商標拒絶査定不服審判
2022-010587
キョートコーライニンジン
- 審判番号
- 2022-010587
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-035266
- 請求日
- 2022年07月07日
- 審決日
- 2024年02月02日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ペン株式会社
- 【請求人代理人】前川 真貴子
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T18 .16 -Z (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-35266拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「京都高麗人参」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、令和3年3月24日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年12月6日付けで拒絶理由の通知がされ、同4年1月21日付けで意見書が提出されたが、同年4月1日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和4年7月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、指定役務については、原審における同年1月21日付け及び当審における同5年12月19日付けで提出された手続補正書により、最終的に、第35類「高麗人参を含有するサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,高麗人参を含有する健康食品・健康関連商品・サプリメントの販売に関する情報の提供,高麗人参を主原料とする粉状・顆粒状・錠剤状・固形状・液体状又はカプセル入りの加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,高麗人参を含有する加工食品の販売に関する情報の提供」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「京都高麗人参」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「京都」の文字は、「近畿地方中部から北部に位置する府。」、「京都府南部の市。」の意味を有する行政区画名であり、「高麗人参」の文字は、「朝鮮人参」(「ウコギ科の多年草。朝鮮・中国が原産。古くから薬用に栽培される。」)の意味を有する語であるところ、高麗人参は、国外から輸入されるほか、国内で生産、提供等されている実情があり、また、本願の指定役務の取扱商品であるサプリメント、高麗人参を含有する加工食品等の原材料として、広く使用されている。そうすると、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需用者は、本願商標の構成全体から、「京都(産)の高麗人参」ほどの意味合いを理解し、取扱商品の産地、品質、原材料と理解、認識するにとどまるというべきであるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
なお、原査定中「令和3年12月6日付けで通知した理由(うち、理由2)が解消されていない」との記載中「理由2」は「理由1」の誤記と認める。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを実施した結果、別掲1ないし別掲4に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し令和5年10月26日付け証拠調べ通知書により、その結果を通知し、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知書に対し、令和5年12月19日付けで意見書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)別掲1の事例は、いずれも「産地の都道府県名+高麗人参」とは記載していないから、需要者が都道府県名を産地として認識することはない。
(2)別掲3の事例において、含まれる地名は単なる原材料の産地を示すものではなく、当該原材料の日本最大の産地名や古くから産地として有名な地名の事例である。また、高麗人参を含有するサプリメント等の販売に使用されている事例はない。
(3)別掲4の事例は、いずれも「日本における有名な高麗人参の産地名+高麗人参」の事例である一方で、京都は高麗人参の有名な産地ではない。さらには、高麗人参の有名な産地であっても「都道府県名+高麗人参」の組合せで使用されていない(長野県産の高麗人参は、「信州人参」、「信州高麗人参」と称されても、「長野高麗人参」とは称されない。)。
してみると、「都道府県名+高麗人参」なる商標であったとしても、当該都道府県名が高麗人参の最大の産地や有名な産地といった特別の事情がない限り、都道府県名が高麗人参の産地である習慣はない。
(4)京都は、高麗人参に関して最大の産地でも有名な産地でもない上、高麗人参を原料とするサプリメントの業界において、「産地の都道府県名+高麗人参」と称される習慣もないから、本願商標に接する需要者が「京都産の高麗人参」と認識することはない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は自他役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品又は自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(平成24年(行ケ)第10323号判決参照)。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「京都高麗人参」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「京都」の文字は、「近畿地方中央部、大阪と共に二府の一つ。」又は「京都府南東部に位置する市。」(広辞苑第七版)であり、また、構成中の「高麗人参」の文字は、「朝鮮人参」(ウコギ科の多年草。薬用植物。)と同義の語(前掲書)であり、いずれも広く一般に知られた語である。そして、植物や農作物等の名称に、その産地の名称を冠して生産、販売することは広く一般に行われている(例えば、「京都米」、「船橋にんじん」、「博多なす」、「加賀野菜」、「広島レモン」、「岡山白桃」、「宇治茶」等)実情を考慮すれば、地名である「京都」の文字と、植物の名称である「高麗人参」の文字を結合した、「京都高麗人参」の文字は、「京都産の高麗人参」の意味合いを容易に認識させるものである。
また、本願の指定役務や関連する業界の取引の実情をみるに、別掲1のとおり、「高麗人参」は全国各地で生産されており、指定役務の取引者、需要者が、「高麗人参」を特定の地域のみでしか生産することができないものと一般に認識されるべき特段の事情は見当たらないとともに、別掲2のとおり、「高麗人参」は、サプリメントの原材料として一般に使用されるものである。
さらに、上記のとおり、植物や農作物等の名称に、その産地の名称を冠して生産、販売をすることは一般に行われていることに加え、別掲3のとおり、サプリメントを取り扱う業界においても、その原材料を表示する際に、その原材料の産地も併せて表示して取引に用いられていることは、原材料の種類を問わず、広く行われている。
加えて、別掲4のとおり、産地の名称を冠する高麗人参の使用も見られるものである。
以上からすれば、「京都高麗人参」の文字は、その文字構成から、「京都産の高麗人参」の意味合いを容易に理解させるものであることに加え、「高麗人参」が全国各地で生産されていること、「高麗人参」がサプリメントに使用されていること、産地名を冠した原材料がサプリメントに使用されている等の上記取引の実情をも考慮すれば、本願商標は、本願の指定役務の分野において「京都産の高麗人参」の意味合いを一般に認識させるものというべきである。
そうすると、「京都高麗人参」の文字よりなる本願商標を、その指定役務中、「高麗人参を含有するサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,高麗人参を主原料とする粉状・顆粒状・錠剤状・固形状・液体状又はカプセル入りの加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、「京都産の高麗人参」を使用したサプリメント等を取り扱う小売又は卸売の業務であること、すなわち、指定役務の取扱商品(サプリメント等)の品質、原材料を表示したものと認識するにとどまるものであり、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、京都は高麗人参の有名な産地ではないこと、高麗人参の有名な産地を含め、「都道府県名」及び「高麗人参」の組合せで使用される高麗人参の使用例はないこと、「都道府県名」及び「高麗人参」から構成される商標であるとしても、当該都道府県名が高麗人参の最大の産地や有名な産地といった特別の事情がない限り、都道府県名が高麗人参の産地である習慣はないこと等から、本願商標に接する需要者が、本願商標を「京都産の高麗人参」と認識することはない旨主張する。
しかしながら、本願の指定役務中、「高麗人参を含有するサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,高麗人参を主原料とする粉状・顆粒状・錠剤状・固形状・液体状又はカプセル入りの加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の需要者等には、一般の消費者又はサプリメント等を取り扱う事業者が含まれ、これらの者は必ずしも「高麗人参」に関して最大の産地や詳細の表示等の専門的知識に精通しているわけではないところ、上記(2)のとおり、「高麗人参」が特定の地域のみでしか生産できないものと認識されるべき特段の事情は見当たらないこと、実際に「高麗人参」がサプリメントに使用されていること、産地名を冠した原材料がサプリメントに使用されていること等の指定役務についての取引の実情を考慮すれば、本願商標は「京都産の高麗人参」を使用したサプリメント等を取り扱う小売又は卸売の業務であることを一般的に表示しているにすぎず、その指定役務の需要者において、他人の同種役務と識別するための標識であるとは認識し得ないものというべきであって、その構成自体からして、本願商標の指定役務に使用されるときには、自他役務の出所識別機能を有しないものといわざるを得ない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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