商標拒絶査定不服審判
2022-015611
エイアアルルームシミュレーター、ルームシミュレーター
- 審判番号
- 2022-015611
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-103086
- 請求日
- 2022年09月30日
- 審決日
- 2023年04月11日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社リクルート
- 【請求人代理人】橘 哲男
- 【請求人代理人】佐藤 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .13 -Z (W09) / T18 .272-Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-103086拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年8月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月28日 :意見書の提出
令和4年 6月24日付け:拒絶査定
令和4年 9月30日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「AR Room Simulator」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,カーナビゲーション装置,デジタルフォトフレーム,コンピュータソフトウェア,コンピュータゲームソフトウェア,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,ダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,ダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,携帯電話機用コンピュータプログラム,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,身体装着式携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,ダウンロード可能な音楽,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ダウンロード可能な画像及び映像,携帯電話用のダウンロード可能な画像,電子出版物,ダウンロード可能な電子出版物,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「AR Room Simulator」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、その構成中の「AR」の文字は、「情報技術によって、現実世界を仮想世界にまで拡張し、現実と仮想を重ね合わせた環境をいう。例えば、スマートフォンを、カメラを構えるように風景にかざすと地名や店の名前を表示してくれるサービスが実現している。」という意味を有する「拡張現実(Augmented Reality)」の略語として、また、「Room」の文字は、「部屋」、「シミュレーター(Simulator)」の文字は、「特定の状況を仮想的に実現して実験や練習を行う、シミュレーション用のハードやソフト。」の意味を有する語として、それぞれ一般的に知られているものであり、本願商標はそれらの語を結合させたものと容易に理解されるものである。
さらに、近年、AR(拡張現実)を使ったシミュレーションが様々な分野で行われており、部屋のシミュレーションを行うことができる商品を「ルームシミュレータ」等と称していることが認められ、また、実際に、本願の指定商品を取り扱う業界において、拡張現実技術を使って部屋のシミュレーションを行うことができる商品の取引が行われている実情が認められる。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者に、「拡張現実技術を使って部屋のシミュレーションを行うことができる商品」であることを認識させるにとどまるものであるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「AR Room Simulator」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中「AR」の文字は、「情報技術によって、現実世界を仮想世界にまで拡張し、現実と仮想を重ね合わせた環境をいう。拡張現実。」を意味する「augmented reality」の略語である(出典:「現代用語の基礎知識2023」株式会社自由国民社)。
また、同構成中「Room」の文字は「室。部屋。」を、「Simulator」の文字は「シミュレーションをするための装置。コンピューターを用いる場合には、そのためのプログラムを指すことがある。模擬装置。」を、それぞれ意味する語であって(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、それらの表音である「ルーム」及び「シミュレーター」の文字も含め、いずれも我が国において広く使用、理解されているものである。
そして、原審で提示した情報のほか、別掲1のインターネット情報が示すように、家具などを購入するときに、その商品を実際に部屋に設置した場合にどのような配置となるか、事前にシミュレーションするためのソフトウェア等が、一般に開発、提供等されている実情が認められる。
加えて、そのようなソフトウェア等を「ルームシュミレーター(ルームシュミレータ)」と称している事例も見受けられ(原審で提示した情報のほか、別掲1(1))、また、そのようなソフトウェア等に拡張現実の技術が用いられていることも少なくない(原審で提示した情報のほか、別掲1(4))。
さらに、原審で提示した情報のほか、別掲2のインターネット情報が示すように、拡張現実(AR)の技術を用いた様々な分野におけるシミュレーション用のソフトウェア等が、近時、広く一般的に開発、提供等されている実情が認められる。
加えて、原審で提示した情報のほか、別掲1(3)や別掲2(2)及び同(4)、並びに、別掲3のインターネット情報が示すように、「何からの事物(○○)に関するシミュレーションをするための装置又はプログラム」を「○○シミュレーター(SIMULATOR)」と表現している事例も見受けられる。
以上の実情を総合的に勘案すれば、本願商標は、「拡張現実の技術を用いた、部屋に関する(家具等の配置などの)シミュレーションをするための装置又はプログラム」ほどの意味合いを表すものとして認識されるというのが相当であり、これをその指定商品中、別掲4の商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「拡張現実の技術を用いた、部屋に関する(家具等の配置などの)シミュレーションをするための装置若しくはプログラム、又は、それに関連する商品」であるという、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、その指定商品中、上記商品以外の別掲4の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は構成上一体不可分の商標として請求人が創出した造語と認識、把握されるのが自然であり、これを「AR」、「Room」、及び、「Simulator」の各文字部分に分離し、各々の意味合いを抽出した上で、これを結合させて意味合いを理解、把握することは、簡易迅速を尊ぶ商取引の現場においては想定し難いものといわざるを得ず、実際に、「AR Room Simulator」の文字は、一般的に商品の品質、役務の質を表示する用語として流通し機能している事実はなく、専門的な辞書辞典類はおろか、一般的な辞書辞典類においても一切掲載されてはいない旨主張する。
しかしながら、本願商標構成中の「AR」「Room」及び「Simulator」の各文字の間には1文字分のスペースがあり、また、それぞれが我が国において一定程度知られた語であることからすれば、本願商標がそれらの3語を結合させてなるものであることは、容易に理解、認識できるものである。
そして、上記(1)のとおり、家具などを購入するときに、その商品を実際に部屋に設置した場合にどのような配置となるか、事前にシミュレーションするためのソフトウェア等が、一般に開発、提供等されている実情があることに加え、そのようなソフトウェア等が「ルームシュミレーター(ルームシュミレータ)」と称されている事例があること、それらに拡張現実の技術が用いられていることも少なくないことなどからすれば、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標を特定の意味合いを有するものと認識できないとはいい難く、むしろ、「拡張現実の技術を用いた、部屋に関する(家具等の配置などの)シミュレーションをするための装置又はプログラム」ほどの意味合いを理解するとみるべきである。
また、本願商標それ自体としては使用例や辞書等の掲載事例が見受けられないとしても、上述の実情等があることからすれば、本願商標をその指定商品中、別掲4の商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者によって、「拡張現実の技術を用いた、部屋に関する(家具等の配置などの)シミュレーションをするための装置若しくはプログラム、又は、それに関連する商品」であることを表示するものとして一般に認識されるといえ、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品識別力を欠くものというのが相当である。
イ 請求人は、原審提示のインターネット情報について、近年の高度情報化社会において、インターネットといった情報収集手段を駆使してもたったの数件の、その上本願商標の構成態様とはおおよそかけ離れたインターネット上の使用例のみしか収集できないとすると、そのような語は、社会全体に通用しているとは到底認め難く、また、その商標が自他商品識別力を欠くものの根拠となる使用例は、その商標がその商品の品質を表すものとして一般に使用されている事実であって、その商標が単に表示されているにすぎない使用例は何らの参考にもなり得ず、自他商品識別力の存在を否定する根拠とするべきではないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、本願商標をその指定商品に使用した場合における取引者、需要者の認識を推し量るに当たり、本願商標を構成する各語の使用状況や、その意味に相応する内容の商品又は役務の販売、提供等の実情を勘案することは合理的というべきであるし、原審提示の情報や、別掲1ないし3のごとき情報に基づいて、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標からどのような意味合いを認識するかを推し量ることは妥当であって、審理において勘案されて然るべきものである。
また、何件の使用例をもって取引者、需要者の認識を推し量るかについては、当該商標を構成する各文字の語義、性質、態様、商品・役務との関係、需要者層、社会背景、取引実情等の要素によって変化するものであって、原審提示の情報並びに別掲1ないし3の情報が、本件の判断をするに当たっての情報量として一概に不十分なものとはいえない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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