商標拒絶査定不服審判
2022-010201
タカラズカ
- 審判番号
- 2022-010201
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-157625
- 請求日
- 2022年07月01日
- 審決日
- 2023年12月05日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】阪急電鉄株式会社
- 【請求人代理人】森岡 博
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W41) / T18 .272-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-157625拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「宝塚」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和2年5月27日に登録出願された商願2020-65542に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同3年12月17日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年1月5日付けで拒絶理由の通知がされ、同年2月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月24日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和4年7月1日に拒絶査定不服審判の請求がされ、指定役務については、当審における同日付け手続補正書により、最終的に、第41類「演劇・音楽に関する技芸又は知識の教授,演劇又は音楽を題材とした電子出版物の提供,演劇又は音楽を題材とした図書及び記録の供覧,演劇又は音楽を題材とした図書の貸与,演劇又は音楽を題材とした美術品の展示,演劇又は音楽を題材とした書籍の制作,舞台衣装を着用した写真の撮影」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「宝塚」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「兵庫県南東部の市」の意味を有する語である。そうすると、本願商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、兵庫県南東部の市である宝塚市において提供される役務であること、すなわち、単に役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。また、本願商標を、宝塚市において提供される役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、宝塚市において提供される役務以外の本願指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。また、提出された証拠によっては、本願商標がその指定役務について、同法第3条第2項に該当するものとなっているとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における審尋
当審において、令和5年5月18日付け審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解を示し、商標法第3条第2項に該当する旨の主張をする場合には、本願商標が、指定役務について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとなっていることを立証するよう述べた上で、期間を指定し、請求人に対し回答を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答の要旨
本願商標は、「演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」について著名であり、本願の各指定役務はこれと密接な関係があり、その同一性は損なわれておらず、宝塚歌劇団の業務に係る役務と密接な本願指定役務に本願商標を使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に役務の提供場所を表示したというよりも、宝塚歌劇又は宝塚歌劇団を表示したものと理解、認識するとみるのが妥当であり、本願商標は自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得る。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「宝塚」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「兵庫県南東部の市。」(広辞苑第七版)の意味を有するものである。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、当該役務が兵庫県南東部の市である宝塚で提供される役務であると認識するにとどまるというべきである。
よって、本願商標は、その指定役務との関係において、役務の提供場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、兵庫県南東部の市である宝塚で提供される役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標を指定役務に使用した場合、取引者、需要者は、これを単に役務の提供場所を表示したものというよりも宝塚歌劇又は同歌劇団を表示したものと認識すると理解するのが妥当であり、本願商標は自他役務の識別標識としての機能を十分に果たす商標である旨主張し、証拠方法として、第1号証ないし第17号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。以下、甲第1号証ないし甲第17号証と読み替える。)を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて、請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
ア 事実認定
(ア)大正3年(1914年)に請求人である阪急電鉄株式会社の創設者小林一三が当地に歌劇団(宝塚歌劇団)と遊園地(動物園、植物園等を含む)を誕生させたとされ、請求人は、以来100年以上の長きにわたり同劇団を運営している。宝塚歌劇団は、出演者が全員未婚の女性で、女性が男役も演じ、また出演者は付属の宝塚音楽学校の卒業生であり、団員たちは「タカラジェンヌ」の愛称で親しまれている(甲2)。宝塚歌劇団は、専用の劇場を所有し、団員養成の学校を設置し、座付きの作家・演出家集団を擁し、舞台装置・美術・照明から作曲家及び専属オーケストラを自前でかかえた劇団である(甲14)。
(イ)宝塚歌劇団出身の扇千景氏が国土交通省大臣に在職していた際は同省ホームページに「昭和29年4月宝塚初舞台」と紹介されており(甲3の2)、その他にも、宝塚歌劇団を「宝塚」と称するものがある(甲3、甲4、甲12、甲14、甲15、甲17)。
(ウ)請求人は、宝塚音楽学校の設備と講師陣を活用して、声楽・バレエ・日本舞踊のレッスンを行う日曜教室である「宝塚コドモアテネ」を昭和7年より開設している(甲5)。また、請求人グループは、演劇に関する図書、雑誌、宝塚歌劇の上演資料を蔵書する「池田文庫」を昭和24年より開設している(甲7)。さらに、2022年には、神戸ファッション美術館において、宝塚歌劇団の衣装や資料など約120点を展示する特別展「華麗なる宝塚歌劇衣装の世界」が開催された(甲8)。請求人の傘下にある(株)宝塚クリエイティブアーツは、宝塚歌劇に関し月刊誌「歌劇」、「宝塚GRAPH」のほか、定期刊行物「宝塚おとめ」、「TAKARAZUKA REVUE」、「Le Cinq」という書籍を出版し、宝塚歌劇団による劇場公演の公式映像を製作し、これをテレビ放送局に配給し、或いはDVD、ブルーレイ媒体にてビデオ化している(甲9)。また、兵庫県宝塚市の宝塚大劇場内には写真撮影スタジオ「Salon de Takarazukaステージスタジオ」が設けられており、宝塚歌劇の舞台メイクをして公演衣裳を着用し、舞台のスターに変身した写真撮影を経験することができる(甲10)。
イ 検討
以上の認定事実からは、請求人が大正3年から100年以上の期間にわたり、宝塚歌劇団を運営し、宝塚歌劇団は、「宝塚」と称されることがあると認められる。
しかしながら、本願の指定役務は、「演劇・音楽に関する技芸又は知識の教授,演劇又は音楽を題材とした電子出版物の提供,演劇又は音楽を題材とした図書及び記録の供覧,演劇又は音楽を題材とした図書の貸与,演劇又は音楽を題材とした美術品の展示,演劇又は音楽を題材とした書籍の制作,舞台衣装を着用した写真の撮影」であるところ、これらの役務について、本願商標が使用されたことを認めるに足りる証拠が提出されていない。
例えば、甲第5号証からは、「宝塚コドモアテネ」の名称で、声楽・バレエ・日本舞踊の教授が行われていること、甲第7号証からは、「池田文庫」の名称で、宝塚歌劇に関する図書及び記録の供覧が行われていること、甲第10号証からは、「Salon de Takarazukaステージスタジオ」の名称で、舞台衣装を着用した写真の撮影が行われていることがうかがえるにすぎない。
したがって、提出された証拠によっては、本願の指定役務について、本願商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものであると認めることはできない。
よって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
(3)請求人の主張
請求人は、本願商標は、「演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」について著名であり、本願の各指定役務はこれと密接な関係があり、その同一性は損なわれていない旨主張する。
しかしながら、本願商標が著名であると主張する役務と本願の指定役務は、請求人又は請求人の関連会社が提供する役務という点において密接な関連があるとしても、一般的に、これらの役務は、提供の手段、目的又は場所、需要者の範囲、業種、提供事業者が一致するものではないから、役務の同一性が損なわれていないということはできない。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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