商標拒絶査定不服審判
2022-009339
ノーカツサポート
- 審判番号
- 2022-009339
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-026945
- 請求日
- 2022年06月17日
- 審決日
- 2023年06月08日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アサヒ飲料株式会社
- 【請求人代理人】小川 雅也
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W052932) / T18 .272-Z (W052932)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-26945拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年3月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月18日付け:拒絶理由通知
令和4年 2月 8日 :意見書の提出
令和4年 3月14日付け:拒絶査定
令和4年 6月17日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「脳活サポート」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,栄養剤,乳幼児用粉乳,乳幼児用調合乳,乳児用調製液状乳,サプリメント,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,咀嚼嚥下障害者用食品,乳幼児用食品,乳幼児用飲料」、第29類「乳酸菌飲料,乳製品」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース,ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,アルコール分を含まないビール風味の清涼飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「脳活サポート」の文字を表示してなるところ、その構成中「脳活」の文字が「脳を活性化させること」を指称するものであり、「サポート」の文字が「支えること。支持・支援すること。」の意味を有するものであるから、本願商標は、全体として「脳の活性化を支援する」程度の意味合いを有するものである。
また、「脳活サポート」の文字は、「脳の活性化を支援する」程度の意味合いで一般に使用されており、本願の指定商品の分野においても「脳活サポート」の文字が「脳の活性化を支援する」程度の意味合いで使用されている。
よって、本願商標を、その指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、当該商品を「脳の活性化を支援する商品」であると容易に認識し得るものであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、これを指定商品中「上記商品」について使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2及び別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき、その結果を令和5年3月10日付け証拠調べ通知書によって請求人に通知し、意見を求めた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
(1)証拠調べ通知書では、「脳活」及び「サポート」の用例として複数の新聞記事やインターネット情報が挙げられているが、仮にこれらの事実があるとしても、本願商標の態様のみから商品の品質等を直接かつ一義的に想起させることがないことは審判請求書で述べたとおりであり、本願商標は全体として特定の観念を生じさせない一種の造語商標と理解、認識される。仮に、語義の組合せから想起される意味合いを凌駕して、特定の観念が想起され、これが自他商品識別機能を果たし得ないとするのならば、本件について言えば「脳活サポート」一連で商品の特定の品質等を想起されるような使用実態が相当数存在してこそ初めて、そのような状態に至るものであるが、証拠調べ通知書で挙げられた用例を検討しても、そのような状態には至っていない。
(2)証拠調べ通知書で挙げられた「脳活」の用例には、本願商標と同一の表示である「脳活サポート」の用例は一つも存在しておらず、いずれの用例も、単に「脳活」のみで具体的な内容を理解、認識されるような内容ではなく、より具体的な内容を表す他の記述的な文言と結び付くことにより初めて、「脳活」が脳を活性化させる動作等を行うこと、食物を摂取すること程の意味合いを表すものとして理解、認識させる内容である。また、「脳の活性化」とは、脳の働きを活性化することに訴求するものであるのか、脳の特定の部位等を活性化することに訴求するものであるのか、又、活性化の効果として脳の衰えを予防することに訴求するものであるのか、認知症等の予防の啓蒙であるのか、判然としない。
また、挙げられた各用例は多岐にわたっているところ、同じ単語でも、その言葉が使用される分野によってかなり異なる意味合いで使用される場合があることは、過去の経験則に照らしても明らかであり、例として、「prespective」(審決注:「perspective」の誤記と思料する。以下「perspective」と記載する。)という単語(甲32)は、IT業界では「画面構成」、写真業界では「遠近法」、美術業界では「透視図法」等、各々業界により異なる意味合いとして用いられる語である。識別性の判断に際してはその商品・役務又はそれらの業界の取引の実情が重要視されていることは明白であり、本願の指定商品分野とは異なる分野での用例を用いて判断されることは、適格性を欠く。
(3)我が国では「就活(就職活動)」「婚活(結婚活動)」「妊活(妊娠活動)」のように「〇活」のような態様の場合「活」が「活動」の略と解釈される実情が存在しており、当該実情は特定の需要者や特殊な状況でのみ起こり得るものではなく、日本語話者であれば、容易に想定し得るものである。そして、本願の指定商品分野とは異なる分野では「脳活動」の略称として「脳活」と称している用例が存在し(甲36)、飲料分野でも「脳活」を「脳活動」の略語としての用いている用例も見受けられる。その場合、「脳活」に接する取引者、需要者層がその意味合いを捉える際には「就活」のような用例を基に「脳活」の意味合いを捉えることも当然に想定され、一義的に「脳を活性化させる」程の意味合いに至ることはない。
(4)膨大な情報量に溢れているインターネット情報から特定のウェブサイトの一部に記載されていること、及び膨大な文字数が印字されている新聞に過去1回掲載された特定の記事中の一部に使用されている文言を記憶に留めてくことは困難であることは明らかであり、本願の指定商品分野の需要者、取引者が通常の人間の記憶力より高い記憶力を有している等の特段の実情も確認できない。証拠調べ通知書で挙げられた用例が存在するとしても、該用例に接するためには、「脳活」等のキーワードを意識的に検索しなければ探し出せない用例の全て、若しくは一部を記憶していることを前提として成立する認定は、かなり根拠が乏しい。
(5)証拠調べ通知書で挙げられた「サポート」の用例には、本願商標と同一の表示である「脳活サポート」の用例は一つも存在しておらず、いずれの用例も、いかなる事柄をサポートする飲料であるのか、その内容を具体的に表す語句と共に使用されることによりはじめて、特定の商品の用途、品質を想起させる内容となっている。
これに対して、「脳活」はその特定の内容を表す語ではないことから、「脳活サポート」とは、脳活動を支援する商品であるのか、脳の活性化を支援する商品か明確に認識できず、仮に脳の活性化を支援する商品であることを漠然と想起し得たとしても、その商品が低下した脳の機能を向上し、脳を活性化させることをサポートする商品であるのか、脳の機能が低下しないように予防し、脳を活性化させることをサポートする商品であるのか、又、脳を活性化させることで何か別の効果を発揮させることをサポートする商品であるのか、判然とせず、本願商標から何らかの明確な品質等を理解、認識することは困難である。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
ア 本願商標は、前記2のとおり、「脳活サポート」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字種の違いから、「脳活」の漢字及び「サポート」の片仮名を結合してなるものと容易に看取、把握されるものである。
イ そして、原審において示した事実(別掲1)に加え、証拠調べ通知において示した事実(別掲2)からすると、「脳活」の文字は、我が国において、遅くとも2009年には、「脳を活性化させる」の意味を表す語(別掲2(26))として使用されており、その後も現在に至るまで、テレビ、新聞、雑誌、インターネット等のメディアにおいて、「脳活」の語が、「脳の活性化」、「脳を活性化」、「脳を活性化する活動」などのように、「脳の活性化」に相応する意味を表すものとして繰り返し使用されている実情が認められる。また、「脳活」をうたう講座等が開催され、「脳活」に関する本や雑誌が出版され、「脳活」に効果があるとされる手帳や遊具等の商品が販売され、「脳活」に効果があるとされる食品が紹介又は販売されるなど、本願の指定商品を含む多岐にわたる商品及び役務の分野において、「脳活」の語が、「脳の活性化」に相応する意味を表すものとして、広く一般に使用されている実情があることも認められる。
ウ さらに、本願商標の構成中、「サポート」の文字は、「支えること。支持。支援。助け。」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)として広く親しまれた平易な語であるところ、証拠調べ通知において示した事実(別掲3)からすると、本願の指定商品中、特にサプリメントや飲料を取り扱う業界において、「○○サポート」の文字が「○○をサポート(支援)する」程の意味合いもって、商品の品質を表す文字として一般に使用されている実情が認められる。
エ 上記イ及びウの実情を踏まえると、「脳の活性化」に相応する意味を表す「脳活」の文字と、「○○をサポート(支援)する」程の意味を表す「サポート」の文字とを組み合わせた本願商標は、その構成全体として、「脳活(脳の活性化)をサポート(支援)する」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「脳活(脳の活性化)をサポート(支援)する商品」であること、すなわち商品の品質を表示したものと看取、理解するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきであるから、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、上記商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、証拠調べ通知書における「脳活」及び「サポート」の用例があるとしても、「脳活サポート」の用例は一つも存在していないと述べ、本願商標は全体として特定の観念を生じさせない一種の造語商標と理解、認識されるものであり、語義の組合せから想起される意味合いを凌駕して、特定の観念が想起され、これが自他商品識別機能を果たし得ないとするのならば、「脳活サポート」一連で商品の特定の品質等を想起されるような使用実態が相当数存在してこそ初めて、そのような状態に至るものである旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「脳活」の文字は、上記(1)イのとおり、我が国において、遅くとも2009年以降、「脳の活性化」に相応する意味を表すものとして、広く一般に使用されている実情があり、「サポート」の文字は、上記(1)ウのとおり、語義が容易に理解される平易な語であることを踏まえると、例え、「脳活サポート」一連での用例がないとしても、本願商標全体として特定の観念を生じさせない一種の造語というよりは、「脳活(脳の活性化)をサポート(支援)する」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
さらに、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるのであって、必ずしも本願商標が現実に当該指定商品に使用されていることを要しないと解されるものであるから、本願商標の同号該当性を判断するに当たり、請求人が主張するような「「脳活サポート」一連で商品の特定の品質等を想起されるような使用実態が相当数存在」することまで求められるものではない。
イ 請求人は、「脳の活性化」とは、脳の働きを活性化することに訴求するものであるのか、脳の特定の部位等を活性化することに訴求するものであるのか、又、活性化の効果として脳の衰えを予防することに訴求するものであるのか、認知症等の予防の啓蒙であるのか、判然とせず、「脳活」はその特定の内容を表す語ではないことから、「脳活サポート」とは、脳活動を支援する商品であるのか、脳の活性化を支援する商品か明確に認識できず、仮に脳の活性化を支援する商品であることを漠然と想起し得たとしても、その商品が低下した脳の機能を向上し、脳を活性化させることをサポートする商品であるのか、脳の機能が低下しないように予防し、脳を活性化させることをサポートする商品であるのか、又、脳を活性化させることで何か別の効果を発揮させることをサポートする商品であるのか、判然とせず、本願商標から何らかの明確な品質等を理解、認識することは困難である旨主張する。
しかしながら、本願商標は、「脳活(脳の活性化)をサポート(支援)する」ほどの意味合いを容易に認識させ、本願の指定商品が「脳活(脳の活性化)をサポート(支援)する商品」であるとする、一定の商品の品質を表示したものと一般に認識させるものであるから、本願商標からは十分に具体的な商品の品質が認識されるというべきである。
本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、上記アのとおり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、取引者、需要者によって、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるのであって、請求人が主張するような子細なものまで求められるものではない。
ウ 請求人は、証拠調べ通知書において挙げられた「脳活」の用例は多岐にわたっているところ、「perspective」のように、使用される分野によって異なる意味合いで用いられる場合もあることから、本願の指定商品分野とは異なる分野での用例を用いて判断されることは、適格性を欠く旨述べるとともに、我が国では「〇活」のような態様の場合、「活」を「活動」の略と解することは、日本語話者であれば、容易に想定し得るものであり、本願の指定商品分野とは異なる分野では「脳活動」の略称として「脳活」と称している用例が存在し(甲36)、飲料分野でも「脳活」を「脳活動」の略語としての用いている用例も見受けられることから、「脳活」が一義的に「脳を活性化させる」程の意味合いに至ることはない旨主張する。
しかしながら、「脳活」の文字は、上記(1)イのとおり、様々なメディアや、本願の指定商品を含む多岐にわたる商品及び役務の分野において、広く一般に使用されている実情があるところ、いずれの分野においても「脳の活性化」に相応する意味を表すものとして使用されていることから、請求人が例示する英単語(perspective)とは、事情を異にするものである。
また、請求人が挙げるような「脳活動」の略語としての「脳活」の使用例が見受けられたとしても、一方で「「脳活」は、就職活動を「就活」というように、「脳を活性化する活動」という意味で・・・」(別掲2(3))とも紹介されており、「脳の活性化」に相応する意味を表す「脳活」の語の多数の使用例に加え、本願の指定商品に関連する食品についても、脳の活性化に効果的とされる特定の食品が「脳活」の語とともに紹介され又は販売されている(別掲2(6)、別掲2(31)ないし別掲2(33))実情に鑑みれば、「脳活」の語に接する取引者、需要者は、当該語について、「脳の活性化」の意味合いを認識すると判断するのが相当である。
エ 請求人は、構成中に「脳活」又は「サポート」を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。
オ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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