商標拒絶査定不服審判
2022-014288
タンサンキノウ、タンサンキノー
- 審判番号
- 2022-014288
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-059556
- 請求日
- 2022年09月12日
- 審決日
- 2023年11月16日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】本宮 照久
- 【請求人代理人】渡邊 かおり
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .13 -Z (W0305) / T18 .272-Z (W0305) / T18 .17 -Z (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 59556拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年5月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月24日付け:拒絶理由通知書
令和4年4月4日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年6月9日付け :拒絶査定
令和4年9月12日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類及び第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願され、その後、指定商品については、上記第1の手続補正書により、第3類「洗濯用剤(洗濯用でん粉のり及び洗濯用ふのりを除く。),洗濯用添加剤(洗濯用でん粉のり及び洗濯用ふのりを除く。),洗濯用漂白剤,しみ抜き剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。)、つや出し剤、擦り磨き剤及び研磨剤,布の美しさと質感を保つための洗濯用剤(洗濯用でん粉のり及び洗濯用ふのりを除く。),織物柔軟剤,洗濯用仕上げ剤(洗濯用でん粉のり及び洗濯用ふのりを除く。),洗濯用青み付け剤,家庭用せっけん」及び第5類「消毒剤,消毒作用のある医療用洗浄剤,医療用・家庭用・衛生用消毒剤,洗濯用消毒剤」とされたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、願書に記載されているとおり、上段に「炭酸機能」の文字と、下段にその読みと認められる「タンサンキノウ」の文字とを配してなるものであり、本願商標中の「炭」の文字が多少デザイン化されているが、「炭」を表す文字として無理なく認識される態様であるから、本願商標は、未だ普通に用いられる域を脱しない程度に表示してなるものといえる。
本願商標の構成中の「炭酸」及び「タンサン」の文字は、「二酸化炭素が水に溶けて生じる弱い酸。「炭酸水」の略。」の意味を有する語であり、また、「機能」及び「キノウ」の文字は、「ある物が本来備えている働き。」の意味を有する語であるから、本願商標は、全体として、「炭酸の機能、又は炭酸水の機能」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、炭酸や炭酸水が洗浄効果を有することや除菌剤に使用されることが知られ、このような炭酸や炭酸水の機能を利用した商品が取引されている実情が認められる。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「炭酸又は炭酸水の機能を利用した商品」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。また、出願人は、「本願商標を付した自らの人気洗濯用洗剤に広く使用していることにより、本願商標は、出願人の業務に係る商標として需要者に知られたものとなっている」と主張し、資料1及び資料2を提出しているが、提出された資料によっては、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとまでは認めることはできない。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「炭酸機能」の漢字及び「タンサンキノウ」の片仮名を2段に書してなるところ、「炭」の文字は、一部がデザイン化されているものの、「炭」の文字を表したものと、また、下段に書された「タンサンキノウ」の文字は、上段の「炭酸機能」の文字の読みを表したものと、それぞれ容易に理解できるものである。
また、本願商標の構成中の「炭酸」の文字は「二酸化炭素が水に溶解したとき水溶液中に生成する弱酸。水溶液としてのみ存在する。」及び「炭酸水の略。」の、「機能」の文字は「物のはたらき。相互に連関し合って全体を構成している各要素や部分が有する固有な役割。また、その役割を果たす作用。」の意味を有する語として(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)、それぞれ親しまれているものである。してみれば、本願商標の構成中の「炭酸」の文字から、弱酸としての「炭酸」の意味を認識させる場合には、本願商標全体として、「炭酸のはたらき」程の意味合いを、また、「炭酸」の文字から、「炭酸水の略」の意味を認識させる場合には、本願商標全体として、「炭酸水のはたらき」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、「炭酸水」は、飲料品として広く一般に親しまれているものであることに加え、別掲2のとおり、洗濯や清掃に有効な効果があるものとして広く一般に紹介されており、そのことは一般に知られているといえるものである。
また、本願の指定商品を取り扱う業界においては、例えば酸性洗剤のように、炭酸と同様に酸であるクエン酸、酢酸、リン酸等の力(はたらき)を活用した洗剤等の商品が存在していることは一般に知られている(別掲3)。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、本願商標全体から「炭酸のはたらき」程の意味合いを認識する場合には、「炭酸の力(はたらき)を活用した商品」であるという商品の品質、機能を、また、本願商標全体から「炭酸水のはたらき」程の意味合いを認識する場合には「炭酸水の力(はたらき)を活用した商品」であるという商品の品質、機能を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。そして、本願商標の態様は、別掲1のとおりであり、その態様上顕著な特徴を有するものではない。
また、本願商標を、その指定商品中、「炭酸の力(はたらき)を活用した商品」及び「炭酸水の力(はたらき)を活用した商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、一般の需要者であれば「炭酸の機能」といわれても具体的に想起することが出来ず、せいぜい炭酸の特徴である「発泡する」ことについて漠然と想起する程度にとどまり、本願の指定商品との関係における具体的な炭酸の機能まで認識することまでは出来ない旨及び、本願の指定商品の分野において、「炭酸」の機能が一般に知られていたり、「炭酸」の機能を利用した商品が一般に取引されていたりするような取引の実情は存在しない旨を述べている。
しかしながら、本願商標を構成する「炭酸」及び「機能」の各語の語義及び、上記1のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界においては、例えば酸性洗剤のように、炭酸と同様に弱酸であるクエン酸、酢酸、リン酸等の力(はたらき)を活用した商品が存在していることが一般に知られているという実情を踏まえれば、需要者が、本願商標全体から「炭酸のはたらき」程の意味合いを認識すると判断するのが相当であり、「炭酸」に詳細にどのような機能があるのかまでは認識できないとしても、上記1のとおり、需要者は、当該商品が「炭酸の力(はたらき)を活用した商品」であること、すなわち、商品の品質、機能を表示したものと認識するにすぎない。
(2)請求人は、「本願商標から生じる意味合いについては、その文字の構成のみから認識されるべきであり、本願商標の文字の構成からは、商品の品質に関する直接的かつ具体的な意味合いは認識されないものである。したがって、本願商標は、自他商品識別機能を発揮する商標として捉えられるべきものであることは明らかである。」と主張している。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標の構成中の「炭酸」の文字は「二酸化炭素が水に溶解したとき水溶液中に生成する弱酸。水溶液としてのみ存在する。」及び「炭酸水の略」を意味する語として親しまれた語であることからすれば、これと「物のはたらき。相互に連関し合って全体を構成している各要素や部分が有する固有な役割。また、その役割を果たす作用。」の意味を有する語である「機能」の文字を結合してなる「炭酸機能」の文字からは、直接「炭酸のはたらき」あるいは「炭酸水のはたらき」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、本願商標をその指定商品に使用したときには、これに接する需要者は、当該商品が、「炭酸の力(はたらき)を活用した商品」あるいは「炭酸水の力(はたらき)を活用した商品」であるという商品の品質、機能を表示したものであると認識するにすぎないことは上記1で述べたとおりである。
(3)請求人は「出願人は、本願商標を付した自らの人気洗濯用洗剤に広く使用していることにより、本願商標は、出願人の業務に係る商標として需要者に知られたものとなっている」旨及び「本願商標を付した「ジェルボール4D」に係る商品はテレビコマーシャルでの宣伝や店舗における専用棚での陳列等の盛んな宣伝広告を行っており、それに伴い市場におけるシェアも発売以降上昇を続け、2022年1月に18.8%となっている」旨主張するとともに、証拠として、原審においては資料2及び資料3、当審においては甲第2号証及び甲第3号証を提出しているから、請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備した物であると主張していると解し、以下判断する。
請求人の提出する上記証拠によれば、請求人が「炭酸機能」の文字からなる標章を洗濯用洗剤の商品パッケージや当該商品のテレビコマーシャルで表示したことは認め得るとしても、請求人の「炭酸機能」の文字からなる標章の使用によって、本願の指定商品の需要者の目にどの程度触れ、どの程度認知されることとなったのかを示す客観的な証拠の提出はなく不明である。
そして、請求人の主張によれば、「炭酸機能」の文字からなる標章を使用した洗濯用洗剤の市場シェアは、2022年1月に18.8%であったとされるが、これを裏付ける証拠の提出はなく、これが事実であるとしても、その多寡については、これを判断するための証拠の提出がないから判断できないし、2022年1月以外の市場シェアは不明である。また、売上高、販売数及び広告費等については、客観的な証拠及び請求人の具体的な主張はなく不明である。
その他に、本願商標の周知性を判断するための証拠の提出はない。
そうすると、請求人の提出する証拠からは、本願商標の周知性の程度を推し量ることはできないから、本願商標は、我が国において全国的な周知性を獲得するに至ったものとはいえず、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとはいえない。
(4)請求人は、「「炭酸機能」の文字からなる標章は第三者によって使用されている例がない」旨を主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号同年10月21日判決、知財高裁平成27年(行ケ)第10061号同年9月16日判決参照)。
してみれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時点において、本願商標がその指定商品との関係で商品の品質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、その指定商品に使用された場合に、将来を含め、指定商品の需要者によって商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきである。
また、本願商標が、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識として認識され得ないものであることは、上記1のとおりである。
(5)したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、登録をすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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