商標拒絶査定不服審判
2022-017273
クラフトワイン、クラフト
- 審判番号
- 2022-017273
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-061558
- 請求日
- 2022年10月28日
- 審決日
- 2023年07月13日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社サンマモルワイナリー
- 【請求人代理人】富沢 知成
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W33) / T18 .272-Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 61558拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年5月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 1月25日付け:拒絶理由通知書
令和4年 7月26日付け:拒絶査定
令和4年10月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「クラフトワイン」の文字を標準文字で表してなり、第33類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、当審における上記1の手続補正書により、第33類「複数種類の果実を原料とする甘味果実酒,ぶどうおよびぶどう以外の果実を原料とする果実酒,ぶどう酒にぶどう以外の果実を漬け込んで製造される甘未果実酒(審決注:「甘味果実酒」の誤記と思料する。),ぶどうおよびぶどう以外の果実を醸造することにより製造される果実酒」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「クラフトワイン」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「手工業。工芸。」の意味を有する「クラフト」の文字と、「葡萄の果汁を発酵させて作った酒。」の意味を有する「ワイン」の文字とを組み合わせてなるものと容易に理解されるものである。
ところで、本願の指定商品を取り扱う酒業界においては、「ビール醸造所でビール職人が精魂込めて造っているビール」や「最高品質の原材料と製法にこだわって少量生産された“手づくり志向”のスピリッツ(蒸溜酒)」のように作り手が原材料や製法等にこだわって作った商品であることを、一般に「craft(クラフト)」の語と商品名とを組み合わせて「craft beer(クラフトビール)」、「craft spirits(クラフトスピリッツ)」のように表示している実情がある。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標から「原材料や製法等にこだわって作られたワイン」程の意味合いを理解し、これをその指定商品に使用した時には、原材料や製法等にこだわって作られたワインであること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標を、その指定商品中、「ワイン」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「クラフトワイン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「クラフト」の文字は、「手仕事による製作。手工業。」の意味を、「ワイン」の文字は「葡萄の果汁を発酵させて作った酒。」の意味をそれぞれ表すものとして一般に知られるものである(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)。
そして、原審提示の情報のほか、別掲のインターネット情報及び新聞記事情報が示すとおり、本願の指定商品に関連する飲食業界においては、少量生産で作り手が原料や製法等にこだわって作った飲み物や食べ物について、「クラフト」の語と商品名とを組み合わせて、「クラフト○○」と称している実情がうかがえることに加え、実際に「少量生産で原料や製法等にこだわって作られたワイン」のことを「クラフトワイン(クラフト・ワイン)」と称している使用例も認められることよりすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「少量生産で原料や製法等にこだわって作られたワイン」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、「ワイン」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「クラフトビール」等とは異なり、「クラフトワイン」の語が客観的に定義されている事実はなく、「クラフト」の語との組合せで取引者、需要者が一様に観念できるような実情はワインには当てはまらないとの主張とともに、葡萄以外の果実を原料として醸造させた酒をその原料名と組み合わせて「○○ワイン」と称して取引していることを例に挙げ、そもそも「ワイン」の語自体に本来の「葡萄の果汁を発酵させて作った酒」なる語義を超えたある種の曖昧さが観念されていることがその理由にあると主張する。
しかしながら、我が国において、「ワイン」は、果実酒の一種に分類されているものの、前記のとおり「葡萄の果汁を発酵させて作った酒。」を意味する語であるから、葡萄以外の原料名と「ワイン」の語とを組み合わせて「○○ワイン」と称している実情があるからといって、「ワイン」そのものが「葡萄の果汁を発酵させて作った酒」であることが否定されるものではない。また、葡萄以外の果実を原料とする酒に「アップルワイン」、「苺ワイン」等のように原料となる果実(「アップル」、「苺」等)を表示していることは、むしろ、「ワイン」の語それ自体のみでは、葡萄を原料とする酒であることを認識させるが故に、異なる原料であることを明示しているものとみるのが相当であり、それをもって「ワイン」の語に曖昧さがあるということはできない。そして、本願商標における「クラフト」の文字は、請求人が主張する上記事例のように原料の表示と解されるものではないから、同様に論じることはできない上、「クラフト」の語の意味及び別掲のとおりの使用例からすれば、「クラフトワイン」の文字からは、「少量生産で原料や製法等にこだわって作られたワイン」が認識されるというべきである。
イ また、請求人は、「クラフトワイン」の語が一般化に至っていない状況下、単なるぶどう酒ではなく、他の果実を漬け込んだり、他の果実の濃縮果汁を併用したりした、製法も原料構成も新規な酒類を従来の一般的なワインと異なる新しいタイプの酒類として認識されたいとの思いを託して「クラフトワイン」と命名した旨も主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについては、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであって、請求人の商標採択の意図によって左右されるべきものでないことは明らかである。
そして、上記(1)のとおり、本願商標は、その構成態様や本願の指定商品を取り扱う業界における実情に照らせば、これに接する取引者、需要者をして、「少量生産で原料や製法等にこだわって作られたワイン」であること、すなわち、商品の品質を表示するものと容易に理解、認識させるものであるといわざるを得ない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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