商標拒絶査定不服審判
2022-012738
エーヨーカイセキアドバイザー
- 審判番号
- 2022-012738
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-066123
- 請求日
- 2022年08月13日
- 審決日
- 2023年10月13日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】一般社団法人パーソナルヘルス協会
- 【請求人代理人】小川 清
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W41) / T18 .272-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第56条第1項、商標法第4条第1項第16号、特許法第169条第3項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-66123拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
請求の趣旨中、「審判費用は特許庁の負担とする」との請求は、却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年5月30日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月16日付け:拒絶理由通知書
令和4年2月15日付け:意見書
令和4年4月28日付け:拒絶査定
令和4年8月13日付け:審判請求書
第2 本願商標
本願商標は、「栄養解析アドバイザー」の文字を横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「栄養解析アドバイザー」の文字を横書きしてなり、全体として「血液検査の結果を基に、栄養状態を解析することに関する助言者」程度の意味合いを表すものである。そして、「栄養解析」に関する講座やセミナーが開催されているほか、書籍が出版されている事実があるから、本願商標は、これを、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「血液検査の結果を基に、栄養状態を解析することに関する助言者に関する役務」であることを認識するにすぎないものであり、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が、「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」について商標登録の要件を欠くと規定しているのは、このような商標は、指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、商標が、指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、商標が指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されていることを要しないと解される(知財高裁令和3年(行ケ)第10100号参照)。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「栄養解析アドバイザー」の文字を横書きしてなるものであり、その構成文字及び後述する意味合いから、「栄養」、「解析」及び「アドバイザー」の文字、又は、「栄養解析」及び「アドバイザー」の文字を結合させたものと容易に理解されるものである。
本願商標の構成中、「アドバイザー」の文字は、「忠告者。助言者。顧問。」の意味を有する語であって(株式会社三省堂 大辞林第四版)、その意味合いが容易に理解できる親しまれた語であるところ、例えば、自治会等の防災活動において指導・助言を行う「防災アドバイザー」(大分県のウェブサイト参照https://www.pref.oita.jp/soshiki/13550/bousaiadviser.html)や、地域の活性化・交流の課題を抱える市町村に派遣された専門家がその助言をする「地域振興アドバイザー」(国土交通省のウェブサイト参照https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/crd_chisei_tk_000028.html)、消費者からの苦情相談などに対して迅速かつ適切なアドバイスをする「消費生活アドバイザー」(経済産業省のウェブサイト参照https://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/adviser.html)などがあるように、対象とする何らかの課題、内容について、専門的知識を生かした助言、すなわちアドバイスをする者を「○○アドバイザー」(○○には、その助言する内容等を表す語)と呼称されることが普通に行われている。
そして、本願商標の構成中、「栄養」の文字は「(1)生物が生命を維持し、生活してゆくために、体外から適当な物質を取り入れて、からだを成長させ、機能を保ち、エネルギーを得ること。(2)(1)のために必要な成分・物質。滋養。」の意味を、「解析」の文字は「物事を分析して論理的に明らかにすること。分析。」(前掲書)の意味を有し、いずれもその意味合いが容易に理解できる親しまれた語であるから、それらを合わせて表記した「栄養解析」の文字は、各文字の語義から「栄養の解析」や「栄養を解析する」程度の意味合いを表すと直ちに看取されるものであり、「栄養解析アドバイザー」の文字からなる本願商標は、各文字の語義から、全体として「栄養解析に関するアドバイザー(助言者)」程度を表すものと容易に認識、理解されるとみるのが相当である。
また、原審で提示した事例に加え、当審が職権で調査したところ、別掲にあるように、医療、ソフトウェア又は教育などの分野において、「栄養解析」の文字が、人の尿や血液を検査した結果や、食事、食材の含有成分等を計測した結果などに基づいて、「栄養状態を解析すること」程度を表すものとして使用されていることから(別掲の1~9参照)、「栄養解析」の語は、「栄養状態を解析すること」程度を表すものとして一般に認識、理解されていると認められる。
そして、栄養解析に基づいて、対象者の現在不足している栄養の種類の特定を行い、その改善のための食事や運動に関する指導、助言がなされ(別掲の3~9参照)、また、「栄養の解析」や「栄養の分析」をテーマ(内容)とする講座、セミナー等の開催や書籍の出版がなされている実情が認められる(別掲の8~12参照)。
加えて、「栄養の解析」など「栄養」に関する専門的な知識を得て、それを生かした指導、助言をする者を育成する講座等を開講し、栄養等に関する専門的知識の教授等を行い、その受講後に、「分子栄養学アドバイザー」、「栄養アドバイザー」などの「栄養」と「アドバイザー」の文字を含む名称からなる資格を与える団体が存在している実情も認められる(別掲の13、14参照)。
さらに、知識の教授やセミナーの企画・運営又は開催を行う教育の分野においては、講義内容に関するテキスト、問題集などの書籍や、ビデオ、DVD等が制作・販売されている実情があることは、経験則上明らかであるといえる。
してみれば、本願商標を構成する各文字の語義から看取される意味合いと、上記の取引の実情を考慮すると、「栄養解析アドバイザー」の文字からなる本願商標は、その指定役務(例えば、第41類「栄養解析を基に助言をする者を育成するための知識の教授,栄養解析を基に助言をする者による知識の教授・セミナーの企画・運営又は開催」等)との関係で、例えば、栄養解析を基に助言をする者を育成する、また、栄養解析に関する専門的知識を有し、それを生かした助言をする者による等の栄養解析に関する役務であるという役務の質(内容)を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、その取引者、需要者によって、本願商標がその指定役務に使用された場合に、役務の質(内容)を表示したものと一般に認識されるというべきである。
したがって、本願商標は、これをその指定役務に使用するときは、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、商標法第3条第1項第3号は、「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章は登録しない」と規定されているのであって、「取引者、需要者がどのように認識するかは、全く問題にしていない」から、「拒絶査定の判断は、全くの間違いである」旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、上記1のとおりに解されるべきものであり、「栄養解析アドバイザー」の文字からなる本願商標について、その構成や取引の実情を考慮すると、本願の指定役務に使用された場合に、その取引者、需要者が本願の指定役務の質(内容)を表示したものと一般に認識されるものであることは上記2のとおりであるから、請求人の主張はその前提において誤りがあり、その主張は採用できない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 請求人の「審判費用は特許庁の負担とする」との請求について
拒絶査定不服審判に関する費用は、商標法第56条第1項で準用する特許法第169条第3項において、請求人の負担とする旨定められているから、請求人による、審判請求費用は特許庁の負担とする旨の請求は、実定法上の根拠を欠く不適法な請求である。
したがって、請求人による上記主張は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
5 むすび
したがって、上記2のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、商標登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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