特許拒絶査定不服審判
2022-009734
ラップフィルム収容体及びその製造方法
- 審判番号
- 2022-009734
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-524630
- 請求日
- 2022年06月24日
- 審決日
- 2023年10月06日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社キッチニスタ
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】清水 義憲
- 【請求人代理人】平野 裕之
- 【請求人代理人】中塚 岳
- 【請求人代理人】和田 雄二
- 【請求人代理人】吉住 和之
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 茂夫
- 審判官 西本 浩司
- 審判官 稲葉 大紀
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-524630「ラップフィルム収容体及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日国際公開、WO2018/229904〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)6月14日を国際出願日とする出願であって、令和3年9月8日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月8日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年3月10日付けで拒絶査定(発送日;同年3月29日、以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年6月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 令和4年6月24日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和4年6月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1~4の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
巻芯と、前記巻芯に巻回されたラップフィルムと、前記巻芯及び前記ラップフィルムが収容された箱体と、を備え、
前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムであり、
前記箱体の体積が150cm3以下であり、前記ラップフィルムの巻回方向の長さが30m以下である、屋外で被包装体を包装するための携帯用ラップフィルム収容体。
【請求項2】
前記ラップフィルムが、食品包装用、医薬包装用、臭気遮断用及び湿気遮断用からなる群より選ばれる少なくとも一種の用途で用いられる、請求項1に記載の携帯用ラップフィルム収容体。
【請求項3】
巻回方向の長さが30m以下のラップフィルムを巻芯に巻回する工程と、
体積が150cm3以下である箱体に前記巻芯及び前記ラップフィルムを収容してラップフィルム収容体を得る工程と、
を備え、
前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムである、屋外で被包装体を包装するための携帯用ラップフィルム収容体の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の携帯用ラップフィルム収容体に収容された前記ラップフィルムを用いて、屋外で被包装体を包装する、方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年11月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
巻芯と、前記巻芯に巻回されたラップフィルムと、前記巻芯及び前記ラップフィルムが収容された箱体と、を備え、
前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニル系樹脂又はポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムであり、
前記箱体の体積が150cm3以下であり、前記ラップフィルムの巻回方向の長さが30m以下である、携帯用ラップフィルム収容体。
【請求項2】
巻芯と、前記巻芯に巻回されたラップフィルムと、前記巻芯及び前記ラップフィルムが収容された箱体と、を備え、
前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニル系樹脂又はポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムであり、
前記箱体は、27mm×27mm×220mm以下の大きさを有する略直方体状である、携帯用ラップフィルム収容体。
【請求項3】
前記ラップフィルムが、食品包装用、医薬包装用、臭気遮断用及び湿気遮断用からなる群より選ばれる少なくとも一種の用途で用いられる、請求項1又は2に記載の携帯用ラップフィルム収容体。
【請求項4】
巻回方向の長さが30m以下のラップフィルムを巻芯に巻回する工程と、
体積が150cm3以下である箱体に前記巻芯及び前記ラップフィルムを収容してラップフィルム収容体を得る工程と、
を備え、
前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニル系樹脂又はポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムである、携帯用ラップフィルム収容体の製造方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の携帯用ラップフィルム収容体に収容された前記ラップフィルムを用いて、屋外で被包装体を包装する、方法。」
2 補正の適否
本件補正のうち補正後の請求項1,3の「前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム」なる補正は、それぞれ、補正前の請求項1,4における「前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニル系樹脂又はポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム」を「前記ラップフィルムが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム」に限定したものであり(すなわち「ポリ塩化ビニル系樹脂」の削除)、また、請求項1,3において、当初明細書の段落[0050]に基づき、「携帯用ラップフィルム収容体」を「屋外で被包装体を包装するための携帯用ラップフィルム収容体」に限定するものであって、補正前の請求項1,4に記載された発明と補正後の請求項1,3に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、補正前の請求項2を削除すると共に、補正前の請求項3,5をそれぞれ補正後の請求項2,4に繰り上げて、引用する請求項番号の修正を図るものであり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献5
(ア)引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された文献である、登録実用新案第3101369号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
芯に巻かれたラップフィルムを直方体の容器に収納した携帯用ラップにおいて、ラップフィルムの幅を短くし、そのラップフィルムを巻く芯を細くし、入れる容器も小さくし、全体にコンパクト化した携帯用ラップ。」(【手続補正書】の欄)
「【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、コンパクト化を図った携帯用ラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラップは、台所周辺で使用する事を想定している為、手に持ちやすいサイズが主である。
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた従来のラップでは、外出時等にバックへ入れて持ち歩く事が困難である。」
「【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、本考案は上記目的を達成するために、ラップフィルムを巻く芯を細くし、ラップフィルムを入れる容器を小さくし、ラップフィルムの幅を短くし、全体にコンパクト化した携帯用ラップのものである。
【考案の効果】
【0006】
上記のように本考案の携帯用ラップは、コンパクト化する事により、外出時にバック等に入れて持ち歩く事が出来る。
【0007】
その為、外食の際に食べ残した食料を、ラップに包んで持ち帰る事が容易になる。
【0008】
外食の際の、食べ残した食料を無駄にする事を回避できる。ラップに包み持参した食料を家庭内で消費する事ができる。レストラン側も生ゴミが減少し、環境に優しい効果を発揮するものである。その他、行楽の際にも携帯しやすく、様々な時に利便性を発揮する。さらに、企業側にとっても、従来の台所用品としてのラップ生産量に対し、プラスアルファーの需要と供給となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本考案の実施形態を示す携帯用ラップフィルムの斜視図
【図2】本考案の実地形態を示す携帯用ラップフィルムの容器の斜視図
【図3】本考案の実地形態を示す携帯用ラップフィルムを容器に納めた斜視図
【図4】本考案の他の形態容器に納めた携帯用ラップフィルムの斜視図
【図5】従来のラップフィルムの斜視図
【符号の説明】
【0010】
1芯
2ラップフィルム
3カッター
4容器」
「
[図:0001404196000001.jpg]
」
(イ)上記記載からみて、引用文献5には、携帯用ラップについて次の技術的事項が記載されている。
a 「芯に巻かれたラップフィルムを直方体の容器に収納した携帯用ラップ」である(【請求項1】)。
b 「携帯用ラップ」は、「ラップフィルムの幅を短くし」、その「ラップフィルムを巻く芯を細くし」、「入れる容器も小さくし」、「全体にコンパクト化した」ものである(【請求項1】、【0005】)。
c 携帯用ラップは、芯1と、芯1に巻かれたラップフィルム2と、芯1に巻かれたラップフィルム2が収納された直方体の容器4を具備するものである(【請求項1】、【図1】、【図3】)ことから、ラップフィルム2もコンパクト化されているといえる。
d ラップフィルム2は食料を包むためのものである(【0007】~【0008】)
e 「携帯用ラップは、・・・、外出時にバック等に入れて持ち歩くことが出来」(【0006】)、また、「行楽の際にも携帯しやすく」なるものであり(【0008】)、「食料を、ラップに包んで持ち帰る」ものである(【0007】)といえる。
(ウ)引用文献5に記載された発明
上記(ア)、(イ)から、引用文献5には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「芯1と、前記芯1に巻かれたラップフィルム2と、前記芯1に巻かれたラップフィルム2が収納された直方体の容器4と、を備え、
ラップフィルム2は食料を包むためのものであり、
容器4は外出時にバック等に入れて持ち歩くことができる大きさで、
ラップフィルムの幅を短くし、そのラップフィルムを巻く芯を細くし、入れる容器も小さくし、全体にコンパクト化した、食料をラップに包んで持ち帰る携帯用ラップ。」
イ 周知技術について
(ア)周知例1
原査定の拒絶の理由で周知例として引用された文献である、特開2000-6959号公報には、以下の事項が記載されている。
「【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明のフィルムロールと、このフィルムロールを収納する分配ケースを示す斜視図、図2と図3は、フィルムの巻き工程と、フィルムの巻き終端部の折り工程を説明する斜視図である。図1に示すフィルムロール10は、厚紙製のコア12を有している。図1ではコア12が円筒形(円管形)である。あるいは円柱形であってもよい。いずれにせよ、コアはその断面において外周面が円形である。ラップフィルムFは厚みが10μm程度であり、長さは10mから30m程度である。ラップフィルムFは、ポリ塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系などである。」
(イ)周知例2
当審において周知例として新たに提示する文献である、特開平9-11426号公報には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般家庭、レストラン等において、フィルムのもつ自己密着性を利用し食品等の包装に用いられる非塩素系積層ポリエステル系ラップフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】芯層と両表面層よりなる少なくとも3層構成のフィルムで、全体の引張弾性率が3000~10000kg/cm2の非塩素系積層ラップフィルムは公知である(例えば、特開平4-249150号公報、特開平6-238848号公報、特開平6-262738号公報)。この種のラップフィルムは紙管上に巻層された状態で収納箱に収められており、フィルムの必要量を引き出し収納箱に取付けられた切断具で切断し、食品に直接巻き付け包むこと、あるいは皿等に盛付けられた食品を皿と共に包装することに用いるのが一般的である。」
「【0005】一方、現在この市場で広く普及しているラップは、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)製ラップである。このPVDCラップは、サランラップ、クレラップという商品名で上市されているが、この2つのPVDCラップで占めるシェアはラップ市場の約8割にも達している。このPVDCラップが広く受け入れられている理由は、他の素材のラップ(ポリエチレン製、ポリ塩化ビニル製等)に比較し、自己密着性が優れること、更に耐熱性、食品の乾燥防止、匂いの飛散防止のための水蒸気バリア性、匂いバリア性も優れているからである。これらの優れた性能のため広く普及し、ラップといえば、PVDCラップのことを指すまでになっている。また、ラップを使用する際感じる手触り感からは、その優れた性能がイメージされ、使用時の安心感につながっている。つまり、使用者の手触り感は、ラップフィルムの重要な市場要求品質の1つになっているのが現状である。」
(ウ)周知技術の認定
上記(ア)、(イ)から、 「ラップフィルムとしてポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムを用いること。」は周知技術であるといえる。
また、上記(ア)から、 「ラップフィルムの巻回方向の長さが30m以下であること。」は周知技術であるといえる。
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(ア)引用発明は、小型化して携帯に適したラップフィルム収容体を提供することを課題としたラップフィルム収容体に係る技術であり、本件補正発明と、技術分野及び課題が共通する。
(イ)引用発明の「芯1」、「芯1に巻かれたラップフィルム2」、「芯1に巻かれたラップフィルム2が収納された直方体の容器4」、「食料」及び「携帯用ラップ」は、それぞれ本件補正発明の「巻芯」、「巻芯に巻回されたラップフィルム」、「巻芯及び前記ラップフィルムが収容された箱体」、「被包装体」及び「被包装体を包装するための携帯用ラップフィルム収容体」に相当する。
(ウ)引用発明の「容器4は外出時にバック等に入れて持ち歩くことができる大きさ」で「入れる容器も小さくし、全体にコンパクト化した」ことと、本件補正発明の「箱体の体積が150cm3以下であり、ラップフィルムの巻回方向の長さが30m以下である」こととは、「箱体が小さく、ラップフィルムをコンパクト化した」態様の限りにおいて一致する。
(エ)引用発明の「ラップフィルム2は食料を包むためのものであり、」「食料をラップに包んで持ち帰る」ことと、本件補正発明の「屋外で被包装体を包装」することとは、「外出時に被包装体を包装する」態様の限りにおいて一致する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「巻芯と、前記巻芯に巻回されたラップフィルムと、前記巻芯及び前記ラップフィルムが収容された箱体と、を備え、
箱体が小さく、ラップフィルムをコンパクト化した、外出時に被包装体を包装するための携帯用ラップフィルム収容体。」
【相違点1】
「ラップフィルム」に関して、本件補正発明は「ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルムであ」るのに対し、引用発明は、材質が特定されていない点。
【相違点2】
「箱体が小さく、ラップフィルムをコンパクト化した」態様に関して、本件補正発明は、「箱体の体積が150cm3以下であり、ラップフィルムの巻回方向の長さが30m以下である」のに対し、引用発明は「容器4は外出時にバック等に入れて持ち歩くことができる大きさ」で「入れる容器も小さくし、全体にコンパクト化した」ものであるものの、具体的数値について特定されていない点。
【相違点3】
「外出時に被包装体を包装する」態様に関して、本件補正発明は、「屋外で被包装体を包」んでいるのに対し、引用発明は「ラップフィルム2は食料を包むためのものであり、」「食料をラップに包んで持ち帰る」ものの屋外であるか不明な点。
(4)判断
以下、各相違点について検討する。
ア 相違点1について
ラップフィルムとして「ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム」を用いることは、周知技術(上記(2)イ(ウ)であるから、引用発明及び周知技術に基づき、本件補正発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
なお、「ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム」が匂いの飛散防止に優れていることもよく知られた事項にすぎないことから(上記(2)イ(イ))、格別な効果も認められない。
イ 相違点2について
本件補正発明の箱体の体積について、本件明細書の段落【0043】には、「箱体4の体積は、携帯を容易にする観点から、300cm3以下であり、好ましくは250cm3以下、より好ましくは200cm3以下、更に好ましくは150cm3以下である。」と記載されている。このことから、本件補正発明の「体積が150cm3以下」との数値範囲は、「携帯を容易にする観点」から設定されるもので、下限は特定されていない。
これに対し、引用発明の「容器4は外出時にバック等に入れて持ち歩くことができる大きさ」であり、「ラップフィルムの幅を短くし、そのラップフィルムを巻く芯を細くし、入れる容器も小さくし、全体にコンパクト化した」ものであるところ、バッグには様々な大きさがあり、ラップフィルムの幅を短くし、そのラップフィルムを巻く芯を細くし、入れる容器を小さくし、全体にコンパクト化すればする程、様々な大きさのバッグにも対応でき、携帯性に優れることは自明である。他方、容器を小さくし過ぎると、収容できるラップフィルムが小さくなり、食品を包むことができなくなるから、包むことが想定される食品に合わせてラップフィルムの幅の下限が設定されることは明らかである。
そうすると、食品を包むことができる範囲でラップフィルムの幅を短くし、そのラップフィルムの巻く芯を細くして、引用発明の容器の体積を「150cm3以下」とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
また、「ラップフィルムの巻回方向の長さが30m以下である」ことは、周知技術(上記(2)イ(ウ))であり、容器をコンパクト化するために収容するラップフィルムの巻回方向の長さを30m以下とすることも適宜なし得る事項である。
よって、引用発明及び周知技術に基づき、本件補正発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3について
食料をラップに包んで持ち帰る場面として、引用発明が記載された引用文献5には、上記(2)ア(ア)【0008】のとおり「行楽の際」が例示されている。
ここで、「行楽」とは「野や山に出かけて楽しみ遊ぶこと。」(広辞苑第六版)の意であることから、引用発明における携帯用ラップフィルム収容体もまた、行楽の際、即ち、野や山の屋外にて使用する態様も含んでいるといえ、相違点3は実質的な相違点ではない。
仮に相違するとしても、行楽時に屋外で食料をラップに包んで持ち帰ることは、携帯用ラップフィルムの使用形態として、当業者が想定しうる範囲の事項にすぎない。
エ 効果の予測性
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(5)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年11月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の[理由]1(2)に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、引用文献5に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「ラップフィルム」の材質の選択肢を「ポリ塩化ビニル系樹脂又はポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム」と広げると共に、「屋外で被包装体を包装するための」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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