商標拒絶査定不服審判
2022-011206
- 審判番号
- 2022-011206
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-062019
- 請求日
- 2022年07月19日
- 審決日
- 2023年04月11日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社マルゼン
- 【請求人代理人】阪本 清孝
- 【請求人代理人】田邉 壽二
- 【請求人代理人】飯田 丘
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .13 -Z (W20) / T18 .17 -Z (W20)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-62019拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第20類「プラスチック製の保管・搬送用りん木」を指定商品として、令和3年5月21日に立体商標として登録出願されたものである。
原審では、令和4年1月13日付けで拒絶理由の通知、同年2月24日付けで意見書の提出、同年4月13日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年7月19日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲のとおりの立体的形状からなるところ、その指定商品との関係において、商品の形状の一類型を立体的に表したものと認識されるものであり、また、その商品の機能又は美感に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものである。
また、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用される商品等の形状は、実際に商品の形状として一般的に採用されているか否かを問わず商標法第3条第1項第3号に該当するのであり、同じ形状の他社製品が存在しないことによって判断が左右されるものではない。
したがって、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
提出証拠における商品は、全て「エースマンボ」の文字とともに使用されており、「エースマンボ」の文字は、本願商標の指定商品の業界において、出所識別標識として機能する。
そうすると、当該商品に接する需要者、取引者は、その立体的形状を商標として認識するのではなく、その商品や商品の広告に使用された「エースマンボ」の文字をもって商品の出所を認識しているといえるから、本願商標の立体的形状が自他商品識別力を獲得したとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 当審による審尋
当審において、令和5年1月5日付け審尋により、請求人に対し、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答及び商標法第3条第2項の主張と関連する追加証拠の提出を求めた。
4 請求人の意見
請求人は、上記3の審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答をしていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲のとおり、折り目を7回連続(それぞれの頂点付近には小さな穴がある。)した波形状の横長板(緑色)からなる立体的形状からなる。
そして、本願商標の指定商品「プラスチック製の保管・搬送用りん木」は、材木などを横積みにするときに枕木とするりん木の一種(甲9参照。なお、請求人提出の資料1から資料13は、甲1から甲13と読み替える。)であるところ、本願商標の形状は、「軽い」、「省スペース」、「強い」などの当該商品の機能的側面に寄与する特徴を組み合わせたものである(甲3)。
また、本願商標の色彩も、単に商品の美観を向上させる目的の装飾の一部であると看取できる。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、客観的に見て、商品の機能又は美観に資することを目的として採用されている商品の形状又はそれらを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものであるから、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人の提出証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、ALC工事、押出成形板工事の設計、施工、販売を行う会社であって、平成10年5月から、「エースマンボ」と称する反復利用型「輪木」(以下「請求人商品」という。)の製造、販売を開始した(甲1)。
なお、請求人は、当該商品は平成5年頃に考案、販売されていた旨を主張するが、当該商品の発売日及び発売当時の商品形状を具体的に示す証拠の提出はない。
(イ)請求人商品は、折り目を7回連続(それぞれの頂点付近には小さな穴がある。)した波形状の横長板(グリーンのほか、ライトブルー、ホワイト、イエローのものもある。)の形状からなり、カタログには「軽い」(40枚重ねても約17kg)、「省スペース」(40枚重ねて高さは約67cm)、「強い」(圧縮耐力1.0t/本)ことなどを特徴とすることが記載されている(甲3、甲8、甲9)。
(ウ)請求人作成の「エースマンボ実績一覧表」には、平成5年から令和3年までの29年間で約126万本(年平均約4万3千本)の販売実績が記載されている(甲5)。
(エ)請求人商品と関連して、実用新案登録(第2577643号)及び特許登録(第3826233号)が取得されている(甲1)。
なお、上記実用新案登録の請求項1には、「帯状部材を波状に曲げ形成してなることを特徴とする輪木。」の記載がある。
イ 判断
以上の認定事実によれば、請求人商品は、発売以降20年以上にわたり、「エースマンボ」の商品名で、ある程度継続した販売実績を有する商品であることは把握できるとしても、我が国におけるメディア等を通じた広告宣伝実績は確認できず、また、カタログにおいてその形状に係る機能面(軽い、強いなど)の特徴を強調しているとしても、それらが請求人に係る出所識別標識としての特徴である旨を言及するような記述も確認できない。
その他、本願商標の指定商品に係る需要者の間において、請求人商品の形状が請求人に係る出所識別標識として広く知られていることを客観的かつ具体的に示す証拠は見いだせない。
そうすると、請求人の提出証拠によっては、本願商標は、我が国の需要者の間において、請求人に係る出所識別標識として広く知られていると認めることはできない。
ウ 請求人の主張
請求人は、本願商標は、取引業界において同じような形状が存在せず、識別しやすい唯一の形状であり、長期間一貫して使用された立体的形状が需要者の目につきやすく強い印象を与えるから、その立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得し、出所表示として認識されてきた旨を主張する。
しかしながら、本願商標と同様の形状の商品の存否にかかわらず、そもそも請求人提出の証拠によっては、上記イのとおり、請求人商品の形状が、我が国の需要者の間において、請求人に係る出所識別標識として広く知られていると認められない。
加えて、仮に本願商標と同様の形状の商品が取引業界において広く流通している実情がないとしても、請求人商品の形状は、特許権や実用新案権により一定保護期間が与えられていたと考えられ、当該形状について商標制度によって特許権や実用新案権による保護期間の経過後の期間を含む独占使用を認めることは、その保護期間を事実上延長することにつながることから、本願商標について請求人による独占使用を認めることは、公益上の見地からみて適切ではなく、独占適応性を欠く。
エ 結論
以上を踏まえると、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することにできるものとは認められず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、請求人による使用実績によっては、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
よって、結論のとおり審決する。
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