商標拒絶査定不服審判
2022-017673
カソーツーカデンリョク、カソーツーカ
- 審判番号
- 2022-017673
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-050271
- 請求日
- 2022年11月04日
- 審決日
- 2023年12月14日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社Qvou
- 【請求人代理人】森本 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .13 -Z (W39)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-50271拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「仮想通貨電力」の文字を標準文字で表してなり、第39類「電気の供給,電気の供給に関する情報の提供,電気の供給の媒介又は取次ぎ」(以下「原審役務」という。)を指定役務として、令和3年4月23日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年11月25日付けで拒絶理由が通知され、同4年1月11日に意見書が提出されたが、同年7月29日付けで拒絶査定されたものである。
これに対し、令和4年11月4日に拒絶査定不服審判が請求され、本願の指定役務は、同日受付の手続補正書により、第39類「電気の供給(仮想通貨のマイニングのための電気の供給を除く),電気の供給に関する情報の提供(仮想通貨のマイニングのための電気の供給に関する情報の提供を除く),電気の供給の媒介又は取次ぎ(仮想通貨のマイニングのための電気の供給の媒介又は取次ぎを除く)」(以下「当審補正役務」という。)に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、要旨、以下の旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
本願商標は、「仮想通貨電力」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「仮想通貨」の文字は、「紙幣や硬貨のような現物をもたず、電子データのみでやりとりされる通貨」の意味を有し、「電力」の文字は、「電流が単位時間にする仕事量」の意味を有するものであるから、本願商標は、構成全体として「仮想通貨の電力」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、原審役務を取り扱う業界において、ビットコインは「暗号通貨(仮想通貨)の一種」ほどの意味合いとして用いられており、仮想通貨又はビットコインのマイニングを行うための電力消費量が膨大である実情があることから、仮想通貨のマイニングを行う企業は、再生可能エネルギーや原子力発電等、環境に優しい電力を利用する傾向にあるという実情が認められる。
そうすると、本願商標を原審役務中、「仮想通貨のための電気の供給,仮想通貨のための電気の供給に関する情報の提供,仮想通貨のための電気の供給の媒介又は取次ぎ」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の質を表示したものとして認識するにとどまるため、本願商標は、単にその役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の原審役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
第3 当審における審尋
当審において、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、令和5年10月19日付け審尋(以下「審尋」という。)により、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めたが、請求人は、これに対し何ら回答をしていない。
第4 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、「仮想通貨電力」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「仮想通貨」の文字と「電力」の文字を結合したものと容易に認識されるものである。
そして、本願商標の構成中「仮想通貨」の文字は、「紙幣や硬貨のような現物をもたず、電子データのみでやりとりされる通貨」(別掲1(1))の意味を有する語であり、構成中の「電力」の文字は、「電流が単位時間にする仕事量」(別掲1(2))の意味を有する語であるから、構成全体として「仮想通貨の(ための)電力」、あるいは「仮想通貨(用)の電力」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
(2)仮想通貨のマイニングと電力の関係について
別掲1ないし別掲3のとおり、ビットコインを代表とする暗号資産(仮想通貨)は、ブロックチェーンと呼ばれる技術で過去の取引が記録されていき、新たなブロックを鎖のようにつなぎ合わせる作業がマイニング(採掘)であり、そのマイニングには、長時間コンピュータを稼働させ続ける必要があり、性能の高いコンピュータを使えばその分消費電力も上がってしまうため、取引を承認する過程(以下「仮想通貨のマイニング」という。)において大量の電力を消費することが知られている。
そして、仮想通貨のマイニングにおいて消費する年間電力量は、オランダやノルウェーの国内消費量を上回るほどともいわれており、この電力消費による環境負荷が社会問題となっていることから、仮想通貨のマイニングを行う者は、環境に配慮するため、環境に優しい電力として「再生可能エネルギー」や「原子力発電」に目をつけ、また、報酬を増やすため、安価な電気料金を求める傾向があり、さらに、仮想通貨のマイニング用の電気料金プランを提供する事業者が存在する事実があることが確認できる。
(3)当審補正役務について
当審補正役務は、原審役務より「仮想通貨のマイニングのための電気の供給、仮想通貨のマイニングのための電気の供給に関する情報の提供、仮想通貨のマイニングのための電気の供給の媒介又は取次ぎ」の役務が除外されているが、当該役務の提供を受ける需要者(電気の使用者)は、提供される電気をどのような目的に使用することも可能である以上、電気の供給者が用途を限定したとしても、使用者(需要者)は、一般的な電気の供給が行われているとしか認識しないものである。
そうすると、当審補正役務の提供を受ける需要者は、たとえ、「仮想通貨のマイニングのための電気の供給、仮想通貨のマイニングのための電気の供給に関する情報の提供、仮想通貨のマイニングのための電気の供給の媒介又は取次ぎ」の役務が除外されていたとしても、「電気の供給,電気の供給に関する情報の提供,電気の供給の媒介又は取次ぎ」が行われていると認識すると判断するのが相当である。
(4)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
上記(2)のとおり、仮想通貨のマイニングにおいて大量の電力を消費することから、仮想通貨のマイニングを行う者は、環境に優しい電力として「再生可能エネルギー」や「原子力発電」に目をつけ、報酬を増やすため、安価な電気料金を求める傾向があり、仮想通貨のマイニング用の電気料金プランを提供する事業者が存在することを踏まえれば、「仮想通貨の(ための)電力」あるいは、「仮想通貨(用)の電力」ほどの意味合いを容易に認識させる「仮想通貨電力」の文字よりなる本願商標を当審補正役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該文字より、「仮想通貨のマイニングのための電力の供給プランの提供」、「仮想通貨のマイニングのための電力の供給プランに関する情報の提供」及び「仮想通貨のマイニングのための電力の供給プランの媒介又は取次ぎ」であることを一般に認識するものである。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標を単に役務の質を表したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識しないものであり、また、本願商標は、当該役務の内容を簡潔に表示するため、取引に際し必要適切な標章として、何人もその使用を欲するものと認められるから、特定人による独占使用を認めることは妥当でない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書において、仮想通貨の取引自体に際して消費される電力が多大であるという実情はなく、仮想通貨の取引に付随するマイニングにおいて消費される電力が膨大であるという実情があるにすぎず、「ブロックチェーン=消費電力が膨大」という構図が成立しているわけではなく、また「仮想通貨の取引=消費電力が膨大」という構図が成立しているわけでもない旨主張する。
しかしながら、上記1(2)及び(4)のとおり、仮想通貨のマイニングにおいて大量の電力を消費することから、仮想通貨のマイニングを行う者は、環境に優しい電力として「再生可能エネルギー」や「原子力発電」に目をつけ、報酬を増やすため、安価な電気料金を求める傾向があり、仮想通貨のマイニング用の電気料金プランを提供する事業者が存在することを踏まえれば、「仮想通貨の(ための)電力」、あるいは「仮想通貨(用)の電力」ほどの意味合いを容易に認識させる「仮想通貨電力」の文字よりなる本願商標を当審補正役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該文字より、「仮想通貨のマイニングのための電力の供給プランの提供」、「仮想通貨のマイニングのための電力の供給プランに関する情報の提供」及び「仮想通貨のマイニングのための電力の供給プランの媒介又は取次ぎ」であることを一般に認識するものである以上、請求人の上記主張は、当審補正役務の質を表示するものであるとの認定判断を左右するものではない。
(2)請求人は、審判請求書において、本願商標は、当審補正役務との関係において、役務の質を直接かつ具体的に表したものとして理解、認識されるとまではいえないものであって、本願商標を当審補正役務に使用しても、具体的な役務の質等を表示するものといえず、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、当該商標がその指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されていることを要しないと解されるものである。
そして、上記1(4)のとおり、本願商標は、当審補正役務に係る取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものと認められるものである。
(3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他の請求人の主張も採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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