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商標拒絶査定不服審判

2022-015962

パンパシフィックインターナショナルフィナンシャルサービス、パンパシフィックインターナショナルフィナンシャル、パンパシフィックインターナショナル

審判番号
2022-015962
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2021-112933
請求日
2022年10月06日
審決日
2024年03月05日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
  • 【請求人代理人】中山 俊彦
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 茂木 祐輔
分類
T18 .13 -Z (W35364243)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2021-112933拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「パン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第36類、第42類及び第43類に属する別掲1に記載のとおりの役務を指定役務として、令和3年9月10日に登録出願されたものである。 本願は、令和4年4月19日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月3日付けで意見書が提出されたが、同年7月5日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年10月6日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「パン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「パン・パシフィック」は「環太平洋地域」を、「インターナショナル」は「国際的」を、「フィナンシャル」は「財政・金融に関すること。」を、「サービス」は「物質的生産過程以外で機能する労働。」を、それぞれ意味し、全体としては、「環太平洋地域における国際的な財政・金融に関するサービス」程度を認識させるものであり、また、環太平洋地域における国際的な財政・金融に関する役務が提供されている。そうすると、本願商標をその指定役務中の第35類「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,会社のための管理業務の代行,資金を必要とする起業家と潜在的な個人投資家とのマッチングに関する事業の仲介,企業のリスクマネジメントに関するコンサルティング,インターネットによる商品の通信販売の媒介又は取次ぎ,リース事業の管理及び運営,リース事業に関する指導及び情報の提供,自動車リース事業の運営及び管理,財務書類の作成」及び第36類の役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、環太平洋地域における国際的な財政・金融に関する役務であることを理解するにとどまり、本願商標は、単に役務の質、特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを実施した結果、別掲2ないし別掲4に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し令和5年11月29日付け証拠調べ通知書により、その結果を通知し、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。 第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見 請求人は、前記第3の証拠調べ通知書に対し、令和6年1月15日付けで意見書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べた。 1 以下の理由から、「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字は、「国際的な金融サービス」の意味を理解させるものではない。 (1)「インターナショナル」と「グローバル」は意味が全く異なるものであり、前者は「国家間の」、後者は「世界的な、地球上の」の意味である(甲17~甲20)。 (2)国内外の金融機関が自社のナショナリティを超え、国境の縛りや垣根を越えた金融サービスを提供するが、これは「グローバル化」であって、「インターナショナル化」ではない。 (3)証拠調べ通知書の事例中においても、「インターナショナル金融サービス」なる語は存在しない。 (4)以上より、「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字が「国際的な金融サービス」の意味を容易に理解させることは、事実ではない。かかる誤解は、証拠調べ通知書における「インターナショナル」の語義に関する曖昧な認定に起因している。 2 以下の理由から、「パン・パシフィック」の文字と「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字とで分離することは、不自然かつ不適切である。 (1)本願商標は、請求人「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」内における金融サービス部門の社名の略称である。 (2)請求人は、「パン・パシフィック・インターナショナル」グループ(以下「請求人グループ」という。)の持ち株会社であり、傘下各企業の資産管理をつかさどる(甲21、甲22)から、「パン・パシフィック・インターナショナル」の文字は、当該グループを表す冠名であり、構成全体で意味を成す。 (3)「日産フィナンシャルサービス」等のように、著名な企業グループの名称を冠した「○○フィナンシャルサービス」等が多数登録され、また現実に使用されている(甲23~甲26)から、需要者は、「○○フィナンシャルサービス」の文字から、「○○という企業グループの金融関係の会社」を認識する。 (4)「セブン」、「ジー・ワン」、「プレミア」等、単体では本来識別力を有さないか極めて弱い構成の「○○フィナンシャルサービス」等が登録され、現実に使用されている(甲27~甲29)。「パン・パシフィック・インターナショナル」の文字は、上記「セブン」等と比較して自他役務識別性を有する。 (5)以上を踏まえれば、本願商標は、「請求人グループの金融関連サービス企業の名称」を想起させるものであり、出所表示としての機能を果たしている。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号について 商標法第3条第1項第3号が、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格又は提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録の要件を欠くと規定しているのは、このような商標は、指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。 そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本願商標がその指定役務との関係で役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定役務の取引者、需要者によって役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成26年(行ケ)第10056号同年8月6日判決)。 そして、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号同4年1月25日判決、知財高裁令和4年(行ケ)第10002号同年6月16日判決)。 2 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)本願商標を構成する文字の語義や使用状況等について ア 本願商標は、「パン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「パン」の文字は、「「すべての」の意。汎。」の意味を有する語(広辞苑第7版)であり、当該文字と、「太平洋の」意で複合語を作る「パシフィック」の語(「コンサイスカタカナ語辞典第5版」株式会社三省堂発行。以下同じ。)とを結合した「パン・パシフィック」の文字は、別掲2で示す事例のとおり、「汎太平洋の」又は「環太平洋の」の意味で一般に用いられるものである。 イ 本願商標の構成中、「インターナショナル」の文字は、「国際間の。国際的。」等の意味を有する語(広辞苑第7版)として、様々な場面で使用される、広く一般に知られた語である。 ウ 本願商標の構成中「フィナンシャル」の文字は、「財政・金融に関すること。ファイナンシャル。「-プランナー」」の意味を有する語である(前掲書)とともに、これと「サービス」を結合した「フィナンシャルサービス」の文字や、「フィナンシャル」と同義の「ファイナンシャル」の語を用いた「ファイナンシャルサービス」の文字は、別掲3で示す事例のとおり、ローンやクレジットカード、電子マネー、銀行代理等、金融面でのサービスを提供する業界において、「金融サービス」ほどの意味合いをもって使用されている実情を確認することができる。 エ 上記イのとおり、本願商標構成中の「インターナショナル」の文字は、「国際間の。国際的な。」の意味を有し、上記ウのとおり、「フィナンシャルサービス」の文字は、「金融サービス」の意味合いをもって使用されているものであるから、両文字を結合した「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字は、「国際的な金融サービス」の意味を容易に理解させるものである。さらに、別掲4で示す事例のとおり、金融に関連した業界において、国際的・グローバルな金融サービス・金融取引が行われている実情を確認することができる。 (2)判断 本願商標は、「パン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標であることは明らかである。 そして、本願商標を構成する「パン・パシフィック」の文字は、上記(1)アのとおり、「汎太平洋の」又は「環太平洋の」の意味で用いられる語である。 また、本願商標構成中の「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字は、上記(1)エのとおり、「国際的な金融サービス」の意味を容易に理解させるものであることに加え、実際にも国際的な金融サービス・金融取引が行われている実情がある。 以上に加え、「パン・パシフィック(汎太平洋、環太平洋)」の語が多国間にまたがる国際的な地理的範囲の名称であることをも考慮すると、「パン・パシフィック」と「インターナショナルフィナンシャルサービス」とを中点(・)を介して結合した「パン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字は、「汎(環)太平洋地域における国際的な金融サービス」ほどの意味合いを認識させるものである。 そうすると、「パン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字よりなる本願商標を、その指定役務中、金融サービス又は金融サービスと関連し得るものである、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,会社のための管理業務の代行,資金を必要とする起業家と潜在的な個人投資家とのマッチングに関する事業の仲介,企業のリスクマネジメントに関するコンサルティング,インターネットによる商品の通信販売の媒介又は取次ぎ,リース事業の管理及び運営,リース事業に関する指導及び情報の提供,自動車リース事業の運営及び管理,財務書類の作成」及び第36類の役務に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、「汎(環)太平洋地域における国際的な金融サービス」ほどの意味合いをもって、金融サービスの特徴や内容を表したものであると認識するのが相当であるから、本願商標は、上記指定役務との関係で役務の質(内容)、特徴を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定役務の取引者、需要者によって役務の質、特徴を表示したものと一般に認識されるものというべきである。 したがって、本願商標は、役務の質、特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 請求人の主張について (1)請求人は、「インターナショナル」の語は、「グローバル」の語とは意味が異なること等を根拠に、「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字は、「国際的な金融サービス」の意味を理解させるものではない旨主張する。 しかしながら、「インターナショナル(international)」の語の用例として、「国際貿易」(international trade)、「国際的組織」(an international organization)、「国際的利益」(an international benefit)等が挙げられる(いずれも「ランダムハウス英和辞典第2版」株式会社大修館書房発行。)ことからすると、「インターナショナル」から「国際間の、国際的な」の意味合いは容易に生じるものであり、上記2(1)イないしエの事実を考慮すれば、「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字は、「国際的な金融サービス」の意味を容易に理解させるものというのが相当である。 なお、仮に請求人の主張するように、「インターナショナル」の文字から「国家間の」という限定した意味合いが生じるものであるとしても、本願商標全体から生じる意味合いは、「汎(環)太平洋における国家間の金融サービス」であって、当該意味合いが、役務の質(内容)、特徴を表すものであることに変わりはないというべきである。 (2)請求人は、本願商標は、その構成中に請求人グループの略称を有するものであり、「パン・パシフィック」の文字と「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字とで分離することは、不自然かつ不適切であるとともに、本願商標は、「請求人グループの金融関連サービス企業の名称」を想起させる旨主張する。 しかしながら、上記2(2)のとおり、本願商標は、本願の指定役務の分野において、その構成全体から、「汎(環)太平洋における国際的な金融サービス」の一連の意味合いが容易に生じるものである。 また、本願商標の構成中、「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字部分は、一連の片仮名で一体的に表されているのに対し、「パン・パシフィック」の文字と「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字との間には中点(・)が配されていることから、視覚的にみても、「パシフィック」の文字までの部分と「インターナショナルフィナンシャルサービス」の文字部分を分離して看取し得るものであって、殊更「パン・パシフィック・インターナショナル」の文字部分と「フィナンシャルサービス」の文字部分とに分離して看取し得るものとはいい難い構成のものである。 さらに、請求人が、「ドン・キホーテ」等を経営し、事業を拡大し、継続して利益を得ているとしても、当該事実のみに基づいて、前記構成よりなる本願商標が、請求人グループの著名な略称を構成中に有してなるものと直ちに認識、理解させることは困難というべきである。 (3)請求人は、「日産フィナンシャルサービス」等、「○○フィナンシャルサービス」の文字が多数登録され、また現実に使用されているから、需要者は、「○○フィナンシャルサービス」の文字から、「○○という企業グループの金融関係の会社」を認識する旨主張する。 しかしながら、本願商標は、その構成全体から、「汎(環)太平洋地域における国際的な金融サービス」ほどの意味合いを理解させるものであって、「日産」等、本願商標の構成と異なる文字をその構成中に有する商標と同様に判断すべきではない。むしろ、本願商標の構成要素と共通する「フィナンシャルサービス」の文字は、上記2(1)ウのとおり、「金融サービス」ほどの意味合いをもって使用されているものであり、使用事例の中には、企業の名称とは関連しない事例もある(別掲3(5)~(7))。したがって、本願商標をはじめとした「○○フィナンシャルサービス」の文字が、直ちに「○○という企業グループの金融関係の会社」の意味合いを認識させるということはできない。 (4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 4 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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