商標拒絶査定不服審判
2022-008937
ネッチュータイサクシュンカンレーカン、ネッチュータイサク、シュンカンレーカン
- 審判番号
- 2022-008937
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-080150
- 請求日
- 2022年06月10日
- 審決日
- 2023年07月20日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】高梨 範夫
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W030516)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 80150拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年6月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月14日 :意見書の提出
令和4年 3月 9日付け:拒絶査定
令和4年 6月10日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類、第5類及び第16類に属する願書記載の別掲2の商品を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「熱中対策」及び「瞬間冷感」の文字を、上下2段に普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中、「熱中対策」の文字は、「熱中症対策」程の意味合いを表すものとして、各種商品を取り扱う業界において使用されており、本願の指定商品を取り扱う業界においても一般的に使用されているものと認められる。また、「瞬間冷感」の文字は、「瞬時に冷感が得られること」程の意味合いを表すものとして、各種商品を取り扱う業界において使用されており、本願の指定商品を取り扱う業界においても一般的に使用されている。これらの事情を勘案すると、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者は、「熱中症対策用の瞬時に冷感が得られる商品」程の意味合いを理解するにとどまり、本願商標を、商品の用途、品質を普通に用いられる方法で表示した標章として認識するというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和5年3月30日付け審尋により、別掲4ないし別掲6に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)本願商標の上段は、「熱中」及び「対策」の文字が有する意味合いに照らして、「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」程の意味合いを容易かつ直ちに想起させる。
(2)4つの漢字を結合した4字熟語が数多く存在し、我が国には、古来からの4字熟語が数多く存在するが、他方で、新たな4字熟語を創出し、これを受け入れる柔軟な文化的土壌がある。「熱中対策」は、このような土壌を背景に、何かに夢を抱き実現するためには「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」ことが重要であることを端的に表すものとして、新たに案出された4字熟語である。
(3)審尋の事例は、商品を紹介する記事の中で、前後に配置された情報(すなわち、単語や用語、あるいは、文章)と密接に関連する状況において「熱中対策」の文字が使用されているにすぎないものであり、「熱中対策」の文字がそれ単独で、「熱中症対策」の意味合いで使用される例はないし、「熱中対策」の文字の前後に配置された情報(すなわち、単語や用語、あるいは、文章)といった一定の状況下に於いては、「熱中対策」から「熱中症対策」の意味合いが暗示的に想起されることがあるとしても、「熱中対策」の本来的な意味合いは、「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」である。
(4)下段の「瞬間冷感」の文字は、「瞬間」及び「冷感」の文字が有する意味合いに倣い、「またたく間にひやりと冷たい感じ。」、「冷たさを感じる決定的瞬間。」程の複数の意味合いが生じ、明確かつ具体的な意味合いを直ちに特定することのできない、一種の造語として認識すべきものである。
(5)以上、本願商標を構成する「熱中対策」及び「瞬間冷感」は、いずれも、自他商品の識別標識として機能するものである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「熱中対策」及び「瞬間冷感」の文字を上下二段に横書きしてなるところ(上段の「熱中対策」の文字は、下段の「瞬間冷感」の文字に比べやや小さく表してなる。)、その構成中、「熱中対策」の文字について、「熱中」の文字は「物事に心を集中すること。夢中になってすること。また、熱烈に思うこと。」の意味を有し、「対策」の文字は「相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)であるから、その構成文字における辞書に掲載されている意味合いからは、「物事に心を集中し、相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。」程の意味合いを認識し得るものといえる。
そして、「瞬間冷感」の文字について、その構成中、「瞬間」の文字は「またたく間。きわめてわずかな時間。瞬時。瞬刻。」の意味を有し、「冷感」の文字は「ひやりと冷たい感じ」の意味を有する語(前掲書)であるから、その構成全体から「瞬時にひやりと冷たい感じ」程の意味合いを認識し得るものといえる。
ところで、近年の猛暑に伴い、これまで以上に熱中症が注視されているところ、「熱中症」が「熱に中る(あたる)という意味で、暑熱環境で生じる障害の総称」として一般に広く知られており(別掲3)、その予防・対策のための商品や身体を冷やすことをうたう商品が広く製造・販売されている。そして、当該商品には「熱中症に対する予防・対策用の商品」を端的に表すものとして「熱中症対策」の文字が使用されているところ、当該「熱中症対策」の文字を使用する商品と同様の商品を表すものとして 「病気の性質・状態。症状。」を意味する漢字である「症」の文字(「デジタル大辞泉」株式会社小学館)を使用しない「熱中対策」の語も、「熱に中る(あたる)ことへの対策」程の意味合いで、本願の指定商品を含む幅広い商品の分野において使用されていることが別掲4より認められる。
そうすると、辞書においては「熱中」の文字が上記意味合いを有するものであるとしても、「熱中対策」の文字に接する取引者、需要者は、「熱中症対策」の意味合いを容易に認識し得るというべきである。
また、別掲5のように、身体を冷やすことを目的とした商品や冷感を感じることをうたう商品が販売されており、このような商品の中には、瞬時に冷感(ひやりと冷たい感じ)が得られることを「瞬間冷感」と称し、本願の指定商品を含む幅広い商品の分野において使用されていることが別掲6より認められる。
してみれば、本願商標をその指定商品中、別掲7に記載の商品との関係において使用しても、これに接する取引者、需要者は、「熱中(症)対策用の瞬時に冷感が得られる商品」という商品の品質、用途、効能を表示したものと認識、理解するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質、用途、効能を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、4つの漢字を結合した4字熟語が数多く存在し、我が国には、古来からの4字熟語が数多く存在するが、他方で、新たな4字熟語を創出し、これを受け入れる柔軟な文化的土壌がある。「熱中対策」は、このような土壌を背景に、何かに夢を抱き実現するためには「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」ことが重要であることを端的に表すものとして、新たに案出された4字熟語である旨主張する。
しかしながら、「熱中対策」の文字が「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」の意味を有する4字熟語であることを認め得る証拠の提出はない。
イ 請求人は、別掲4の事例は、商品を紹介する記事の中で、前後に配置された情報(すなわち、単語や用語、あるいは、文章)と密接に関連する状況において「熱中対策」の文字が使用されているにすぎないものであり、「熱中対策」の文字がそれ単独で、「熱中症対策」の意味合いで使用される例はないし、「熱中対策」の文字の前後に配置された情報(すなわち、単語や用語、あるいは、文章)といった一定の状況下に於いては、「熱中対策」から「熱中症対策」の意味合いが暗示的に想起されることがあるとしても、「熱中対策」の本来的な意味合いは、「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」である旨主張する。
しかしながら、「熱中対策」の文字から、「熱中」及び「対策」の文字のそれぞれの辞書上の意味合いより「物事に心を集中し、相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。」程の意味合いを認識し得るとしても、本願の指定商品を含む幅広い商品の分野(冷却に関するもの)との関係においては、「熱に中ること、すなわち熱中症に対する予防・対策」を端的に表すものとして「熱中対策」の語が使用されていることは別掲4のとおりであるし、当該使用例における「熱中対策」の文字から、「物事に心を集中し夢中になって、その事柄に対処するための方策を講ずる」を意味するものと認め得るとはいい難い。
ウ 請求人は、過去の登録例を挙げ、本願もこれらと同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(1)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることが、本願の判断を左右するものではない。
エ したがって、前記アないしウの請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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