商標拒絶査定不服審判
2022-010452
ヤミツキ
- 審判番号
- 2022-010452
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-120560
- 請求日
- 2022年07月05日
- 審決日
- 2023年10月03日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キッコーマン株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T18 .16 -Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-120560拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「やみつき」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供,日本料理を主とする飲食物の提供,西洋料理を主とする飲食物の提供,中華料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,個々の需要に応じた料理人による飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,仕出しによる飲食物の提供,娯楽施設における飲食物の提供,宅配を特長とするレストランにおける飲食物の提供,屋台における飲食物の提供及びこれに関する情報の提供,店舗の内外で消費可能な飲食物の提供,弁当料理を主とする飲食物の提供,持ち帰り可能なレストランにおける飲食物の提供及びこれに関する情報の提供,携帯電話機又は電子計算機端末による通信を利用した飲食物の提供に関する情報の提供」を指定役務とし、令和2年9月30日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年11月4日付けで拒絶理由の通知がされ、同年12月13日に意見書が提出されたが、同4年3月31日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年7月4日付け拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「やみつき」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「ある事に夢中になり、やめられなくなる状態。」の意味を有する慣れ親しまれた語であり、本願の指定役務に係る飲食料品業界においては、「おいしくて食べることに夢中になり、やめられなくなる状態」ほどの意味合いで、実際に使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、該役務が「おいしくて食べることに夢中になり、やめられなくなる状態」ほどの意味合いを認識・理解するにとどまり、単に、提供される飲食料品のおいしさを強調するために表示された語と認識するにとどまるから、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは認識し得ないというべきであって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し令和5年2月27日付けで証拠調べ通知書により、その結果を通知し、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。
第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見
請求人は、前記第3の証拠調べ通知書に対し、令和5年3月29日に意見書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べた。
1 請求人の調査によれば、「やみつき」の語の使用実態のほとんどは、「やみつき○○」等のレシピ紹介記事又は「やみつき」の文字を含む一連の店舗名であって、「やみつき」の語が単独で商標的に使用されている事実は確認できないから、飲食物の提供を行う店舗名称としての「やみつき」が、「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」に係る商標「さくら」、「愛」、「純」等のように多数使用され、その結果識別力を発揮できる状態にない状況とまではいい難い。
2 証拠調べ通知書で示された事例についても、「やみつき」の語が、通常的な説明文の中で使用されているにすぎないか、特定のメニュー名の一部を構成するにすぎないなど、「やみつき」の語そのものが、単独で商標的に用いられた事例ではない。
3 したがって、本願商標の登録性が否定されるべきではない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記第1のとおり、「やみつき」の文字を標準文字で表してなる商標であるから、その構成文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると認められる。そして、当該文字は、「ある事に夢中になり、やめられなくなる状態。」等の意味を有する語(広辞苑第七版)として、我が国において広く一般に使用されているものである。
ところで、別掲に示す事実によれば、本願の指定役務を取り扱う業界において、「やみつき」の文字に通じる、「やみつき!」、「やみつきに」、「やみつきになる」、「やみつきの○○」等の文字は、提供する飲食物の味が美味しい、食感に特徴がある等の理由によって、やめられなくなる旨を強調、訴求するように、「一度食べたら」、「一度食べれば」の文字に続いて用いられたり、「ご好評いただいております」(別掲(4))、「くせになる」(別掲(5))、「はまったら抜け出せません」(別掲(8))、「食べだしたら止まらない」(別掲(11))、「また食べたくなる」(別掲(17))等の同旨の文字とともに用いられたりしているように、役務の特性や優位性、質、特徴等を顧客に訴求する際のフレーズとして、多くの事業者により、共通して使用されている実情が見受けられる。
このような実情を踏まえると、「やみつき」の文字は、本願の指定役務との関係において、味が美味しい、食感に特徴がある等の役務の特性、優位性、質、特徴等を端的に表し、顧客に対する役務への誘因や来店の働きかけ等のための文句、すなわち宣伝広告の文句として一般に使用されるものとみるのが相当である。
そうすると、「やみつき」の文字よりなる本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標が役務の宣伝広告を表示したものと認識するにすぎないものというべきであるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「やみつき」の一語から想起される役務とはどのような役務のことを指すのか(提供する料理の味に関する好印象なのか、味に関する印象だとしてもそれはいかなる印象を指すのか、その店のみの独自の創作メニューを出すという希少価値・魅力なのか、等)、当該語からは理解できない旨主張する。
しかしながら、「やみつき」の語は、「ある事に夢中になり、やめられなくなる状態。」(同掲書)を意味する語として親しまれたものであって、その意味が理解できないとはいえないし、上記1のとおり、指定役務との関係で、宣伝広告のための文句として、多数の事業者に共通性をもって使用されるものであるから、請求人の上記指摘を踏まえたとしても、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべきである。
(2)請求人は、「やみつき」の語が用いられるのは、「やみつき○○」等のレシピ紹介記事又は「やみつき」の文字を含む一連の店舗名であって、「やみつき」の語が単独で商標的に使用されている事実は確認できないから、飲食物の提供を行う店舗名称としての「やみつき」が多数使用され、その結果識別力を発揮できる状態にない状況とまではいい難い旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標は、指定役務を提供する業界において、宣伝広告として多数使用されているために、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とみるべきであるから、「やみつき」の文字が飲食店の店名として多数使用されていないとしても、そのことをもって上記判断が左右されるものではない。
(3)請求人は、「やみつき」の文字よりなる商標や、「やみつき」の文字を含む商標、「こだわり」等の商品や役務に対する漠然とした好印象を抱かせるような文字の商標が、多数登録されている旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の査定時又は審決時における指定商品又は指定役務の取引の事情等を基に個別具体的に検討すべきものである。そして、本願の指定役務を提供する業界において、「やみつき」の語の使用状況は上記1のとおりであるから、指定商品又は指定役務、商標の構成態様等が異なる登録例をもって、上記判断が左右されるべきものではない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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