商標拒絶査定不服審判
2022-008291
アアルエスコータ、アアルエスコーター
- 審判番号
- 2022-008291
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-146052
- 請求日
- 2022年06月01日
- 審決日
- 2024年09月25日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中外炉工業株式会社
- 【請求人代理人】川本 真由美
- 【請求人代理人】市川 久美子
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 深田 彩紀子
- 分類
- T18 .16 -Z (W07)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-146052拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年11月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 9月21日付け:拒絶理由通知書
令和3年11月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月 7日付け:拒絶査定
令和4年 6月 1日 :審判請求書の提出
令和4年 7月 7日 :手続補正書(甲第1号証~甲第22号証(枝番号を含む。))の提出
令和5年 7月 7日 :審尋
令和5年 8月18日 :回答書の提出
令和5年 8月21日 :手続補足書(甲第23号証~甲第31号証)の提出
令和5年10月16日 :上申書(甲第32号証~甲第37号証)の提出(以下、甲各号証の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」のように表示する場合があり、枝番号を全て含む場合には、枝番号を省略して表示する。)
令和6年 2月29日付け:証拠調べ通知書
2 本願商標
本願商標は、「RS Coater」の文字を横書きしてなり、第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、別掲1のとおりの商品に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、拒絶理由通知において別掲2に掲げる事実を提示した上で、「本願商標は、「RS Coater」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものである。そして、本願商標の前半部分である「RS」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品番、型式等を表す記号、符号として一般に広く用いられている欧文字2字と認識されるものとみるのが相当であり、それのみでは、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章といえるから、出所識別標識としての機能を果たし得ないものといえる。他方、本願商標の後半部分である「Coater」の文字は、「薬剤や塗料を材料に塗る機器、塗工機」等の意味を有する語として一般に広く知られているものであり、本願の指定商品との関係においては、「塗工装置」の普通名称といえ、出所識別標識としての機能を果たし得ないものいえる。また、塗工装置を取り扱う複数の事業者によって、欧文字2字と「Coater」等を結合させた商標が、塗工装置について多数使用されており、本願商標は全体としても出所識別標識としての機能を果たし得ないものといえる。そうすると、本願商標は、本願の指定商品との関係において出所識別標識としての機能を果たし得ない「RS」と「Coater」の各文字を組み合わせてなるものにすぎないから、これをその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって「品番又は型式が「RS」である塗工装置」であることを表したものとして認識するにとどまり、結局、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないといわざるを得ない。したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和5年7月7日付けで通知した審尋により、請求人に対し、別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)本願商標は、まとまりよく一体的に構成され、全体から生じる「アールエスコーター」の称呼も冗長でなく、全体として特定の意味合いを認識されるものではない。また、本願商標そのものが、塗工装置の分野でありふれて使用されている事実はない(甲23)。したがって、本願商標を指定商品に使用しても、一連一体の造語として認識され、出所識別標識として機能し得ると解すべきである。
(2)出願人は、2020年8月上旬から本願商標を使用した薄膜塗工装置の発売を開始し、本願商標に「TM」を表示して使用している(甲6~甲10、甲25~甲30)。また、展示会への出展やリスティング広告を行っている(甲32~甲37)ことから、本願商標が取引において出所識別標識として認識され取引されていることは明らかである。
6 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲4に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、令和6年2月29日付け証拠調べ通知書により、その結果を請求人に通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
7 証拠調べの結果に対する請求人の意見
請求人は、上記6の証拠調べ通知書に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
8 当審の判断
(1)本願商標を構成する文字の識別性について
本願商標は、「RS Coater」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、当該文字は、スペースを有することから、「RS」の欧文字と「Coater」の欧文字を結合させたものと容易に認識されるものである。
そして、本願商標の構成中の「Coater」の文字は、原審説示のとおり、本願の指定商品との関係では、「薬剤や塗料を材料に塗る機器、塗工機」を意味する語として一般に使用され、理解されているものと認められる。
また、本願商標の構成中の「RS」の文字は、欧文字であり、わずか2文字からなるから、極めて簡単でありふれた標章のみからなるものであることは明らかである。
さらに、当審において、請求人が手続補正書にて提出した甲1ないし甲5のとおり、塗工装置を取り扱う事業者によって、「DMコータ」、「FEコーター」、「PD-COATER」、「DFコータ」、「TSコータ」などの文字が、塗工装置について多数使用されていることからすると、本願商標のような欧文字2字と「コータ(コーター、COATER)」の文字の結合は、塗工装置の商品分野においてありふれており、取引者及び需要者にとって、自他商品の識別標識として印象に残る特異な組合せからなるとはいえないものである。そのことは、別掲3及び別掲4の事実からも確認できる。
上記認定事実によれば、極めて簡単でありふれた標章のみからなる「RS」の欧文字2字と、本願の指定商品との関係では「薬剤や塗料を材料に塗る機器、塗工機」を意味する語として一般に理解されている「Coater」の語を組み合わせた「RS Coater」の文字からなる本願商標は、本願の指定商品と関わりのある業界において、その文字構成自体がありふれたものであることから、使用による識別力を獲得した等の特別の事情がない限り、本願商標が何人かの一定の業務に係るものであるとは認識し得ないというべきである。
(2)本願商標の使用による識別性について
請求人は、2020年8月上旬から本願商標を塗工乾燥装置の商標として使用し、新聞で取り上げられたほか、インターネットにおけるリスティング広告、雑誌・YouTubeでの広告、自社及び電子デバイス産業新聞のメールマガジン等で積極的な情報発信を行っていることや展示会にも出展していることから、本願商標は、出所を示す商標として本願指定商品の取引者・需要者に知られ、出所識別標識として機能している旨主張している。
しかしながら、提出された証拠からは、本願商標がその使用によって、自他商品の識別標識としての機能を獲得したものとは認められない。その理由は以下のとおりである。
ア 本願商標が付された商品が発売されたのは2020年8月であり(甲7等)、現在も販売されているとしても、その販売期間はわずか4年ほどと認められる。
イ インターネットの広告実績について、2023年6月の「Yahoo!スポンサードサーチ」の実績(甲33)によれば、当月の広告の月間の表示回数は4,069回、クリック数は274回にすぎないものと認められる。加えて、2023年6月の「Google広告」の実績(甲33)によれば、当月の広告の月間の表示回数は1,572回、クリック数は89回にすぎないものと認められる。
ウ 本願商標が付された商品に関する記事や広告が、新聞及び雑誌に掲載された事実(甲7、甲18)、メールマガジン配信及び動画配信がされた事実(甲8、甲19~甲22)並びに2022年12月に開催された展示会に出展した事実(甲26~甲29)は認められるものの、いずれも数回程度であり、その頻度が高いものとはいえない。
エ 上記アないしウからすると、本願商標の使用実績は限定的であって、長年継続して使用されてきたものとは認められず、本願商標が、その指定商品を取り扱う業界における取引者・需要者に、広く知られていると認めるに足りないというのが相当である。
したがって、本願商標がその使用によって、自他商品の識別標識としての機能を獲得したものとは認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、その指定商品に使用した場合に、商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえないから、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-008291