商標拒絶査定不服審判
2022-012739
ヤセキンチョーカツ
- 審判番号
- 2022-012739
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-066126
- 請求日
- 2022年08月14日
- 審決日
- 2023年09月26日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】一般社団法人パーソナルヘルス協会
- 【請求人代理人】小川 清
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大森 友子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .13 -Z (W41) / T18 .272-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第56条第1項、特許法第169条第3項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 66126拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
請求の趣旨中、「審判費用は特許庁の負担とする」との請求は、却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年5月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月16日付け:拒絶理由通知書
令和4年3月14日 :意見書の提出
令和4年4月28日付け :拒絶査定
令和4年8月14日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「ヤセ菌腸活」の片仮名及び漢字を横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「ヤセ菌腸活」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中「ヤセ菌」の文字は、「痩せることに繋がる腸内細菌」ほどの意味合いを表すものであり、「腸活」の文字は、「腸内環境を整え、それを維持する行為を指す俗語」を意味する語であるから、本願商標は、全体として「痩せることに繋がる腸内細菌を利用した腸活」程の意味合いを表すものである。
そして、本願の指定役務を取り扱う業界においては、「ヤセ菌」や「腸活」に関する講座やセミナーが開催されている事実がある。
そうすると、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「痩せることに繋がる腸内細菌を利用した腸活に関する役務」であることを認識するにすぎないから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審においてした審尋
本願商標が、本願の指定役務中との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるという当審の暫定的見解を示すとともに、別掲1の1(1)ないし(3)、別掲1の2(1)、別掲2の1及び2、別掲3の1、2、3ないし5のとおりの事実を示した。
第5 審尋に対する請求人の意見
請求人は上記第4の証拠調べに対し、要旨以下のとおり意見を述べた。
1 商標法第3条第1項第3号は、「商標については、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章」は登録しないということであって、「取引者、需要者」の「認識」は無関係である。
2 「役務の質」の「質」の意味について、知的財産を扱う特許庁は、定義文を設けていないことは不当である。
3 商標法第3条第1項第3号には、「役務の内容を普通に用いられる方法で表示する標章」は登録しない、とは書かれていない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「ヤセ菌腸活」の片仮名及び漢字を横書きしてなるところ、「ヤセ菌」(やせ菌)の文字は、「(体を)痩せやすくする腸内細菌」程の(別掲1の1)、また、「腸活」の文字は「腸内環境を整え、それを維持する行為を指す俗語。」程の意味合いで使用されているものである(別掲1の2)。
そうすると、本願商標は、全体として「痩せやすくする腸内細菌で腸内環境を整える行為」程の意味合いを認識させるものである。
そして、当審における職権調査によれば、近時、痩せるためには、腸内細菌の「ヤセ菌」(やせ菌、痩せ菌)を増やすような「腸活」が有効であることを謳った記事等が雑誌等に掲載されている(別掲2)。
さらに、本願の指定役務中、「知識の教授」や「セミナーの開催」等の分野においては、「ヤセ菌」(やせ菌、痩せ菌)、「腸活」、「腸内細菌の「ヤセ菌(やせ菌、痩せ菌)」を増やすような「腸活」」に係る知識の教授やセミナーが開催されている実情がある(別掲3)。
してみれば、「ヤセ菌腸活」の文字からなる本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「痩せやすくする腸内細菌で腸内環境を整えること」を内容とするもの、すなわち、役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。そして、本願商標は、その態様上顕著な特徴を有するものではない。
また、本願商標をその指定役務中、「痩せやすくする腸内細菌で腸内環境を整えること」を内容とする役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、商標法第3条第1項第3号は、「商標については、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章」は登録しないということであって、「取引者、需要者」の「認識」は無関係である旨述べるとともに、「商標法第3条第1項第3号には、「役務の内容を普通に用いられる方法で表示する標章」は登録しない、とは書かれていない。」と主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号が、「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定役務との関係で、「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性」を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定役務との関係で、「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務の需要者 によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号同年10月21日判決、知財高裁平成27年(行ケ)第10061号同年9月16日判決参照)。
そして、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「痩せやすくする腸内細菌で腸内環境を整えること」を内容とするもの、すなわち、役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当であることは、上記1で述べたとおりである。
(2)請求人は、「役務の質」の「質」の意味について、知的財産を扱う特許庁は、定義文を設けていないことは不当である旨を主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の「役務の質」を請求人が主張するような意味に限定して解釈する必要はなく(広辞苑第7版の「質」の項には「[2]内容。中味。価値。[3](quality)物がそれとして存在するありかた。性質。⇔量。」と記載されている。)(審決注:数字の〇は[]で置き換えている。)、「質」という文言を「内容」と言い換えることによってその意味を明らかにしようとしたものであるから、「質」の定義が全くされていないとはいえない(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号、同4年1月25日判決参照)。
(3)したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
3 請求人の「審判費用は特許庁の負担とする」との請求について
拒絶査定不服審判に関する費用は、商標法第56条第1項で準用する特許法第169条第3項において、請求人が負担する旨定められているから、請求人による、審判請求費用を特許庁の負担とする旨の主張は、実定法上の根拠を欠く不適法な請求である。
したがって、請求人による上記主張は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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