商標拒絶査定不服審判
2022-010047
ニオイガード、ニオイ
- 審判番号
- 2022-010047
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-018127
- 請求日
- 2022年06月29日
- 審決日
- 2023年07月05日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .13 -Z (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-18127拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は「ニオイガード」の文字を標準文字で表してなり、別掲1のとおり、第3類及び第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、令和3年2月16日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年11月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同4年1月11日付けで意見書が提出されたが、同年3月23日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和4年6月29日付けで拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「ニオイガード」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ニオイ」の文字は、その表音から「くさいかおり」の意味を有する「臭(におい)」の文字が想起され、「ガード」の文字は、「攻撃や危険から身を守ること。防御。」等の意味を有するので、全体として「においを防御する」又は「においから守る」ほどの意味を認識させる。また、本願の指定商品を取り扱う分野においては、「ニオイガード」の一連の文字、又は「ニオイ」及び「ガード」の文字を用いて、「においを防御する」又は「においから守る」ほどの意味合いで用いられ、消臭や防臭効果のある商品が一般的に製造・販売されている実情がうかがえる。そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,身体用消臭剤,身体用防臭剤,その他の化粧品,香料,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。)」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用の芳香消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用の消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),その他の薬剤,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりものシート」等に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「においを防ぐ商品、すなわち消臭効果又は防臭効果のある商品」であることを認識するにとどまり、商品の品質、機能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の趣旨
商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号、同年10月21日判決参照)。
また、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号、同年9月4日判決参照)。
そして、本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、商品の品質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、本願商標の構成やその指定商品に関する取引の実情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号、同4年1月25日判決参照)。
以下、上記の趣旨及び判断手法を踏まえて、本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について検討する。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性
本願商標は、上記1のとおり、「ニオイガード」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標は、同書、同大、等間隔で表されているとしても、その構成は、「ニオイ」及び「ガード」の文字を結合したものと容易に認識できるものである。
そして、本願商標の構成中の「ニオイ」に通ずる「におい」の文字は「くさいかおり。臭気。」の意味を有し(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)、「ガード」の文字は「攻撃や危険から身を守ること。防御。」の意味を有し(「大辞泉【第二版】上巻」株式会社小学館)、いずれの語も広く一般に親しまれた語であるから、本願商標全体として「においを防御する」又は「においから守る」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、原審で示した別掲2(1)から(8)によれば、本願の指定商品を取り扱う分野において、「ニオイガード」が「においを防御する」又は「においから守る」ほどの意味合いで使用され、また、「ニオイ」と「ガード」を組み合わせた表示からは、それぞれ「におい」、「防御する、守る」ほどの意味合いで用いられている実情があり、かつ、消臭や防臭効果のある商品が一般的に製造・販売されている実情が認められる。
そして、これらの実情は、当審における職権調査からも、うかがい知ることができるものである(別掲2(9)から(22))。
さらに、本願の指定商品は、別掲1のとおり、その指定商品中に、消臭剤、防臭剤、芳香剤、消臭芳香剤、脱臭剤等を始めとする消臭や防臭効果のある商品を含んでなるものである。
そうすると、「ニオイガード」からなる本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「においを防ぐ商品」、すなわち、「消臭効果又は防臭効果のある商品」であることを認識するにとどまり、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。
また、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張
ア 請求人は、「ニオイガード」の語は辞書に掲載された既成語ではなく、原査定が示した根拠も、各事例それぞれ、作用機序を含めた効能、用途、商品の原材料等が異なり、様々な意味合いが理解され得るから、「ニオイガード」の文字から指定商品の品質を具体的に表示したものとは認識されない旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、「ニオイガード」の文字は、辞書に載録された既成の語ではないとしても、その構成は、本願の指定商品の分野における需要者や取引者にとっては、馴染みのない語とは決していえない「ニオイ」の語と「ガード」の語を結合したにすぎないものであり、各語の語義や、本願商標が「ニオイをガードする」という語順に従った「ニオイガード」の構成よりなることからすれば、これに接する需要者等をして、本願商標からは「においを防ぐ」、「においから守る」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。
そして、上記(2)のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、「ニオイガード」及び「ニオイ」と「ガード」の文字とを組み合わせた表示、あるいはそれに類する表示が、「においを防御する」、「においから守る」ほどの意味合いで使用されている事実、並びに消臭や防臭効果のある商品が一般的に製造・販売されている実情があること、さらには、本願商標が使用されるその指定商品を合わせ考慮すれば、本願商標をその指定商品に使用したときは、取引者、需要者に「ニオイを防ぐ商品」であること、すなわち、商品の品質を示すものとして認識され得る商標であると判断するのが相当である。
請求人は、原査定で示した根拠の各事例は、作用機序を含めた効能、用途、商品の原材料等が異なるというが、そのような作用機序や、商品の原材料等を問わず、結局は、「ニオイガード」の文字が「においを防御する」ほどの意味合いで使用されていることには変わりがないから、請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、指定商品ごとには「ニオイガード」の使用例がごく僅かであるから、指定商品の特性を表示記述するものとして、取引に際して必要適切な表示とはいえない旨主張する。
しかしながら、たとえ、本願商標が取引上一般に使用されている事例が多くないとしても、上記(2)のとおり、商標全体の語義、及び指定商品の分野においては、ニオイを防ぐ商品を表す語として、請求人以外の者により「ニオイガード」、「ニオイ」と「ガード」の文字を組み合わせた表示を、実際に使用している事実が確認でき、その指定商品を考慮すれば、当該文字は、その商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標が本願の指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものと判断するのが相当である。
ウ 請求人は、本願の指定商品を取り扱う分野において、「○○ガード」等からなる構成の過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、請求人の挙げる過去の登録例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記(2)の認定判断が左右されるものではない。
エ 以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-010047