商標拒絶査定不服審判
2022-009372
シャンデュシガール、シャンデュシガル
- 審判番号
- 2022-009372
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-117233
- 請求日
- 2022年06月17日
- 審決日
- 2023年05月09日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エムアッシュセーエス
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】佐藤 俊司
- 【請求人代理人】池田 万美
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .29 -Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項17号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第17号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-117233拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年9月23日の出願であって、同3年8月17日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月19日に意見書が提出されたが、同4年3月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 本願商標
本願商標は、「CHANT DES CIGALES」の文字を標準文字で表してなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),ぶどう酒,発泡性ぶどう酒」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、「本願商標は、その構成中に、世界貿易機関の加盟国のぶどう酒又は蒸留酒の産地を表示する標章のうち、加盟国においてその産地以外の地域を産地とするぶどう酒について使用をすることが禁止されている地理的表示「CIGALES」の文字を有する商標である。そして、本願の指定商品中には、「CIGALES」の産地以外の地域を産地とするぶどう酒を含んでいる。したがって、本願商標は、当該産地以外の地域を産地とする「ぶどう酒」について使用をするときは、商標法第4条第1項第17号に該当する。ただし、本願の指定商品を、例えば「アルコール飲料(ビール及びぶどう酒を除く。),「シガレス」という原産地名称によって保護されているぶどう酒,「シガレス」という原産地名称によって保護されている発泡性ぶどう酒」と補正したときは、この拒絶理由は解消する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第17号該当性について
ア 商標法第4条第1項第17号について
商標法第4条第1項第17号は、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(以下「TRIPS協定」という場合がある。)の第23条2及び第24条9に対応すべく、平成6年の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)において新設された規定である。
すなわち、TRIPS協定第23条2は、「一のぶどう酒又は蒸留酒を特定する地理的表示を含むか又は特定する地理的表示から構成される商標の登録であって、当該一のぶどう酒又は蒸留酒と原産地を異にするぶどう酒又は蒸留酒についてのものは、職権により(加盟国の国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより、拒絶し又は無効とする。」と規定し、世界貿易機関の加盟国に対し、ぶどう酒又は蒸留酒の地理的表示に関する商標登録出願が、その地理的表示の示す原産地と異なるものについてされた場合は、拒絶又は無効とすることを義務付けており、また、同協定第24条9は、「加盟国は、原産国において保護されていない若しくは保護が終了した地理的表示又は当該原産国において使用されなくなった地理的表示を保護する義務をこの協定に基づいて負わない。」と規定しているため、我が国は、これらの規定に従い、商標法第4条第1項第17号において、世界貿易機関の加盟国のぶどう酒又は蒸留酒の産地を表示する標章のうち、当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするものに使用することが禁止されている標章を有する商標であって、当該産地以外の地域を産地とするものについて使用する商標を不登録理由として規定した(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕」における商標法第4条第1項第17号に係る解説参照)。
ここで、TRIPS協定第23条2における「地理的表示を含む商標」については、同協定第23条1において、「「種類」、「型」、「様式」、「模造品」等の表現を伴う場合においても」として、需要者の誤認の有無とは無関係に使用を防止する義務が課されていることから、同条においては当該表示を含む商標がどのように認識されるかを要件とすることは認められていないと解されること、また、同協定第24条6において、一般名称化した場合の例外を定めていることを反対解釈すれば、一般名称化して地理的表示としてではなく用いられている場合であっても、形式的に地理的表示を含むと認められる商標は同協定第23条の適用を受けるというのが原則であると考えられることからすれば、当該商標に含まれる表示が商品の地理的原産地を特定する表示と一致するか否かという形式的判断によるものでなければならず、その表示の使用形態やその地理的表示の我が国における著名性の如何を問わずに判断すべきと解される。
そのため、商標法第4条第1項第17号は、「日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地(中略)を表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章(中略)を有する商標」と規定することとし、需要者がその標章を地理的表示と認識するか否かを問わない規定ぶりとなっている。
イ 本願商標の商標法第4条第1項第17号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「CHANT DES CIGALES」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「CHANT」の文字、「DES」の文字及び「CIGALES」の文字の間に1文字分の間隙が設けられているため、視覚上、当該各文字を組み合わせてなるものと看取、把握されるものである。
そうすると、本願商標は、その構成中に「CIGALES」の文字を有するものといえるところ、当該文字とつづりを同じくする「Cigales」の文字からなる標章は、別掲1に示す情報によれば、欧州議会・欧州理事会規則に基づき、本願商標の登録出願日前の1992年6月20日に、世界貿易機関の加盟国であるスペインに係るぶどう酒のPDO(原産地呼称保護)として登録されている。そして、EUにおいては、ラベルに産地を記載することができる「地理的表示付きワイン」のカテゴリーとして、PDO(原産地呼称保護)及びPGI(地理的表示保護)を定めているところ、当該PDO(原産地呼称保護)やPGI(地理的表示保護)の呼称は、当該規則により保護されており、不正な商業利用が禁止されている(別掲2参照)。
してみれば、本願商標は、世界貿易機関の加盟国のぶどう酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国であるスペインにおいて「Cigales」という原産地名称によって保護されているぶどう酒以外のぶどう酒について使用をすることが禁止されている「Cigales」の文字とつづりを同じくする「CIGALES」の文字を有する商標であって、当該原産地以外の地域を産地とするぶどう酒を含む「ぶどう酒,発泡性ぶどう酒」について使用をするものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第17号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、フランス語であるから、その構成全体より「蝉の歌」という観念が生じ、本願商標に関して製造販売するスパークリングワインは、蝉が多く生息する南フランス(プロヴァンス地方)で生産されることから選ばれた商標であり、地理的表示を使用する商標ではないこと、そして、本願商標が、欧州連合知的財産庁(EUIPO)に登録されており、登録後、保護原産地呼称(PDO)や保護地理的表示(PGI)において、その地域と混同してはならないという理由で、どの国及びどの団体からも、請求人の登録に異議は唱えられていないことから、本願商標を使用したからといって地理的表示と混同誤認を起こすことはないというべきである旨主張している。
しかしながら、我が国において、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第17号に該当するものであるか否かについては、当該商標に含まれる表示が商品の地理的原産地を特定する表示と一致するか否かという形式的判断によるものでなければならず、その表示の使用形態やその地理的表示の我が国における著名性の如何を問わずに判断すべきと解され、そのように解した場合、「CHANT DES CIGALES」の文字を標準文字で表してなる本願商標が同号に該当すること、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、特許情報プラットホーム(独立行政法人工業所有権情報・研修館、以下「J―PlatPat」という。)の「不登録標章検索」における「全件一覧表示(WTO原産地名称)」において、「CIGALES」は掲載されていないから、商標法第4条第1項第17号に該当しない旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第17号に該当するものであるか否かについて、J-PlatPatの「不登録標章検索」における「全件一覧表示(WTO原産地名称)」に掲載されていることが要件となっているものではない。
ウ したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第17号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-009372