商標拒絶査定不服審判
2022-011900
チューソツベンリシ
- 審判番号
- 2022-011900
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-107367
- 請求日
- 2022年08月02日
- 審決日
- 2024年03月21日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】瀬戸 麻希
- 【請求人代理人】瀬戸 麻希
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-107367拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「中卒弁理士」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務として、令和3年8月30日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年2月28日付けで拒絶理由の通知が、同年7月27日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年8月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「中卒弁理士」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「中卒」の文字は、「中学校を卒業していること。また、その人。最終学歴を表わす俗な言い方。」の意味を有する「中学校卒業」の略語であり、「弁理士」の文字は、「特許・実用新案・意匠・商標に関して、特許庁などに対する手続きの代理や鑑定などの事務を行うことを職業とする者」であり、職業の名称を表す語であることから、本願商標は、全体として、「中学校を卒業している、又は、最終学歴が中学校である、弁理士」の意味合いを容易に理解させる。そして、教育業界においては、弁理士を職業とする者により「知識の教授」等の役務が提供されている実情があり、また「弁理士」に関する書籍の販売や動画の提供がされている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「中学校を卒業している、又は、最終学歴が中学校である、弁理士により提供される役務」又は「同弁理士に関する役務」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、令和5年12月15日付け審尋により、別掲に掲げる事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見
請求人は、前記第3の審尋に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
1 本願商標を構成する文字の語義について
本願商標は、「中卒弁理士」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「中卒」の文字は、「最後に卒業した学校が中学である<こと/人>。」を意味する語であり(三省堂国語辞典 第8版)、「弁理士」の文字は、「特許や実用新案などを本人に代わって申請・出願することを職業とする人。」を意味する語であり(同掲書)、いずれの語も一般に知られた又は一般に使用される語であるから、本願商標は、全体として、「中卒の弁理士」(最終学歴が中学である弁理士)であることを容易に理解させるものである。
なお、特許庁のウェブサイトにおける「令和5年度弁理士試験統計」のページに掲載されている資料(別掲(1))によれば、「中学」を出身校とする志願者数は、令和5年度で5人、前年度で6人とされており、実際に最終学歴を中学とする弁理士が輩出される蓋然性は高いものというべきである。
2 本願商標を構成する文字及び関連する語の使用状況について
本願商標構成中の「弁理士」の文字は、上記1のとおりの意味合いを有する語であるとともに、「士業」(「~士」と付く資格を持つ職業の俗称。)の一つ(「大辞泉第2版」株式会社小学館発行)であるところ、特定の士業の資格を有する者を紹介するインターネット情報等において、「中卒」や「高卒」であることを示して紹介する事例が、別掲(2)のとおり多数ある。
そして、当該事例からは、以下のことがいえる。
(1)中卒又は高卒(以下、両者をまとめて「中卒等」という場合がある。)の「○○士」(「○○士」は、具体的な士業名。以下同じ。)であることを紹介する際に、「異色の経歴を持つ」(別掲(2)ア、同オ)、「異色の経歴の持ち主」(同イ(ア))、「決断はかなり異色だった」(同ウ)、「やや特殊な人間」(同エ)など、士業の有資格者が中卒等であることについて、経歴が異色であることを強調し、情報の受け手の興味や関心を引くような紹介のされ方が、自ら又は他者によってなされていることが確認できる。
(2)また、中卒等であることを前面に掲げることに加え、「中卒」や「高卒」の文字と士業の名称や略称と結合し、「中卒〇〇士」「高卒○○士」と、自ら称したり他者に紹介されたりする事例が多数みられる。
(3)さらに、士業の資格の取得に関する「知識の教授」、「講演」、「書籍」等の分野においては、中卒等で士業の資格を取得したことを前提に、その勉強法、経験談、思い(伝えたいこと)等を、自ら情報発信し、又は対談形式を含め他者によって紹介される事例が多数見られる。こうした情報発信等においては、講演等の講師として行われているもの(別掲(2)イ(イ)、同オ)、書籍として発刊されるもの(同キ)、家庭教師として授業を行うもの(同ケ)があるほか、インターネットのウェブサイトや動画サイトを通じて行われるものが多数ある。
3 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「中卒弁理士」の文字よりなるところ、上記1のとおり、「中卒の弁理士」(最終学歴が中学である弁理士)の意味を容易に理解させるものである。
そして、上記2(1)のとおり、中卒等の士業の有資格者について、あえて最終学歴である「中卒」又は「高卒」を打ち出すことにより、「異色の経歴」など、情報の受け手の興味や関心を引くかのように発信がされ、また、士業の側も、あえて中卒等を前面に打ち出していることが確認できる。そして、上記2(2)のとおり、中卒等を士業の名称等と結び付け、「中卒〇〇士」「高卒○○士」と表す事例が多数みられる。
さらに、上記2(3)のとおり、「知識の教授」、「講演」、「書籍」等の分野においては、「中卒」や「高卒」ならではの勉強法、経験談、思い等を、自己のPRや他者への助言等を目的に、講演等における講師、書籍、家庭教師の形式を通じ、又はウェブサイトや動画等を通じて、情報発信等を行っている実情がある。また、こうした情報発信の事例においては、「中卒」や「高卒」ならではの、人並み以上に努力した、特別の工夫や手法をもって取り組んだ等の経験や手法を知ることができるのではないかという期待感が生じるように、自己又は他者(講演等の運営者、ウェブサイトの作成者、動画サイトの運営者等)が意識してテーマを設定している様子もうかがえる。
以上を総合して判断すれば、本願商標は「中学を最終学歴とした弁理士」の意味合いを認識させるものであり、これを、その指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,インターネットを利用して行う映像の提供」に使用をしても、中卒の弁理士という経歴を持った有資格者による役務の提供(例えば、当該有資格者による特別な勉強法や経験談等を内容とした講演等)、すなわち提供される役務の質(内容)を表したものと認識するにとどまるというのが相当である。
加えて、本願商標は、上記第1で述べたとおり標準文字で表されたものであるから、普通に用いられる方法で表されたものである。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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