商標拒絶査定不服審判
2022-017083
グリーンストーン
- 審判番号
- 2022-017083
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-077314
- 請求日
- 2022年10月26日
- 審決日
- 2023年12月21日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】JFEミネラル株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W19) / T18 .272-Z (W19)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 77314拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年6月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月10日付け:拒絶理由通知書
令和4年 5月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 7月14日付け:拒絶査定
令和4年10月26日 :審判請求書の提出
令和5年 7月20日付け:審尋
令和5年 9月25日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「グリーンストーン」の文字を標準文字で表してなり、第19類「鉱さい石,その他の石材,人工魚礁(金属製のものを除く。)」を指定商品として登録出願され、その後、原審における上記1の手続補正書により、第19類「藻場再生・港湾埋立用の鉱さい石,人工魚礁(金属製のものを除く。)」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「グリーンストーン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「グリーン」の文字は「緑色」の意味を、「ストーン」の文字は「石」の意味を有する語であって、一般に広く使用されているものであるから、本願商標全体からは「緑色の石」程の意味合いを容易に理解・認識させるものである。
そして、本願の指定商品に関連する分野において、「グリーンストーン」の文字が、「緑色の石」程の意味合いで一般に使用されている事実が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば「緑色の石を用いた人工魚礁(金属製のものを除く。)」等に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、令和5年7月20日付け審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和5年9月25日に回答書を提出し、要旨以下(1)ないし(3)のとおりの意見を述べた。
(1)緑色岩は次第に細別され、分離独立して岩石名としての存在価値がなくなり、現在は岩石名としてはほとんど使用されておらず、岩石学的内容がはっきりしている緑色片岩(greenschist)が用いられている(第30号証)。緑色片岩は、表面の色彩が視認され愛でられることを前提に市場に提供され、国内外問わず石材や庭石として広く利用されているものであり、日本庭園の欠かせない構成要素となっている(第31号証)一方、本願の指定商品の石は、数千トン単位で取引され、海洋、湖沼に沈下させるため、石の表面の色彩が顧慮されることはない。このことは商品の需要者も当然理解しており、本願の指定商品の用途からして、本願商標から緑色岩や緑色片岩を脳裏に浮かべることはないといえる。
(2)本願商標は、水中への投下により水中緑化を目指した商品をアピールすべく「グリーン」の表記を採択したものである。本願指定商品の鉱さい石であるフェロマンガンスラグ(FMS)を用いた藻場造成・魚類蝟集技術は、請求人による令和2年度の実証事業として環境省のホームペ-ジにも掲載されており、最終頁に製品名・型番としてFMS(グリーンストーン)と明記されている(第32号証)。
(3)過去の審査例では、「STONE」の文字を含む商標が、その指定役務の「提供の用に供する物」の質(色彩)を表示するものであるとして商標法第3条第1項第3号に該当すると判断されてもおかしくないところ、登録になっている例(第33号証)、石と思しき図形を伴い、岩石の名称及び「STONE」の文字を含む商標が、第19類「石材」を指定商品として登録になっている例(第34号証)がある。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「グリーンストーン」の文字を標準文字で表してなるところ、「グリーンストーン」の語は、別掲1のとおり、「緑色岩」を表す既成語として、一般的な辞書等への掲載が認められるものである。
そして、別掲2のインターネット情報によれば、本願の指定商品を取り扱う業界においては、水産資源や漁業生産の拡大を図るため、自然岩や岩石のほか、土石流災害で土砂とともに撤去された岩、浚渫工事で発生する砕岩等の様々な種類の岩を人為的に沈めて人工魚礁として有効活用する魚礁整備の取組が行われている実情が認められる。
そうすると、岩の一種である「緑色岩」を意味する「グリーンストーン」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「緑色岩を使用した商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標をその指定商品中の「緑色岩を使用した商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、緑色岩は次第に細別され、分離独立して岩石名としての存在価値がなくなり、現在は岩石名としてはほとんど使用されておらず、岩石学的内容がはっきりしている緑色片岩(greenschist)が用いられていると述べ(第30号証)、緑色片岩は、表面の色彩が視認され愛でられることを前提に市場に提供され、国内外問わず石材や庭石として広く利用されているもので、日本庭園の欠かせない構成要素となっている(第31号証)一方、本願の指定商品の石は、数千トン単位で取引され、海洋、湖沼に沈下させるため、石の表面の色彩が顧慮されることはない上、このことは商品の需要者も当然理解しており、本願の指定商品の用途からして、本願商標から緑色岩や緑色片岩を脳裏に浮かべることはない旨主張する。
しかしながら、緑色岩が岩石名としてほとんど使用されていないという事実は確認することができないばかりか、別掲1に示したとおり、複数の辞書やジオパーク等において「グリーンストーン(greenstone)」が「緑色岩」を意味する語として説明されていることが確認できる。
そして、本願の指定商品の用途上、沈下物の表面の色彩が重視されることがないという実情があるにせよ、別掲2のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界においては、自然岩や岩石のほか、土石流災害で土砂とともに撤去された岩、浚渫工事で発生する砕岩等の様々な種類の岩を人為的に沈めて人工魚礁として有効活用する魚礁整備の取組が行われている事実が認められることからすれば、岩の一種である「緑色岩」を意味する「グリーンストーン」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「緑色岩を使用した商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであるというのが相当である。
イ 請求人は、本願商標は、水中への投下により水中緑化を目指した商品をアピールすべく「グリーン」の表記を採択したものであると述べ、本願指定商品の鉱さい石であるフェロマンガンスラグ(FMS)を用いた藻場造成・魚類蝟集技術は、請求人による令和2年度の実証事業として環境省のホームペ-ジにも掲載されており、最終頁に製品名・型番としてFMS(グリーンストーン)と明記されている(第32号証)旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについては、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであって、請求人の商標採択の意図によって左右されるべきものでないことは明らかである。
また、請求人によるフェロマンガンスラグを用いた藻場造成・魚類蝟集技術に係る実証実験についても、別掲2に挙げた、岩を人為的に沈めて人工魚礁として有効活用する魚礁整備の取組事例と目的や趣旨を共通にするものといえることから、請求人の上記主張によって、本願商標に接する取引者、需要者がこれより「緑色岩を使用した商品」程の意味合いであることを認識することを否定することはできない。
ウ 請求人は、過去の審査例では、「STONE」の文字を含む商標が、その指定役務の「提供の用に供する物」の質(色彩)を表示するものであるとして商標法第3条第1項第3号に該当すると判断されてもおかしくないところ、登録になっている例(第33号証)、石と思しき図形を伴い、岩石の名称及び「STONE」の文字を含む商標が、第19類「石材」を指定商品として登録になっている例(第34号証)がある旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様や指定商品・指定役務、判断時期が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件判断が左右されるものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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