商標拒絶査定不服審判
2022-014813
クリア
- 審判番号
- 2022-014813
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-092934
- 請求日
- 2022年09月20日
- 審決日
- 2023年12月04日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社Clear
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T18 .13 -Z (W3335) / T18 .16 -Z (W3335) / T18 .17 -Z (W3335) / T18 .272-Z (W3335)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条1項6号商標法3条2項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-92934拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年7月27日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月 9日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月22日付け:意見書
令和4年 6月16日付け:拒絶査定
令和4年 9月20日付け:審判請求書
令和5年 6月22日付け:審尋
令和5年 8月28日付け:意見書、手続補正書
第2 本願商標
本願商標は、「Clear」の文字を標準文字で表してなり、第33類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正により、第33類「日本酒,清酒,合成清酒」及び第35類「日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」と補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「Clear」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「曇りがなく澄んでいるさま」を表し、酒類を取り扱う業界においては、本願商標の文字を片仮名で表した「クリア」の語が、「クリアな味わい」や「クリアな酒質」、「クリアな口当たり」等の態様で、味等の品質を表す語として一般的に使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、商品の味わいや酒質が「曇りがなく澄んでいること」を認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。
また、本願商標を上記意味合いに照応する商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
加えて、本願商標を、その指定役務中「日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用しても、これに接する需要者は、取扱商品である日本酒の味わいや酒質が「曇りがなく澄んでいること」を認識するにとどまり、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審における審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲のとおりの事実を示すとともに、当審における合議体の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記第4の審尋に対し、意見書及び手続補正書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
本願商標は、複数の意味を持つ英単語であるから、本願の指定商品に使用された場合であっても、「曇りがなく澄んでいること」、「商品の味わいがすっきりしている」等の意味合いが直ちに看取されるものでない。原審で引用の例は、全て片仮名で記載された「クリア」の文字に、「な」の助詞及び「味わい」等の名詞を付加させたものであり、「クリア」単独で商品の品質を表示しているとはいえず、また、これらは片仮名の「クリア」の使用であって、欧文字の「Clear」の使用例とは異なる。
さらに、審尋において、「Clear」や「クリア」等の文字が、商品の味わいがすっきりしている等、商品の品質を表す語として一般的に使用されている事実として挙げられた例は、いずれも商品(酒類)の品質表示として使用されている事実を示す例としては不適切である。
以上のとおり、引用された使用例は、欧文字の「Clear」が商品の品質を表示するものとして一般に使用されている事実を示すものではない。
むしろ、欧文字の「Clear」が単独では、商品の品質を表し得ないことが分かる。
請求人である株式会社Clearは、高級日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」を展開する企業として、需要者、取引者に広く知られている。
請求人は、第33類の指定商品を「日本酒,清酒,合成清酒」に補正した。本願商標は、補正後の指定商品について十分に識別力を発揮している。
仮に、本願商標が、本来的に識別力が認められないとしても、本願商標が請求人の出所を表す標識として広く知られている事実を考慮すれば、商標法第3条第2項適用により登録されるべきである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「Clear」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「曇りがなく澄んでいるさま。」等(「大辞泉第二版」株式会社小学館)を意味する語である。
そして、酒類を取り扱う業界においては、別掲のとおり、商品の味わいがすっきりしている等、商品の品質を表す語として、「Clear」や「クリア」等の文字が一般的に使用されている事実が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「味わい等がクリア(すっきりしている)な商品」であること、すなわち、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると認識するにとどまり、本願商標は、自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
また、本願商標を「味わい等がクリア(すっきりしている)な商品」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第3条第1項第6号の該当性について
前記1のとおり、酒類を取り扱う業界においては、商品の味わい等の品質を表す語として、「Clear」や「クリア」等の文字が一般的に使用されている事実が認められることから、本願商標をその指定役務中「日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用した場合、これに接する需要者は、その取扱商品が「味わい等がクリア(すっきりしている)な商品」であると認識するにとどまり、本願商標は、役務の取扱商品の品質等を表示したものとして認識されるというべきである。
してみると、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 商標法第3条第2項の該当性について
請求人は、請求人である株式会社Clearは、業界において、取引者、需要者に広く知られており、「Clear」の語は、取引実情において請求人の出所を表示する識別標識として十分に機能している。また、仮に、本願商標が、本来的に識別力が認められないとしても、本願商標が請求人の出所を表す標識として広く知られている事実を考慮すれば、補正後の指定商品については、商標法第3条第2項適用により登録されるべき旨主張し、その主張の裏付けとして、原審ないし当審を通じて、甲第5号証ないし甲第11号証、甲第17号証ないし甲第36号証及び甲第49号証ないし甲第72号証(枝番号を含む。)を提出している。
ア 請求人の主張及び同人の提出に係る甲各号証によれば、以下のとおりである。
(ア)請求人は、日本酒に関する事業を展開する企業であり、2013年に設立以来、会社名として「株式会社Clear」及びその略称として「Clear」の文字を使用していることが認められる(甲5、甲8、甲18等)。
(イ)請求人は、2014年に日本酒の情報を発信するウェブサイト「SAKETIMES」を開始し、2018年7月に、日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」の下、日本酒の販売を開始したことが認められる(甲10の1、甲18、甲25、甲27等)。
(ウ)請求人及び請求人が提供する「SAKETIMES」及び「SAKE HUNDRED」は、各種のメディアに紹介され、その際に会社名として「株式会社Clear」又はその略称として「Clear」の文字が記載される場合があることが認められる(甲9~甲11、甲19~甲33、甲52~甲64、甲66)。
(エ)請求人の取引先との取引書類には、「株式会社Clear」の会社印及び「(株)Clear」の文字が使用されていることが認められる(甲34)。
(オ)請求人の商品を取り扱う店舗は、請求人が導入している米国Salesforce社による集計システムによって出力したデータによれば(甲67)、2023年7月時点で193店舗であることが認められる(甲68)。
(カ)請求人の商品は、請求人が導入しているカナダ国Shopify社による集計システムによって出力したデータによれば(甲69)、2022年4月から2023年8月までの販売数量は、合計36,550本であることが認められる(甲70)。
(キ)請求人の売上高は、2021年10期が20億円であり(甲18、甲62)、請求人が導入している株式会社マネーフォワードによる会計システム「MFクラウド会計」によるデータによれば(甲71)、2022年の売上高の合計は、約8億4,200万円であることが認められる(甲72)。
(ク)請求人は、2021年5月31日から6月6日の間、「SAKE HUNDRED」に関するグラフィック広告を表参道駅にて行う等の広告宣伝活動を行い(甲9、甲35)、また、同年に新聞広告制作費、読売新聞、日本経済新聞掲載費用として2,592万7千円を請求されたことが認められる(甲36)。
(ケ)2023年にロンドンで行われた品評会である「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2023」のSAKE部門にて、請求人の商品「百光 別誂」がゴールドメダルを受賞し、複数のメディアに報じられたことが認められる(甲49~甲51)。
(コ)請求人の取扱いに係る商品のラベルには「SAKE HUNDRED」や「百光」の文字が表示されていることが認められる(甲8、甲10、甲18、甲19、甲21、甲24、甲33、甲35、甲49等)。
イ 上記アで認定した事実によれば、請求人は、請求人の取扱いに係る日本酒のブランドである「SAKE HUNDRED」等の広告宣伝活動を行い、その際に会社名として「株式会社Clear」又はその略称として「Clear」の文字が記載されている事実が認められる。
しかしながら、請求人の提出に係る甲各号証から、本願商標である「Clear」の文字が、それのみで本願の指定商品「日本酒,清酒,合成清酒」について、自他商品の識別標識としての機能を発揮する態様により使用されている例を見いだすことはできない。
また、「Clear」の文字が請求人の会社名の略称として使用されているとしても、請求人提出の各証拠をもって、需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識するとはいえない。
そうすると、本願商標は、請求人提出の証拠によっては、本願の指定商品について、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る商品を表示する標章として、広く認識されるに至っているものとは認めることはできない。
したがって、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は、複数の意味を持つ英単語であるから、本願の指定商品に使用された場合であっても、「曇りがなく澄んでいること」、「商品の味わいがすっきりしている」等の意味合いが直ちに看取されるものでない。また、原審及び当審で引用された使用例は、欧文字の「Clear」が商品の品質を表示するものとして一般に使用されている事実を示すものではない旨主張する。
しかしながら、上記1で述べた本願商標の文字の意味及び取引の実情からすれば、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、これに接する取引者、需要者が、殊更「Clear」の文字の有する様々な意味合いを想起するというよりは、「味わい等がクリア(すっきりしている)」ほどの意味合いを理解し、商品の品質、又は小売若しくは卸売における役務の取扱商品の品質であると認識、把握されると判断するのが相当である。
(2)請求人は、過去の登録例、審決例を挙げて、本願商標も同様に識別力が認められるべき旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記1及び2のとおりであるから、請求人が挙げる登録例、審決例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、商標法第3条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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