商標拒絶査定不服審判
2022-017670
テンプラマキノ、マキノ
- 審判番号
- 2022-017670
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-162456
- 請求日
- 2022年11月04日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社トリドールホールディングス
- 【請求人代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .16 -Z (W293043) / T18 .272-Z (W293043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-162456拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「TEMPURA MAKINO」の文字を標準文字で表してなり、第29類、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年12月28日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年4月18日付で拒絶理由の通知がされ、同年5月31日付けで意見書が提出され、本願の指定商品及び指定役務は、同日付けの手続補正書により、第29類、第30類及び第43類に属する別掲1に記載の指定商品及び指定役務(以下「原審補正商品及び役務」という。)に補正されたが、同年7月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年11月4日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標は「TEMPURA MAKINO」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中「TEMPURA」の文字は「てんぷら」を、「MAKINO」の文字は姓氏の一である「牧野」を認識させるため、本願商標を原審補正商品及び役務に使用した場合、これに接する需要者は、「牧野氏によって販売される天ぷら」、「牧野氏による天ぷら料理の提供」といった意味合いを認識するにとどまり、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たさず、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であるから、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における拒絶の理由の要旨
当審において、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、令和5年2月27日付け拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」という。)により、別掲2ないし別掲5のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条1項第16号に該当する旨の本願を拒絶すべき理由を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第4 当審拒絶理由に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、当審拒絶理由に対し、令和5年4月12日付け意見書(以下「当審意見書」という。)を提出し、要旨、1ないし3のとおりの意見を述べた。
1 「牧野」の姓氏がごくありふれた姓氏の一であって、自他商品及び自他役務の識別力を有しない語であるとしても、欧文字で「MAKINO」と表記する姓氏としては、「牧野」の他にも、「槇野」及び「槙野」等、複数の候補が存在することからすれば、「MAKINO」の欧文字が「牧野」及び「槇野」等といった何らかの名字をローマ字で表記したものだと理解される場合があるとしても、必ずしも「牧野」の漢字からなる姓氏を表したものと常に理解されるとはいい難いものであるから、本願商標は構成全体として、単にありふれた氏と商品の品質若しくは用途又は役務の質を表した語を結合したにすぎないとする当審拒絶理由の認定は妥当ではない。
2 当審拒絶理由において、別掲3及び別掲4で提示された事実は、本願商標とは表記方法が異なる標章の使用例であり、この使用例をもって、原審補正商品及び役務を取り扱う業界において、店舗の名称として、欧文字で表記した「TEMPURA 〇〇」(〇〇には姓氏の欧文字表記が入る。)や「〇〇 MAKINO」(〇〇には提供する料理名等の欧文字表記が入る。)が一般に使用されていると認定することは妥当ではなく、また、請求人は、我が国有数の飲食店事業を展開する会社であり、自身が展開する飲食店等のウェブページやメニューにおいて、屋号の欧文字表記を示す出所表示として本願商標を使用している事実があり、インターネット検索サイトにおいて、「TEMPURA MAKINO」の文字を検索した結果のほとんどが請求人による国内外の飲食店「天ぷらまきの」に関するものであって、「TEMPURA MAKINO」の文字が、商品の品質又は役務の質、店舗名、宣伝文句等を表示する語として一般に使用されている事実もない。
3 原審補正商品及び役務と同一又は類似の商品及び役務の分野において、本願商標と同じく「料理の名称」と「(ありふれた)氏」とを組み合わせた構成からなるものが商標登録されている事実が多数あることからすると、審査統一の見地に鑑みれば、同様の構成からなる本願商標についても登録されるべきである。
第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「TEMPURA MAKINO」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「TEMPURA」の文字と「MAKINO」の文字との間に1文字分の空白を設けていることから、本願商標は、「TEMPURA」の文字と「MAKINO」の文字よりなるものと容易に認識できるものであり、これよりは「テンプラマキノ」の自然な称呼が生じる。
そして、本願商標の構成中の「TEMPURA」の文字は、3文字目が「N」の欧文字ではなく「M」の欧文字が使用されているとしても、平仮名「ん」に該当する文字を欧文字で表記する場合、「M」の欧文字を使用することも普通に行われていることからすると、「TEMPURA」の文字は、「魚介類や野菜などに小麦粉を水でといたころもを着けて油で揚げた料理。関西で、薩摩揚げの称。」(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)を意味する「天麩羅(テンプラ)」を欧文字で表記したものと容易に認識できるものであり、原審補正商品及び役務との関係からすると、その商品及び役務の内容や特徴(天ぷら料理(「薩摩揚げ」を含む。以下同じ。)若しくは同料理用の商品又は同料理の提供)、すなわち、商品の品質若しくは用途又は役務の質を表示するにすぎない。
また、本願商標の構成中の「MAKINO」の文字は、姓氏の一である「牧野」、「槇野」及び「槙野」等を欧文字で表記したものと理解し得るところ、そのうちの「牧野」は、前掲「広辞苑」をはじめ複数の国語辞書に「姓氏の一つ。」である旨掲載(別掲2(1)~(3))されているほか、「姓名分布&ランキング」のウェブサイト(別掲2(4))において全国で約18,395件(215位)、「苗字検索」のウェブサイト(別掲2(5))において全国で約24,213世帯(221位)との記載もあるとおり、我が国において、ありふれた姓氏と認識するものであり、かつ、「槇野」及び「槙野」等の姓氏を使用する者に比べて、「牧野」の姓氏を使用する者が多数存在することから、欧文字で「MAKINO」と表記する姓氏は、第一に「牧野」の姓氏を認識すると判断するのが相当である。
さらに、別掲3のとおり、天ぷら料理を取り扱う業界において、「天ぷらすずき」、「天ぷら佐藤」、「天ぷら たなか」などのように「天ぷら〇〇(〇〇には姓氏が入る。)」の文字が、天ぷら料理を取り扱う店の名称として一般に使用されている事実があり、また、別掲4のとおり、飲食物を提供する店では、持ち帰り用の商品を販売することも一般に行われている。
加えて、別掲5のとおり、飲食物を提供する業界において、「鉄板焼 しゃぶしゃぶ 牧野」や「つけそば まき野」などのように、提供する料理名とありふれた氏である「牧野」やそれに通じる「まきの」や「まき野」の文字を組み合わせた「〇〇牧野」や「〇〇まきの」(〇〇には提供する料理名等が入る。)の文字が、飲食物を提供する店の名称として一般に使用されている事実がある。
そうすると、本願商標を原審補正商品及び役務中、第29類「魚介類の天ぷら,肉の天ぷら,野菜の天ぷら,卵の天ぷら,きのこの天ぷら,チーズの天ぷら,天ぷら油」及び「加工水産物」に含まれる「薩摩揚げ」、第30類「天ぷらのつゆ,弁当(主にご飯及び天ぷらを含む弁当),天ぷら粉」並びに第43類「天ぷら料理の提供」及び「ケータリング(飲食物),喫茶店における飲食物の提供,簡易食堂における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,屋台における飲食物の提供,飲食物の提供」に含まれる「ケータリング(天ぷら料理を含む飲食物),喫茶店における天ぷら料理を含む飲食物の提供,簡易食堂における天ぷら料理を含む飲食物の提供,レストランにおける天ぷら料理を含む飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける天ぷら料理を含む飲食物の提供,バーにおける天ぷら料理を含む飲食物の提供,屋台における天ぷら料理を含む飲食物の提供,天ぷら料理を含む飲食物の提供」(以下「6号対象商品及び役務」という。)に使用しても、本願商標は、天ぷら料理又は同料理を取り扱う店を表示するものとして一般に使用されている「天ぷら」に通じる「TEMPURA」の欧文字と、ありふれた氏である「牧野」に通じる「MAKINO」の欧文字とを1文字分の空白をもって結合してなるにすぎないものであるから、当該商品及び役務の需要者に、構成全体として「牧野姓の者によって販売される天ぷら料理又は同料理用の商品」又は「牧野姓の者による天ぷら料理の提供」ほどの意味合いを理解、認識させるにとどまるというべきである。
そして、「TEMPURA MAKINO」の文字からなる本願商標は、請求人とは他人である牧野姓の者が、天ぷら料理若しくは同料理用の商品又は同料理の提供を取り扱う業務を行うにあたり、その使用を欲するものといえるから、仮に、当該業務を行うにあたり「TEMPURA MAKINO」との文字からなる請求人とは他人の使用が見当たらないとしても、将来において、「TEMPURA MAKINO」の文字や「天ぷら 牧野」等の文字の使用を欲する事業者の存在が否定できない以上、先に商標登録出願を行ったという事実のみをもって特定人(請求人)による独占使用を認めるのは妥当ではない。
以上によれば、「TEMPURA MAKINO」の文字からなる本願商標に接する需要者は、本願商標を自他商品及び自他役務の識別標識として認識するというよりも、単にありふれた氏と商品の品質若しくは用途又は役務の質を表した語を結合したにすぎないものと理解するにとどまるものであって、その他、本願商標の構成中に、自他商品及び自他役務の識別標識と認識し得ると判断すべき構成要素も見当たらないことから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、6号対象商品及び役務に使用するときには商標法第3条第1項第6号に該当し、また、6号対象商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときには、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「牧野」の姓氏がごくありふれた姓氏の一であって、自他商品及び自他役務の識別力を有しない語であるとしても、欧文字で「MAKINO」と表記する姓氏としては、「牧野」の他にも、「槇野」及び「槙野」等、複数の候補が存在することからすれば、「MAKINO」の欧文字が「牧野」及び「槇野」等といった何らかの名字をローマ字で表記したものだと理解される場合があるとしても、必ずしも「牧野」の漢字からなる姓氏を表したものと常に理解されるとはいい難いものであるから、本願商標は構成全体として、単にありふれた氏と商品の品質若しくは用途又は役務の質を表した語を結合したにすぎないとする当審拒絶理由の認定は妥当ではない旨主張する。
しかしながら、欧文字で「MAKINO」と表記する姓氏が「牧野」以外に存在するとしても、上記1のとおり、「牧野」は「広辞苑」をはじめ複数の国語辞書に「姓氏の一つ。」である旨掲載される姓氏であり、同姓の者が多数存在することからすれば、欧文字で「MAKINO」と表記する姓氏は、第一に「牧野」を認識すると判断するのが相当である。
(2)請求人は、当審拒絶理由において、別掲3及び別掲4で提示された事実は、本願商標とは表記方法が異なる標章の使用例であり、この使用例をもって、原審補正商品及び役務を取り扱う業界において、店舗の名称として、欧文字で表記した「TEMPURA 〇〇」(〇〇には姓氏の欧文字表記が入る。)や「〇〇 MAKINO」(〇〇には提供する料理名等の欧文字表記が入る。)が一般に使用されていると認定することは妥当ではなく、また、請求人は、我が国有数の飲食店事業を展開する会社であり、自身が展開する飲食店等のウェブページやメニューにおいて、屋号の欧文字表記を示す出所表示として本願商標を使用している事実があり、インターネット検索サイトにおいて、「TEMPURA MAKINO」の文字を検索した結果のほとんどが請求人による国内外の飲食店「天ぷらまきの」に関するものであって、「TEMPURA MAKINO」の文字が、商品の品質又は役務の質、店舗名、宣伝文句等を表示する語として一般に使用されている事実もない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第6号は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該商標が取引上現実に使用されている事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(知的財産高等裁判所 平成25年(行ケ)第10142号、同25年11月14日判決参照)ことからすると、仮に、「TEMPURA 〇〇」(〇〇には姓氏の欧文字表記が入る。)や「〇〇 MAKINO」(〇〇には提供する料理名等の欧文字表記が入る。)、「TEMPURA MAKINO」の文字が請求人以外の者によって使用されていないとしても、「TEMPURA MAKINO」の文字よりなる本願商標を原審補正商品及び役務について使用しても、これに接する需要者は、これを自他商品及び自他役務の識別標識として認識するというよりも、単に、ありふれた氏と商品の品質若しくは用途又は役務の質を表した語を結合したにすぎないものと理解するにとどまるものであって、その他、本願商標の構成中に、自他商品及び自他役務の識別標識と認識し得ると判断すべき構成要素も見当たらないことから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
(3)請求人は、原審補正商品及び役務と同一又は類似の商品・役務の分野において、本願商標と同じく「料理の名称」と「(ありふれた)氏」とを組み合わせた構成からなるものが商標登録されている事実が多数あることからすると、審査統一の見地にかんがみれば、同様の構成からなる本願商標についても登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が自他商品及び自他役務の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の登録査定時又は登録審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や商品や役務の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
(4)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他の請求人の主張も、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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