商標拒絶査定不服審判
2022-017481
- 審判番号
- 2022-017481
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-118815
- 請求日
- 2022年11月01日
- 審決日
- 2025年10月21日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ヨネックス株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 【請求人代理人】木村 満
- 【請求人代理人】松嶋 さやか
- 【請求人代理人】吉松 こず恵
- 【請求人代理人】江島 絢子
- 【請求人代理人】山野 有希子
- 【請求人代理人】小林 悠太
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 吉田 聡一
- 分類
- T18 .13 -WY (W28) / T18 .17 -WY (W28)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第5条第4項、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-118815拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和元年9月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 7月21日付け:拒絶理由通知書
令和2年 9月 4日 :手続補正書の提出
令和3年 9月10日 :意見書の提出
令和3年 9月15日 :手続補足書の提出
令和4年 4月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月25日 :手続補足書の提出
令和4年 7月27日付け:拒絶査定
令和4年11月 1日 :審判請求書の提出
令和4年12月 9日 :手続補足書の提出
令和4年12月26日 :上申書、手続補足書の提出
令和6年 2月14日付け:証拠調べ通知書
令和6年 3月31日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 4月 1日 :手続補足書の提出
令和7年 7月15日 :上申書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1(1)のとおりの構成からなり、願書記載のとおりの商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を記載し、また願書記載のとおりの第28類に属する商品を指定商品として、色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。そして、原審における上記手続補正書により、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」は別掲1(2)のとおり補正され、指定商品は当審における上記手続補正書により、最終的に第28類「シャトルコック」と補正された。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、色彩のみからなる商標であるところ、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、商品又は商品の包装に使用される色彩は、色彩を組み合わせたものも含め、多くの場合、商品の魅力向上等のために選択されるものであることからすると、本願商標をその補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品又は商品の包装に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3項第2項について
本願商標の色彩は、出願人が本願指定商品に長年使用してきたことや、その業界における出願人の商品のシェア率が1位であること等の事情を踏まえると、我が国において、出願人の商品であると識別している取引者、需要者がある程度いることは認められるが、本願商標の色彩のみをもって自他商品の識別標識として認識していない者も少なからずいることから、本願商標は、一般的な需要者が特定の出所を認識するに至っているとはいい難い。したがって、本願商標は、第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。
4 当審における証拠調べ通知
当審において、令和6年2月14日付け証拠調べ通知により、請求人に対し、別掲2及び別掲3のとおりの事実を提示した上で、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
指定商品を第28類「シャトルコック」に限定する補正を行い、追加の証拠を提出の上、「本願商標は、指定商品「シャトルコック」との関係で、自他商標識別標識としての機能を有するので、第3条第2項に該当する。また、同号を適用し本願商標を登録することは、商標法の目的にも合致する。」旨主張する。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲1(1)及び(2)のとおり、青色(Pantone 2935C)と緑色(Pantone 355C)を組合せた(配色は上から順に、青色が商標全体の50パーセント、同じく緑色が50パーセント)、色彩のみからなるものである。
ところで、商品又は商品の包装に使用される色彩は、色彩を組み合わせたものも含め、多くの場合、商品の魅力向上等のために選択されるものであり、別掲2のとおり、本願商標の指定商品を取り扱う業界においてもそれと異なる事情があるという事実は認められない。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品又は商品の包装に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。
したがって、本願商標は、単に商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3項第2項について
請求人は、証拠として甲第1号証ないし甲第238号証を提出の上、「補正後の指定商品「シャトルコック」について、47年以上にわたり審判請求人により独占的に使用された結果、本願色彩が当該指定商品との関係において自他商品識別力を獲得するに至っている」旨主張するので、以下検討する。
なお、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を、「甲○」と表記する。
ア 請求人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなる色彩のみからなる商標であるところ、請求人は、1958年の設立以来、継続してバドミントン用品の製造・販売に従事し、1965年から58年間シャトルコックを製造・販売し、遅くとも1976年から48年以上にわたり継続して、シャトルコック(以下「使用商品」という)の収納筒に、また、1981年頃から、シャトルコック本体のコルク部分の内側にも本願商標の色彩と同一視できる色彩を使用しており、これらは、請求人のホームページ、商品カタログ、インターネット記事情報、雑誌、新聞及びテレビ番組などにおいて、商品写真を伴う形で、紹介されている(甲4、甲5、甲6の2、甲8の2、甲9~甲12、甲16、甲18、甲44の2、甲45の1、甲90、甲92~甲103、甲114、甲116、甲195~甲197、甲207~甲209等)。
使用商品は、オリンピック、世界選手権、全英オープンをはじめ、数多くのバドミントンの国際試合の公式球として採用されている(甲1の4、甲8の2、甲9、甲58の2、甲68、甲87、甲92、甲135~甲141等)。
(イ)使用商品は、日本全国各地の約1,000店のスポーツ用品量販店及び専門小売店、請求人ショールーム、並びに、オンラインショップにおいて販売されている(甲45の1、甲47、甲48、甲93、甲114~甲116、甲118、甲119、甲121,甲206等)。
(ウ)使用商品の売上げ及びシェアは、株式会社矢野経済研究所の「スポーツ産業白書」によると、請求人のシャトルコックの国内出荷金額は、2009年から2019年の11年間、連続して業界1位であり、その間の市場占有率は、およそ70%~80%である(甲61、甲109)。また、同白書(2025年版)によれば、国内出荷金額、市場占有率は、それぞれ2022年が43億円、86.0%、2023年が47.3億円、84.5%で業界1位であり、2位の者の占有率は、1.3~1.4%である(甲238)。
(エ)請求人は、本願商標の色彩をハウスマークとしても使用しており、その色彩は、請求人が主催・共催する国際試合や国内試合、イベントの会場の看板、横断幕等に頻繁に使用されているほか、請求人の公式ホームページ、商品カタログ、請求人のショールームの店舗内、小売店の陳列コーナー等の装飾にも使用されている(甲1、甲2、甲4~6、甲8、甲9、甲12、甲14、甲16、甲18、甲20、甲33~甲36、甲46~甲52、甲114、甲129~甲134、甲147~甲154、甲157~甲159、甲161~甲165、甲171、甲172、甲221等)。
(オ)職権による調査によれば、本願指定商品について、一般の競業者間において請求人以外による同一又は類似の標章の使用例は見当たらない。一方、請求人提出の証拠によれば、海外の複数メーカーにより、日本からも購入可能な海外のウェブサイトで本願商標の色彩を有した侵害品と主張する収納筒のシャトルコックが製造販売されていた事実が認められる(甲69、甲71)。その販売数、規模等は不明である。
(カ)原審において、請求人が「株式会社インテージ」を通じて行ったアンケート調査結果(以下、「本件アンケート調査」という。)は、2022年2月21日付け報告書(甲76)によれば、以下のとおりである。
a 調査対象者は、日本全国に居住する15歳~59歳の男女であり、1,053名から回答を得た。
b 調査方法は、インターネットによるアンケート調査(スクリーニング調査+本調査)であり、現在又は過去にバドミントン・テニスを行っている・いた者でスクリーニングした上、導入質問の後に、本願商標に相当する色彩の画像を示して、思い浮かぶ企業を自由回答式で尋ね、次に同様の質問を多肢選択式で尋ねた。
c 調査対象者のうち、質問に対して請求人を回答したのは、回答者1053人のうち、スクリーニング調査で「テニス(ソフトテニス含む)・バドミントン両方の経験者」を選んだ者(553人)においては、自由回答式で42.68%(553人中236人)、自由回答式の正解と不正解のうち選択式で請求人を回答した者を合わせると57.87%(553人中320人)である。また、スクリーニング調査で「バドミントンのみの経験者」を選んだ者(321人)においては、自由回答式で41.12%(321人中132人)、自由回答式の正解と不正解のうち選択式で請求人を回答した者を合わせると56.39%(321人中181人)である。(なお、回答者1053人のうち残りの179名は、「テニス(ソフトテニス)のみの経験者」を選んだ者であり、当審補正後の指定商品には含まれないものになっているが、質問に対して請求人を回答したのは、自由回答式で44.13%(179人中79人)、自由回答式の正解と不正解のうち選択式で請求人を回答した者を合わせると58.66%(179人中105人)である。)
イ 判断
上記アの認定事実によれば、請求人は、本願商標と同一視できる使用商標を、遅くとも1976年から現在まで継続して使用商品に使用しており、請求人ホームページ、カタログ、SNS広告、国際試合やイベントへの露出などの形で、本願商標を用いた使用商品や、ハウスマーク、イベント・店舗等の装飾等が使用され、使用商品の市場におけるシェア及び売上げについても、長年極めて高いことが認められる。使用商品には、ハウスマークの文字が付されているものも多いが、使用商品や、商品カタログ、イベント・店舗等の装飾など、色彩の割合が多く顕著な態様で用いられている。加えて、全国のバトミントン経験者に対して行われた本件アンケート調査によれば、本願商標に相当する色彩から、請求人との関連を回答できたのは、選択式の回答も考慮すれば6割近い(上記ア(カ)c)。
そうすると、本願商標の色彩は、請求人による長年にわたる使用の結果、その指定商品である第28類「シャトルコック」に係る需要者の間において、相当程度認知され、請求人に係る出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至っていると認められる。
したがって、本願商標は、請求人による使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するから、それを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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