2022-014516
プリント回路基板上に設置された少なくとも1つの構成部品のための冷却装置及びこのような冷却装置を有する構成部品を装備したプリント回路基板
- 審判番号
- 2022-014516
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-163627外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月14日
- 審決日
- 2023年05月09日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】デュルコップ アドラー アクチエンゲゼルシャフト
- 【請求人代理人】今井 秀樹
- 分類
- P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
本願は、令和元年9月9日(パリ条約による優先権主張2018年9月10日、ドイツ)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年5月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-4、6-7に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項5に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2011-222934号公報
2.特開2004-006791号公報(周知技術を示す文献)
3.独国特許出願公開第102010008074号明細書(周知技術を示す文献)
4.特開2006-269980号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年9月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】プリント回路基板(2)上に設置された少なくとも1つの構成部品(1)のための冷却装置(5)であって、-少なくとも1つの熱伝導要素(8)と、-少なくとも1つの熱伝導要素容器(7)を有するプラスチック熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)と、-プリント回路基板熱伝導層(9)と、前記冷却装置(5)を前記プリント回路基板(2)と機械的に結合するために、前記熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)に一体的に成形された少なくとも1つの結合要素(11)と、を有し、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)がそれぞれの前記熱伝導要素容器(7)に挿入され、前記冷却装置(5)が前記プリント回路基板(2)に向かって設置されると、前記プリント回路基板熱伝導層(9)は、前記熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)を覆い、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)との直接的な熱伝導結合を有し、前記プリント回路基板熱伝導層(9)は、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)と前記少なくとも1つの構成部品(1)の間の熱移動をもたらす、冷却装置(5)。」
また、本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
さらに、本願発明6は、本願発明1-5のいずれかを引用する「プリント回路基板」の発明であり、実質的に、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【発明が解決しようとする課題】【0004】本発明の目的は、シート状を呈する石墨放熱シートを熱伝導の用途に利用することにより、電子製品を更に薄型化にすることができる薄型放熱装置を提供することにある。」
「【発明の効果】【0017】本発明の薄型放熱装置によれば、シート状を呈する石墨放熱シートを熱伝導の用途に利用することにより、電子製品を更に薄型化にすることができるという効果を有する。」
「【0019】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。(第1実施例)まず、図1を参照する。図1は本発明の第1実施例の薄型放熱装置の斜視図である。電子製品の全体の厚さを減少するために、本発明の薄型放熱装置1は、薄型携帯電話、又は薄型ノートブック型パーソナルコンピュータに適用することができる。図4に示すように、薄型放熱装置1により、発熱子21、22からの熱が放熱子3に伝導されて放熱される。【0020】図2及び図3を参照する。図2は本発明の第1実施例の薄型放熱装置の分解斜視図であり、図3は図2における薄型放熱装置を逆にして別の視点から見た分解斜視図である。薄型放熱装置1は、石墨放熱シート100と、メインケース200と、支持片300と、を含む。石墨放熱シート100の主な成分は石墨であり、石墨は、石墨放熱シート100の90%以上の重量を占め、石墨放熱シート100の98%の重量を占めることも可能である。実際に、石墨の強度を増加するために、石墨に樹脂体が添加される。本実施例では、石墨放熱シート100がシート状に加工される。【0021】石墨放熱シート100には、上面101と、下面102と、が設けられる。且つ石墨放熱シート100には、第1放熱部110と、第2放熱部120と、第3放熱部130と、が設けられる。第2放熱部120が第1放熱部110から一体に延び、第3放熱部130が第1放熱部110から一体に延び、これにより、全体がL字形を呈する構成になる。もちろん、石墨放熱シート100と第1放熱部110と第2放熱部120と第3放熱部130との連接関係は、製品によって変化することができ、これらに限定されない。第1放熱部110には、第1放熱部110の周りに分布するロック穴106が複数設けられる。」
「【0029】図4を参照する。図4は本発明の第1実施例の薄型放熱装置の使用状態を示す表示図である。発熱子21、22は、通電後に発熱する電子装置(例えばチップ)であり、印刷回路板2に設けられてもよい。放熱子3は金属ケース(例えば携帯電話、又はノートブック型パーソナルコンピュータの金属ケース)である。別の実施例では、放熱子3は、金属シート、又は放熱フィンを有するラジエータである。前記金属シートはケースに嵌合される。放熱子3が放熱フィンを有するラジエータである場合には、放熱効果が更に増加する。もちろん、発熱子21、22を同時に設けなくてもよく、すなわち、発熱子21だけ、又は発熱子22だけを設けてもよい。【0030】図4に示すように、発熱子21が第1放熱部110に貼り付けられ、図3に示すように、発熱子22が第2放熱部120に貼り付けられ、第2放熱部120の下面102が放熱子3に貼り付けられ、支持片300により第2放熱部120に押出され、これにより、第2放熱部120と放熱子3との接触が良くなる。」
「【0033】(第3実施例)図5及び図6を参照する。図5は本発明の第3実施例の薄型放熱装置の分解斜視図であり、図6は図5における薄型放熱装置を逆にして別の視点から見た分解斜視図である。本実施例の第1実施例と相違する点は、薄型放熱装置1bのメインケース200と支持片300とは樹脂材料で作製されたものであることにある。樹脂射出成形加工(insert molding)により、メインケース200と支持片300とは石墨放熱シート100に成形されるため、第1実施例のように、メインケース200を上ケースと下ケースとに分ける必要がなく、第1係合構造214と第2係合構造222とを省略することもでき、これにより、放熱装置の全体の厚さを更に減少することができる。メインケース200には、図4に示した印刷回路板2の側辺と係合可能なフック構造217が設けられる。」
【図1】「
[図:0001398105000001.jpg]
」
【図4】「
[図:0001398105000002.jpg]
」
【図5】「
[図:0001398105000003.jpg]
」
ここで、引用文献1に記載されている事項について検討する。
上記【0019】の「図4に示すように、薄型放熱装置1により、発熱子21、22からの熱が放熱子3に伝導されて放熱される。」との記載、上記【0020】の「薄型放熱装置1は、石墨放熱シート100と、メインケース200と、支持片300と、を含む。」との記載、上記【0033】の「本実施例の第1実施例と相違する点は、薄型放熱装置1bのメインケース200と支持片300とは樹脂材料で作製されたものであることにある。樹脂射出成形加工(insert molding)により、メインケース200と支持片300とは石墨放熱シート100に成形されるため、第1実施例のように、メインケース200を上ケースと下ケースとに分ける必要がなく、第1係合構造214と第2係合構造222とを省略することもでき、これにより、放熱装置の全体の厚さを更に減少することができる。メインケース200には、図4に示した印刷回路板2の側辺と係合可能なフック構造217が設けられる。」との記載及び上記【図1】、【図4】、【図5】の記載から、引用文献1には、第3実施例として、「自身により、発熱子21からの熱が放熱子3に伝導されて放熱される薄型放熱装置1bであって、石墨放熱シート100と、メインケース200と、を含み、メインケース200は樹脂材料で作製されたものであり、樹脂射出成形加工により、メインケース200は石墨放熱シート100に成形され、メインケース200には、印刷回路板2の側辺と係合可能なフック構造217が設けられる、薄型放熱装置1b」が記載されていると認められる。
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「自身によって発熱子21からの熱が放熱子3に伝導されて放熱される薄型放熱装置1bであって、石墨放熱シート100と、メインケース200と、を含み、石墨放熱シート100には、第1放熱部110が設けられ、メインケース200は、樹脂材料で作製されたものであり、樹脂射出成形加工により、メインケース200は石墨放熱シート100に成形され、メインケース200には、印刷回路板2の側辺と係合可能なフック構造217が設けられ、発熱子21は、通電後に発熱する電子装置であり、印刷回路板2に設けられてもよく、発熱子21が第1放熱部110に貼り付けられる、薄型放熱装置1b。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている
「【0057】また、プリント基板5には、電子部品3の搭載位置に対応した部分(電子部品3をプリント基板5側に投影した領域)に、VIAホール19が形成されており、このVIAホール19により、各熱伝導薄膜層17は板厚方向に接続されている。つまり、VIAホール19の内周面にはCuからなるメッキ層21が形成されているので、このメッキ層21により、各熱伝導薄膜層17は熱的に接続されている。」
「【0065】本実施例では、板状の中継ステーではなくブロック状の熱伝導部材を用いる。まず、実施例2の電子制御装置を、図2に基づいて説明する。図2(a)に示す様に、本実施例における電子制御装置(ECU)41も、前記実施例1と同様に、電子部品43及びヒートシンク45を有するモールド部品47、スルーホール49を有するプリント基板51、カバー53などを備えている。【0066】本実施例では、プリント基板51の反搭載面51b側とカバー53の反搭載面51b側の表面53aとの間において、電子部品43の搭載位置の図の上下方向に対応した箇所に、熱伝導部材55が配置されている。この熱伝導部材55は、例えばアルミニウムからなるブロック状の金属部材であり、カバー53側の方が面積の大きい縦断面が略台形である。【0067】また、熱伝導部材55のプリント基板51側の上面55aとプリント基板51の反搭載面51b上の熱伝導薄膜層57との間には、半固体の熱伝導材(熱伝導性ゲル)59が配置されており、この熱伝導材59は、熱伝導部材55の上面55aと反搭載面51b上の熱伝導薄膜層57とに接している。」
【図2】(a)「
[図:0001398105000004.jpg]
」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(訳は当審訳。以下同じ。)。
「[図:0001398105000005.jpg][図:0001398105000006.jpg][図:0001398105000007.jpg][図:0001398105000008.jpg][図:0001398105000009.jpg]」
[当審訳]
「[0033]プリント配線板32には、電気的な構成素子34の下側に複数の孔40が配置されている。複数の穴40はサーモビア40とも呼ばれる。孔40は単純な孔であってよい。さらに、孔は、良好な熱伝導率を有する材料からなるスリーブを有していてもよく、及び/又は、良好な熱伝導率を有する材料で充填されていてもよい。スリーブの材料は、例えば、銅である。さらに、プリント配線板と充填材料との間の電気的な絶縁を達成するためには、充填材料の被覆を必要とすることがある。したがって、シースは、その軸線方向長さに沿って充填材を包囲する。[0034]第2のハウジング部分20に設けられた開口22を通して、ヒートシンク50が導入されている。第2のハウジング部分20の開口22は、ヒートシンク50のための第2の固定部26と共に形成されていてよい。例えば、第2の固定部26は、ヒートシンク50の長手方向軸線に平行な第2のハウジング部分20から延びている。第2の取付部26は、ハウジング内部の方向にのみ延在してもよいし、外側にのみ延在してもよいし、両方向に延在してもよい。[0035]図1に示すように、ヒートシンク50は冷却ねじである。従って、第2のハウジング部分20の第2の取付け部26は、冷却ねじ50に適合するねじ山を有している。冷却ねじの形をしたヒートシンク50はさらに半径方向のシール52を有している。シール52を用いて、ハウジングは、汚れ及び/又は液体の侵入に対して付加的にシールされている。[0036]ヒートシンク50は、アルミニウムや銅などの熱伝導性の良好な材料からなるソリッドボディである。運転時には、電気的な構成素子34で発生する熱が、ヒートシンク50を介してケーシング内部から外部に向かって局所的に効果的に導出される。これを矢印60で示す。開口22から突出したヒートシンク50の領域は、さらに冷却フィン(図示せず)を有していてもよい。冷却フィンを用いて、ヒートシンク50とハウジング環境との間の熱伝達がさらに改善される。ヒートシンク50とプリント配線板32との間には、有利には熱伝導ペースト70又は熱伝導性フィルムが配置されている。熱伝導性ペースト70又は熱伝導性フィルムによって、同様にヒートシンク50とプリント配線板32との間の熱伝達を改善することができる。特に、熱伝導性ペースト70又は熱伝導性フィルムは、ヒートシンク50又はプリント回路基板32に表面凹凸を形成する。更に、熱伝導性ペースト70又は熱伝導性フィルムは、位置及び組立公差を増大させる。」
図1「
[図:0001398105000010.jpg]
」
4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている
「【0044】<制御ユニット本体の組み付け>ケース本体40Aの4つの突設体42と、制御ユニット本体21の4つの取付孔21Aaとを位置合わせしたうえで、各突設体42の正面側先端を対応する取付孔21Aaに通す(図2参照)。さらに説明すると、取付孔21Aaに、第1係合爪44B、44Bを通した後、基板21Aの取付孔21Aaを、第2係合爪44C、44Cの正面側のテーパ面に当接させる。そして、制御ユニット本体21を中間壁41側に押し込む(図4、矢印A1参照)。そうすると、各突設体42において、弾性(可撓性)を有する腕部44、44がスリット42a側にそれぞれ撓む。続きを表示(全11行)なお、制御ユニット本体21を突設体42に押し込んだとき、中間壁41から正面側に突出する圧力センサ14などの端子やバスバーBが、基板21Aに設けられた接続端子21C(圧着端子)などを介して、制御ユニット本体21と電気的に接続するようになっている。【0045】そうすると、第2係合爪44C、44Cが、取付孔21Aaを正面側に通り抜ける。その後、支持部45、45の正面側の端面が、基板21Aの背面に当接し、制御ユニット本体21の中間壁41側への押し込みがストップされる(図6参照)。これにより、制御ユニット本体21と中間壁41との間に所定間隔が確保され、制御ユニット本体21の熱が、直接的に中間壁41に伝達しないようになっている。【0046】これと共に、スリット42a側に撓んでいた腕部44、44が、台座部43に対して直立状態に戻る。つまり、第2係合爪44C、44Cが径方向外側(左側、右側)に開き、第2係合爪44C、44Cが、基板21Aの正面側に係合し、基板21Aが腕本体44A、44Aにスナップ結合する(図6参照)。これにより、制御ユニット本体21が、突設体42から抜け出すことが防止され、制御ユニット本体21の収容状態が維持される。【0047】同時に、基板21Aは、その正面側からの第2係合爪44C、44Cと、その背面側からの支持部45、45とで挟持される(図6参照)。これにより、制御ユニット本体21は、突設体42に取り付けた後、その厚さ方向において拘束される。したがって、制御ユニット本体21と、前記端子等との電気的接続は、良好に維持される。」
「【0049】<放熱板の組み付け>次に、放熱板23の組み付けについて説明する。まず、図4に示すように、制御ユニット本体21の電子部品21Bの正面に、熱伝導性の高いシリコーンSを塗布する。そして、ケース本体40Aの4つの突設体42と、放熱板23の4つの取付孔23aを位置合せしたうえで(図2参照)、突設体42の正面側先端を対応する取付孔23aに通し、放熱板23を中間壁41側に押し込む(図4、矢印A2参照)。そうすると、各突設体42において、弾性を有する腕部44、44がスリット42a側に撓む。続きを表示(全12行)【0050】その後、第1係合爪44B、44Bが、取付孔23aを通り抜けた後、支持面44A1a、44A1aとが、放熱板23の背面に当接し、放熱板23の中間壁41側への押し込みがストップされる(図6参照)。なお、放熱板23を押し込んだとき、前記シリコーンSが押し広げられ、放熱板23と電子部品21Bとが熱的に接続する。【0051】これと共に、撓んでいた腕部44、44が、台座部43に対して直立状態に戻る。そして、第1係合爪44B、44Bが径方向外側に開き、第1係合爪44B、44Bが、放熱板23の正面側に係合し、放熱板23が腕本体にスナップ結合する(図6参照)。これにより、放熱板23が、突設体42から抜け出すことが防止され、放熱板23の収容状態が維持される。【0052】同時に、放熱板23は、正面側からの第1係合爪44B、44Bと、背面側からの支持面44A1a、44A1aとで挟持される(図6参照)。これにより、放熱板23は、突設体42に取り付けた後、その厚さ方向において拘束される。したがって、放熱板23と、電子部品21Bとの熱的接続は、良好に維持される。なお、腕部44、44の直立状態において、腕部44、44と放熱板23の取付孔23aとの間に僅かな隙間が形成されることが好ましく、このように隙間が形成されると、放熱板23の収容状態において、腕部44、44が撓んだままとならず、腕部44、44の耐久性は向上するからである。」
【図2】「
[図:0001398105000011.jpg]
」
【図4】「
[図:0001398105000012.jpg]
」
【図6】「
[図:0001398105000013.jpg]
」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「薄型放熱装置1b」は、「自身によって発熱子21からの熱が放熱子3に伝導されて放熱される」ものであるから、発熱子21を冷却する装置であるといえる。また、引用発明の「印刷回路板2」は、本願発明1の「プリント回路基板(2)」に相当する。さらに、引用発明の「発熱子21」は、「電子装置であり、印刷回路板2に設けられてもよ」いことから、本願発明1の「プリント回路基板(2)上に設置された少なくとも1つの」「構成部品(1)」に相当する。
したがって、引用発明の「薄型放熱装置1b」は、本願発明1の「プリント回路基板(2)上に設置された少なくとも1つの構成部品(1)のための」「冷却装置(5)」と一致する。
イ 引用発明の「石墨放熱シート100」は、熱を伝導する要素であるといえるから、本願発明1の「少なくとも1つの」「熱伝導要素(8)」に相当する。
ウ 引用発明の「メインケース200」は、上記第4の1の【図5】の記載を踏まえると、石墨放熱シート100の容器を有するフレームであるといえる。また、引用発明の「メインケース200」は、「樹脂材料で作製されたものであ」る。
したがって、上記イを踏まえると、引用発明の「メインケース200」は、本願発明1の「少なくとも1つの熱伝導要素容器(7)を有する」「プラスチック熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)」と一致する。
エ 引用発明において、「メインケース200には、印刷回路板2の側辺と係合可能なフック構造217が設けられ」ているが、上記第4の1の【図5】の記載を踏まえると、フック構造217は、薄型放熱装置1bを印刷回路板2と機械的に結合するために、メインケース200に一体的に成形されているといえる。
したがって、上記ア、ウを踏まえると、引用発明の「フック構造217」は、本願発明1の「前記冷却装置(5)を前記プリント回路基板(2)と機械的に結合するために、前記熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)に一体的に成形された少なくとも1つの」「結合要素」に相当する。
オ 引用発明において、「樹脂射出成形加工により、メインケース200は石墨放熱シート100に成形され」ることから、石墨放熱シート100がメインケース200に入れられているといえる。
したがって、上記イ-ウを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)がそれぞれの前記熱伝導要素容器(7)に挿入され」る構成と、「前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)がそれぞれの前記熱伝導要素容器(7)に入れられ」る構成である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「 プリント回路基板(2)上に設置された少なくとも1つの構成部品(1)のための冷却装置(5)であって、-少なくとも1つの熱伝導要素(8)と、-少なくとも1つの熱伝導要素容器(7)を有するプラスチック熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)と、前記冷却装置(5)を前記プリント回路基板(2)と機械的に結合するために、前記熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)に一体的に成形された少なくとも1つの結合要素(11)と、を有し、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)がそれぞれの前記熱伝導要素容器(7)に入れられる、冷却装置(5)。」
(相違点1)
本願発明1では、「プリント回路基板熱伝導層(9)」を有するのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点2)
少なくとも1つの熱伝導要素(8)がそれぞれの前記熱伝導要素容器(7)に入れられる構成において、本願発明1では、「挿入される」のに対し、引用発明では、「樹脂射出成形加工により、メインケース200は石墨放熱シート100に成形され」る点。
(相違点3)
本願発明1では、「前記冷却装置(5)が前記プリント回路基板(2)に向かって設置されると、前記プリント回路基板熱伝導層(9)は、前記熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)を覆い、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)との直接的な熱伝導結合を有」するのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点4)
本願発明1では、「前記プリント回路基板熱伝導層(9)は、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)と前記少なくとも1つの構成部品(1)の間の熱移動をもたらす」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1、3は、「プリント回路基板熱伝導層(9)」に関するものである点で互いに関連しているので、まとめて検討する。
上記第4の2-3の記載から、「プリント基板上に設置された構成部品の放熱のため、プリント基板とヒートシンクの間に熱伝導層を設けること」は、本願の優先日前において周知技術であったと認められる。
しかしながら、上記周知技術を考慮しても、引用文献2-4には、引用発明において、「前記冷却装置(5)が前記プリント回路基板(2)に向かって設置されると、前記プリント回路基板熱伝導層(9)は、前記熱伝導要素フレーム(6;13;14;15;17)を覆い、前記少なくとも1つの熱伝導要素(8)との直接的な熱伝導結合を有」するものとすることについて記載も示唆もなく、この構成までが本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
また、上記第4の1の【0004】、【0017】の記載を踏まえると、電子製品を更に薄型化にすることを目的とする引用発明において、熱伝導層を設けることにより電子製品の厚さを増加させるような上記周知技術を採用する動機があるともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項から、上記相違点3に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、上記相違点2、4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-5について
本願発明2-5は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-6は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-014516