商標拒絶査定不服審判
2022-017530
キザミニンニク、キザミ
- 審判番号
- 2022-017530
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-155846
- 請求日
- 2022年11月01日
- 審決日
- 2024年01月15日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社桃屋商店
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】本宮 照久
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 阿曾 裕樹
- 審判官 吉沢 恵美子
- 分類
- T18 .13 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-155846拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年12月14日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 5月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年 6月29日受付:意見書、手続補正書
令和4年 7月29日付け:拒絶査定
令和4年11月 1日付け:審判請求書、手続補正書
令和4年12月19日付け:手続補正書
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、最終的に、第30類「きざんだにんにくを使用した調味料」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、文字と図形からなる商標であるところ、その構成中の文字部分は、筆文字風の書体で黒字の「にんにく」の文字とその右横に同様の書体で赤字の「きざみ」の文字を書してなるものであり、これらの筆文字風の書体自体は、一般に広く用いられるものといえる。そして、文字部分の右横下部に表された図形は、「にんにく」を表したと容易に認識される。
また、本願商標の構成中、「きざみ」の文字は「物を刻むこと。」等の意味を有する語であるから、文字部分からは、全体として「刻んだにんにく」の意味合いを理解させる。
ところで、食品業界においては、商品の原材料及びその状態を示す文字を表すことは一般に行われており、また、それら商品の包装に原材料の図形も合わせて表示している実情がある。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「刻んだにんにく」の意味合い及び原材料の図形を表したものと認識、理解するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質、原材料、用途を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標について
(ア)本願商標は、別掲1のとおり、「きざみ」の文字(赤色)、その左に「にんにく」の文字(黒色)を、いずれも筆文字風の書体で縦書きし、それら右横下部に2個のにんにくの図形を描いたものである。
本願商標の構成中、「きざみ」の文字部分は「物を刻むこと。」を、「にんにく」の文字部分は「ヒガンバナ科(旧ユリ科)の多年草。食用・香辛料、また強壮薬とする。」を意味する語(広辞苑第七版)であるから、「きざみにんにく」の構成文字全体としては、各語の語義を結合した「刻んだにんにく」程度の意味合いを想起させる。
(イ)そして、本願指定商品に関する調味料の分野では、別掲2のとおり、「きざみにんにく」(キザミにんにく、刻みにんにく)と称する刻んだにんにくが、商品そのものやその原材料を表示する語として、取引上一般的に使用されている実情がある。
(ウ)また、別掲2(2)及び(3)にもあるとおり、商品の包装に、商品名や原材料表示を毛筆風の書体で縦書きに表記したり、大きさの異なる文字を用いたりすることは、取引上極めて一般的に採択、採用されている文字の装飾手法である。
(エ)さらに、別掲2(4)及び別掲3にもあるとおり、商品の原材料を表示するために、商品やそのラベルなどに原材料を描いた図形などを表記することも、取引上一般的に採択されている手法にすぎないから、本願商標の構成中、にんにくの図形部分は、それに併記された「きざみにんにく」に係る原材料を表記したものと容易に理解できる。
(オ)そうすると、本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、「刻んだにんにく」や「にんにく」という商品の品質又は原材料を表記したものと認識、理解させるにとどまる。
したがって、本願商標は、商品の品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の実際の使用状況や需要者の認知度を考慮すると、本願商標は請求人の出所を示す出所識別機能を十分に果たしている旨主張し、証拠方法として、甲第1号証から第23号証(以下「甲○」という。)を提出しているところ、請求人の使用実績は本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性に影響するような事実関係ではないが、同条第2項とは関連するため、請求人は同項該当性を明示して主張してはいないものの、念のため言及する。
(ア)請求人の関連会社である「株式会社桃屋」は、2012年に「きざみにんにく」(以下「請求人商品」という。)を発売した(甲10)。
同商品は、小粒ニンニクを使いやすくカットした製品であり、その容器ラベルには、「桃屋の」の文字を縦書きし、その左側に本願商標と同様の態様で、「きざみ」及び「にんにく」の文字を縦書きで、その右下に2個のにんにくを描いた図形が表示されている(甲18)。
(イ)請求人商品は、直近4年間(2018年から2021年)の販売額は、毎年伸長しており(甲4)、「日経POSセレクション2021」の「その他農産瓶詰」の分類で、2021年売上No.1を獲得している(甲7、甲8)。
(ウ)株式会社KSP-SPが提供するPOSデータによれば、2022年9月時点で、請求人商品の販売店率は、全国の9割以上をカバーしているとされる(甲4)。
(エ)請求人商品は、新聞やテレビコマーシャル、レシピ動画、ラジオ、レシピ本、テレビ番組などにおいて、商品紹介記事やレシピ紹介がされている(甲11~甲18、甲20、甲22、甲23)。
上記記事や紹介記事では、請求人商品を「きざみにんにく」という食材として使用する方法(甲12、甲15)や、「きざみにんにくで作るペペロンチーノ」(甲20)という刻みにんにくを原材料とするレシピなどが紹介されている。
(オ)本願指定商品に関する調味料の分野では、別掲2のとおり、「きざみにんにく」(キザミにんにく、刻みにんにく)の文字を商品名や原材料として表記する商品が、請求人以外の事業者により製造、販売されている実情がある。
イ 上記認定事実によれば、請求人は、請求人商品を10年以上の期間にわたって製造、販売しており、日本全国の広い地域で販売し、その販売額は増加傾向にあり、メディアを通じた商品やレシピの紹介がされている実情があることはうかがえる。
しかしながら、請求人商品の容器ラベルには、請求人らの名称に通じる「桃屋の」の文字が顕著に表示され、また、それに並べて表示された「きざみにんにく」の文字部分にしても、請求人商品自体が刻んだにんにくを内容物とすることに加えて、「きざみにんにく」(キザミにんにく、刻みにんにく)の文字を商品名や原材料として表記する商品が多数流通している実情があることを踏まえると、請求人商品の容器ラベルからは、「桃屋」の文字部分や「桃屋のきざみにんにく」の文字部分が出所識別標識たり得る構成要素として読み取れるとしても、その構成中「きざみにんにく」の文字部分は、商品の品質や原材料を表示するものというべきで、独立して出所識別標識として機能する文字部分と看取されるとは直ちにいい難い。
また、請求人商品の広告宣伝においても、請求人商品を「きざみにんにく」という食材などとして紹介するものが多いから、当該文字部分をして、出所識別標識たる商品名として認識、記憶されるとはいい難い。
その他、本願商標(文字部分及び図形部分を含む。)について、その指定商品に係る需要者が、請求人商品に係る出所識別標識として周知、著名性を獲得したことを示す具体的な証拠は、請求人により提出されていない。
そうすると、本願商標は、請求人によりその指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められないから、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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