商標拒絶査定不服審判
2022-018160
ダウンフロー
- 審判番号
- 2022-018160
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-113036
- 請求日
- 2022年11月11日
- 審決日
- 2024年01月12日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】徳田 佳昭
- 【請求人代理人】野村 幸一
- 【請求人代理人】西田 浩希
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .13 -Z (W42)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-113036拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ダウンフロー」の文字を標準文字で表してなり、第20類、第35類、第42類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務(以下「原審商品役務」という。)を指定商品及び指定役務として、令和3年9月10日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年4月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月15日付けで意見書が提出されたが、同年8月1日付けで拒絶査定され、これに対し、同年11月11日付けで拒絶査定不服審判が請求され、原審商品役務は、同日付けの手続補正書により、第42類「建築物の設計,測量,環境制御設備の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,土木に関する試験又は研究,建築技術の分野におけるエンジニアリング,受託による製品開発,測定及び制御技術に関する研究及び開発,技術的なデータの分析,他人の商品及び役務の認可のための試験・分析及び評価」(以下「当審補正役務」という。)に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、本願商標は「下方に流れること[もの]」の意味を有する「ダウンフロー」の文字を標準文字で表してなるところ、空調設備に関する技術を取り扱う業界において、上方から下方に空気を流す方式を「ダウンフロー方式」又は「ダウンフロータイプ」と称している実情が認められることから、本願商標を原審商品役務中、ダウンフロー方式の空調設備に関連した「建築物の設計,測量,環境制御設備の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,土木に関する試験又は研究,建築技術の分野におけるエンジニアリング,受託による製品開発,測定及び制御技術に関する研究及び開発,技術的なデータの分析,他人の商品及び役務の認可のための試験・分析及び評価」に使用した場合、これに接する取引者又は需要者は、「上方から下方に空気を流す方式」すなわち、「ダウンフロー方式を採用した空調設備に関する役務」であることを想起するにすぎず、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の「建築物の設計,測量,環境制御設備の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,土木に関する試験又は研究,建築技術の分野におけるエンジニアリング,受託による製品開発,測定及び制御技術に関する研究及び開発,技術的なデータの分析,他人の商品及び役務の認可のための試験・分析及び評価」に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、令和5年11月2日付け審尋(以下「審尋」という。)により、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、審尋に対し、令和5年12月1日付け回答書(以下「回答書」という。)を提出し、要旨1ないし4のとおりの意見を述べた。
1 「ダウンフロー」の語が「下降流」や「垂直層流」といった意味合いを有する語であるとして一部の辞書に掲載されていたとしても、限られた技術分野における専門用語にすぎないのであって、一般的な用語とはいえない。
2 「ダウンフロー」の語が「下方に流れること(もの)」といった意味を有する語であると理解されたとしても、「ダウンフロー」の語から直ちに「ダウンフロー方式を採用した空調設備に関する役務」なる意味合いが認識されるとは考え難い。
3 本願商標が、本願指定役務中「建築物の設計」等について「ダウンフロー方式を採用した空調設備に関する役務」ほどの意味合いを容易に想起させるとの判断は、クリーンルームといった特殊な環境における空調設備の気流方式の一名称を強引に「建築物の設計」等に当てはめ、逆説的に認定された観念にすぎず、クリーンルームにおける気流方式をもって認定のような意味合いが認識されるとの判断は恣意的であって客観性に欠けるといわざるを得ない。
4 審尋において、空調設備における気流方式として例示された「クロスフロー方式」について、「方式」を除く「クロスフロー」の語が、第42類「建築物・土木構造物及び地下構造物の設計並びにそれに関する助言」について識別力欠如の拒絶を受けることなく登録が認められており、空調設備の名称としては「クロスフロー方式」が採用されているものの、「クロスフロー」の語単独では空調設備を表すものとはいえず、一種の造語と認識され、識別力が認められたものと考えられることから、本件商標についても識別力が認められてしかるべきと考える。
第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「ダウンフロー」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、平易な外来語である「ダウン(down)」及び「フロー(flow)」の語を結合したものであると容易に理解できるものである。
そして、「down」の語は「下に、下へ、下って、〔紙の上に〕書かれて、記入[記録・記載]されて、離れた場所に、そっちへ、向こうへ」等の意味を有し、「flow」の語は「〔液体・気体などの〕流れ、流入、流出、〔多くの人々・物などの〕流入、流出」等の意味を有し(請求人提出の手続補足書、第5号証)、いずれも多義語である一方、これらの語を一連に表した「ダウンフロー(downflow)」の語は、別掲1のとおり、「下降流」や「垂直層流」の意味を有する語として辞書に載録されており、また、別掲2のとおり、空調設備の分野における気流方式の名称として、「コンベンショナル方式」や「クロスフロー方式」、「ダウンフロー方式」等があるところ、当該「ダウンフロー方式」における「ダウンフロー」とは、「天井の装置から空気を流入させ、床面で吸い込んで循環させる空気の流れ」といった垂直方向の気流を表す語として理解されていること、及び、「ダウンフロー方式」や「ダウンフロータイプ」の語が一般に使用されていることが認められる。
また、当審補正役務には、例えば「空調設備に関する環境制御設備の設計,空調設備に関する建築技術の分野におけるエンジニアリング,空調設備に関する測定及び制御技術に関する研究及び開発,空調設備に関する技術的なデータの分析,空調設備に関する試験・分析及び研究」等、空調設備に関する役務が含まれていることは明らかである。
そうすると、本願商標を当審補正役務中、「空調設備に関する建築物の設計,空調設備に関する環境制御設備の設計,空調設備に関するデザインの考案,空調設備に関する建築又は都市計画に関する研究,空調設備に関する建築技術の分野におけるエンジニアリング,空調設備に関する受託による製品開発,空調設備に関する測定及び制御技術に関する研究及び開発,空調設備に関する技術的なデータの分析,空調設備に関する他人の商品及び役務の認可のための試験・分析及び評価」に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、当該役務に係る空調設備がダウンフロー方式(ダウンフロータイプ)の空調設備であることを認識するにとどまるというのが相当であり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというべきである。
そして、本願商標は、「ダウンフロー」の文字を標準文字で表してなるものであるから、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、別掲3に提示する請求人のウェブサイトによると、「ダウンフローで「エアロゾル」の滞留を抑制します」との見出しの下、「天井のルーバーから下方向に流れるダウンフローによって周辺の空気を巻き込み(誘引気流)、下方向への均一な面気流を発生させます。それにより、発話によって発生したエアロゾルが空間中に滞留することを抑制します。」との記載があり、「ダウンフロー」の語を垂直方向の気流の意味合いで使用している事実が認められ、本願商標「ダウンフロー」に接した取引者、需要者をして、当該語を「天井の装置から空気を流入させ、床面で吸い込んで循環させる空気の流れ」といった意味合いで理解することからすると、請求人による本願商標の使用事実は、上記認定に符合するものである。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、回答書において、「ダウンフロー」の語が「下降流」や「垂直層流」といった意味合いを有する語であるとして一部の辞書に掲載されていたとしても、限られた技術分野における専門用語にすぎないのであって、一般的な用語とはいえない旨、「ダウンフロー」の語が「下方に流れること(もの)」といった意味を有する語であると理解されたとしても、「ダウンフロー」の語から直ちに「ダウンフロー方式を採用した空調設備に関する役務」なる意味合いが認識されるとは考え難い旨、及び、本願商標が、その指定役務中「建築物の設計」等について「ダウンフロー方式を採用した空調設備に関する役務」程の意味合いを容易に想起させるとの判断は、クリーンルームといった特殊な環境における空調設備の気流方式の一名称を強引に「建築物の設計」等の役務に当てはめ、逆説的に認定された観念にすぎず、「ダウンフロー」の語からクリーンルームにおける気流方式をもって認定のような意味合いが認識されるとの判断は、恣意的であって客観性に欠ける旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、「ダウンフロー」の語は、「下降流」や「垂直層流」の意味を有する語として辞書に載録されているものであり、空調設備に関する分野においては、「ダウンフロー」の語は、「天井の装置から空気を流入させ、床面で吸い込んで循環させる空気の流れ」ほどの意味合いで理解され、垂直方向の気流方式を表す語として「ダウンフロー方式」や「ダウンフロータイプ」の語が一般に使用されているものであり、「方式」や「タイプ」の語の有無によって、上記「ダウンフロー」の語の有する意味合いが異なる意味合いとして理解されるものではない。
そして、空調設備に関する分野においては、「ダウンフロー」の語は、「天井の装置から空気を流入させ、床面で吸い込んで循環させる空気の流れ」ほどの意味合いで理解され、垂直方向の気流方式を表す語として「ダウンフロー方式」や「ダウンフロータイプ」の語が一般に使用されているところ、当審補正役務には、空調設備に関する役務が含まれているものであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、「ダウンフロー」の語を具体的な役務の質を表示したものとして理解すると判断するのが相当である。
また、別掲2(8)ないし(10)及び別掲3のとおり、「ダウンフロー」の語は、クリーンルームという限られた技術分野に限定して使用されているものではないし、そもそも、当審補正役務には、クリーンルームにおける空調設備に関する各種役務も含まれているものである。
加えて、当審補正役務には、空調設備に関する役務が含まれているものであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、「ダウンフロー」の語を具体的な役務の質を表示したものとして理解すると判断するのが相当である。
(2)請求人は、回答書において、審尋において、空調設備における気流方式として例示された「クロスフロー方式」について、「方式」を除く「クロスフロー」の語が、第42類「建築物・土木構造物及び地下構造物の設計並びにそれに関する助言」について識別力欠如の拒絶を受けることなく登録が認められており、空調設備の名称としては「クロスフロー方式」が採用されているものの、「クロスフロー」の語単独では空調設備を表すものとはいえず、一種の造語と認識され、識別力が認められたものと考えられることから、本件商標についても識別力が認められてしかるべきと考える旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が自他商品及び自他役務の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の登録査定時又は登録審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や商品や役務の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
(3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他の請求人の主張も採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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