商標拒絶査定不服審判
2022-015017
キホンノカラアゲダレ、キホンノカラアゲ、キホン
- 審判番号
- 2022-015017
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-063723
- 請求日
- 2022年09月22日
- 審決日
- 2023年10月24日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キッコーマン株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .16 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-63723拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年5月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月 1日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月11日 :意見書の提出
令和4年 6月21日付け:拒絶査定
令和4年 9月22日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「基本のから揚げだれ」の文字を標準文字で表してなり、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「基本のから揚げだれ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「基本」の文字は「物事がそれに基づいて成り立つような根本」を、続く「の」の文字は格助詞を、「から揚げ」の文字は「小魚・鶏肉などを、衣をつけずに、あるいは小麦粉・片栗粉などを軽くまぶして油で揚げること。また、その揚げたもの。」の意味合いである「空揚げ、唐揚げ」に通じ、「だれ」の文字は「焼物・鍋物の調味用の汁」の意味合いである「たれ」の濁音表記と認められる。
そして、本願の指定商品中「調味料」との関係では、特定の料理を調理する際の一般的なたれのことを「基本のたれ」と称している実情が見受けられる。
そうすると、本願商標を、その指定商品中「調味料」に使用した場合、これに接する需要者は、本願商標全体から「唐揚げのための基本のたれ」という商品の特性を表したものと認識するにとどまるものである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審においてした審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和5年8月1日付けで、別掲1及び別掲2に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記4の審尋に対し、令和5年9月12日受付の回答書を提出し、要旨以下のように主張するとともに、その主張を裏付けるものとして、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)本願の指定商品中の「調味料」を取り扱う業界において、揚げる前に鶏肉を漬け込んだり、から揚げに味付けをするための調味料が、「から揚げのたれ」として製造、販売されていることについては、請求人も否定しない。しかし、本願商標は、漢字及び平仮名文字を外観上まとまりよく一体的に表示するものであり、これより生ずる称呼は、よどみなく一連に称呼できる。本願商標は、一連一体での自他識別力を判断すべきものである。
(2)請求人がインターネット検索において「基本の」について検索したところ、本願の指定商品においては、「基本の〇〇(〇〇は商品名)」の使用事例は極めて数が少なく、その事例も「トマトソース」などごく一部に限定されたものであって、本願の指定商品における多種多様な商品について、「基本の〇〇(〇〇は商品名)」が一般的に使用されていることを示す取引の実情は見受けられなかった。
(3)請求人がインターネット検索を実施したところ、「基本のトマトソース」に係る複数の商品が製造・販売されていることが確認された(甲2)。当該取引実情から、「トマトソース」を扱う業界においては、「基本のトマトソース」はありふれており、自他識別力はないものと考えられる。一方で、本願商標を使用した事例は、請求人のグループ会社の商品以外には、1件も確認することができなかった(甲3)。「基本の〇〇トマトソース」の語について多数の取引の実情があるからといって、本願商標をその指定商品のうち「調味料」に使用したときに、自他識別力がないと判断できるものではない。
(4)指定商品「調味料」において、「基本の〇〇」は品質的な意味合いを直接的に理解させる語ではなく、ありふれた語でもない。本願商標に接する取引者・需要者は、本願商標の意味するところが、「シンプルなから揚げを作るためのたれ」なのか、「(手間を惜しまず)基本に忠実に作ったから揚げのたれ」なのか、「基準となるから揚げを(揚げ加減などの調理技能に左右されずに安定して)作るためのたれ」なのか、あるいは「万人にとってよりどころとなるから揚げを作るためのたれ」なのか、その意味合いは様々に想起され得るものであり、需要者に強い印象を与える一種の造語といえるものである。本願商標を、その指定商品「調味料」に使用した場合には、自他識別力を有するものである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「基本のから揚げだれ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「基本」の文字は「物事がそれに基づいて成り立つような根本。」の意味を有し、「から揚げ」の文字は「小魚・鶏肉などを、衣をつけずに、あるいは小麦粉・片栗粉などを軽くまぶして油で揚げること。また、その揚げたもの。」の意味を有する「からあげ(空揚げ)」に通じるものであり、「だれ」の文字は「焼物・鍋物の調味用の汁。」の意味を有する「たれ」(いずれも「広辞苑 第七版」(株式会社岩波書店)から引用。)の濁音表記と認められるものであって、「基本」の文字と、「から揚げだれ」の文字とを、格助詞「の」で連結した構成からなるものである。
そして、本願の指定商品中の「調味料」を取り扱う業界においては、揚げる前に鶏肉を漬け込んだり、から揚げに味付けをするための調味料が、「から揚げのたれ」として一般に製造、販売されている実情が認められ(別掲1参照)、また、本願の指定商品を取り扱う業界においては、その商品を使用するだけで手軽に美味しい料理を作れる、ということを訴求する際、「基本の○○(○○は商品名)」の文字が、商品の特性や優位性を示す語として使用されている実情が認められる(別掲2参照)。
そうすると、商品を訴求する際に類型的に使用されている「基本の」の文字に、商品名である「から揚げだれ」の文字を組み合わせた本願商標は、その構成自体としてありふれたものであって、需要者に強い印象を与えるものとはいえないことから、本願の指定商品中の「調味料」との関係においては、その商品の特性や優位性を示す語として用いられている「基本の○○」の語の一類型と認識されるにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品中の「調味料」に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、漢字及び平仮名文字を外観上まとまりよく一体的に表示するものであり、これより生ずる称呼もよどみなく一連に称呼できるものであるから、本願商標は、一連一体での自他識別力を判断すべきものである旨主張する。
しかしながら、本願商標が、標準文字で一連に表されているとしても、それを構成するのは、「基本」の文字と、調味料の一を表す「から揚げだれ」の文字とを、格助詞「の」で結合したものであると容易に看取、把握されるものであるし、本願の指定商品に係る取引の実情を踏まえると、本願商標全体として一種の造語というよりは、上記(1)のとおり、本願商標は、商品の特性や優位性を示す語として用いられている「基本の○○」の語の一類型と認識されるにとどまるものである。
イ 請求人は、「基本の〇〇」についてインターネット検索を行ったところ、「トマトソース」を扱う業界においては、「基本のトマトソース」に係る複数の商品が製造・販売されていたことから、当該語はありふれており、自他識別力はないものと考えられる一方で、「から揚げだれ」については、請求人のグループ会社の商品以外には、使用例がなかったと述べるとともに、「基本の〇〇トマトソース」の語について多数の取引の実情があるからといって、本願商標をその指定商品中「調味料」に使用したときに、自他識別力がないと判断できるものではない旨主張する。
しかしながら、仮に「基本のから揚げだれ」の文字が、請求人のグループ会社の商品以外には使用されていないとしても、商標法第3条第1項第6号は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該商標が取引上現実に使用されている事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(知財高裁平成25年(行ケ)第10142号、同年11月14日判決参照)。
また、別掲2に示した用例や、請求人が提出する用例(甲2、甲3)に係る商品の需要者は一般消費者であるところ、本願の指定商品と需要者を共通にするものであるし、請求人が指摘する「トマトソース」は、「から揚げのたれ」と同様に、本願の指定商品中の「調味料」に含まれるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品中「調味料」に使用した場合における需要者の認識を推し量る際に、当該指定商品と需要者を共通にする商品に係る取引の実情を勘案することは、合理的であるというべきであって、そのような取引の実情を勘案したときに、本願商標が、需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であること、上記(1)のとおりである。
ウ 請求人は、指定商品「調味料」において、「基本の〇〇」は品質的な意味合いを直接的に理解させる語ではなく、ありふれた語でもないこと、また、本願商標の意味するところが、「シンプルなから揚げを作るためのたれ」なのか、「(手間を惜しまず)基本に忠実に作ったから揚げのたれ」なのか等、その意味合いは様々に想起され得るものであり、需要者に強い印象を与える一種の造語といえるものである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、商品を訴求する際の表示としてありふれた構成といえるものであって、需要者に強い印象を与えるものとはいえないことをも考慮すれば、本願商標は、その指定商品中の「調味料」との関係においては、その商品の特性や優位性を示す語として用いられている「基本の○○」の語の一類型と認識されるというのが相当であり、自他商品の出所識別機能を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
エ 請求人は、構成中に「基本(基本の)」又は「たれ(だれ)」を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。
オ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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