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特許拒絶査定不服審判

2022-013226

ずきん

審判番号
2022-013226
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-086583
請求日
2022年08月23日
審決日
2024年08月20日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ブルネエズ株式会社
  • 【請求人代理人】若原 誠一
審判長/審判官
  • 審判長 山本 信平
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 倉橋 紀夫
分類
P18 .121-WZ (A62B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-086583「ずきん」拒絶査定不服審判事件〔令和元年10月31日出願公開、特開2019-187972〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特願2018-086583号(以下、「本願」という。)は、平成30年4月27日に出願されたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和2年8月31日付け :拒絶理由通知(発送日:同年9月2日) 令和2年11月2日 :意見書及び手続補正書の提出 令和3年1月26日付け :拒絶理由通知(発送日:同年1月29日) 令和3年3月19日 :意見書及び手続補正書の提出 令和3年3月20日 :手続補正書の提出 令和3年4月8日付け :拒絶理由通知(最後)(発送日:同年4月 12日) 令和3年6月10日 :意見書及び手続補正書の提出 令和3年11月18日付け:拒絶理由通知(最後)(発送日:同年11月 22日) 令和4年1月21日 :意見書及び手続補正書の提出 令和4年5月12日付け :拒絶査定(発送日:同年5月23日) 令和4年8月23日 :審判請求書の提出 令和5年3月29日付け :拒絶理由通知(発送日:同年3月30日) 令和5年5月16日 :意見書及び手続補正書の提出 令和6年3月28日 :上申書の提出 第2 本願発明 令和5年5月16日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「 人間の頭部の後頭部から両側頭部を覆うずきん本体と、 上記人間の顔部にてこのずきん本体に形成された、上記覆う部分が存在しない顔部と、 上記ずきん本体の上記後頭部付近でずきん本体を開いて、当該ずきん本体をほぼ平坦にし、上記人間の両肩に掛けることが可能となる第一の開放部と、 この両肩に掛けられたずきん本体の両端を連結して固定する連結部と、 上記顔部の外縁付近に形成された物を収納可能なポケット部と、 当該ポケット部に収納可能なマスク部であって、 上記ずきんで上記人間の頭部を覆うときには、このマスク部を上記ポケット部の開口から取り出して、上記人間の口部付近を覆い、 当該マスク部の一端が上記ポケット部付近に着脱自在に固定され、当該マスク部の他端が上記ずきん本体に着脱自在に固定され、 さらに当該一端または他端の固定を外して、当該マスク部を上記口部付近から外して上記ポケット部に開口から収納でき、 上記ずきんを開いて上記人間の両肩に掛けるときには、上記マスク部を上記ポケット部の開口から取り出して、上記マスク部の上記一端または上記他端が上記固定されていれば当該固定をすべて外して、上記人間の口部付近を覆って、上記人間の頭部に係止でき、 さらに当該マスク部を上記口部付近から外して上記ポケット部に開口から収納できるマスク部と、 上記ずきん本体を上記人間の頭部または上記人間の両肩から外して折り畳み、しかも上記ポケット部の上記開口が露出する状態で折り畳み、この折り畳んだ状態で上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納でき、また当該折り畳む前にも上記ポケット部の開口が露出し、この折り畳む前でも上記のように上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できるクッションとを備えたことを特徴とするずきん。」 第3 拒絶の理由 令和5年3月29日付けで当審より請求項1について通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。 1(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて、または、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2、3及び4に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 引用文献1:特開2010-51419号公報 引用文献2:登録実用新案第3208720号公報 引用文献3:登録実用新案第3079232号公報 引用文献4:特開2006-312004号公報 第4 引用文献 1 引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載事項 ア 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、地震や火災等の災害時において避難する際に、落下物や熱から頭を保護するために頭に被る防災頭巾に関するものである。 【背景技術】 【0002】 地震や火災等の災害時において避難する際には、落下物や熱から頭を保護することが望ましい。そこで、災害時には、防災頭巾を頭に被って避難することが提唱されている。 【0003】 上記背景技術は、一般的になされている事項であり、本願出願人は、出願時において、この背景技術が記載された文献を特に知見していない。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、災害時に避難する際には、地震や火災等によって生じた粉塵や煙を吸い込まないように、タオルやハンカチで鼻や口を塞ぎつつ避難することが推奨されるのであるが、避難者がタオルやハンカチを常備しているとは限らない。 【0005】 ここで、防災頭巾にタオルやハンカチの代わりとなる長尺状の布材(以下「帯状布」という)を付けておくことが単に考えられるが、使用しない時に防災頭巾から無用に帯状布が垂れ下がっていると、帯状布が鬱陶しい存在となるばかりか、帯状布が建物の突起等に引っ掛かかる等して速やかな避難に支障を来たす虞がある。 【0006】 一方、防災頭巾にポケットを設けて、このポケットにタオルやハンカチを入れておくことも単に考えられる。しかしながら、ポケットにタオルやハンカチを入れておくことは、防災頭巾を使用する者や防災頭巾を管理する者の心がけ次第となり、いざと言う災害時において、タオルやハンカチがポケットに入っていないことが想定される。 【0007】 本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、鼻や口を塞ぐことのできる帯状布が常備されており、しかも、帯状布の不使用時には帯状布が無用に垂れ下がらないように収納しておくことができる防災頭巾の提供を課題とする。」 (イ)「【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 本発明に係る防災頭巾の実施形態としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。 【0021】 図1に示すように、防災頭巾10は、下方から頭に被せることができるように底が開口し、前面から顔を出すことができるように前が開口する袋状に縫製されており、頭に被せることで使用者の頭頂部、側頭部及び後頭部を覆うフード部20と、フード部20の下方に延設されて使用者の首周り及び肩を覆う裾部30とを有する形態に形成されている。そして、フード部20の左右の側部には、夫々、ポケット40(詳細は後述する)が設けられており、フード部20の左右の各ポケット40には、帯状布50(詳細は後述する)が収納されている。 【0022】 また、防災頭巾10の前面の開口部分には、顎掛け61が左右に架渡されている。防災頭巾10を頭に被せて顎に顎掛け61を引っ掛けることで、使用者の頭から防災頭巾10が脱げ難くなる。 【0023】 また、フード部20の下部における使用者の耳に対応する部位には、鳩目によって構成された耳穴62が穿設されており、防災頭巾10を被っても、周囲の音や声が聞こえ難くなることがない。 【0024】 さらに、裾部30には、ホイッスルを入れておくことができるように、小ポケット60が設けられている。ここで、ホイッスルを使用する場合は、身動きがとれない状態であることが想定されるため、小ポケット60は、中からホイッスルを取出し易いように、閉塞できないように開放されている。なお、小ポケット60の開口部分には、取付輪63が設けてあり、ホイッスルに紐を付けて、この紐を取付輪63に結び付けておけば、ホイッスルが紛失することを防止することができる。 【0025】 次に、フード部20の左右の側部に設けられたポケット40、及び、各ポケット40に備えられた帯状布50の詳細を説明する。 【0026】 フード部20に設けられた各ポケット40内には、帯状布50の一端側が逢着されており、各ポケット40に一端が縫着された帯状布50は、折り畳んでポケット40内に収納されている。ここで、帯状布50は、タオルや手拭等の長尺状の布によって形成されており、図2に示すように、ポケット40の開口41から他端側を引き出して、鼻や口を塞ぐことができるものである。 【0027】 なお、左右の一方の帯状布50によって鼻や口を十分に塞ぐことができる場合には、フード部20の左右のポケット40のうち、一方のポケット40を省略したり、左右にポケット40を設けはするものの、一方のポケット40に備える帯状布50を省略することができる。 【0028】 帯状布50は、粉塵や煙を吸込まないように鼻や口を塞ぐ必要がある場合に使用されるのであるが、使用を要しない場合には、図1に示すように、ポケット40に収納しておくことで、帯状布50が無用に垂下がらず、避難の邪魔になることがない。 【0029】 一方、避難中に粉塵や煙を吸込まないように鼻や口を塞ぐ必要がある場合には、帯状布50は、ポケット40に縫着されており、防災頭巾10に常に備え付けられているものであることから、必ずある帯状布50を的確に用いることができる。 【0030】 また、帯状布50によって鼻や口を塞ぎながら避難している最中に帯状布50から手を離したとしても、帯状布50は防災頭巾10に縫着されていることから、帯状布50を落としてしまうことはなく、防災頭巾10からぶら下がった帯状布50を手にして再び鼻や口を塞ぐことができる。 【0031】 ところで、防災頭巾10全体は、図3に示すように、内部に綿やスポンジ等のクッション材を有する内地11と、この内地11の外側に配置された外地12とを縫製して形成されており、フード部20のポケット40は、内地11と外地12との間の空間によって形成されている。そして、帯状布50の一端側は、ポケット40の開口41部分の近傍において、外地12に縫着されている。 【0032】 よって、帯状布50をポケット40内に簡便に縫着することができるばかりか、怪我等の手当てに用いるため等、必要に応じてポケット40に縫着された帯状布50を引きちぎった場合においても、クッション材を有する内地11が破損することはなく、防災頭巾10としての機能が低下することはない。 【0033】 図1及び図2に示すように、ポケット40の開口41には、スライダー43によって開閉する公知のファスナー42が取付けられており、スライダー43を上方に移動させることでポケット40の開口41が閉塞され、スライダー43を下方に移動させることでポケット40の開口41が開放される。このようにスライダー43の下方への移動によってポケット40の開口41が開放することとすれば、帯状布50を使用すべくポケット40を開けようとスライダー43を下方に強く引っ張っても、防災頭巾10が頭に深く被さるだけであり、防災頭巾10が頭から脱げることはない。 【0034】 また、スライダー43には、リング44が取付けられており、リング44に指先を引掛けてスライダー43を移動させることで、ポケット40の開口41を簡単に開閉することができるようにしてある。特に、防災頭巾10の使用者が幼児である場合には、物を力強く摘んで動かすといった動作が苦手なのであるが、上述のようにファスナー42のスライダー43にリング44を設けることで、幼児であってもポケット40を簡単に開閉することができる。 【0035】 ポケット40は、帯状布50の他にも種々の物品を収納することができる十分な大きさに形成されている。ここで、防災頭巾10が、幼稚園や保育所等に常備したり、幼稚園や保育所の幼児が携帯したりするものである場合には、フード部20の左右のポケット40に使い捨ての紙オムツを入れておくことが好ましい。ポケット40に紙オムツを入れておくと、紙オムツがクッションとなって、頭部をより確実に保護することができる。また、避難先にオムツを必要とする乳幼児がいる場合に、不足しがちなオムツを提供することができる。なお、幼児用に限らず、大人用の防災頭巾10であっても、ポケット40に紙オムツを入れておくとよい。頭部をより確実に保護することができたり、避難先で不足しがちなオムツを提供することができるばかりでなく、水分の吸収性がよく、しかも衛生的な紙オムツは、怪我の手当て等に用いることができるからである。」 (ウ)「 [図:0001415664000001.jpg] 」(【図1】) (エ)「 [図:0001415664000002.jpg] 」(【図2】) (オ)「 [図:0001415664000003.jpg] 」(【図3】) (2)引用発明 上記(1)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「 使用者の頭の後頭部から側頭部を覆うフード部20及び裾部30と、 使用者の顔にてこのフード部20及び裾部30に形成された、フード部20及び裾部30が開口する前面の開口部分と、 フード部20の左右の側部に設けられた種々の物品を収納することができるポケット40と、 ポケット40に収納することができる帯状布50であって、 防災頭巾10で使用者の頭を覆うときには、この帯状布50をポケット40の開口41から引き出して、使用者の鼻や口を塞ぎ、 帯状布50の一端側がポケット40の開口41部分の近傍に縫着され、帯状布50の他端側がフード部20及び裾部30に縫着されておらず、 さらに、帯状布50によって鼻や口を塞ぐ手を帯状布50から離して帯状布50をポケット40に開口41から収納しておくことができ、 帯状布50をポケット40の開口41から引き出して、使用者の鼻や口を塞いで、 さらに帯状布50によって鼻や口を塞ぐ手を帯状布50から離して帯状布50をポケット40に開口41から収納しておく帯状布50と、 フード部20及び裾部30を使用者の頭から外して、この外した状態で帯状布50が開口41に対し引き出しまたは収納でき、また外した状態でポケット40の開口41が露出し、この外した状態で上記のように帯状布50が開口41に対し引き出しまたは収納できる防災頭巾10。」 2 引用文献2の記載及び引用文献2に記載された技術的事項 (1)引用文献2の記載事項 ア 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本考案は、地震や火事等の災害時に使用する防災頭巾に関する。」 (イ)「【0013】 図1は、本考案による防災頭巾を示す図である。第一接合部(ファスナー)と第二接合部(ファスナー)を閉じた状態である。図3は、本考案による防災頭巾の、第一接合部(ファスナー)と第二接合部(ファスナー)とが接合されている状態を示す写真である。 【0014】 本考案による防災頭巾は、2つ折り状態であり、大きさは30cm(短辺)×47cm(長辺)である。なお、大きさの範囲は(28~35cm)×(45~52cm)厚さは5mmである。厚さの範囲は3mm~10mmが好ましい。第一接合部と第二接合部にはファスナーを使用しているが、ファスナーの長さは図1、図3の例では37cmであるが、長辺の長さより、2~10cm短くする。 【0015】 図5は、本考案による防災頭巾を使用する際の状態の一例を示す写真である。第一接合部(ファスナー)と第二接合部(ファスナー)とが接合されており、頭部の後に接合部が位置している。前面に見える紐が、顔の下で両側を結びつけて、防災頭巾を頭部に固定している。この紐は、頭巾を固定するために用いるが、笛等をつけることができる。 【0016】 この防災頭巾の外面は耐水性のあるシートを用いており、消火の水や雨水をある程度防ぐことができる。図5の写真の下方に見える白い四角形は、名前等を記したラベルであり、透明な樹脂膜で覆っている。 【0017】 本考案の防災頭巾は、平面状の緩衝部材(綿、ウレタン)の両面を布で覆った構造である。布は綿、化学素材、いずれでも良いが、肌触りの観点からは綿が化繊より優れており、内面側に使用する。外面側は耐水性のある化学繊維の布、あるいはシートとするが、耐火性のあるアラミド繊維の布でも良い。耐水性(防水性)のある布を用いると、火事における放水の水や雨にぬれることを、ある程度防ぐことができる。 【0018】 図2は、考案による防災頭巾において第一接合部と第二接合部とが接合されている状態を示す写真である。図に示すように、第一接合部と第二接合部のファスナー中央部から10cmの所までである。ファスナーは中央部近傍のファスナーの始点より、端部の終点までである。終点までファスナーを締めると防災頭巾になる。 【0019】 図4は、考案による防災頭巾の、第一接合部と第二接合部とが接合されていない状態を示す写真(内側)である。長く延びた状態であり、防寒用品として使用する場合の状態である。 【0020】 図6は、本考案による防災頭巾の、第一接合部と第二接合部とが接合されていない状態で防寒用品として使用している状態を示す写真である。防災用品として使用する場合を優先すると、内面を覆う素材は肌触りの良い綿が好ましい。写真においては、上側がファスナーの始点である。左下には笛をつけている。 【0021】 東日本大震災の時には、大変寒かったので、暖かい防災頭巾がればと思いました。30cmのファスナーがついておりますので、ファスナーを開ければ図3、図4のようになります。 【0022】 防災頭巾の後ろ側に、夜間時に効果的な標識用テープ(反射板)を取り付けるようにしてもよい。この標識用テープ(図示せず)としては、例えば、光が当たったとき明るく黄色に光る反射テープ、あるいは、暗闇でも青く光る夜光性の半導体発光テープ、あるいは、これらを併用したテープなどが好適である。 【0023】 なお、第一接合部(ファスナー)と第二接合部(ファスナー)は、その接合の長さを自由に変化させることができる。頭部(折り曲げ中央部)よりの接合長さを短くする(最後まで接合しない)ことのより、防災頭巾の下部が肩にかかり、首筋から肩にかけて保護することができる。これにより、頭部のみならず、肩部分まで含めたより広い範囲を防災頭巾で保護することができる。 【符号の説明】 【0024】 1…防災頭巾、2ファスナー(21第1接合部、22第2接合部)、3名札、4 接合紐(笛)」 (ウ)「 [図:0001415664000004.jpg] 」(【図1】) (エ)「 [図:0001415664000005.jpg] 」(【図2】) (オ)「 [図:0001415664000006.jpg] 」(【図3】) (カ)「 [図:0001415664000007.jpg] 」(【図4】) (キ)「 [図:0001415664000008.jpg] 」(【図5】) (ク)「 [図:0001415664000009.jpg] 」(【図6】) (2)引用文献2に記載された技術的事項 上記(1)を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「防災頭巾1の頭部の後で防災頭巾1を開けて、防災頭巾1を長く延びた状態にし、人間の肩部分にかかる第一接合部21(ファスナー)と第二接合部22(ファスナー)と、この肩部分にかかる防災頭巾1の両端を結びつけて固定する接合紐(笛)4を備え、防災頭巾1を開けて人間の肩部分にかけるときなる態様を備えること。」 3 引用文献3の記載及び引用文献3に記載された技術的事項 (1)引用文献3の記載事項 ア 引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。 (ア)「 【0001】 【考案の属する技術分野】 本考案は防災頭巾特に震災時又は緊急時に使用する安価かつ装着安易な防災、防塵頭巾に関する。」 (イ)「 【0009】 【実施例】 本考案の防炎頭巾(1)は、図1に示す如く、主として防炎処理された布地より成る頭巾本体(2)と、その内側頭上部に着脱自在に装着されたスポンジ状クッション材(3)、その前面の呼吸器部に着脱自在に装着された防塵マスク(4)及び頸部結帯用紐体(7)(8)より成る。 【0010】 斯の如き頭巾(1)は、先ず図4に示す真空パック(16)内に圧縮収納された図3の頭巾各部を取り出した後、頭巾本体(2)の内面(14)の上部に例えば面ファスナー(図示せず)でスポンジ状クッション材(3)を取付け、防塵マスク(4)の一端(11)を、頭巾本体(2)の相応する部分に取り付けられたファスナー上に装着した後、着用者(M)の頭上にかぶせられる。 【0011】 次いで、防塵マスク(4)は、その他端の面ファスナー(9)上に矢印(F)で示す如く係合され、図2に示す如く、着用者(M)の呼吸器を被覆した後、前記紐体(7)(8)で頸部を結帯し、頭巾が頭部から抜け落ちない様に締め付け、必要に応じて肩部保護用垂れ(5)(6)..を、頭巾本体上の下部面ファスナー(12)(13)...に係合させて、着用者の頭部、肩部及び背中上部を保護する様に装備される。 【0012】 此の様な防炎マスク、肩部保護用垂れ(5)、(5)(6)...は、頭巾の内側に取り付けても良く、又その取付具も、ホック、ボタン掛けが考えられるが、図示の如く面ファスナーを使用するのがその取扱上便利と考えられる。 更に此の防塵マスク(4)は、市販されている別個の防炎マスクを使用しても差し支えない。 【0013】 一方、使用後の此の防炎頭巾(1)は、図3に示す如く、夫々の取付部分のファスナー(3)、(9)、(12)等が取り外されて、頭巾本体(2)、スポンジ状クッション材(3)、防塵マスク(4)、及び肩部保護用垂れ(5)(6)(5’)..に分離された後、面積の広い部分例えば頭巾本体(2)、肩部保護用垂れ(5)(6)..等は、図4に示す如く折り畳まれて重ねられ、真空パック(15)内に収納され、矢印(f)(f’)方向から圧縮脱気され、(16)で示す如く、小容量に収縮されて保管される。 【0014】 【考案の効果】 斯の如き構成並びに作用に依り本考案の防炎頭巾は、以下の様な優れた諸効果を有している。 (1) 安価で容易に着脱出来る。 (2) 軽量で作業、動作がし易い。 (3) 汎用で一般家庭用の防災備品として普及し得る。 (4) 防炎、防塵効果が大きい。 (5) 防湿性である。 (6) 全材料が繊維性の為、真空パック内で小容量化し得るので、携帯並びに保管に便利である。」 (ウ)「 [図:0001415664000010.jpg] 」(【図1】) (エ)「 [図:0001415664000011.jpg] 」(【図2】) (オ)「 [図:0001415664000012.jpg] 」(【図3】) (2)引用文献3に記載された技術的事項 上記(1)を総合すると、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3記載技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「防災頭巾(1)で着用者(M)の頭上にかぶせるときには、防塵マスク(4)の一端(11)が頭巾本体(2)の相応する部分に取り付けられたファスナー上に着脱自在に装着され、防塵マスク(4)の他端(10)が頭巾本体(2)の面ファスナー(9)上に着脱自在に係合され、さらに一端(11)または他端(10)の装着を分離して、防塵マスク(4)を前面の呼吸器部から外すことができ、また、防塵マスク(4)を、防塵マスク(4)の一端(11)または他端(10)が装着されていれば装着をすべて分離して、着用者(M)の前面の呼吸器部を被覆することができ、さらに防塵マスク(4)を前面の呼吸器部から外すことができること。」 4 引用文献4の記載及び引用文献4に記載された技術的事項 (1)引用文献4の記載事項 ア 引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、災害時にマスクつきの防災頭巾として使用できる防災頭巾兼用枕に関する。」 (イ)「【0013】 図1は頭巾1の上端縁をスライドファスナー2で開閉可能にし、後部3を二つ折りして輪状に形成するか或いは縫製などによって閉じており、頭巾1の左右いずれかの一方前部のマスク相当位置に帯状体4の一端5を取り付け、この帯状体4の取り付け部近傍の表面に係止部材としてファスナー6を設けている。 帯状体4の他端裏面に面ファスナー6に係止する面ファスナー6aを設け、頭巾の側周を一周させて前記面ファスナー6に係止させるものである。図中、7はスライドファスナーの摘みに取り付けた鈴、8は頭巾の肩にかかる部分である。頭巾に使用する素材は例えばキルティング材や発泡材、或いは空気封入材等クッション性を有するものが好ましく、かつ、防燃材で覆ってあることが好ましい。 【0014】 上記のように帯状体4は頭巾の側周を一周して頭巾脱落防止の紐の作用とマスクの作用を成すものであるから、その効果を有する寸法に面ファスナー6及び面ファスナー6aを設ける。マスク効果と頭巾の脱落防止効果をより高めるために、頭巾1の他端前部表面のマスク相当位置にも面ファスナー6bを設け、帯状体4の裏面のマスク端相当位置に面ファスナー6cを設けて係止させてもよい。このように面ファスナー6と面ファスナー6a、面ファスナー6bと面ファスナー6cに係止するようにするとマスクの寸法や位置もより安定するとともに頭巾の脱落防止効果も高められる。係止部材として面ファスナーを図示したが、その他のものを使用してもよい。 【0015】 図2は頭巾上端縁のスライドファスナー2を開いて枕として使用する場合を示す。就寝時は帯状体4を図のように枕の下に敷いておけばよい。 【0016】 暗闇の災害時でも、また寝たままの姿勢でも鈴7の音でスライドファスナー2の摘みの位置が確認されるので素早くスライドファスナー2を閉じて頭を覆い、枕の下の帯状体4をぐるりと巻きつけるとマスクつきの防災頭巾となる。 【0017】 図3は防災頭巾を形成した場合を示す。例示したようにマスクの位置に笛を収納するポケット9を設けておくと、家具や家屋の下敷きになった場合に収納場所を探すことなく口元のポケットから笛を取り出して救助を求めることが出来るので好ましい。この場合、ポケット内部と笛を紐で連結しておくことが好ましく、マスク位置の口に当たる部分はガーゼや通気性のクッション材を設けるのが好ましい。」 (ウ)「 [図:0001415664000013.jpg] 」(【図1】) (エ)「 [図:0001415664000014.jpg] 」(【図2】) (オ)「 [図:0001415664000015.jpg] 」(【図3】) (2)引用文献4に記載された技術的事項 上記(1)を総合すると、引用文献4には、次の技術的事項(以下、「引用文献4記載技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「頭巾1を枕として使用すること。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)「ずきん本体」に関して 引用発明における「使用者」は本願発明における「人間」に相当し、以下同様に、「頭」は「頭部」に、「後頭部」は「後頭部」に、「側頭部」は「両側頭部」に、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明における「フード部20」及び「裾部30」は本願発明における「ずきん本体」に相当する。 (2)「顔部」に関して 引用発明における「使用者の顔」は本願発明における「人間の顔部」に相当し、以下同様に、「フード部20」及び「裾部30」は「覆う部分」に、「開口する」ことは「存在しない」ことに、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明における「前面の開口部分」は本願発明における「顔部」に相当する。 (3)「ポケット部」に関して 引用発明における「フード部20の左右の側部」は本願発明における「顔部の外縁付近」に相当し、以下同様に、「設けられた」ことは「形成された」ことに、「種々の物品を収納することができる」ことは「物を収納可能な」ことに、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明における「ポケット40」は本願発明における「ポケット部」に相当する。 (4)「マスク部」に関して 引用発明における「収納することができる」ことは本願発明における「収納可能な」ことに相当する。 また、引用発明における「防災頭巾10」は本願発明における「ずきん」に相当し、以下同様に、「ポケット40」は「ポケット部」に、「開口41」は「開口」に、「引き出して」は「取り出して」に、「鼻や口」は「口部付近」に、「塞ぎ」は「覆い」に、「一端側」は「一端」に、「ポケット40の開口41部分の近傍」は「ポケット部付近」に、「縫着され」は「固定され」に、「他端側」は「他端」に、「縫着されておらず」は「固定されておらず」に、「帯状布50によって鼻や口を塞ぐ手を帯状布50から離して」は「マスク部を口部付近から外して」に、「収納しておくことができ」ることは「収納でき」ることに、「塞いで」は「覆って」に、「収納しておく」ことは「収納できる」ことに、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明における「帯状布50」は本願発明における「マスク部」に相当する。 (5)「ずきん本体を人間の頭部または人間の両肩から外して折り畳」むことに関して 引用発明における「フード部20及び裾部30を使用者の頭から外して」は本願発明における「ずきん本体を人間の頭部または人間の両肩から外して折り畳み、しかもポケット部の開口が露出する状態で折り畳み」と「ずきん本体を人間の頭部から外して」という限りで一致する。 また、引用発明における「この外した状態で帯状布50が開口41に対し引き出しまたは収納でき」は本願発明における「この折り畳んだ状態でマスク部が開口に対し取り出しまたは収納でき」と「この外した状態でマスク部が開口に対し取り出しまたは収納でき」という限りで一致する。 さらに、引用発明における「外した状態でポケット40の開口41が露出し」は本願発明における「折り畳む前にもポケット部の開口が露出し」と「外した状態でポケット部の開口が露出し」という限りで一致する。 さらにまた、引用発明における「この外した状態で上記のように帯状布50が開口41に対し引き出しまたは収納できる」は本願発明における「この折り畳む前でも上記のようにマスク部が開口に対し取り出しまたは収納できる」と「この外した状態で上記のようにマスク部が開口に対し取り出しまたは収納できる」という限りで一致する。 そうすると、引用発明における「フード部20及び裾部30を使用者の頭から外して、この外した状態で帯状布50が開口41に対し引き出しまたは収納でき、また外した状態でポケット40の開口41が露出し、この外した状態で上記のように帯状布50が開口41に対し引き出しまたは収納できる」ことは本願発明における「ずきん本体を人間の頭部または人間の両肩から外して折り畳み、しかもポケット部の開口が露出する状態で折り畳み、この折り畳んだ状態でマスク部が開口に対し取り出しまたは収納でき、また折り畳む前にもポケット部の開口が露出し、この折り畳む前でも上記のようにマスク部が開口に対し取り出しまたは収納できるクッションとを備えた」ことと「ずきん本体を人間の頭部から外して、この外した状態でマスク部が開口に対し取り出しまたは収納でき、また外した状態でポケット部の開口が露出し、この外した状態で上記のようにマスク部が開口に対し取り出しまたは収納できる」ことという限りで一致する。 2 一致点、相違点 したがって、本願発明と引用発明は、 「 人間の頭部の後頭部から両側頭部を覆うずきん本体と、 人間の顔部にてこのずきん本体に形成された、覆う部分が存在しない顔部と、 顔部の外縁付近に形成された物を収納可能なポケット部と、 ポケット部に収納可能なマスク部であって、 ずきんで人間の頭部を覆うときには、このマスク部をポケット部の開口から取り出して、人間の口部付近を覆い、 マスク部の一端がポケット部付近に固定され、マスク部の他端がずきん本体に固定されておらず、 さらに、マスク部を口部付近から外してポケット部に開口から収納でき、 マスク部をポケット部の開口から取り出して、人間の口部付近を覆って、 さらにマスク部を口部付近から外してポケット部に開口から収納できるマスク部と、 ずきん本体を人間の頭部から外して、この外した状態でマスク部が開口に対し取り出しまたは収納でき、また外した状態でポケット部の開口が露出し、この外した状態で上記のようにマスク部が開口に対し取り出しまたは収納できるずきん。」 である点で一致し、次の点において相違する。 <相違点1> 本願発明は「ずきん本体の後頭部付近でずきん本体を開いて、ずきん本体をほぼ平坦にし、人間の両肩に掛けることが可能となる第一の開放部」と「この両肩に掛けられたずきん本体の両端を連結して固定する連結部」を備え、「ずきんを開いて人間の両肩に掛けるとき」なる態様を特定するものであるのに対し、引用発明はそのようなものではない点。 <相違点2> 「マスク部」の「固定」及び「係止」について、本願発明は、(ずきんで人間の頭部を覆うときには、)マスク部の一端がポケット部付近に「着脱自在に」固定され、マスク部の他端がずきん本体に「着脱自在に」固定され、さらに「一端または他端の固定を外して」、マスク部を口部付近から外してポケット部に開口から収納でき、また、(ずきんを開いて人間の両肩に掛けるときには、)マスク部をポケット部の開口から取り出して、「マスク部の一端または他端が固定されていれば当該固定をすべて外して、」人間の口部付近を覆って、「人間の頭部に係止でき、」さらにマスク部を口部付近から外してポケット部に開口から収納できるものであるのに対し、引用発明は、(防災頭巾10(ずきん)で使用者(人間)の頭(頭部)を覆うときには、)帯状布50(マスク部)の一端側(一端)がポケット40の開口41部分の近傍(ポケット部付近)に縫着され(固定され)てはいるものの、「着脱自在」ではなく、帯状布50(マスク部)の他端がフード部20及び裾部30(ずきん本体)に「着脱自在に」縫着され(固定され)ておらず、さらに「一端または他端の固定を外して」、帯状布50(マスク部)を鼻や口(口部付近)から手を離して(外して)ポケット40(ポケット部)に開口41(開口)から収納しておく(収納できる)ものではなく、帯状布50(マスク部)をポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から引き出して(取り出して)、「マスク部の一端または他端が固定されていれば当該固定をすべて外して、」使用者(人間)の鼻や口(口部付近)を塞いで(覆って)、「人間の頭部に係止でき、」さらに帯状布50(マスク部)を鼻や口(口部付近)から手を離して(外して)ポケット40(ポケット部)に開口41(開口)から収納しておく(収納できる)ものではない点。 <相違点3> 人間の頭部等から外したときの「ずきん本体」の態様、該態様における「ポケット部の開口」の状態、「マスク部」の「ポケット部の開口」に対する「取り出しまたは収納」について、本願発明は、人間の頭部「または人間の両肩」から外して「折り畳み」、「しかも上記ポケット部の上記開口が露出する状態で折り畳み」、「この折り畳んだ状態で」上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納でき、また当該「折り畳む前にも」上記ポケット部の開口が当該ずきん本体表面に露出し、「この折り畳む前でも」マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できる「クッションとを備えた」ものであるのに対し、引用発明は、使用者(人間)の頭(頭部)から外して「折り畳まれ」るものであるかは明らかでなく、「折り畳まれ」ることに関連したポケット40(ポケット部)の開口41(開口)の状態及び帯状布50(マスク部)のポケット40(ポケット部)の開口41(開口)に対する引き出し(取り出し)または収納(収納)について明らかでなく、本願発明のような「クッション」を備えるものであるか明らかでない点。 第6 判断 1 相違点の検討 上記相違点について検討する。 (1)相違点1について 上記第4の2(2)のとおり、引用文献2には、引用文献2記載技術的事項が記載されていると認められる。 ここで、引用文献2記載技術的事項における「防災頭巾1」は本願発明における「ずきん本体」に相当し、以下同様に、「頭部の後」は「後頭部付近」に、「開けて」は「開いて」に、「長く延びた状態」は「ほぼ平坦」に、「人間の肩部分」は「人間の両肩」に、「かかる」は「掛けることが可能となる」に、「第一接合部21(ファスナー)と第二接合部22(ファスナー)」は「第一の開放部」に、「肩部分」は「両肩」に、「かかる」は「掛けられた」に、「結びつけて」は「連結して」に、「固定する」は「固定する」に、「接合紐(笛)4」は「連結部」に、「防災頭巾1」は「ずきん」に、「かけるとき」は「掛けるとき」に、それぞれ相当する。 そうすると、引用文献2記載技術的事項を本願発明の用語を用いて整理すると以下のようになる。 「ずきん本体の後頭部付近でずきん本体を開いて、ずきん本体をほぼ平坦にし、人間の両肩に掛けることが可能となる第一の開放部と、この両肩に掛けられたずきん本体の両端を連結して固定する連結部を備え、ずきんを開いて人間の両肩に掛けるときなる態様を備えること。」 そして、引用発明において、同様に防災頭巾の技術分野に属する引用文献2記載技術的事項を参酌して、「ずきん本体の後頭部付近でずきん本体を開いて、ずきん本体をほぼ平坦にし、人間の両肩に掛けることが可能となる第一の開放部」と「この両肩に掛けられたずきん本体の両端を連結して固定する連結部」を備え、「ずきんを開いて人間の両肩に掛けるとき」なる態様を備えるように構成して、相違点1に係る本願発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 (2)相違点2について 上記第4の3(2)のとおり、引用文献3には、引用文献3記載技術的事項が記載されていると認められる。 ここで、引用文献3記載技術的事項における「防災頭巾(1)」は本願発明における「ずきん」に相当し、以下同様に、「着用者(M)」は「人間」に、「頭上」は「頭部」に、「にかぶせる」は「を覆う」に、「防塵マスク(4)」は「マスク部」に、「一端(11)」は「一端」に、それぞれ相当する。また、引用文献3記載技術的事項における「頭巾本体(2)の相応する部分に取り付けられたファスナー上に」は本願発明における「ポケット部付近に」と「ずきん本体に」という限りで一致する。さらに、引用文献3記載技術的事項における「装着され」は本願発明における「固定され」に相当し、以下同様に、「他端(10)」は「他端」に、「頭巾本体(2)の面ファスナー(9)上」は「ずきん本体」に、「係合」は「固定」に、「分離して」は「外して」に、「前面の呼吸器部」は「口部付近」に、「被覆して」は「覆って」に、それぞれ相当する。 そうすると、引用文献3記載技術的事項を本願発明の用語を用いて整理すると以下のようになる。 「ずきんで人間の頭部を覆うときには、マスク部の一端がずきん本体に着脱自在に固定され、マスク部の他端がずきん本体に着脱自在に固定され、さらに一端または他端の固定を外して、マスク部を口部付近から外すことができ、また、マスク部を、マスク部の一端または他端が固定されていれば当該固定をすべて外して、人間の口部付近を覆って、さらにマスク部を口部付近から外すことができること。」 そして、引用発明において、「一端側」(一端)が「ポケット40の開口41部分の近傍」(ポケット部付近)に「縫着され」(固定され)、「ポケット40」(ポケット部)に「開口41」(開口)から「収納しておく」ことができる(収納できる)「帯状布50」(マスク部)について、同様に防災頭巾の技術分野に属する引用文献3記載技術的事項を参酌して、ずきんで人間の頭部を覆うときには、マスク部の一端がずきん本体に「着脱自在に」固定され、マスク部の他端がずきん本体に「着脱自在に」固定され、さらに「一端または他端の固定を外して、マスク部を口部付近から外すことができ、また、マスク部を、「マスク部の一端または他端が固定されていれば当該固定をすべて外して、」人間の口部付近を覆って、さらにマスク部を口部付近から外すことができる」ように構成し、その際に、引用文献3の段落【0012】には「此の様な防炎マスク、・・・は、・・・その取付具も、ホック、ボタン掛けが考えられる・・・更に此の防塵マスク(4)は、市販されている別個の防炎マスクを使用しても差し支えない。」と記載されていることから、マスク部を、「マスク部の一端または他端が固定されていれば当該固定をすべて外して、」人間の口部付近を覆う際には、「人間の頭部に係止でき」るような態様を選択し、相違点2に係る本願発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 (3)相違点3について ア 本願発明において、人間の頭部等から外したときにおける「ずきん本体」の態様として、「折り畳む」ことやその際に「ポケット部の開口が露出する状態で折り畳」むこと及び「この折り畳んだ状態で」マスク部が開口に対し取り出しまたは収納できることは、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないため、ずきんの使用態様を特定するものに過ぎず、また、当該この「折り畳む前にも」ポケット部の開口がずきん本体表面に露出し、「この当該折り畳む前でも」マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できることは引用発明において明らかであり、これを「クッションとを備えた」ものとすることについても、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないため、ずきんの使用態様を特定するものに過ぎず、物を特定するための事項とは認められないことから、引用発明との対比において、相違点3は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。 イ 仮に物を特定するための事項であるとしても、引用文献1に記載された「防災頭巾10」(ずきん)は、段落【0031】に「防災頭巾10全体は、図3に示すように、内部に綿やスポンジ等のクッション材を有する内地11と、この内地11の外側に配置された外地12とを縫製して形成されており」と記載されていることからみて、「折り畳む」ことが可能な素材で形成されているものと認められ、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りない相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように、使用時において「折り畳む」ようにすることに格別の困難性は認められない。 そして、相違点3に係る本願発明の「ポケット部の開口が露出する状態で」折り畳むことについても、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないところ、引用発明において、「ポケット部の開口」を折り畳み方次第で表面に露出し得る適宜の位置に設け、折り畳み方の選択により表面に露出するように構成することは当業者が適宜選択し得るものである。 また、そのときの「マスク部」については、引用発明において、ポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から帯状布50(マスク部)を引き出す(取り出す)か、またはポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から帯状布50(マスク部)を収納しておく(収納する)ことが可能なものである以上、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りない相違点3に係る本願発明のように、「この折り畳んだ状態で」、ポケット部の開口からマスク部を取り出すか、または、収納するように構成することは当業者が適宜なし得るものである。 さらに、上記の通り、「折り畳む前にも」ポケット部の開口がずきん本体表面に露出し、「この当該折り畳む前でも」マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できることは引用発明において明らかであり、引用文献1に記載された「防災頭巾10」(ずきん)は、段落【0031】に上記のように記載されていることからみて、「折りたたむ」ことが可能な素材で形成された「クッション」を備えているものと認められ、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りない相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように「クッション」を備えるものとすることに格別の困難性は認められない。 また、そのときの「マスク部」についても、引用発明において、ポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から帯状布50(マスク部)を引き出す(取り出す)か、またはポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から帯状布50(マスク部)を収納しておく(収納する)ことが可能なものである以上、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りない相違点3に係る本願発明のように、「クッション」が、ポケット部の開口からマスク部を取り出すか、または、収納するように構成することは当業者が適宜なし得るものである。 そうすると、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 加えて、上記第4の4(2)のとおり、引用文献4には、引用文献4記載技術的事項が記載されていると認められる。 ここで、引用文献4記載技術的事項における「頭巾1」は本願発明の「ずきん」に相当する。 そうすると、引用文献4記載技術的事項を本願発明の用語を用いて整理すると以下のようになる。 「ずきんを枕として使用すること。」 そして、引用文献4記載技術的事項の頭巾1(ずきん)を枕として使用する態様を参酌して、引用発明における「フード部20及び裾部30」(ずきん本体)を、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りない相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように、使用時において「クッション」を備えるように構成することも当業者が容易になし得るものである。 そして、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び引用文献3記載技術的事項、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項、引用文献3記載技術的事項及び引用文献4記載技術的事項から当業者が予測し得る程度のものである。 2 小括 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び引用文献3記載技術的事項に基いて、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項、引用文献3記載技術的事項及び引用文献4記載技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 審判請求人の主張について 1 審判請求人の意見書における主張 (1)審判請求人の意見書における主張の内容 審判請求人は、令和5年5月16日に提出された意見書において、令和5年3月29日付けの拒絶理由通知書の「●理由1(進歩性)について」に対して次のように主張している(下線は審判請求人が付したとおりである。)。 ア 「(1) 今回の拒絶理由通知書では、「(ウ)相違点1の3について 請求項1に係る発明において、人間の頭部から外したときにおける「ずきん本体」の態様として、「折り畳む」ことは、ずきんの使用態様に過ぎず、物を特定するための事項とは認められないため、引用文献1に記載された発明との対比において、相違点1の3は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。」とされています。(「(ウ)相違点1の3について」上段) しかし、今回の手続補正書によって、「上記ずきん本体を上記人間の頭部または上記人間の両肩から外して折り畳み、しかも上記ポケット部の上記開口が露出する状態で折り畳み、この折り畳んだ状態で上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納でき、…、クッション」と補正して、明確に、物を特定するための事項といえるようになり、単なる使用形態とはいえなくなりました。 そして、この折り畳んだクッションの状態で、開口が露出し、マスク部を取り出したり収納したりできます。 このような特徴は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)には記載されていませんし、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明から当業者が容易に想到できたとは必ずしも言い切れません。」(上記意見書の【3】(1)欄) イ 「(2) 今回の拒絶理由通知書では、「(エ)相違点1の4について 請求項1に係る発明において、「ずきん本体」の「使用」の態様として、「クッションとして使用される」ことについては、ずきんの使用態様に過ぎず、物を特定するための事項とは認められないため、引用文献1に記載された発明との対比において、相違点1の4は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。」とされています。(「(エ)相違点1の4について」上段) しかし、今回の手続補正書によって、「また当該折り畳む前にも上記ポケット部の開口が露出し、この折り畳む前でも上記のように上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できるクッション」と補正して、明確に、物を特定するための事項といえるようになり、単なる使用形態とはいえなくなりました。 そして、このクッションを折り畳む前にも、開口が露出し、マスク部を取り出したり収納したりできます。 このような特徴は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)には記載されていませんし、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明から当業者が容易に想到できたとは必ずしも言い切れません。」(上記意見書の【3】(2)欄) ウ 「(3) 今回の拒絶理由通知書では、「さらに、「ポケット部の開口の位置」については、引用文献1に記載された発明において、折り畳み方次第で表面に露出し得る適宜の位置に設け、折り畳み方の選択により表面に露出するように構成することは当業者が適宜選択し得るものである。」とされています。(「(ウ)相違点1の3について」中段) また、今回の拒絶理由通知書では、「さらに、そのときの「マスク部」については、引用文献1に記載された発明において、ポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から帯状布50(マスク部)を引き出す(取り出す)か、またはポケット40(ポケット部)の開口41(開口)から帯状布50(マスク部)を収納しておく(収納する)ことが可能なものである以上、「クッションとして使用される」とき、ポケット部の開口からマスク部を取り出すか、または、収納するように構成することは当業者が適宜なし得るものである。」とされています。(「(エ)相違点1の4について」中段) しかし、上述したように、補正後の本願発明は、「折り畳んでも、ポケット部の開口が露出し、マスク部が開口に対し取り出しまたは収納でき、折り畳む前にも、ポケット部の開口が露出し、マスク部が開口に対し取り出しまたは収納できる」というものです。 このような特有の構成は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)には、記載されていませんし、このような特有の効果は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では、必ずしも達成できません。 したがって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)には記載されていません。また、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では必ずしも容易に達成できない、特有の顕著な効果を奏するといえます。よって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとは必ずしもいえません。 以上の補正箇所の補正の概要は、後述するように、詳述しております。詳しくは後述する「【5】補正の概要の(1)(2)」を参照ください。」(上記意見書の【3】(3)欄) エ 「(4) 補正後の請求項1及び2に係る本願発明の特徴の1つは、「上記ずきん本体を上記人間の頭部または上記人間の両肩から外して折り畳み、しかも上記ポケット部の上記開口が露出する状態で折り畳み、この折り畳んだ状態で上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納でき、また当該折り畳む前にも上記ポケット部の開口が露出し、この折り畳む前でも上記のように上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できるクッション」を備えたというものです。 補正後の本願発明(新請求項1または新請求項2に係る発明)では補正後の本願発明(新請求項1または新請求項2に係る発明)における、このような特徴は、今回の拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)には記載されていません。 これにより、「ずきん」を頭部から外して折り畳んで「クッション」にすることができ、「ずきん」を「クッション」としても使用できます。 このことは、上述のとおり、本願発明の詳細な説明の段落【0117】前段などに、本願出願当初から記載されていますし、またはこれらの記載から、自明な事項の範囲内であるともいえます。 また、この「クッション」として使用するときに、折り畳むので、コンパクトにまとまり、不用意に広がったり展開したりせず、快適に使用できます。 このことは、上述のとおり、本願発明の詳細な説明の段落【0117】後段などに、本願出願当初から記載されていますし、またはこれらの記載から、自明な事項の範囲内であるともいえます。 このような特有の効果は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では、達成できません。 したがって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では必ずしも容易に達成できない、特有の顕著な効果を奏するといえます。よって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとは必ずしもいえません。」(上記意見書の【3】(4)欄) オ 「(5) さらに、補正後の本願発明(新請求項1または新請求項2に係る発明)では、この「クッション」として使用するときに、この「クッション」から「マスク部」を取り出したり、当該「クッション」に「マスク部」を収納したりできます。 このことは、下記のとおり、本願記載内容から自明な事項の範囲内であるといえます。 まず、「ずきん」として使用しているとき、マスク部31はポケット部32の開口から取り出したり収納したりできます(上述本願段落【0029】後段、【0030】前段、【0034】末尾など)。 次いで、ポケット部32の開口はクッション体3を折り畳んでも「露出」します(上述本願【図1】、【図3】、段落【0102】、【0106】)。 この2つの内容から、折り畳んだクッション体3でも、マスク部31はポケット部32の開口から取り出したり収納したりできるといえます。 したがって、「クッション」から「マスク部」を取り出したり、当該「クッション」に「マスク部」を収納したりできることは、上記本願段落において、本願出願当初から記載されているか、またはこれらの記載から、自明な事項の範囲内であるといえます。 このような特有の効果は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では、達成できません。 したがって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では必ずしも容易に達成できない、特有の顕著な効果を奏するといえます。よって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとは必ずしもいえません。」(上記意見書の【3】(5)欄) カ 「(6) また、補正後の本願発明(新請求項1または新請求項2に係る発明)では、上記クッションから取り出した、この「マスク部」で「人間の口部付近を覆う」ことができ、さらにこのマスク部を上記クッションに収納もできます。 このことは、本願発明の詳細な説明の段落【0032】後段、【0096】後段、【0112】などに、本願出願当初から記載されているか、またはこれらの記載から、自明な事項の範囲内であるといえます。 このような「クッション」から取り出したマスク部で人間の口部付近を覆うという特徴は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)には記載されていません。 したがって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では必ずしも容易に達成できない、特有の顕著な効果を奏するといえます。よって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとは必ずしもいえません。」(上記意見書の【3】(6)欄) キ 「(7) さらに、補正後の本願発明(新請求項1または新請求項2に係る発明)では、両肩にかけたずきん(ショール)を「クッション」にすることができます。 これにより、「ショール」を両肩から外して折り畳んで「クッション」にすることができ、「ショール」を「クッション」としても使用できます。 このことは、本願の【図6】、【図8】(ショール)→【図1】(クッション)→【図3】(ずきん)の「逆変遷」が可能であることから、自明な事項の範囲内であるともいえます。 また、この「クッション」として使用するときに、折り畳むので、コンパクトにまとまり、不用意に広がったり展開したりせず、快適に使用できます。 このような特有の効果は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では、達成できません。 したがって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明では必ずしも容易に達成できない、特有の顕著な効果を奏するといえます。よって、新請求項1及び2にかかる発明は、拒絶引用文献(1)(2)(3)(4)記載発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとは必ずしもいえません。」(上記意見書の【3】(7)欄) (2)審判請求人の主張の検討 以下、上記主張について検討する。 ア 上記(1)ア及びイの主張について 上記(1)ア及びイの主張においては、いずれも人間の頭部等から外したときの「ずきん本体」の態様、該態様における「ポケット部の開口」の状態、「マスク部」の「ポケット部の開口」に対する「取り出しまたは収納」について「クッション」として特定する補正により、「補正して、明確に、物を特定するための事項といえるようになり、単なる使用形態とはいえなくなりました。」としているが、上記第6の1(3)アのとおり、「クッション」に係る事項について、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないため、ずきんの使用態様を特定するものに過ぎず、物を特定するための事項とは認められないことから、引用発明との対比において、相違点3は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。 イ 上記(1)ウないしキの主張について 上記(1)ウないしキの主張においては、いずれも本願発明における人間の頭部等から外したときの「ずきん本体」の態様、該態様における「ポケット部の開口」の状態、「マスク部」の「ポケット部の開口」に対する「取り出しまたは収納」について「クッション」として特定する事項は、引用文献1ないし4に記載されておらず、その効果は、引用文献1ないし4に記載された事項からは奏し得ないものであるとしているが、上記第6の1(3)イのとおり、相違点3に係る本願発明における上記事項について、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないところ、引用発明において、または、引用発明において引用文献4記載技術的事項を参酌して、当業者が適宜なし得るものである。 そして、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び引用文献3記載技術的事項、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項、引用文献3記載技術的事項及び引用文献4記載技術的事項から当業者が予測し得る程度のものである。 したがって、上記(1)の主張は採用することができない。 2 審判請求人の上申書における主張 (1)審判請求人の上申書における主張の内容 審判請求人は、令和6年3月29日に提出された上申書において、令和5年3月29日付けの拒絶理由通知書の「●理由1(進歩性)について」に対してさらに次のように主張している(下線は審判請求人が付したとおりである。)。 ア 「(4) 本願発明と引用文献1(特開2010-51419号公報)記載発明との「相違点」を「4つ」にも「分節」する(相違点1の1、2、3、4)のは、相違点を分離しすぎであり、本願発明の特徴を失わせることにもなりかねません。 そして、この各相違点を各引用文献2、3、4(登録実用新案第3208720号公報、登録実用新案第3079232号公報、特開2006-312004号公報)それぞれに求めるのは、相違点を分散しすぎであり、やはり本願発明の特徴を失わせることにもなりかねません。」(上記上申書の(4)欄) イ 「(5) 『「クッションとして使用される」ことについては、ずきんの使用態様に過ぎず、物を特定するための事項とは認められないため、引用文献1に記載された発明との対比において、相違点1の4は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。』とされています。 しかし、この「クッションとして使用される」ことについては、「上記ずきん本体を上記人間の頭部または上記人間の両肩から外して折り畳み、しかも上記ポケット部の上記開口が露出する状態で折り畳み、この折り畳んだ状態で上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納でき、また当該折り畳む前にも上記ポケット部の開口が露出し、この折り畳む前でも上記のように上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できるクッション」と、詳述されており、「クッションとして使用される」ことだけを抜き出すべきではなく、したがって、「クッションとして使用される」ことだけをもって、「物を特定するための事項とは認められない」とは、必ずしも、言い切れません。 また、『「折り畳む」ことは、ずきんの使用態様に過ぎず、物を特定するための事項とは認められないため、引用文献1に記載された発明との対比において、相違点1の3は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。』とされています。 しかし、この「折り畳む」ことについては、「上記ずきん本体を上記人間の頭部または上記人間の両肩から外して折り畳み、しかも上記ポケット部の上記開口が露出する状態で折り畳み、この折り畳んだ状態で上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納でき、また当該折り畳む前にも上記ポケット部の開口が露出し、この折り畳む前でも上記のように上記マスク部が当該開口に対し取り出しまたは収納できる」と、詳述されており、「折り畳む」ことだけを抜き出すべきではなく、したがって、「折り畳む」ことだけをもって、「物を特定するための事項とは認められない」とは、必ずしも、言い切れません。」(上記上申書の(5)欄) (2)審判請求人の主張の検討 ア 上記(1)アの主張について 上記(1)アの主張においては、相違点を分離し過ぎであるとしているが、上記第5の2のとおり、相違点1は、本願発明において「ずきんを開いて人間の両肩に掛けるとき」なる態様を特定することについて、相違点2は、「マスク部」の「固定」及び「係止」について、相違点3は、人間の頭部等から外したときの「ずきん本体」の態様、該態様における「ポケット部の開口」の状態、「マスク部」の「ポケット部の開口」に対する「取り出しまたは収納」について、いずれも技術的に関連するものごとに分けて各相違点としているものであり、審判請求人が主張するように過度に分離したものとはいえない。 そして、各相違点についての判断は、上記第6のとおりであり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び引用文献3記載技術的事項に基いて、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項、引用文献3記載技術的事項及び引用文献4記載技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 上記(1)イの主張について 上記(1)イの主張においては、「クッションとして使用される」こと及び「折り畳む」ことだけをもって「物を特定するための事項とは認められない」とは必ずしも言い切れないとしているが、上記1(2)アと同様に、上記第6の1(3)アのとおり、「折り畳む」ことに関する事項を含む「クッション」に係る事項について、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないため、ずきんの使用態様を特定するものに過ぎず、物を特定するための事項とは認められないことから、引用発明との対比において、相違点3は、物を特定するための事項として相違するものとはいえない。 また、上記1(2)イと同様に、上記第6の1(3)イのとおり、相違点3に係る本願発明における「折り畳む」ことに関する事項を含む「クッション」に係る事項について、そのための特段の具体的な付加的構成を伴うものとまでは認めるに足りないところ、引用発明において、または、引用発明において引用文献4記載技術的事項を参酌して、当業者が適宜なし得るものである。 そして、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び引用文献3記載技術的事項、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項、引用文献3記載技術的事項及び引用文献4記載技術的事項から当業者が予測し得る程度のものである。 したがって、上記(1)の主張は採用することができない。 3 小括 したがって、審判請求人による主張を考慮に入れたとしても、上記第6のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び引用文献3記載技術的事項に基いて、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項、引用文献3記載技術的事項及び引用文献4記載技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、審判請求人の主張は結論において採用できない。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、または、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項及び引用文献4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-013226

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