点を主張している。

本願発明は、特定のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法により得ることができる、「1m2あたりの欠点サイズ0.1mm2以上の欠点数が20個以下で、且つヘイズが5%以下」である特定のポリカーボネート樹脂フィルムであって、引用文献1には、特定のポリカーボネート樹脂を一般的な押出方法で成形したフィルムを、本願とは異なる方法で測定したフィルム異物数が示されているに過ぎない点。

上記主張は、要するに、引用発明は、本件発明とは製造方法が異なるから、本件発明の「1m2あたりの欠点サイズ0.1mm2以上の欠点数が20個以下」及び「ヘイズが5%以下」という各要件を満たさないことを主張しているものと理解される。

しかしながら、前者の要件については、そもそも本件発明は、製造方法を特定しない発明であって、引用発明が前者の要件を満たすことは上記(2)で述べたとおりであるし、後者の要件についても、用途に照らして当業者が容易に想到し得ることは既に述べたとおりである。

したがって、上記主張は理由がない。

(5)小括

以上のとおり、本件発明は、引用発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび

前記6のとおり、本件発明は、引用発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-018574

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決72件(帝人株式会社)
  • 2024-018890拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)抗菌成形品
    同じ当事者: 帝人株式会社
  • 2024-009317拒絶査定不服審判 / 2026-06-09 / 請求不成立ポリエステル製造用触媒粒子およびそれを用いるポリエステルの製造方法
    同じ当事者: 帝人株式会社
  • 2024-005353拒絶査定不服審判 / 2026-03-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)フルオレン誘導体およびその製造方法
    同じ当事者: 帝人株式会社
  • 2025-004341拒絶査定不服審判 / 2026-02-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)難燃性布帛および繊維製品
    同じ当事者: 帝人株式会社
  • 2023-020502拒絶査定不服審判 / 2025-12-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱可塑性樹脂及びそれを含む光学部材
    同じ当事者: 帝人株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)518件(121・B29C)
  • 2025-006433拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)繊維強化プラスチック、一体成形品、及びプリプレグ
    共通の審決分類: 121・B29C
  • 2025-007444拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)低温での三次元物体の付加製造に使用可能な造形用材料配合物
    共通の審決分類: 121・B29C
  • 2025-009585拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)COP板の接合方法及びCOP製マイクロ流路チップ生産方法
    共通の審決分類: 121・B29C
  • 2025-011764拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ウェハ熱成形のための延伸ポリマーを用いてウェハを作製し、且つ前記ウェハを含む眼鏡…
    共通の審決分類: 121・B29C
  • 2025-013213拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)押出物品を製造するために使用されるスロットダイを調整するための方法及びシステム
    共通の審決分類: 121・B29C

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存