商標拒絶査定不服審判
2022-011052
- 審判番号
- 2022-011052
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-052961
- 請求日
- 2022年07月15日
- 審決日
- 2023年05月23日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】カシオ計算機株式会社
- 【請求人代理人】窪田 英一郎
- 【請求人代理人】加藤 ちあき
- 【請求人代理人】乾 裕介
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .13 -WY (W14) / T18 .17 -WY (W14)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-52961拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第14類「腕時計」を指定商品として、令和3年4月28日に立体商標として登録出願されたものである。
原審では、令和3年8月12日付けで拒絶理由の通知、同年9月29日受付で意見書の提出、同4年4月11日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年7月15日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。
2 原査定の拒絶の理由
(1)商標法第3条第1項第3号
本願商標は、別掲のとおりの立体的形状からなる立体商標である。
そして、本願商標の指定商品である「腕時計」を取り扱う業界においては、本願商標と同じように、ベルト及び文字を表示する(又は文字盤を配する)ケースからなる形状の商品の取引が行われており、さらに、商品の美観や機能を発揮させるため、ベルトやケース等に様々な装飾を施した商品が製造販売されている実情がある。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に商品の美観や機能を発揮するために採用し得る立体的形状を普通に用いられる方法で表示したものとして認識する。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項
本願商標は、本来的に独占適応性及び自他商品の識別力に欠けるものであり、かつ、40年以上の全国的な販売実績も、出願人の代表的な出所識別標識である「CASIO」商標及び「G-SHOCK」の文字商標のもとで行われたものと推察されること、本願商標の立体的形状のみが「G-SHOCK」として認識されているわけではないことからすれば、本願商標は商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 本願商標は、別掲のとおり、(ア)八角形状のベゼル(その中央には長方形状の枠がある。)を有し、左右に凹凸部やボタンを設けた時計ケースと、(イ)その上下につながる、横方向に連続した溝を有するバンド(各部位の表面に2個ずつ穴を設けている。)を組み合わせた立体的形状からなるものである。
イ そして、本願商標の指定商品「腕時計」は、一般的に、文字盤などの表示部を囲むベゼルを備えた時計ケースと、それにつながるバンドにより構成されるものであるところ、本願商標は、構成全体として、比較的角張ったデザインの、ベゼルの中央部に時刻表示部を設けた腕時計の形状を表してなると看取できる。
ウ そうすると、本願商標は、上記ア(ア)及び(イ)のいずれの構成要素も、その指定商品と関連して、商品等の機能又は美観に資することを目的として採用される、又はその機能又は美感上の理由から採用すると予測される範囲のものにすぎないから、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、1983年に、「G-SHOCK」のファーストモデルである「DW-5000」(以下「請求人商品」という。)を発売した(甲152)。
(イ)請求人商品は、「CASIO」、「G-SHOCK」などの文字や時刻表示部などを備えるものの、おおむねの外観構成は、本願商標と同様に、(a)八角形状のベゼル(その中央には時刻表示部がある。)を有し、左右に凹凸部やボタンを設けた時計ケースと、(b)その上下につながる、横方向に連続した溝を有するバンド(各部位の表面に2個ずつ穴を設けている。)を組み合わせた商品形状からなる(甲152)。
また、請求人商品には、初代であるそのデザインを再現した後継商品(例えば2019年発売の「GMW-B5000TB」、2012年発売の「GB-5600AA」、2009年発売の「GW-5000」、2005年発売の「GW-5600J」、1987年発売の「DW-5600C-1」など)が発売されている(甲174、甲178)。
(ウ)本願商標に係るモデルの商品の販売数量は、10万個(1998年)、14万個(2005年)、29万個(2015年)、38万個(2018年)あったとされる(甲9)。
(エ)請求人商品及びその後継商品は、インターネット記事情報、雑誌、新聞及びテレビ番組などにおいて、商品写真を伴う商品紹介記事が掲載、放映されている(甲3、甲4、甲61、甲77、甲94、甲98、甲125、甲126、甲134、甲156、甲157、甲159、甲160、甲166~甲169、甲171、甲174、甲179~甲201)。
それら記事情報では、「「柔」と「堅」の要素が見事に融合した一切無駄のないスクエアデザインは、耐衝撃だけを追求することで辿り着いた究極の機能美となった。」(甲77)、「1983年の誕生以来、唯一無二のタフネスウォッチとして、独自の進化を続けるG-SHOCK。その象徴として、今もなお語り継がれるのが初号機DW-5000C」(甲126)、「・・・「DW-5000C」は、耐衝撃腕時計“G-SHOCK”の初代モデルです。「衝撃に弱く、壊れやすい」という腕時計の常識を覆し、腕時計に対する価値観を一新しました。」(甲159)などのように、請求人商品の形状について言及されている。
(オ)請求人が、「NERAエコノミックコンサルティング」を通じて行ったアンケート調査(以下「本件アンケート調査」という。)は、2021年9月9日付け調査報告書(甲143)によれば、以下のとおりである。
a 調査対象者は、日本全国に居住する16歳以上の男女であり、1,100人から回答を得た。
b 調査方法は、インターネットによるアンケート調査であり、導入質問の後に、本願商標に相当する画像を示して、思い浮かぶブランドやメーカーなどを自由回答式で尋ね、次に同様の質問を多肢選択式で尋ねた。
c 調査対象者のうち、請求人又はその関連商品(カシオ、G-ショックなど)を回答したのは、自由回答式で55.09%、多肢選択式で66.27%である。
イ 判断
上記アの認定事実によれば、本願商標に相当する形状を備える請求人商品は、その後継商品も含めると、1983年の発売以降に約40年の販売期間があり、その販売実績も長期にわたる安定した販売数量をあげ、むしろ近年にかけて販売数量は増加傾向にある。また、広告宣伝として、請求人商品などの商品写真を伴う商品紹介記事が継続してメディアを通じて掲載、放映されており、それら記事情報によれば、請求人商品は、請求人ブランド(G-SHOCK)を象徴する代表的なモデルに位置づけられ、その形状は、従来の腕時計にはない、耐衝撃性を備える独特の形状からなると評価されている。そして、本件アンケート調査によれば、日本全国に居住する16歳以上の男女のうち、本願商標に相当する画像から、請求人との関連を回答できたのは、多肢選択式の回答も考慮すれば、6割を超える。
そうすると、本願商標に相当する立体的形状(ベゼル、ケース、バンド)は、請求人商品が備える独特な商品形状として、その指定商品に係る需要者の間において、相当程度認知され、請求人に係る出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至っていると認められる。
したがって、本願商標は、請求人による使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するから、それを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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