商標拒絶査定不服審判
2022-011157
カオリトスゴス、スゴス
- 審判番号
- 2022-011157
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-101439
- 請求日
- 2022年07月15日
- 審決日
- 2023年07月13日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .16 -Z (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-101439拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「香りと過ごす」の文字を標準文字で表してなり、第3類及び第5類に属する別掲1のとおりの商品を指定商品として、令和3年8月16日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年2月7日付けで拒絶理由の通知(以下「拒絶理由通知」という。)がされ、同年3月22日付けで意見書が提出されたが、同年4月12日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、本願商標は「香りと過ごす」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定商品を取り扱う業界では、「香りと過ごす」の文字が、商品の宣伝広告において一般的に使用されている実情があり、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、商品の宣伝広告を表示したものと理解するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、令和5年2月24日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲2のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和5年4月5日付け回答書を提出し、要旨、以下の1及び2のとおりの意見を述べた。
1 本願商標を構成する「香りと過ごす」の語は、「よいにおいと時間を経過させる。」、「よいにおいと日を送る。」、「よいにおいと生活する。」又は「よいにおいと暮らす。」などを意味するところ、「『どのような時を』よいにおいと送る」のか、具体的とはいえず、また、審尋で摘示された事実は、そのほとんどすべてが、「香りと過ごす」の語が文章中で使用されているものにすぎず、当該語がそれ単独で宣伝広告して使用されているものとはいえない。
2 異議決定(異議2022-900167号)において、登録商標を構成する語の意味合いが漠然としており、当該語が単独で、取引上一般的に使用されていたと認めることができないことを理由に、商標登録を維持した事案があり、本件は、審尋において、「香りと過ごす」の語の意味合いが具体的であることを、根拠をもって説明したものとはいえないため、「香りと過ごす」の語が単独で、宣伝広告として取引上一般的に使用されているともいえない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知的財産高等裁判所 平成21年(行ケ)第10270号、知的財産高等裁判所 平成24年(行ケ)第10323号判決参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「香りと過ごす」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「よいにおい。香。」を意味する「香り」の文字及び「時間を経過させる。日を送る。生活する。暮らす。」などを意味する「過ごす」の文字を助詞「と」で結合したもの(いずれも「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)と容易に認識できるものであるから、構成全体として「よいにおいとともに、時間を経過させる(日を送る。生活する。暮らす。)」ほどの意味合いを理解させるものである。
そして、別掲2に記載のとおり、「香りと過ごす」の語は、本願の指定商品中、「洗濯用柔軟剤,化粧品,香料,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。),その他の薫料,芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用の芳香消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用の消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」等の香りを放つ(芳香の成分を含有する)商品を取り扱う業界において、当該商品がよいにおいとともに、時間を経過させる商品であることをうたう、宣伝広告として一般的に使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品中の「洗濯用柔軟剤,化粧品,香料,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。),その他の薫料,芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用の芳香消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用の消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」等の香りを放つ(芳香成分を含有する)商品に使用しても、本願商標に接する需要者は、これを需要者に関心を抱かせるための宣伝広告の一類型を表示したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標を構成する「香りと過ごす」の語は、「よいにおいと時間を経過させる。」、「よいにおいと日を送る。」、「よいにおいと生活する。」又は「よいにおいと暮らす。」などを意味するところ、「『どのような時を』よいにおいと送る」のか、具体的とはいえず、また、審尋で摘示された事実は、そのほとんどすべてが、「香りと過ごす」の語が文章中で使用されているものにすぎず、当該語がそれ単独で宣伝広告して使用されているものとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記1(2)のとおり、本願商標は、その指定商品中、香りを放つ(芳香の成分を含有する)商品を取り扱う業界において、当該商品がよいにおいとともに、時間を経過させる商品であることの紹介や説明において使用されていることからすれば、本願商標をその指定商品中の香りを放つ(芳香成分を含有する)商品に使用しても、本願商標に接する需要者は、これを需要者に関心を抱かせるための宣伝広告の一類型を表示したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないと判断するのが相当である。
(2)請求人は、異議決定(異議2022-900167号)において、登録商標を構成する語の意味合いが漠然としており、当該語が単独で、取引上一般的に使用されていたと認めることができないことを理由に、商標登録を維持した事案があり、本件は、審尋において、「香りと過ごす」の語の意味合いが具体的であることを、根拠をもって説明したものとはいえないため、「香りと過ごす」の語が単独で、宣伝広告として取引上一般的に使用されているともいえない旨主張する。
しかしながら、当該異議決定と本願商標とは、商標の構成等を異にするものである。
そして、登録出願された商標が自他商品の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであるから、決定例等の存在によって、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するという上記判断が左右されるものではない。
(3)請求人の上記各主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張も採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-011157