商標拒絶査定不服審判
2022-013442
イイエックスクール
- 審判番号
- 2022-013442
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-120360
- 請求日
- 2022年08月26日
- 審決日
- 2023年06月13日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .16 -Z (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第5号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-120360拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年9月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年2月21日付け:拒絶理由通知
令和4年3月29日 :意見書、手続補正書、手続補足書の提出
令和4年5月26日付け:拒絶査定
令和4年8月26日 :審判請求書、手続補足書の提出
2 本願商標
本願商標は、「EXクール」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,歯科用材料,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「EXクール」の文字を標準文字で表してなるところ、欧文字の大文字2字「EX」と片仮名「クール」と文字の種類を異にしてなるので、容易に「EX」と「クール」を組み合わせてなるものと看取、認識し得る。
そして、「EX」の欧文字は、欧文字の大文字2字を表示してなるものであるから、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」(商標法第3条第1項第5号参照)といわざるを得ず、当該欧文字は、本願の指定商品等の分野において、記号又は符号として、使用されていることが認められる。
また、「クール」の文字は、「涼しくさわやかなさま。清涼」等の意味を有し、本願の指定商品との関係において、「清涼感」を指称するものとして使用されており、当該商品の品質を表すものであるから、商品の出所を識別するための標識として機能し得ないものである。
そうすると、「EX」と「クール」それぞれの文字は、自他商品の識別機能を有するものと認め難いものである。
また、本願商標は、全体で一体の商標として見ても上記とは別の語義や観念が生ずるものと見る特段の事情は見受けられないものであり、これを本願の指定商品中、「清涼感を与える(有する)商品」に使用しても、格別特徴的な部分を見出せず、自他商品の識別機能を有するものと認め難い。
さらに、「EXクール」の文字が、本願の指定商品等の分野において、「清涼感を与える(有する)商品」に使用されていることが見受けられる。
したがって、本願商標は、その指定商品中、例えば「清涼感を与える(有する)商品」について使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、令和5年3月13日付けで、別掲2に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見
(1)仮に、審尋の認定したとおり、本願商標中、「EX」が記号、符号の一類型で、「クール」が本願指定商品の内容表示として認識されるとしても、それら事実のみから本願商標が自他商品等識別力を発揮しないとの結論を必然的に導くことはできない。審尋は、「EX」及び「クール」が前述のように認識されることを述べるのみで、「EXクール」の語が全体として、本願指定商品との関係で自他商品等識別力を発揮しないことの説明を欠く。
(2)仮に本願商標の構成語が「EX」及び「クール」の2語の組合せとして認識されるとしても、この場合の欧文字2字は前方に付加されている。審尋の欧文字2字の用例と比べると、当該欧文字の語順がまったくの逆である。語順がまったく逆であれば、それに接した取引者、需要者の認識が同じであるとは限らない。そのような取引の実情から、本願商標中の「EX」が記号、符号の類型の一つ程度として認識されると評価することはできない。
また、審尋は、「クール」の語について、本願指定商品の分野で内容表示と認識されると評価していると解される。そうすると、当該語は、審尋の認定した取引の実情にいうところの「従来商品の名称又は商品群(シリーズ)の名称」に当たらない。審尋の用例に基づけば、従来商品の名称又は商品群(シリーズ)の名称の後方に欧文字2字が記号、符号として用いられることは首肯でき、したがって、従来商品の名称又は商品群(シリーズ)の名称の後方に配された欧文字2字が記号、符号と理解し得ることは、否定されない。しかしながら、本願商標中の「EX」は、従来商品の名称又は商品群(シリーズ)の名称に付加されたものではないから、審尋の認定した取引の実情に照らしても、当該文字がそれらを区別するために用いられる標識となる記号、符号の類型と認識されるともいえない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
ア 本願商標は、「EXクール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「EX」は欧文字である一方、「クール」は片仮名であって、異なる種類の文字を用いて表されていることから、「EXクール」の構成文字全体での語義が理解されないことも相まって、「EX」と「クール」の2つの文字部分から構成されていると容易に認識、把握されるものである。
イ ところで、医薬品等を取り扱う業界においては、(a)自己の製造、販売に係る従来商品に新たな成分等を配合し、従来商品よりも効能が向上した又は従来商品に異なる効能を付加した新商品を開発、販売する場合があるところ、新商品を表示する際、従来商品の名称に、該効能、品質、種類等を表す記号、符号として、欧文字1字ないし2字を付加して表示したり、(b)自己の製造、販売に係る一連の商品群(シリーズ)において、効能や用途等の違いにより複数タイプの商品を販売する場合があるところ、これらの個別商品を表示する際、商品群(シリーズ)の名称に、各個別商品の効能、品質、種類等を表す記号、符号として、欧文字1字ないし2字を付加して表示することが、一般に広く行われている実情がある(別掲2)。このような取引の実情に照らすと、同業界において、従来商品と新商品、あるいは一連の商品群(シリーズ)における個別商品を区別、管理等する際に、これらを区別する標識となる記号、符号として、欧文字1字ないし2字を用いているといえる。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「EX」の文字部分について、商品を区別するために用いられる標識となる記号、符号の類型の一つ程度として認識するとみるのが相当であり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないといえる。
ウ また、本願商標の構成中、「クール」の文字は、「涼しくさわやかなさま」等の意味を有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)として一般に親しまれているところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、該「クール」の文字は、「清涼感を与える(有する)商品」を表す際に用いられている実情がある(別掲1)ことは、請求人も自認するとおりである。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「クール」の文字部分について、「清涼感を与える(有する)商品」程度の意味合いとして認識するとみるのが相当であり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないといえる。
エ 以上によれば、本願商標は、その指定商品との関係において、いずれも自他商品の識別標識としての機能を有するとはいえない「EX」の欧文字と「クール」の片仮名を結合したものであり、その構成全体としても、自他商品の識別標識としての機能を有するところがないものである。
また、本願商標は標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標につき、商品を区別するために用いられる標識となる記号、符号の一類型といえる「EX」の文字と、清涼感を与える(有する)商品であることを表す「クール」の文字とを結合したものと認識するにとどまるものであり、このような本願商標は、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標中、「EX」が記号、符号の一類型で、「クール」が本願指定商品の内容表示として認識されるとしても、それら事実のみから本願商標が自他商品等識別力を発揮しないとの結論を必然的に導くことはできない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)のとおり、自他商品の識別標識としての機能を有するとはいえない「EX」の欧文字と「クール」の片仮名を単に結合したものと認識されるにとどまるから、その構成全体をもってしても、自他商品の識別標識として機能するものとはいい難いものである。
イ 請求人は、本願商標が「EX」及び「クール」の2語の組合せとして認識されるとしても、欧文字2字は前方に付加されており、審尋の用例と比べると、当該欧文字の語順が逆であることから、それに接した取引者、需要者の認識が審尋の用例と同じであるとは限らず、また、本願商標中の「EX」は、従来商品の名称又は商品群(シリーズ)の名称に付加されたものではないから、本願商標中の「EX」が記号、符号の類型の一つ程度として認識されると評価することはできない旨主張する。
しかしながら、本願商標の語頭に配された「EX」の文字は、本願商標全体から特定の語義が理解されないことも相まって、「クール」の文字と単に結合する欧文字2字と認識、把握されるものである。そして、医薬品等を取り扱う業界において、例えば、上記(1)イのとおり、各個別商品の効能、品質、種類等を表す記号、符号として、欧文字1字ないし2字が多数用いられている実情に照らせば、たとえ「EX」の文字部分が語頭に配されていたとしても、これに接する取引者、需要者は、当該文字部分を単なる記号、符号の類型の一つ程度として認識するとみるのが相当である。
ウ 請求人は、構成中に「EX」又は欧文字2字を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。
エ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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