商標拒絶査定不服審判
2022-015039
マミヤドー、マミヤ
- 審判番号
- 2022-015039
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-040901
- 請求日
- 2022年09月22日
- 審決日
- 2024年03月15日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ハートランドフェリー株式会社
- 【請求人代理人】佐川 慎悟
- 【請求人代理人】太田 清子
- 【請求人代理人】川野 陽輔
- 【請求人代理人】江部 陽子
- 【請求人代理人】大窪 智行
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .14 -Z (W3043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第4号、特許法第150条第5項、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-40901拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年4月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年6月3日付け:拒絶理由通知書
令和4年6月28日:意見書の提出
令和4年6月29日:手続補足書の提出
令和4年7月22日付け:拒絶査定
令和4年9月22日:審判請求書、手続補足書の提出
令和5年10月27日付け:証拠調べ通知書
令和5年12月8日:意見書、手続補足書の提出
2 本願商標
本願商標は、「間宮堂」の文字を標準文字で表してなり、第30類「ラーメンスープ付きラーメンの麺,ラーメンの麺,カップ入りのラーメンスープ付きラーメンの麺,即席中華そばの麺,中華そばの麺,調理済み麺類,穀物の加工品,調理済みラーメン,調理済み冷凍ラーメン,調理済みのカレーライス,調理済みの丼物,弁当,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,ラビオリ,ラーメンのつゆ,ラーメンのたれ,ラーメン用スープの素,ラーメン用だし,ラーメン用の調味料,調味料,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,パスタソース,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,即席菓子のもと」及び第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供,日本料理を主とする飲食物の提供,宅配を特長とするラーメンを主とする飲食物の提供,出前を特長とするラーメンを主とする飲食物の提供,テイクアウト可能なラーメンを主とする飲食物の提供,移動式店舗による飲食物の提供,テイクアウト可能なレストランにおける飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,ケータリング(飲食物),すぐに消費可能な食事の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,飲食物の提供,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,食器の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「間宮堂」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「間宮」の文字は、姓氏の一つであって、我が国においてありふれた氏の一つである。また、その構成中の「堂」の文字は、商号や屋号に慣用的に付される語であるから、これらを結合した本願商標は、全体として、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
4 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲5に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、前記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
5 証拠調べに対する請求人の意見(要旨)
「間宮」姓の者は全国に1万人ほどと、全国的にみてもその数は多いとはいえず、他の姓氏の者の数との比較による順位も高いとはいえない。これは、「MAMIYA」等の欧文字からなる商標の登録例があることからも、妥当な主張である。また、過去の審決例において、「間宮」よりも人数の多い姓氏からなる商標が「ありふれた氏とはいえない」と判断されている。
証拠調べ通知書中に記載された、「○○堂」の文字の使用例は、一体不可分の構成態様からなるものであり、商標的に使用されているか、他の「商店」等の文字と結合したものか、「間宮」より人数の多い姓氏と「堂」の文字の結合からなるものか、本願指定商品及び指定役務とは異なる商品又は役務に使用されているものであって、本願商標「間宮堂」とは事案を異にするものである。
本願商標は、請求人が提供する商品・役務の商標として継続して使用されており、かつ全国的に宣伝広告がなされた結果、本願指定商品及び指定役務の取引者・需要者の間では、ありふれた氏と認識されず、むしろ、取引者及び需要者間において、請求人の商標として広く認識されているものである。
6 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第4号該当性について
ア 商標法3条は商標登録の要件を規定するものであり、同条1項柱書及び同項4号によると、「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、商標登録を受けることができないものとされている。これは、ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、多くの場合、自他商品・役務識別力を欠くと考えられることから、このような標章のみからなる商標については、登録を許さないとしたものと解される。
そして、ありふれた氏に業種名や会社の種別、屋号に慣用的に用いられる文字等を結合し、普通に用いられる方法で表示したものは、当該ありふれた氏を称する者等が取引をするに際して、商標として使用することを欲するものと考えられ、同様に特定人による独占的使用になじまず、かつ、その表示だけでは自他識別力を欠くものというべきであるから、特段の事情のない限り、「ありふれた名称」に当たると解するのが相当である(知財高判平成25年11月14日(平成25年(行ケ)第10142号)参照)。
イ 本願商標は、「間宮堂」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「間宮」の文字は、別掲1及び別掲2によれば、「広辞苑 第七版」(株式会社岩波書店)等の辞書において、「姓氏の一つ」と記載されているほか、「日本人の姓」(六藝書房)及び「名字由来net」のウェブサイトによれば、「間宮」姓の者が全国に約1万人いることも踏まえるならば、「間宮」は、我が国において、ありふれた氏の一つと認めるのが相当である。
また、本願商標の構成中の「堂」の文字は、「商店の屋号または人の雅号などに添えていう語」の意味を有する語(前掲広辞苑)であって、別掲3のとおり、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、「堂」の文字が事業者又は店舗の名称の一部として使用されている実情がある。
加えて、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、姓氏の一つを表す文字と、「堂」の文字とを結合した、「○○堂」(合議体注:「○○」には、ありふれた氏が入る。)の文字が、事業者又は店舗の名称として使用されている実情があることからすれば、本願商標は、ありふれた氏の一である「間宮」の文字に、本願商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、商店の屋号に慣用的に付される「堂」の文字を結合したにすぎず、また、その書体も特殊な態様とは認められない標準文字からなるにすぎないものであるから、その構成全体としても、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「間宮」姓の者は全国に1万人ほどと、全国的にみてもその数は多いとはいえず、他の姓氏の者の数との比較による順位も高いとはいえない旨を述べるとともに、「間宮海峡」等の、「間宮」の文字を有する語の存在並びに過去の登録例及び審決例を挙げ、本願商標の構成中の、「間宮」は、ありふれた氏とはいえない旨を主張する。
しかしながら、前記(1)イのとおり、本願商標の構成中の、「間宮」は、全国に約1万人いる、ありふれた氏に該当するものであり、また、登録出願された商標が自他商品及び自他役務の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。
加えて、たとえ姓氏「間宮」以外に、「間宮」の文字を有する語があるとしても、別掲1及び別掲2の事実に照らせば、これらの語の存在をもって、「間宮」の文字が、ありふれた氏に該当するとした、本願の判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、証拠調べ通知書中に記載された、何らかの文字又は姓氏を表す文字と、「堂」の文字とを結合してなる文字の使用例は、一体不可分の構成態様からなるものであり、商標的に使用されているか、他の「商店」等の文字と結合したものか、「間宮」より人数の多い姓氏と「堂」の文字の結合からなるものか、本願指定商品及び指定役務とは異なる商品又は役務に使用されているものであって、本願商標「間宮堂」とは事案を異にするものである旨主張する。
しかしながら、前記(1)アのとおり、ありふれた氏に業種名や会社の種別、屋号に慣用的に用いられる文字等を結合し、普通に用いられる方法で表示したものは、当該ありふれた氏を称する者等が取引をするに際して、商標として使用することを欲するものと考えられ、同様に特定人による独占的使用になじまず、かつ、その表示だけでは自他識別力を欠くものというべきであるから、特段の事情のない限り、「ありふれた名称」に当たると解するのが相当である。よって、上記「○○堂」の文字の使用例が、一体不可分の構成態様からなるものであるか否か等については、本願の判断を左右するものではない。また、これらの使用例は、何らかの文字又は姓氏を表す文字と、「堂」の文字とを結合してなる文字が、事業者又は店舗の名称として使用されている実情が、飲食物及び飲食物の提供の分野を含む、広い分野で使用されていることを示すものであるから、これらの請求人の主張は採用することができない。
ウ 請求人は、本願商標は、請求人が提供する商品・役務の商標として継続して使用されており、かつ全国的に宣伝広告がなされた結果、本願指定商品及び指定役務の取引者・需要者の間では、ありふれた氏と認識されず、むしろ、取引者及び需要者間において、請求人の商標として広く認識されているものである旨主張し、証拠方法として、甲第5号証ないし甲第12号証、甲第14号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)(以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出している。
そこで、上記証拠及び請求人の主張(令和4年6月28日付け意見書及び同5年12月8日付け意見書における主張を含む。)について、以下のとおり検討する。
(ア)「間宮堂」は、1991年(平成3年)に開店した、北海道稚内市の宗谷岬に所在するラーメン店の名称(以下「本件商標」という。)であり(甲5~甲12、甲14~甲19)、この名称は、間宮海峡を発見した冒険家の「間宮林蔵」が由来となっている(甲19)。当該ラーメン店の営業期間は、おおむね4月中旬から11月初旬である(甲11の4、甲12、甲19)。なお、本件商標の使用態様は、本願商標と異なっている(甲11の3、甲19)。
(イ)当該ラーメン店は、2021年(令和3年)11月まで、他の事業者によって運営されていたが、同月に当該事業者の破産に伴い閉店した。その後、2022年(令和4年)7月に、請求人の子会社である「株式会社ケイプ」によってリニューアルオープンされ、その旨の広告が、第三者のウェブサイト上において、株式会社ケイプ名義によってなされている(甲14、甲15)。
(ウ)前記のリニューアルオープン前の当該ラーメン店に関する情報は、観光案内サイト、グルメサイト、個人のブログ、コミュニティ誌及び自治体が運営するウェブサイトに掲載されている(甲5~甲12)。
(エ)当該ラーメン店がリニューアルオープンされる事実が、地方紙のデジタル版、全国紙のデジタル版並びに地域の情報を取り扱うウェブサイトで紹介されている(甲16~甲19)。
(オ)前記(ア)ないし(エ)によれば、本件商標は、2021年(令和3年)11月から2022年(令和4年)7月を除き、1991年(平成3年)から、「飲食物の提供」の役務について使用されているが、このうち、請求人子会社の使用に係る期間は、2022年(令和4年)7月からの、わずか約1年6か月であり、実際に、請求人子会社の事業として当該ラーメン店の営業が行われた期間は、2022年(令和4年)7月頃から同年11月頃まで、及び、2023年(令和4年)7月頃から同年11月頃までの約8か月と短いものである。そして、当該ラーメン店の店舗数は、北海道稚内市の宗谷岬に所在する1店舗のみと、本件商標が使用されている地域は限られており、また、当該ラーメン店の売上高、来客数等を把握することができる証拠は提出されていない。
加えて、請求人らによって行われた本件商標の宣伝広告は、請求人子会社である株式会社ケイプによる、当該ラーメン店のリニューアルオープンを告知する内容のプレスリリース(甲14、甲15)のみであり、前記プレスリリースのほかに、請求人らによる宣伝広告が行われていることを示す証拠は提出されていない。
さらに、第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」等の、飲食物を提供することを内容とする役務以外の本願指定商品及び指定役務について、本件商標が使用されていることを示す証拠は提出されていない。
また、提出された証拠における、リニューアル後の店舗外観の写真における「間宮堂」の文字は、帆立貝をモチーフにしたとおぼしき特徴的な図形とともに使用されているものであり、前記文字のみが独立して出所識別標識として機能を果たしていることを認めることができない。
そうすると、請求人の主張及び提出された証拠によっては、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至ったとものとは認められない。
エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
7 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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