商標拒絶査定不服審判
2022-017403
ビヨーセータイシカワシマサン、ビヨーセータイシ、カワシマサン、カワシマ
- 審判番号
- 2022-017403
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-111213
- 請求日
- 2022年10月31日
- 審決日
- 2023年10月05日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】川島 悠希
- 【請求人代理人】重信 和男
- 【請求人代理人】大久保 岳彦
- 【請求人代理人】石川 好文
- 【請求人代理人】秋庭 英樹
- 【請求人代理人】林 道広
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T18 .16 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-111213拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年9月7日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月13日付け:拒絶理由通知書
令和4年 5月31日受付:意見書
令和4年 7月26日付け:拒絶査定
令和4年10月31日受付:審判請求書、手続補正書
令和5年 6月29日付け:審尋
令和5年 8月 8日受付:回答書
第2 本願商標
本願商標は、「美容整体師 川島さん」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の手続補正により、第41類「インターネットを利用して行う映像の提供」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「美容整体師 川島さん」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「美容」の文字は、「容貌・容姿・髪型を美しくすること。」の意味を、「整体」の文字は、「手技によって骨格のゆがみや異常を整え、健康増進をはかる医業類似行為。」の意味を、「師」の文字は、「専門の技術を職業とする者。」の意味を有し、「川島」の文字は、我が国において、ありふれた氏と理解されるものであり、「さん」の文字は、「人名などの下に添える敬称。」の意味を有する語である。
また、本願商標の指定役務に係る分野において、美容目的の整体施術が「美容整体」と称されている実情がある。
そうすると、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その役務が「美容目的の整体施術を行う者である(ありふれた氏である)川島さんが提供する役務」であることを表したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは認識し得ないものというのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
第4 当審における審尋
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、別掲1、2(1)ないし(8)及び3のとおりの事実を示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答の要旨
請求人は、上記第4の審尋に対し、回答書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
通常、職業を表す言葉と姓を組み合わせて表記する場合には、職業名+姓+名で表されるのが一般的であり、職業名+姓のみで表示されることはまれである。さらに、通常、職業名+姓に敬称を組み合わせて表示されることはない。つまり、「美容整体師 川島さん」という表記は普通に用いられる方法での表示ではなく、一連の造語である。
また、ある人物を本人ではない他者が「紹介する」場合と、本人が自他識別標識として自称するために使用している場合とでは使用形態が異なるものとして考えるべきである。
さらに、証拠を挙げて説明したYouTubeのチャンネル登録者数、動画閲覧数、タレント活動の実態等から、本願商標の指定役務の需要者において、「美容整体師 川島さん」が請求人(出願人)を表示するものとして広く知れ渡っており、本願商標は、その指定役務の需要者において、十分に自他識別力を発揮するものである。
以上のように、本願商標は、商標法第3条第1項第6号には該当しない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、「美容整体師 川島さん」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「美容」の文字は、「容貌・容姿・髪型を美しくすること。」を、「整体」の文字は、「手技によって骨格のゆがみや異常を整え、健康増進をはかる医業類似行為。」を、「師」の文字は、「専門の技術を職業とする者。」を、「川島」の文字は、「姓氏の一つ。」を、「さん」の文字は、「人名などの下に添える敬称。」(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を意味する語である。
そして、「川島」の文字は、「名字由来net」のウェブサイト(https://myoji-yurai.net/searchResult.htm?myojiKanji=川島)によれば、我が国において、ありふれた氏と理解されるものである。
また、別掲1のとおり、「美容整体師」の文字が、「美容目的の整体施術を行う(職業とする)者」ほどの意味合いで使用されている事実が認められる。
さらに、別掲2のとおり、整体師等の紹介ページにおいて、「□□ ○○さん」(「□□」には職業名が、「○○」には、姓が入る。)のように紹介されている実情がうかがえる。
加えて、別掲3のとおり、本願の指定役務を取り扱う業界において、上記と同様に、整体師等が「□□ ○○さん」のように紹介されている実情もうかがえる。
本願商標の構成文字の意味及び上記の事実からすると、本願商標は、全体として「美容目的の整体施術を行う(職業とする)者の(ありふれた氏である)川島氏」といった意味合いが認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用したときには、これに接する需要者は、「美容目的の整体施術を行う(職業とする)者の(ありふれた氏である)川島氏に係る役務」であることを表したものと認識するにとどまり、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、通常、職業を表す言葉と姓を組み合わせて表記する場合には、職業名+姓+名で表されるのが一般的であり、職業名+姓のみで表示されることはまれである。さらに、通常、職業名+姓に敬称を組み合わせて表示されることはない。つまり、「美容整体師 川島さん」という表記は普通に用いられる方法での表示ではなく、一連の造語である旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成文字の意味及び別掲1ないし3の事実からすれば、上記1のとおり、「美容整体師 川島さん」の文字は、一連の造語と認識されるものというよりは、「美容目的の整体施術を行う(職業とする)者の(ありふれた氏である)川島氏」であることを表したものと認識され、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないと判断するのが相当である。
また、請求人は、ある人物を本人ではない他者が「紹介する」場合と、本人が自他識別標識として自称するために使用している場合とでは使用形態が異なるものとして考えるべきである旨主張する。
しかしながら、ある人物を本人ではない他者が紹介する場合と、本人が自他識別標識として自称するために使用している場合について、その使用の意図がいずれの場合であったとしても、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるか否かは、それに接する需要者がどのように認識するかによって判断すべきであり、必ずしも使用形態が異なることをもって上記判断が左右されるべきではないから、本願商標については、上記1のとおり判断するのが相当である。
(2)請求人は、回答書添付の証拠第1号証ないし第5号証を提出し、本願商標の指定役務の需要者において、「美容整体師 川島さん」が請求人(出願人)を表示するものとして広く知れ渡っており、本願商標は、その指定役務の需要者において、十分に自他識別力を発揮するものである旨を主張するため、以下検討する。
証拠によれば、請求人は、動画配信プラットフォーム「YouTube」において、2013年2月にチャンネルを開設し、動画投稿に際して、「美容整体師川島さん」又は「美容整体師 川島さん」の文字をチャンネル名として使用しており(ただし、当該チャンネル名の使用開始の時期及び動画の投稿開始の時期は不明である。)、当該チャンネルは、2023年8月時点において、チャンネル登録者数は現在72.4万人であり、506本の動画が投稿され、のべ視聴回数は約1億3,640万回である(第1号証及び第2号証)。
当該チャンネルの視聴回数は、2019年以降、約1,847万回(2019年)、約4,198万回(2020年)、約1,991万回(2021年)、約3,145万回(2022年)、約1,885万回(2023年)であり、視聴回数が100万回を超える動画が複数存在する(第2号証及び第3号証)。
また、株式会社ホリプロデジタルエンターテインメントは、2020年7月に、請求人と所属契約を締結した(第4号証)。
そして、「Google」のウェブサイトにおいて、「美容整体師 川島さん」の文字で検索した際には、本願商標に関する動画が、検索上位で表示される(第5号証)。
しかしながら、当該チャンネルの開設が2013年2月であるとしても、「美容整体師川島さん」又は「美容整体師 川島さん」の文字をチャンネル名として使用を開始した時期及び動画の投稿開始の時期は不明である。
また、当該チャンネルの視聴回数等については、本願の指定役務「インターネットを利用して行う映像の提供」との関係において、その多寡を客観的に判断するための証拠の提出はない。
そして、請求人が述べるタレント活動については、その活動の内容を明らかにする具体的な証拠の提出はない。
その他、本願商標が、請求人に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く知られていることを客観的に把握できる証拠は見いだせない。
そうすると、本願商標は、請求人提出の証拠によっては、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、広く認識されるに至っているものと認めることはできない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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