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商標拒絶査定不服審判

2022-012589

審判番号
2022-012589
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-087664
請求日
2022年08月10日
審決日
2023年12月05日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】メドミックス スウィツァランド アクチェンゲゼルシャフト
  • 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 田中 瑠美
分類
T18 .13 -Z (W10) / T18 .17 -Z (W10)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第2条第1項、商標法第4条第1項第18号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020- 87664拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和2年7月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 9月 1日付け:拒絶理由通知書 令和4年 3月 7日 :意見書の提出 令和4年 4月28日付け:拒絶査定 令和4年 8月10日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第10類「歯科用機械器具、充填用器具」を指定商品として、立体商標として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) (1)商標法第3条第1項第3号について 本願商標は、別掲1のとおりの立体商標であるところ、本願の指定商品である「歯科用機械器具、充填用器具」には、歯科用印象材用の自動練和・混合器やディスペンサーガン等に取り付けて使用し、2種類の歯科用印象材を保持することができるカートリッジから押し出された2種類の歯科用印象材を練和又は混合するための撹拌翼を内部に有するノズル及び同カートリッジに装着するためのアダプターから構成される「歯科材料を練和又は混和する器具」が含まれ得るものである。 そして、当該器具は、「カートリッジから押し出された2種類の歯科用印象材を練和又は混合する」、「カートリッジに装着する」といった、当該器具の性質や機能を確保するために、撹拌翼を内部に有するノズル及びカートリッジに装着するためのアダプターから構成される必要性はあるものの、商品の機能又は美感に資する目的のために、様々な立体的形状が採用され、それに装飾や彩色が施されている実情がある。 また、商品に付される色彩は、一般に、商品の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであるから、仮に、本願商標に係る立体的形状に付された色彩が、「歯科材料を練和又は混和する器具」に通常使用される色彩ではないとしても、当該色彩は、商品の魅力向上等に資する目的で使用され得る色彩の一類型といわざるを得ない。 そうすると、本願商標を、「歯科材料を練和又は混和する器具」をはじめとする指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品の機能又は美感に資する目的のために採用された、黄色の彩色を施した「歯科材料を練和又は混和する器具」の一形状を立体的に表したものであると認識するにとどまるものといえるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて 提出された資料によれば、出願人は、本願商標と同一とみられる立体的形状の「歯科材料を練和又は混和する器具」を、少なくとも2009年から現在に至るまで継続して取り扱っており、2009年ないし2021年の毎年、日本に約100万ないし約300万ユニット輸出し、2016年ないし2021年の日本での販売個数の平均は約257万ユニットであって、それが世界での販売個数の4.2%であったこと、北海道、宮城県、埼玉県、東京都、長野県、愛知県、大阪府、京都府に所在する販売代理店等を通じて販売していること、世界における宣伝のために80万米ドル(約8938万7400円相当)をかけ、日本における宣伝費は約375万円と推定されること、出願人が参加している歯科治療機器に関する国際見本市や展示会への日本からの参加者は、全体の約5%と推定されること、また、出願人が、出願人以外の者による本願商標と同一又は類似する標章の使用を排除するための努力を行っていることについて、把握することができた。 しかしながら、出願人が40%ないし50%程度と主張している日本における市場占有率は、2013年時点の評価であって、2022年の現在においても、同様の市場占有率であると認めるに足る事実を見出すことはできないから、市場占有率が高いものと認めることはできないし、本願商標と同様の構成からなり、共通する特徴を備えた立体的形状からなる「歯科材料を練和又は混和する器具」が、出願人以外の者によって取り扱われていることが認められる。 そして、選定基準が不明である宣誓者による宣誓書に基づき、この商標登録出願に係る指定商品「歯科用機械器具、充填用器具」の需要者の本願商標の認識度を推し量ることもできないから、結局、本願商標について、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。 4 当審の判断 (1)立体商標における商品の形状について 商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。 しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。 ア 商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。 そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。 イ また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 ウ さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。 以上、知的財産高等裁判所、平成18年(行ケ)第10555号 同19年6月27日判決、平成19年(行ケ)第10215号 同20年5月29日判決及び平成22年(行ケ)第10253号 同23年6月29日判決参照のこと。 (2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおりの立体商標であり、原審で説示したとおり、本願の指定商品である「歯科用機械器具、充填用器具」には、歯科用印象材用の自動練和・混合器やディスペンサーガン等に取り付けて使用し、2種類の歯科用印象材を保持することができるカートリッジから押し出された2種類の歯科用印象材を練和又は混合するための撹拌翼を内部に有するノズル及び同カートリッジに装着するためのアダプターから構成される「歯科材料を練和又は混和する器具」が含まれ得るところ、当該器具は、その性質や機能を確保するために、撹拌翼を内部に有するノズル及びカートリッジに装着するためのアダプターから構成されることが必要な一方で、商品の機能又は美感に資する目的のために、様々な立体的形状が採用され、それに装飾等が施されている実情にある(拒絶理由通知書における【参照情報】(1)(3)(4)参照)。 そして、本願商標の立体的形状は、撹拌翼を内部に有するノズル及びカートリッジに装着するためのアダプターから構成されており、「歯科材料を練和又は混和する器具」について、機能に資することを目的として採用されたものと認められ、また、「歯科材料を練和又は混和する器具」の形状として、取引者、需要者において、機能に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものであるから、それを超えて、本願商標の特徴をもって、商品の出所を識別する標識として認識させるものとはいえない。 さらに、商品に付される色彩は、一般に、商品の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであるから、仮に、本願商標に係る立体的形状に付された色彩が、「歯科材料を練和又は混和する器具」に通常使用される色彩ではないとしても、当該色彩は、商品の魅力向上等の美感に資する目的で使用され得る色彩の一類型といわざるを得ない。 そうすると、本願商標を、「歯科材料を練和又は混和する器具」をはじめとする指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品の機能又は美感に資する目的のために採用された、黄色の彩色を施した「歯科材料を練和又は混和する器具」の一形状を立体的に表したものであると認識するにとどまるものといえるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (3)本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて 請求人は、上申書、意見書及び請求書において、本願商標は使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることが認識されるに至り、商標法第3条第2項の適用を受けるための基準を充足している旨主張しているが、その前提として、同条第1項第3号に該当するものであることは、上記(2)のとおりである。 そこで、請求人の主張及び同人が提出した甲第1号証ないし甲第20号証(当審において、甲第18号証ないし甲第20号証を新たに提出)を参照し、本願商標が同条第2項の要件を具備するかについて検討する。 ア 商標法第3条第2項について 商標法第3条第1項第3号から第5号に該当する商標について、同条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」に至ったか否かを判断するに当たっては、当該商標と外観において同一と見られる標章が指定商品又は指定役務とされる商品又は役務に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品又は役務の販売数量又は売上高等及び当該商品又は役務やこれに類似した商品又は役務における当該商標又は標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合的に考慮すべきものといえる(知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)10019号 同年10月29日判決言渡参照)。 イ 事実認定 上記アの観点に照らし、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて判断する。請求人の主張の全趣旨及び同人が提出した各証拠によれば、次のとおりである。 なお、甲第1号証、甲第2号証等の証拠は、外国語で作成されているにもかかわらず、訳文の提出がないことから、正確な内容を把握することができない。 (ア)本願商標の使用態様 請求人は、「歯科材料を練和又は混和する器具」を取り扱っている者であることが推察される(甲第1号証、甲第5-1号証、甲第9-1号証ないし甲第9-3号証、甲第10-a-1号証、甲第10-a-2号証、甲第12号証)。 しかしながら、上記各証拠に示された写真は、大きさが小さいもの、不鮮明なものが多く、本願商標の使用であることを明確に把握することができない。 また、請求人の取扱いに係る「歯科材料を練和又は混和する器具」(以下「請求人商品」という。)には、「MIXPAC」の文字が刻印されていること(甲第9-2号証)からすれば、上記写真における請求人商品についても、当該刻印がされていると考えるのが自然である。 さらに、請求人商品には、本願商標同様、黄色の色彩が施された商品のほか、5色の色違いの色彩が施された商品が製造、販売されていること(甲第13号証)からすれば、請求人商品に施された色彩は、装飾としての色彩の一種として、又は、商品の種類(種別)を識別するという機能性の観点から彩色されているものといえる。 (イ)本願商標の使用数量 請求人は、請求人商品を、2009年以降の毎年、日本に約100万ないし約300万ユニット輸出しており、2016年ないし2021年の日本での販売個数の平均は約257万ユニットであって、それが世界での販売個数の4.2%であったと主張するが(甲第6-1-1号証ないし甲第6-1-13号証、甲第14号証)、これらの輸出・販売に係る商品がすべて、本願商標の使用であるかは確認することができない。 また、市場占有率についても同様に、本願商標の使用に関するデータであるのか確認することができない上、これらのデータを基に比例計算して算出した2022年時点における市場占有率についても、その裏付けとなる証拠を確認することができない。 (ウ)本願商標の使用期間 甲第6-1-1号証のとおり、「MIXPAC」の文字が刻印された請求人商品は、日本において、2009年から現在に至るまで継続して取り扱われているとしても、その販売期間は14年程度である。 (エ)本願商標の使用地域 意見書2.(4)に挿入されている表及び甲第12号証によれば、請求人は、請求人商品を、北海道、宮城県、埼玉県、東京都、長野県、愛知県、大阪府及び京都府に所在する販売代理店等を通じて販売した。 (オ)本願商標の広告宣伝の方法・期間・地域及び規模 請求人は、2010年ないし2017年に、請求人商品の世界における宣伝のために、80万米ドル(2017年7月27日時点での為替レートで約8938万7400円相当)をかけ(甲第2号証)、世界での販売個数の4.2%が日本での販売個数であることを考慮すると(甲第14号証)、日本での宣伝費は約375万円という金額になること、歯科治療機器に関する国際見本市や展示会に参加し、例えば、2017年にドイツのケルンで行われた歯科治療機器の国際見本市IDSへの参加者(157か国約15万5千人)のうち、少なくとも全体の約5%(7750人)は日本からの参加者であったことなどを主張するが(甲第5号証、甲第15号証、意見書)、いずれも請求人の推定に基づくものであって、これらの主張を裏付ける客観的な資料の提出がない以上、本願商標に係る商品がどの程度、需要者、取引者の目に触れ、それにより本願商標が記憶されたかについて具体的に評価することはできない。 (カ)請求人以外の者による本願商標と同一又は類似する標章の使用の有無 甲第8号証、甲第9号証ないし甲第9-4号証及び甲第16号証によれば、請求人は、中国、米国等の外国において、請求人以外の者による本願商標と同一又は類似する標章の使用を排除するため、訴訟を提起するなどを行っていることが確認できる。 (キ)需要者の本願商標の認識度を示す資料 請求人は、請求人商品を購入している日本企業5社の宣誓書(甲第12号証)及び歯科治療機器の輸入卸販売業者に2010年以降約12年間所属していた者の宣誓書(甲第17号証)を提出している。 そして、甲第12号証の宣誓書を作成した日本企業5社は、請求人と取引のある歯科器具・歯科材料を我が国に輸入販売している企業のうち、代表的なものである旨、また甲第17号証の宣誓書を作成した者は、同様に歯科器具・歯科材料を我が国に輸入販売する商社に長年勤務した者である旨述べ、いずれの宣誓書も長年の業務経験に基づき当該分野の事業に従事する者の認識を述べたものであるから、需要者の認識を代表するものとして十分尊重されるべきであると主張しているが、当該宣誓書には、本願商標と思しき写真が表示されてはいるものの、上記(ア)のとおり、請求人商品には「MIXPAC」の文字が刻印され、本願商標に施された黄色のほか、5色の色違いの色彩が施されているものが併せて販売されていることからすると、これらに署名した者は、「MIXPAC」の刻印によってその商品を識別しているともいえ、また、請求人商品に施された6色の色彩の商品のうち、特に黄色の色彩が施された商品がより強い識別性を発揮するものとも考え難い。 そうすると、これらの宣誓書は、署名した者が本願商標の形状と色彩をもって、同業他社の商品とを区別していることの証拠とはいえない上、署名した者の人数が甲第12号証及び甲第17号証合わせて6名と少ないことからも、本願商標の立体的形状が需要者間に広く認識されていることの客観的な証拠とはなり得ない。 さらに、請求人は、本願商標に係る商品の最終使用者である歯科医師の認識を示すために実施したアンケート調査の結果を提出している(甲第19号証)。当該アンケート調査について、請求人は、第三者である調査専門会社が任意に選択した歯科医師に対し、本願商標の形状がその出所を表示するものとして認識されているか否かを知る目的で質問状を送付し、110件の回答を得ているものであり、これらの回答者は我が国のほぼすべての都道府県に分布していることから、全国の歯科医師の本願商標に対する認識を表すものであると主張する。 しかしながら、厚生労働省公表の「令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(別掲2)によれば、令和2年12月31日現在における全国の届出「歯科医師数」は107,443人であり、そのうちの110人と考えると、決して多いとはいえないことに加え、110人のうち、95%が本願商標に係る商品を見たことがあると答えているものの、当該器具が特定の製造者が製造したものであることを知っていると答えたのは回答者の12%、製造者を知っていると答えたのは回答者の8%にとどまるという調査結果がうかがえるものである。 上記調査結果を踏まえた上で、請求人は、商品の形態と製造元との関係に注意を払っている歯科医師の比率は低い(8%ないし12%)にもかかわらず、それらより多い23%の回答者が当該器具はその外観から特定の製造元が製造したものであることが分かると答えていることから、歯科医師の23%が本願商標には出所表示機能又は識別性があると認識していると主張するが、上記のとおり、調査への回答数が少ない上、特定の製造者に係るものであることを何ら認識しない者が7割以上であることからすれば、これらのアンケート結果からは、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできないものである。 ウ 判断 請求人は、請求人商品を2009年頃より継続的に販売しているとしても、使用期間としては14年程度であることから、必ずしも長期にわたり使用していたとはいい難く、そもそも、請求人が取り扱う商品の販売数量として提示した資料がすべて本願商標の使用に係るものであるかは確認することができない上、これらの販売数量を基に比例計算して算出したという市場占有率についても、その裏付けとなる証拠を確認することができず、さらに、広告宣伝方法等に関する具体的な資料の提出もないことから、本願商標に係る商品の販売数量、売上高、市場占有率、広告宣伝等について、客観的な評価をすることができない。 その他、本願商標の指定商品に係る需要者の間において、請求人商品の形状が請求人に係る出所識別標識として広く認識されていることを客観的かつ具体的に示す証拠は見いだせない。 加えて、本願商標と共通する、撹拌翼を内部に有するノズル及びカートリッジに装着するためのアダプターから構成される立体形状からなる「歯科材料を練和又は混和する器具」が、請求人以外の者により取り扱われている実情にあり、また、請求人商品には、「MIXPAC」の文字が刻印されていることよりすれば、本願商標は、その立体形状のみをもって使用されてきたということができず、需要者は、本願商標の立体形状よりもむしろ、「MIXPAC」の文字(刻印)をもって、同業他社の商品とを区別しているともいえるものである。 さらに、請求人商品は、本願商標に施された黄色のほか、5色の色彩が施されたものも併せて販売されていることからすれば、請求人商品に施された色彩は、装飾としての色彩の一種として、又は、商品の種類(種別)を識別するという機能性の観点から彩色されているものといえ、かつ、それらのうち、特に黄色に彩色された本願商標が請求人商品に使用されたときに、需要者が請求人の出所に係る商品であることを認識するに至ったともいえず、また、そのことを証する証拠の提出もない。 そうすると、請求人の主張及び同人が提出した甲各号証を参照しても、請求人が本願商標を商品「歯科材料を練和又は混和する器具」に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。 (4)請求人の主張について 請求人は、本願商標に係る商品の形態は、機能的に定まるものでもなく、「歯科材料を練和又は混和する器具」としてありふれたものでもないと述べ、甲第1号証で提示する各歯科用機材メーカーによる商品のほか、原審提示の参照情報(1)、(3)及び(4)で挙げられた他人の商品について、本願商標とはノズルと基部の長さの比率や色彩等の形態上の特徴が顕著に異なっていることから、当該参照情報を基に、「本願商標と同様の構成からなり、共通する特徴を備えた立体的形状からなる「歯科材料を練和又は混和する器具」が、請求人以外の者により取り扱われている」と結論づけることは妥当でない旨主張する。 しかしながら、上記(2)で述べたとおり、「歯科材料を練和又は混和する器具」は、その性質や機能を確保するために、撹拌翼を内部に有するノズル及びカートリッジに装着するためのアダプターから構成されることが必要であり、当該構成部分以外に請求人が主張するような、外観上の子細な相違があるとしても、種々ある商品のうちのバリエーションの一態様として認識されるにすぎず、当該相違が商品の出所識別標識としての機能に影響を与えるものとはいえない。その点、本願商標の立体的形状は、前記の機能に資することを目的として採用されたもの、又は、前記の機能に資することを目的として採用された形状と予測し得る範囲のものであると認められることに加え、同種の商品と識別し得る独自の特徴を有する形状であることを示す資料の提出はなく、当審における職権調査によっても、本願商標について独自の特徴を見出すことができなかった。 そうすると、本願商標は、その特徴をもって、商品の出所を識別する標識として機能するものとはいえないし、原審説示のとおり、本願商標と同様の構成からなり、共通する特徴を備えた立体的形状からなる「歯科材料を練和又は混和する器具」が、請求人以外の者により取り扱われているといわざるを得ない。 (5)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-012589

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