特許拒絶査定不服審判
2022-015099
導波管およびボードを連結するコネクタ
- 審判番号
- 2022-015099
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-551927
- 請求日
- 2022年09月22日
- 審決日
- 2023年10月10日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ポイントツー テクノロジー インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人白坂
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 高野 洋
- 審判官 丸山 高政
- 分類
- P18 .113-Z (H01P) / P18 .121-Z (H01P)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-551927「導波管およびボードを連結するコネクタ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月10日国際公開、WO2019/194657、令和 3年 7月26日国内公表、特表2021-517773〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)4月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年(平成30年)4月6日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月28日 :意見書・手続補正書
令和4年 5月13日付け:拒絶査定
令和4年 9月22日 :審判請求書・手続補正書
以下では、令和4年5月13日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年9月22日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
導波管(waveguide)およびボード(board)を連結するコネクタ(connector)であって、
ボードの一面と垂直な方向に形成され、前記ボードの一面に結合される第1開口部と、
信号伝送のための導波管が結合可能であり、前記導波管は誘電体部および前記誘電体部を囲む金属部を含み、前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され、前記導波管の長さ方向と平行な方向に形成される第2開口部であって、前記第2開口部は前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分が挿入されるように構成される、前記第2開口部と、
前記第1開口部および前記第2開口部を互いに連結し伝導層で囲まれた中空(hollowness)を内部に含む信号ガイド部と、
を含み、前記中空には空気を除く絶縁体が含まれる、コネクタ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年2月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
導波管(waveguide)およびボード(board)を連結するコネクタ(connector)であって、
ボードの一面と垂直な方向に形成され、前記ボードの一面に結合される第1開口部と、
信号伝送のための導波管が結合可能であり、前記導波管の長さ方向と平行な方向に形成される第2開口部と、
前記第1開口部および前記第2開口部を互いに連結し伝導層で囲まれた中空(hollowness)を内部に含む信号ガイド部と、
を含み、前記中空には空気を除く絶縁体が含まれる、コネクタ。」
2 本件補正の目的
(1)本件補正は、以下の補正事項A及びBからなる。
補正事項A:本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「導波管」について、本件補正後では、「前記導波管は誘電体部および前記誘電体部を囲む金属部を含み、前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され」という限定を付加すること。
補正事項B:本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2開口部」について、本件補正後では、「前記第2開口部は前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分が挿入されるように構成される」という限定を付加すること。
(2)前記(1)によれば、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「導波管」及び「第2開口部」の内容について限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 本件補正の適否
前記2のとおり、請求項1についての本件補正の目的は、特許請求の範囲の減縮に該当するので、本件補正後の請求項1(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に示したとおりのものである。なお、後の参照の便宜のため、本件補正発明を以下のようにA~Fに分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
「【請求項1】
A 導波管(waveguide)およびボード(board)を連結するコネクタ(connector)であって、
B ボードの一面と垂直な方向に形成され、前記ボードの一面に結合される第1開口部と、
C 信号伝送のための導波管が結合可能であり、前記導波管は誘電体部および前記誘電体部を囲む金属部を含み、前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され、前記導波管の長さ方向と平行な方向に形成される第2開口部であって、前記第2開口部は前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分が挿入されるように構成される、前記第2開口部と、
D 前記第1開口部および前記第2開口部を互いに連結し伝導層で囲まれた中空(hollowness)を内部に含む信号ガイド部と、を含み、
E 前記中空には空気を除く絶縁体が含まれる、
F コネクタ。」
(2)引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された特開2017-192101号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した。
ア 「【0001】
本技術は、導波管用コネクタ、通信モジュール、伝送ケーブル、及び、電子機器に関し、特に、複数の導波管により信号を伝送する場合に用いて好適な導波管用コネクタ、通信モジュール、伝送ケーブル、及び、電子機器に関する。」
イ 「【0041】
図2及び図3は、伝送ケーブル12を接続した状態の通信モジュール21aを模式的に示している。図2は、通信モジュール21aを上方から見た模式図であり、図3は、通信モジュール21aを側方から見た模式図である。
【0042】
なお、以下、通信モジュール21aの伝送ケーブル12が挿入される方向を前後方向とし、伝送ケーブル12が接続されている側を後ろ側とし、その反対側を前側とする。また、以下、通信モジュール21aの基板101の面に垂直な方向を上下方向とし、図2に示されている側を上側とし、その反対側を下側とする。さらに、以下、上述した前後方向及び上下方向に垂直な方向を通信モジュール21aの左右方向とし、図3に示されている側を左側とし、その反対側を右側とする。
【0043】
通信モジュール21aは、基板101、送信チップ102a、送信チップ102b、受信チップ103a、受信チップ103b、シールド104a、シールド104b、コネクタ105、及び、コネクタ106を備えている。
【0044】
基板101は、誘電体からなる基板であり、例えば、FR4(Flame Retardant Type 4)等の樹脂からなる。
【0045】
基板101の上面には、受信チップ103a、送信チップ102a、コネクタ105が、基板101の前端から所定の距離だけ離れた位置から前後方向に並ぶように実装されている。基板101の下面には、コネクタ106、送信チップ102b、受信チップ103bが、基板101の略前端付近から前後方向に並ぶように実装されている。受信チップ103aと送信チップ102bは、基板101を挟んで略同じ位置に実装されており、送信チップ102aと受信チップ103bは、基板101を挟んで略同じ位置に実装されている。また、基板101の上面であって、コネクタ105が実装されている位置には、左右に延びるスロット121a乃至スロット121dが、前後方向に並ぶように形成されている。
【0046】
送信チップ102aは、コネクタ106及び基板101を介して、電子機器11aの信号処理部22aから供給されるベースバンド信号をミリ波帯の信号(以下、ミリ波信号と称する)にアップコンバートする。また、送信チップ102aは、得られたミリ波信号を、基板101、コネクタ105、及び、伝送ケーブル12の導波管201aを介して、電子機器11bに送信する。」
ウ 「【0052】
コネクタ105は、伝送ケーブル12の接続用のコネクタであり、伝送ケーブル12の着脱が可能である。
【0053】
コネクタ106は、通信モジュール21aを電子機器11aのマザーボード等に接続するためのコネクタである。
【0054】
なお、電子機器11bの通信モジュール21bは、通信モジュール21aと同様の構成を有しており、その説明は省略する。
【0055】
伝送ケーブル12は、導波管201a乃至導波管201d、及び、導電板202a乃至導電板202cを備えている。
【0056】
導波管201a乃至導波管201dにおいては、断面が略矩形の管状の導電層の内部が誘電体で満たされている。導電層には、例えば、金属が用いられる。誘電体には、例えば、LCP、液晶ポリマ、テフロン、セラミック等の絶縁性樹脂が用いられる。また、導波管201a乃至導波管201dは、フレキシブルであり、容易に折り曲げ可能である。
【0057】
なお、導波管201a乃至導波管201dの導電層の内部を中空とすることも可能である。」
エ 「【0062】
次に、図4乃至図7を参照して、コネクタ105の詳細について説明する。図4は、コネクタ105を斜め下方向から見た斜視図であり、図5は、コネクタ105を斜め上方向から見た斜視図である。図6は、コネクタ105を下面(基板101に装着される装着面)側から見た図であり、図7は、コネクタ105の後面(伝送ケーブル12が挿入される挿入面)側から見た図である。
【0063】
コネクタ105は、本体部151、導体バネ152L、導体バネ152R、導体バネ153aL乃至153cR、及び、導電性ゴム154a乃至154cを備える。導体バネ152L、導体バネ152R、導体バネ153aL乃至153cR、及び、導電性ゴム154a乃至154cは、それぞれ導電性を有している。
【0064】
本体部151は、表面が導電性を有する略直方体の部材(例えば、金属製の部材、プラスチック等の表面に金属メッキを施した部材等)からなる。本体部151の後面及び下面には、開口部161が形成されている。開口部161の左右方向の幅は、導波管201の幅より少し広く、高さは、伝送ケーブル12の上下方向(導波管201の積層方向)の厚みより少し大きい。
【0065】
また、本体部151の後面には、スロット162a乃至スロット162cが、所定の間隔を空けて上下に並ぶように形成されている。スロット162a乃至スロット162cは、伝送ケーブル12の導電板202a乃至導電板202cより幅及び厚みが少し大きく、開口部161からさらに左右に広がっている。
【0066】
この開口部161及びスロット162a乃至スロット162cにより、伝送ケーブル12を挿入するための挿入部が構成される。」
オ 「【0071】
さらに、本体部151には、導波路163a乃至導波路163cが形成されている。導波路163a乃至導波路163cは、断面が左右に細長い矩形の孔が、L字型に折れ曲がった形状を有しており、それぞれ本体部151の挿入部と下面とを接続する。
【0072】
なお、以下、基板101に実装される面であるコネクタ105の本体部151の下面を実装面とも称する。なお、以下、基板101の各部品(例えば、コネクタ105等)が実装される面も実装面と称する。
【0073】
導波路163aは、導波管201a用の導波路である。導波路163aの一方の開口は、導波管201aの断面より少し大きい矩形であり、開口部161の奥においてスロット162aの上に形成されている。導波路163aの他方の開口は、本体部151の下面において、基板101のスロット121aに対応する位置に形成されている。」
カ 「【0078】
また、導波路163a乃至導波路163c、及び、導波管201d用の導波路に対して、例えば、寸法を調整したり、又は、特定の誘電率の誘電体を充填したりする等により、各導波路間の整合性をとるように特性インピーダンスが調整される。
【0079】
なお、以下、導体バネ152Lと導体バネ152Rを個々に区別する必要がない場合、単に導体バネ152と称する。また、以下、導体バネ153aL乃至導体バネ153cRを個々に区別する必要がない場合、単に導体バネ153と称する。
【0080】
次に、図8乃至図11を参照して、伝送ケーブル12の詳細について説明する。図8は、伝送ケーブル12の電子機器11a側の端部付近の斜視図であり、図9は、伝送ケーブル12の電子機器11a側の端部付近の平面図であり、図10は、伝送ケーブル12の電子機器11a側の端部付近の左側面図であり、図11は、伝送ケーブル12の電子機器11a側の端部付近の正面図である。
【0081】
伝送ケーブル12においては、導波管201a乃至導波管201dの端部が揃えられ、幅の広い方の側面が向き合うように縦方向に並べられている(積層されている)。導波管201aと導波管201bの間には、導電板202aが挿入され、導波管201aと導波管201bの対向する面が、導電性の接着材により導電板202aの互いに反対側の面に接合されている。導波管201bと導波管201cの間には、導電板202bが挿入され、導波管201bと導波管201cの対向する面が、導電性の接着材により導電板202bの互いに反対側の面に接合されている。導波管201cと導波管201dの間には、導電板202cが挿入され、導波管201cと導波管201dの対向する面が、導電性の接着材により導電板202cの互いに反対側の面に接合されている。」
キ 「【0085】
図12乃至図14は、コネクタ105に伝送ケーブル12を挿入した状態を示している。具体的には、図12は、コネクタ105の各部と伝送ケーブル12の位置関係を模式的に示している。図13は、コネクタ105に伝送ケーブル12を挿入した状態を、コネクタ105の後ろ側(挿入面側)から見た場合の模式図である。図14は、コネクタ105に伝送ケーブル12を挿入した状態における伝送ケーブル12の左上付近を模式的に示している。
【0086】
伝送ケーブル12をコネクタ105の挿入部(開口部161及びスロット162a乃至スロット162c)に挿入すると、導電板202a乃至導電板202cが、スロット162a乃至スロット162cに挿入される。また、導電板202a乃至導電板202cの先端が、スロット162a乃至スロット162cの奥の導電性ゴム154a乃至導電性ゴム154cに当接し、密着する。これにより、各導電板202とコネクタ105の間の隙間を塞ぎ、電磁波漏れを抑制することができる。また、各導波管202が、基板101の実装面(コネクタ105の本体部151の実装面)に対して略垂直な方向(上下方向)に並べられる。」
(当審注:【0086】の「各導波管202」は、「各導波管201」の誤記と認める。)
ク 「【0089】
このように、伝送ケーブル12をコネクタ105に挿入すると、導体バネ152及び導体バネ153により、伝送ケーブル12が全体的に下方向に押し付けられ、各導波管201が、直接又は間接的に下方向に押し付けられる。これにより、伝送ケーブル12がコネクタ105の挿入部に固定され、各導波管201の位置が固定される。また、コネクタ105の下面(実装面)に最も近い位置に挿入されている導波管201dの下面が、開口部161の下面の開口を介して、基板101の上面に接触し、密着する。」
ケ 「【0096】
次に、図15を参照して、通信モジュール21aと伝送ケーブル12との間の信号の流れについて説明する。図15は、図3の点線の枠A1で囲まれた部分の断面を模式的に示している。
【0097】
基板101の上面及び下面には、導体層122a及び導体層122eが形成されている。また、基板101の内部にも導体層122b乃至導体層122dが形成されており、導体層122b乃至導体層122dにより、基板101が第1層101A乃至第4層101Dに分かれる。導体層122a乃至導体層122eは、例えば、銅箔からなる。
【0098】
また、コネクタ105の導波路163a乃至導波路163cの開口部に対応する位置において、導体層122aに開口部が設けられており、この開口部がスロット121a乃至スロット121cを構成する。さらに、コネクタ105の開口部161の奥付近において、導体層122aに開口部が設けられており、この開口部がスロット121dを構成する。
【0099】
また、導体層122aと導体層122bは、複数本のビア123aにより連結されている。導体層122bと導体層122cは、複数本のビア123bにより連結されている。導体層122cと導体層122dは、複数本のビア123cにより連結されている。導体層122dと導体層122eは、複数本のビア123dにより連結されている。
【0100】
そして、導体層122a及び導体層122b、並びに、ビア123aで囲まれる領域により、導波路124aが形成されている。導波路124aは、基板101の第1層101Aにおいて、スロット121aと送信チップ102aとの間を接続する。送信チップ102aから出力されたミリ波信号は、基板101の導波路124a、及び、コネクタ105の導波路163aを介して、導波管201aに挿入される。」
コ 「【図2】
[図:0001407234000001.jpg]
」
サ 「【図3】
[図:0001407234000002.jpg]
」
シ 「【図4】
[図:0001407234000003.jpg]
」
ス 「【図12】
[図:0001407234000004.jpg]
」
セ 「【図15】
[図:0001407234000005.jpg]
」
ソ 前記ア~セによれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明をa~xに分説し、「分説a」のようにして参照する。(アルファベット小文字の「l」は、算用数字の「1」及びアルファベット大文字の「I」と紛らわしいので、使用しない。)
「a 通信モジュール21aに備わるコネクタ105であって、(【0043】)
b 基板101の上面には、送信チップ102a、コネクタ105が実装され、(【0045】)
c 送信チップ102aは、ミリ波信号を、基板101、コネクタ105、及び、伝送ケーブル12の導波管201aを介して、電子機器11bに送信し、(【0046】)
d コネクタ105は、伝送ケーブル12の接続用のコネクタであり、伝送ケーブル12の着脱が可能であり、(【0052】)
e 伝送ケーブル12は、導波管201aを備え、(【0055】)
f 導波管201aにおいては、断面が略矩形の管状の導電層の内部が誘電体で満たされ、(【0056】)
g 導電層には、金属が用いられ、(【0056】)
h コネクタ105は、本体部151を備え、(【0063】)
i 本体部151は、表面が導電性を有する略直方体の部材からなり、本体部151の後面及び下面には、開口部161が形成され、(【0064】)
j 本体部151の後面には、スロット162a乃至スロット162cが、所定の間隔を空けて上下に並ぶように形成され、(【0065】)
k 開口部161及びスロット162a乃至スロット162cにより、伝送ケーブル12を挿入するための挿入部が構成され、(【0066】)
m 本体部151には、導波路163aが形成され、(【0071】)
n 導波路163aは、断面が左右に細長い矩形の孔が、L字型に折れ曲がった形状を有しており、本体部151の挿入部と下面とを接続し、(【0071】)
o 導波路163aは、導波管201a用の導波路であり、(【0073】)
p 導波路163aの一方の開口は、開口部161の奥においてスロット162aの上に形成され、(【0073】)
q 導波路163aの他方の開口は、本体部151の下面において、基板101のスロット121aに対応する位置に形成され、(【0073】)
r 導波路163aに対して、特定の誘電率の誘電体を充填したりする等により、各導波路間の整合性をとるように特性インピーダンスが調整され、(【0078】)
s 伝送ケーブル12をコネクタ105の挿入部に挿入すると、各導波管201が、基板101の実装面に対して略垂直な方向に並べられ、(【0086】)
t 伝送ケーブル12をコネクタ105に挿入すると、伝送ケーブル12がコネクタ105の挿入部に固定され、各導波管201の位置が固定され、(【0089】)
u 基板101の上面には、導体層122aが形成され、(【0097】)
v コネクタ105の導波路163aの開口部に対応する位置において、導体層122aに開口部が設けられており、この開口部がスロット121aを構成し、(【0098】)
w 送信チップ102aから出力されたミリ波信号は、基板101の導波路124a、及び、コネクタ105の導波路163aを介して、導波管201aに挿入される、(【0100】)
x コネクタ105。」
(3)本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 発明特定事項A及びFについて
(ア)引用発明の「導波管201a」、「基板101」及び「コネクタ105」は、それぞれ本件補正発明の「導波管(waveguide)」、「ボード(board)」及び「コネクタ(connector)」に相当する。
(イ)引用発明では、「基板101の上面」に「コネクタ105が実装され」(分説b)、「コネクタ105は、伝送ケーブル12の接続用のコネクタであり」(分説d)、「伝送ケーブル12は、導波管201aを備え」(分説e)ており、「ミリ波信号は、基板101の導波路124a、及び、コネクタ105の導波路163aを介して、導波管201aに挿入される」(分説w)。
したがって、「コネクタ105」が「導波管201a」及び「基板101」を連結することは明らかである。
(ウ)前記(ア)及び(イ)より、本件補正発明と引用発明とは、「導波管(waveguide)およびボード(board)を連結するコネクタ(connector)」である点で一致する。
イ 発明特定事項Bについて
(ア)引用発明において、「コネクタ105」は「本体部151」を備え(分説h)ており、「導波路163aの他方の開口は、本体部151の下面において、基板101のスロット121aに対応する位置に形成され」(分説q)るから、該「導波路163aの他方の開口」(以下「下面開口部」という)は、本件補正発明の「第1開口部」に相当する。
(イ)引用発明では、「基板101の上面には、導体層122aが形成され」(分説u)、「導波路163aの開口部に対応する位置において、導体層122aに開口部が設けられており、この開口部がスロット121aを構成」(分説v)するから、引用発明の「下面開口部」は、「基板101の上面」に結合されると認められる。
そうすると、引用発明の「下面開口部」(前記(ア))と本件補正発明の「第1開口部」とは、「ボードの一面に結合される」点で一致する。
(ウ)引用発明では、「基板101の上面には、導体層122aが形成され」(分説u)、「導体層122aに開口部が設けられており、この開口部がスロット121aを構成し」(分説v)、「導波路163aの他方の開口は、本体部151の下面において、基板101のスロット121aに対応する位置に形成され」(分説q)る。ここで、図15も参照すると、引用発明の「下面開口部」が「基板101の上面」と垂直な方向に形成されることは明らかである。
したがって、引用発明の「下面開口部」(前記(ア))と本件補正発明の「第1開口部」とは、「ボードの一面と垂直な方向に形成され」る点で一致する。
(エ)前記(ア)~(ウ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「ボードの一面と垂直な方向に形成され、前記ボードの一面に結合される第1開口部」を含む点で一致する。
ウ 発明特定事項Cについて
(ア)引用発明において、「伝送ケーブル12をコネクタ105の挿入部に挿入すると」、「伝送ケーブル12がコネクタ105の挿入部に固定され、各導波管201の位置が固定され」(分説s及びt)る。ここで、図12も参照すると、「導波管201a」が「挿入部」に挿入されることは明らかである。
したがって、引用発明の「挿入部」は、本件補正発明の「第2開口部」に相当し、本件補正発明の「第2開口部」と引用発明の「挿入部」とは、「導波管が挿入されるように構成される」点で共通する。
(イ)引用発明では、「伝送ケーブル12をコネクタ105の挿入部に挿入すると、各導波管201が、基板101の実装面に対して略垂直な方向に並べられ」(分説s)るから、「挿入部」は「導波管201」の長さ方向と平行な方向に形成されることは明らかである。
そうすると、本件補正発明の「第2開口部」と引用発明の「挿入部」とは、「導波管の長さ方向と平行な方向に形成される」点で共通する。
(ウ)引用発明では、「導波管201aにおいては、断面が略矩形の導電層の内部が誘電体で満たされ」(分説f)ており、「導電層には、金属が用いられ」(分説g)るから、引用発明の「誘電体」及び「導電層」は、それぞれ本件補正発明の「誘電体部」及び「金属部」に相当し、本件補正発明と引用発明とは、「導波管は誘電体部および誘電体部を囲む金属部を含」む点で共通する。
(エ)引用発明において、「導波管201a」は「挿入部」に挿入され(前記(ア))、「ミリ波信号」は「導波管201aを介して」送信(分説c)されるから、本件補正発明の「第2開口部」と引用発明の「挿入部」とは、「信号伝送のための導波管が結合可能」である点で共通する。
(オ)引用発明において、「誘電体」の少なくとも一部が「導電層」によって囲まれずに露出されるか否かは不明である。それに付随して、引用発明では、「挿入部」に挿入される「導波管201a」について、「導波管201a」で「誘電体」が「導電層」によって囲まれずに露出される部分が挿入されるか否かは不明である。
(カ)前記(ア)~(オ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「信号伝送のための導波管が結合可能であり、前記導波管は誘電体部および前記誘電体部を囲む金属部を含み、前記導波管の長さ方向と平行な方向に形成される第2開口部であって、前記第2開口部は前記導波管が挿入されるように構成される、前記第2開口部」を含む点で共通するが、引用発明において、「前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され」るか否かは不明であり、それに付随して、引用発明では、「前記第2開口部」に挿入される「前記導波管」について、「前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分」が挿入されるか否かは不明である点で、本件補正発明と相違する。
エ 発明特定事項Dについて
(ア)引用発明において、「本体部151には、導波路163aが形成され」(分説m)、「ミリ波信号」は「導波路163aを介して、導波管201aに挿入される」(分説w)から、引用発明の「本体部151」は、本件補正発明の「信号ガイド部」に相当する。
(イ)引用発明において、「本体部151には、導波路163aが形成され」(分説m)、「本体部151は、表面が導電性を有」(分説i)している。また、「導波路163a」は「矩形の孔」(分説n)であるから中空であることは明らかである。そうすると、引用発明の「本体部151」は、導電性を有する本体部の表面で囲まれた中空を内部に含んでいると認められる。
したがって、引用発明の「本体部151」と本件補正発明の「信号ガイド部」とは、「伝導層で囲まれた中空(hollowness)を内部に含む」点で一致する。
(ウ)引用発明の「導波路163a」は、「矩形の孔が、L字型に折れ曲がった形状を有しており、本体部151の挿入部と下面とを接続」(分説n)している。
したがって、前記イ(ア)及びウ(ア)を考慮すると、引用発明の「本体部151」と本件補正発明の「信号ガイド部」とは、「前記第1開口部および前記第2開口部を互いに連結」する点で一致する。
(エ)前記(ア)~(ウ)より、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1開口部および前記第2開口部を互いに連結し伝導層で囲まれた中空(hollowness)を内部に含む信号ガイド部」を含む点で一致する。
オ 発明特定事項Eについて
引用発明において、「導波路163a」は中空であり(前記エ(イ))、「導波路163aに対して、特定の誘電率の誘電体を充填」(分説r)するものであって、誘電体は絶縁体であるから、本件補正発明と引用発明のとは、「前記中空には空気を除く絶縁体が含まれる」点で一致する。
カ 前記ア~オによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「導波管(waveguide)およびボード(board)を連結するコネクタ(connector)であって、
ボードの一面と垂直な方向に形成され、前記ボードの一面に結合される第1開口部と、
信号伝送のための導波管が結合可能であり、前記導波管は誘電体部および前記誘電体部を囲む金属部を含み、前記導波管の長さ方向と平行な方向に形成される第2開口部であって、前記第2開口部は前記導波管が挿入されるように構成される、前記第2開口部と、
前記第1開口部および前記第2開口部を互いに連結し伝導層で囲まれた中空(hollowness)を内部に含む信号ガイド部と、
を含み、前記中空には空気を除く絶縁体が含まれる、コネクタ。」
<相違点>
本件補正発明では、「前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され」、前記第2開口部は「前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分」が挿入されるように構成されるのに対して、引用発明では、「前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され」るか否かは不明であり、それに付随して、引用発明では、「前記第2開口部」に挿入される「前記導波管」について、「前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分」が挿入されるか否かは不明である点。
(4)相違点についての判断
相違点について検討する。
ア 本件補正発明は「コネクタ」についての発明であるところ、前記相違点に係る「前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され」との発明特定事項(以下「発明特定事項α」という。)及び「前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分」との発明特定事項(以下「発明特定事項β」という。)は、いずれも導波管の構成を特定したものであって、導波管の誘電体部が金属部によって囲まれずに露出されることによって、コネクタの構造や機能が変わるものではないから、前記発明特定事項α及びβは、本件補正発明の「コネクタ」の構成を特定するものではない。
なお、発明の詳細な説明(特に【0023】~【0050】)を参照しても、導波管の誘電体部が金属で囲まれずに露出することで、コネクタの構造や機能が変わることが記載されているとは認められない。
そうすると、前記相違点に係る発明特定事項α及びβは、本件補正発明の「コネクタ」の構造、機能等を何ら特定するものではない。
したがって、前記相違点は実質的な相違点とはいえない。
イ 仮に、前記相違点に係る構成がコネクタの構成を特定するものであったとしても、以下の(ア)~(エ)のとおりである。
(ア)引用発明では、「ミリ波信号」は、「コネクタ105の導波路163aを介して、導波管201aに挿入される」(分説w)。
(イ)引用発明の「導波管201a」は、「断面が略矩形の管状の導電層の内部が誘電体で満たされている」(分説f)から、誘電体導波管である。ここで、誘電体導波管において、誘電体部分で信号が伝送されることは技術常識である。
(ウ)前記(イ)を考慮すると、「ミリ波信号」を「コネクタ105の導波路163aを介して、導波管201aに挿入」(前記(ア))するためには、コネクタ105内において、導波路163aから送出された信号が、導波管201aにおいて導電層で覆われていない誘電体部分に伝送される必要がある。
そうすると、導波路163aから送出された信号を導波管201aの誘電体部分に伝送できる程度に、例えば、コネクタに挿入される「導波管201a」の「端部」(【0081】)において、導波路163aの後面側の開口に対向する面を、該誘電体部分を導電層で囲まずに露出するように構成することは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、格別のことではない。
また、コネクタ105内で導波管201aに信号を伝送するために、導波管201aの端部において、導電層で囲まずに露出させた場合、露出される誘電体部分は、当然、挿入部に挿入されるように構成される。
(エ)前記(ア)~(ウ)によれば、引用発明の「導波管201a」について、「誘電体」の少なくとも一部は「導電層」によって囲まれずに露出され、「挿入部」は、「導波管201a」で「誘電体」が「導電層」によって囲まれずに露出される部分が挿入されるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
(オ)本件補正発明の効果について検討しても、引用発明の構成から自明に得られるものであり、格別のものとは認められない。
ウ 請求人は、前記相違点について、審判請求書4頁において、次のように主張する。
「「第2開口部」、「導波管」、及びこれらの結合構造において、「信号伝送のための導波管が結合可能であり、前記導波管は誘電体部および前記誘電体部を囲む金属部を含み、前記誘電体部の少なくとも一部は前記金属部によって囲まれずに露出され、前記導波管の長さ方向と平行な方向に形成される第2開口部であって、前記第2開口部は前記導波管で前記誘電体部が前記金属部によって囲まれずに露出される部分が挿入されるように構成される、前記第2開口部」という本願発明に特有の構成を備えることにより、信号伝送時に発生し得る信号損失が低減されるという本願発明に特有の作用効果を奏します。」
しかしながら、前記アで示したとおり、前記相違点は実質的な相違点ではなく、本件補正発明に特有の構成を備えるとはいえない。また、仮に、前記相違点に係る構成がコネクタの構成を特定するものであったとしても、前記イで示したとおり、前記相違点に係る構成は、当業者が容易になし得たことである。
また、前記イ(オ)のとおり、前記相違点に係る構成による信号損失の低減は、格別のものとは認められない。
よって、請求人の主張は採用できない。
エ 前記ア~ウによれば、本件補正発明は引用発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、仮に、前記相違点が認められるとしても、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
第4 原査定の概要
原査定の概要は、以下のとおりである。
(新規性)この出願の請求項1及び3~5に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項1及び3~5に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項2に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2017-192101号公報
引用文献2.特開2004-40405号公報
第5 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に示したとおりである。
第6 本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、前記第2[理由]2補正事項A及びBで示した限定事項を削除したものである。
そして、前記第2[理由]3(3)カで示した相違点は、該補正事項A及びBで示される限定事項に係るものであるから、本願発明は、該相違点を発明特定事項としていない。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]3(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明と同一であり、仮に、本件補正発明において前記相違点が認められるとしても、本願発明は、該相違点を発明特定事項としないから、引用発明と同一である。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-015099