商標拒絶査定不服審判
2022-009711
エルテイブイレポート、エルテイブイ、レポート
- 審判番号
- 2022-009711
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-081128
- 請求日
- 2022年06月07日
- 審決日
- 2023年11月13日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】LiME株式会社
- 【請求人代理人】佐藤 祐介
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .16 -Z (W09354142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-81128拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年6月16日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月5日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月16日付け:意見書
令和4年2月24日付け:拒絶査定
令和4年6月7日付け:審判請求書
令和5年7月31日付け:審尋
令和5年9月13日付け:意見書
2 本願商標について
本願商標は「LTVレポート」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は「LTVレポート」の文字を標準文字で表し、全体として「顧客生涯価値の調査報告書」ほどの意味合いを容易に想起させるものであり、指定商品・指定役務中、「顧客生涯価値の調査報告書に関する商品及び役務」に使用しても、需要者は、その商品の品質又は役務の質を表示するものと認識するから、本願商標は商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審においてした審尋及びそれに対する請求人の回答
当審において、審尋により、別掲2及び別掲3の証拠を示すとともに、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、これに対する意見を求めた。
当該審尋に対し、請求人は、令和5年9月13日付け意見書において「おって提出する書面にて主張する。」と述べるのみで、本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性については、何ら回答していない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項1号ないし5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品・役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(平成21年(行ケ)第10270号、平成22年1月27日知財高裁判決)。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は「LTVレポート」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「レポート」の文字は「調査・研究などの報告書。新聞・放送などで、現地に取材して、状況や実情を報告すること。また、その報告。」(大辞泉第二版(株式会社小学館))の意味を有するものであり、我が国において、広く一般的に親しまれている平易な語である。
そして、本願商標の構成中、「LTV」の文字は、例えば、別掲2のとおり、辞書への採録もあるように、「顧客生涯価値。一人の顧客との取引から長期的に得られる利益。」や「長期的に一人の顧客から得られる利益を指標化したもの。」の意味を有する「lifetime value」の略称であって、別掲3のとおり、LTVの値が大きいほど優良な顧客であることを表すなどのように、「LTV(lifetime value、顧客生涯価値)」が、企業、ヘアサロン、ネイルサロンやエステサロンなどの店舗等の経営において、経営指標の一つとして使用されている語であることが認められる。
また、別掲3のとおり、例えば、経営やマーケティングの分野において、LTVの算出、分析や調査等を経営に生かすことが行われているところ、それに関するセミナー等(例:「最強のブランディングセミナー LTV経営」)の実施、経営に活用するためのLTVの算出、分析や調査等(例:「LTVの算出をした上でレポート化をする」)の実施や、LTVの算出、分析や調査等に用いるソフトウェア(例:「LTV経営を支援する営業SaaS」)等の、LTVを活用した経営を支援するための商品やサービスが提供されていることがうかがえる。
このような実情を踏まえると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、全体として「LTVを算出した調査等」程度の意味合いを容易に認識、理解させるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者等に、例えば、「LTVを算出した調査等」に関する商品及び役務であることを理解させるにとどまり、需要者等に、当該商品及び役務に関心を持たせるための宣伝広告を表示したものと認識されるというのが相当である。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者等は、単に、取り扱う商品及び役務の品質及び質、特徴、特性や優位性を表す語を羅列したにすぎないものと理解するにとどまるものであって、その他、本願商標の構成中に、自他商品及び役務の識別標識と認識し得る構成要素を有さないことから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用されるものであって、自他商品及び役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係では、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であるかを認識することができない商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「LTV」及び「レポート」からなる本願商標は、意味内容が漠然とした語を組み合わせたものであり、全体として、極めて漠然とした意味合いが生じるに過ぎず、その指定商品及び指定役務との関係で、その内容を明らかに認識させ、直接的に表示させたとはいえないから、本願商標は自他商品及び役務の識別力を有する旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、「LTV」の文字は、「長期的に一人の顧客から得られる利益を指標化したもの。」等の意味を有する「lifetime value」の略称であって(別掲2)、当該語が、企業や店舗等の経営において、経営指標の一つとして使用され、LTVを活用した経営を支援するための商品やサービスが提供されていること(別掲3)を考慮すると、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、需要者等は、単に、取り扱う商品及び役務の品質及び質、特徴、特性や優位性を表す語を羅列したにすぎないものと理解するにとどまるものであって、自他商品及び役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ないというべきである。
イ 請求人は、「LTV」又は「レポート」の文字を構成中に含む商標に係る他の登録例があることを述べ、本願商標もそれらと同様に登録されるべきである旨を主張する。
しかしながら、それらの登録例は、商標の構成文字及び取引の実情において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が自他商品及び役務の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標についての判断は、上記(2)のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本件判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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