商標拒絶査定不服審判
2022-017774
クチモトクーカンイジシート、クチモトクーカンイジ
- 審判番号
- 2022-017774
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-081249
- 請求日
- 2022年11月07日
- 審決日
- 2023年08月22日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】王子ホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】中田 和博
- 【請求人代理人】青木 博通
- 【請求人代理人】富所 英子
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-81249拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年6月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 2月18日付け:拒絶理由通知
令和4年 3月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 8月 1日付け:拒絶査定
令和4年11月 7日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「口元空間維持シート」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第5類「衛生マスク,衛生マスク用のシート状フィルター,薬剤,シート状の薬剤,衛生マスクに含浸又は塗布した薬剤」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「口元空間維持シート」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「口元」の文字は「口のあたり。」の意味を、「空間」の文字は「物体が存在しない、相当に広がりのある部分。あいている所。」の意味を、「維持」の文字は「物事をそのままの状態でもち続けること。たもちつづけること。」の意味を、「シート」の文字は、「薄板や紙などの1枚。」の意味を有する語であるから、本願商標は、全体として「口のあたりの広がりをたもちつづけるシート」程の意味合いを認識させる。
そして、衛生マスクを取扱う業界において、衛生マスクの内側の空間を確保することができる商品が取引上一般的に製造・販売されている実情がある。
そうすると、本願商標を、その指定商品中、「衛生マスク,衛生マスク用のシート状フィルター」に使用するときは、これに接する需要者は、全体として「口のあたりの広がりをたもちつづけるシート状の商品」であると理解するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示した標章として認識される。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「口元空間維持シート」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「口元」の文字は「口のあたり。」の意味を、「空間」の文字は「物体が存在しない、相当に広がりのある部分。あいている所。」の意味を、「維持」の文字は「物事をそのままの状態でもち続けること。たもちつづけること。」の意味を、「シート」の文字は、「薄板や紙などの1枚。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑 第七版」(岩波書店)から引用。)として、それぞれ我が国において広く親しまれているものである。
そして、原審において示された事実(別掲1)及び職権による調査(別掲2)によれば、本願の指定商品中、「衛生マスク」を取り扱う業界において、息苦しさ軽減等のために、着用した際の口元の空間を確保、維持できる衛生マスクが流通している実情が認められるところ、それらの商品の説明として、「口元」、「空間」及び「維持」の語が使用されている実情も認められる。
以上によれば、「口元空間維持シート」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、「衛生マスク,衛生マスク用のシート状フィルター」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって「口元の空間を維持するシートを使用した衛生マスク、口元の空間を維持するシート状の衛生マスク用フィルター」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
また、本願商標は「口元空間維持シート」の文字を標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。
したがって、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、衛生マスクの商品分野においては、口のあたりに空間を作り出したものが販売されているところ、一般的に、立体的形状やワイヤー形状を「維持する」ことで、口のあたりの空間が「確保される」ため、本来、維持されるのは立体的形状やワイヤー形状なのであって、「空間」ではないが、本願商標はこれを「口元空間維持(シート)」と表現することで、商品の品質を間接的、暗示的に表現する独創的かつユニークな商標であり、本願商標は一種の造語として認識される旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その構成中の各語の語義に加え、別掲1及び別掲2に示した取引の実情に鑑みれば、衛生マスクを着用した際の口元の空間を維持する商品である、と容易に理解させるものであって、取引者、需要者に、商品の品質を表示したものと認識させるにとどまるものである。
イ 請求人は、本願商標を構成する各語をバラバラに看取し、それぞれの語の持つ意味合いを意図的につなぎ合わせたり、商品説明文章に使用されていることをもって、識別力を有しないと判断することは適切ではない、と述べるとともに、「口元空間維持シート」の使用例はなく、「口元空間維持」の使用例もわずか3件しかないのであるから、本願商標は、「当該商標が商品の特性を表示記述する標章であり、取引に際し何人もその表示の使用が必要であるから、特定人によりその独占的使用を認めるべきではないもの」及び「当該商標が一般的に使用される標章であり、それゆえに多くの場合は自他商品識別力を有しないもの」に該当しない旨主張する。
しかしながら、本件において問題となるのは、本願商標をその指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者が、本願商標を商品の品質を表示するものとして認識するのか否かということであって、このことは、「口元空間維持シート」又は「口元空間維持」の文字が、商品の品質を表示するものとして、現に一般に使用されているか否かのみによって決せられるものではない。そして、本願商標は、既成語の「口元」、「空間」、「維持」及び「シート」の文字を一連に組み合わせてなるものと容易に理解できるものであって、全体の構成文字及び上記各語の衛生マスク分野での使用実情を考慮すれば、衛生マスクを着用した際の口元の空間を維持する商品である、と取引者、需要者に無理なく認識されるというべきである。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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