商標拒絶査定不服審判
2022-014388
インショーアップ
- 審判番号
- 2022-014388
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-082789
- 請求日
- 2022年09月12日
- 審決日
- 2024年03月05日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】高梨 範夫
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 清川 恵子
- 分類
- T18 .16 -Z (W0330)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 82789拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年7月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年1月26日付け :拒絶理由通知書
令和4年3月14日 :意見書の提出
令和4年6月 3日付け :拒絶査定
令和4年9月12日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「印象アップ」の文字を標準文字で表してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,入れ歯洗浄剤,歯磨き,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),口臭を消すための菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと,調味料,食用プロポリス,食用ローヤルゼリー」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標構成中「アップ」の文字は「上がること。」の意味を有し、「他人に与える印象や世間の評判が良くなること。」の意味を有する「イメージ-アップ」と同様に、本願商標は、「(他人に与える)印象が良くなること」ほどの意味合いを容易に認識させる。
そして、本願に係る指定商品を含む様々な商品において実際に「印象アップ」の語が、商品の内容や特徴に関する宣伝・広告用の語句等を表すものとして一般的に使用されている実情がある。そうすると、本願商標を、本願に係る指定商品中、第3類の商品及び第30類「口中清涼効果を有する菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),口臭を消すための菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」に使用しても、これに接する需要者は、宣伝広告を表したものであることを認識するにすぎないから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。よって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項1号ないし5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(平成21年(行ケ)第10270号、平成22年1月27日知財高裁判決)。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記2のとおり、「印象アップ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「アップ」の文字は「上がること。」の意味を有し、「印象」は「強く感じて心に残ったもの。感銘。」の意味を有する(ともに「広辞苑 第七版」岩波書店)ものである。
ところで、「印象」の文字は上記意味合いを有するところ、「印象」の文字を使った表現には、「第一印象:物事や人に接したとき、一番初めに得た印象。」、「印象操作:他者に与える自分の印象を、言葉や服装などによって操作すること。」、「印象付ける:強い印象を与える。鮮烈なイメージを与える。」(いずれも「広辞苑 第七版」岩波書店)などがあり、「印象」の類語には「第一印象、見た目、イメージ、インプレッション」(「三省堂類語辞典」三省堂)などの語があることからすれば、「印象」は、「印象」の文字そのものや「イメージ」と同様の意味合いで説明されることが多いものといえる。
そうすると、「印象アップ」の文字は、「イメージアップ」が意味する「他人に与える印象や世間の評判が良くなること。」(「広辞苑 第七版」岩波書店)と同様に、「(他人に与える)印象やイメージが良くなること」ほどの意味合いで理解されることが多いものといえる。
そして、原審において拒絶理由通知で示した事実(別掲1)に加え、別掲2に示すとおり、本願指定商品を取り扱う分野において、「印象アップ」等の文字が、「(他人に与える)印象やイメージが良くなるための商品」であるという、商品の特徴を紹介、説明する際に広く一般に使用されている実情が認められる。
以上に鑑みれば、本願商標は、これをその指定商品中、第3類の商品及び第30類「口中清涼効果を有する菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),口臭を消すための菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」(以下「上記指定商品」という。)に使用しても、これに接する取引者、需要者に、「(他人に与える)印象やイメージが良くなるための商品」であることを理解させるにすぎないものというのが相当である。
そうすると、本願商標は、これを上記指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品を使うことによって「(他人に与える)印象やイメージが良くなる」という商品の特徴を表示する宣伝文句として認識、理解するにとどまるものというべきであり、また、その認識、理解を超えて、何人かの業務に係る商品表示であると認識する特別な事情は見いだせない。
そうとすれば、本願商標は、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用されるものであって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標はその全体から「強く感じて心に残ったことが、上がること。」との意味合いが想起される。本願の指定商品が有する如何なる商品の性質・成分等により、如何なる効果・効能が生じ、その結果、如何なる種類の印象がどのようにアップしたのかを表すものではない。このため、本願商標は、商品の品質を具体的かつ直接的に表すものではなく、商品の品質を曖昧に表しているにすぎない。」旨主張する。
しかしながら、前記(2)のとおり、本願商標は、他の文字やその他の情報が加味されていないとしても、「(他人に与える)印象やイメージが良くなること」ほどの意味合いを理解されるものであり、別掲1及び別掲2に示した、上記指定商品の分野における取引実情を鑑みても、「印象アップ」の文字は、例えば、柔軟剤の香りや口臭剤等との関係でその香りや口臭によって「(他人に与える)印象やイメージが良くなる商品」であるという商品の宣伝広告等の文字として広く一般に使用されているものといえるから、本願商標を、上記指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、宣伝広告的な文字として認識するといえ、それを超えて何人かの業務に係る商品表示であると認識することはないというべきである。
イ 請求人は、過去の登録例から、本願商標も同様に自他商品識別力を有することが認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標が、上記指定商品の取引者、需要者に、商品の特徴を表示する宣伝広告であると認識されるものであることは、前記(2)のとおりであって、登録出願された商標が自他商品識別機能を有するか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、過去の登録例の存在をもって、本願商標がその指定商品に使用された場合に、自他商品の識別機能を有するということはできない。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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