商標拒絶査定不服審判
2022-010499
ヒラマツ
- 審判番号
- 2022-010499
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-027766
- 請求日
- 2022年07月05日
- 審決日
- 2023年11月21日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ひらまつ
- 【請求人代理人】松下 昌弘
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 藤村 浩二
- 分類
- T18 .14 -WY (W43) / T18 .17 -WY (W43)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第4号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-27766拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年3月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年3月4日付け:拒絶理由通知書
令和3年7月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年4月7日付け:拒絶査定
令和4年7月5日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1の構成からなり、第16類、第35類、第41類、第43類及び第45類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正により、最終的に、第43類「レストランにおける飲食物の提供(フランス料理の提供に限る。)」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「Hiramatsu」の欧文字をややデザイン化して横書きしてなるものである。そして、本願指定役務と関係の深い業界においては、需要者の興味や関心等をひこうと、各種のレタリングされた文字が一般に使用されている実情があることからすると、「Hiramatsu」の欧文字は、ややデザイン化されているものの、いまだ普通に用いられる方法を脱しない程度に表されてなるものとみるのが相当である。そうすると、本願商標は、単にありふれた氏を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、提出された証拠からは、一般の消費者間において、本願商標が全国的に認識されているものであるのかを推定することができないことから、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「Hiramatsu」の欧文字を横書きしてなるところ、構成文字は、ややデザイン化してなるものの、各種のレタリング文字が広く使用され、商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、全体として「Hiramatsu」の文字を書したものと容易に認識できるものであって、格別特異なものともいえないものであるから、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない範囲で表してなるものである。
そして、本願商標からは、「ヒラマツ」の称呼を生じることは明らかであり、「ヒラマツ」の読みを漢字で表した「平松」の語は、原審で示した別掲2の事実のとおり、日本人の姓氏を表示するものであることが認められ、その「平松」姓の者が相当数、存在することも認められる。
また、一般の商取引においては、日本人の姓氏を表記する際に、その読みを欧文字で表記することが、広く一般に行われていることも明らかである。
以上からすると、本願商標は、ありふれた氏である「平松」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、上記1のとおり、原審及び当審において指定役務を補正し、最終的に第43類「レストランにおける飲食物の提供(フランス料理の提供に限る。)」とした上で、本願商標が、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるとしても、同法第3条第2項に規定する要件を具備する旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第305号証を提出しているところ、以下、本願商標が、同法第3条第2項の要件を具備するものであるかについて検討する。
ア 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
(ア)請求人について
請求人は、1982年の創業以来、レストラン事業を約40年継続して実施しており(甲4、甲7)、2001年にフランス・パリの店舗が日本人オーナシェフとして初のミシュランを獲得している(甲4、甲57、甲188)。
(イ)営業地域について
請求人は、東京・神奈川県・北海道・石川県・愛知県・大阪府・京都府・奈良県・福岡県・三重県・静岡県・長野県・沖縄県・パリと全国的かつ世界的に30店舗以上を展開している(甲60)。
(ウ)売上高について
請求人の売上高は、2016年度が約115億円、2017年度が約116億円、2018年度が約109億円、2019年度が約99億円、2020年度が約63億円である(甲13の2)。また、レストラン事業の売上としては、2019年度において約81億円、2020年度において約39億円である(甲12)。
(エ)新聞・雑誌への掲載・テレビ放映等について
請求人のレストランが、各種雑誌やテレビ番組で紹介されている(甲175、甲176、甲184、甲291)。
(オ)会員について
請求人の経営するレストラン・ホテルにおいて利用できるポイントが付与されるメンバーシップ登録会員は、約15万人に上り(甲283)、請求人が定期的に配信するメールマガジンの受信登録をした会員は約12万人に上る(甲282)。
(カ)請求人の使用に係る商標及び役務並びに使用開始時期について
請求人は、1994年の株式会社設立の後、遅くとも1998年以降、本願商標と同一の標章を使用している(甲287)。また、2010年の東証一部上場以降は、本願商標と同一の標章を、レストラン事業を主な事業とする請求人のハウスマークとして使用している(甲4等)。
請求人が運営する店舗の外観やホームページにおいて、本願商標と同一の標章を使用している(甲137~甲143)。また、請求人が運営する店舗において、メニュー、パンフレット、マスクケース、紙袋等に本願商標と同一と認められる標章を使用している(甲144~甲174、甲267~甲275)。加えて、上記(オ)の会員に発行されるメンバーズカードにも本願商標と同一の標章を使用している(甲280)。
イ 判断
上記アで認定した事実によれば、請求人は、1982年の創業以来、レストラン事業を実施しており、全国及び海外に30店舗以上を展開し、相当程度の売上高があること、請求人のレストランは、各種雑誌やテレビ番組で紹介されるとともに、フランス・パリの店舗は日本人オーナーシェフとして初のミシュランを獲得していること、請求人のメンバーシップ登録会員数及びメールマガジン受信登録会員数は相当程度に上ること、遅くとも1998年以降、本願商標と同一の標章を店舗、メニュー、パンフレット、マスクケース、紙袋、メンバーズカード等に広く使用されていることが認められる。
そうすると、本願商標は、請求人の業務に係る「レストランにおける飲食物の提供」を表示するものとして、需要者の間で、広く認識されているとみるのが相当である。
また、職権による調査によれば、本願商標と同一の構成からなる商標を、本願の指定役務を取り扱う業界において、請求人以外の者が使用している事実は発見できなかった。
そうすると、本願商標は、その指定役務について、請求人により長年にわたり継続的に使用された結果、需要者が、請求人の業務に係る役務を表示する商標として認識するに至ったものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであるから、同項の要件を具備するものではないとした原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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