商標拒絶査定不服審判
2022-007642
デキルマエニ
- 審判番号
- 2022-007642
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-104780
- 請求日
- 2022年05月23日
- 審決日
- 2023年05月30日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】小川 雅也
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T18 .16 -Z (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-104780拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「できる前に」の文字を標準文字で表してなり、第3類及び第5類に属する別掲1に記載のとおりの商品を指定商品として、令和3年8月24日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年1月11日付けで拒絶理由の通知がされ、同年2月17日付け意見書が提出されたが、同年2月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年5月23日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標は「できる前に」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、予防用の商品が広く製造、販売されている実情が見受けられることから、これをその指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」及び第5類「薬剤」等の悪影響を及ぼすものに対して予防効果を有する商品に使用しても、本願商標に接する需要者は、例えば「にきび予防用の商品」、「シミ予防用の商品」、「虫歯予防用の商品」、「カビ予防用の商品」、「あせも予防用の商品」又は「妊娠線予防用の商品」等、本願商標を使用する商品の効能に照応した予防効果を有する商品であると認識するにすぎないため、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、令和5年3月28日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲2及び別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和5年4月27日付け意見書(以下「意見書」という。)を提出し、意見書において、要旨、以下、1及び2のとおりの意見を述べた。
1 本願商標より生ずる称呼は6音と長くはなく、構成文字数は5文字と多くはなく、その態様も日本語の文章等で一般的に用いられる漢字、仮名交じり表記で左横書き一連に書され、強い外観上の一体性が見受けられることから、本願商標を「できる」、「前」及び「に」に分けて、それぞれから想起される意味合いで把握すべきような合理的理由は見出せず、構成全体で一体不可分の造語と理解、認識されると解するのが自然的な解釈である。
2 本願商標は特定の意味合いを想起させない一種の造語を表したものと理解、認識されると解するのが自然な解釈であり、本願に接した取引者、需要者層においては、本願のみの態様から、その商品が「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための商品であることを理解し、需要者に当該商品に関心を持たせるための宣伝広告を表示したものと認識されない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「できる前に」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「できる」は「出てくる。形をとって現れる。」を意味する「出来る」の語を平仮名で表したものと容易に認識し得るものであり、構成中の「前」は「ある時点より早いこと」等を意味する語であり、「に」は、動作の及ぶ時点を示す助詞(いずれも広辞苑第7版(株式会社岩波書店))であるから、本願商標は、構成各文字の意味合いより、全体として「出てくるよりも早い時点で」又は「形をとって現れるよりも早い時点で」のような意味合いを容易に認識させるものである。
そして、別掲2のとおり、本願の指定商品の分野において、「ニキビ」や「シミ」等は、発生するのを事前に抑制することに効果があることがうたわれ、それに対応する「化粧品」や「薬剤」等が実際に取引されて、その際に、「できる前に」の文字が、「「ニキビ」や「シミ」等が発生するよりも早い時点で」の意味合いを理解させる語として、使用されていることがうかがえる。
そうすると、本願商標を、その指定商品中、「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための商品、例えば、そのような効果を有する「化粧水」や「薬剤」に使用しても、本願商標に接する需要者は、その商品が「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための商品であること理解するにとどまり、需要者に、当該商品に関心を持たせるための宣伝広告を表示したものと認識されるものといえる。
よって、本願商標は、その指定商品中、「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための化粧品及び薬剤について、何人もその使用を欲するといい得るものであり、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるため、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、意見書において、本願商標より生ずる称呼は6音と長くはなく、構成文字数は5文字と多くはなく、その態様も日本語の文章等で一般的に用いられる漢字、仮名交じり表記で左横書き一連に書され、強い外観上の一体性が見受けられることから、本願商標を「できる」、「前」及び「に」に分けて、それぞれから想起される意味合いで把握すべきような合理的理由は見出せず、構成全体で一体不可分の造語と理解、認識されると解するのが自然的な解釈である旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標「できる前に」の文字は、構成文字自体、その意味合いを認識することが困難な語ではなく、容易にその意味合いを把握し得るものであるといえる。
そして、本願商標は、構成全体として、「出てくるよりも早い時点で」又は「形をとって現れるよりも早い時点で」のような意味合いを容易に認識させるものといえることから、本願商標は、請求人が主張する「構成全体で一体不可分の造語」と理解、認識されると判断しなければならない特別な事情はないと判断するのが相当である。
(2)請求人は、意見書において、本願商標は特定の意味合いを想起させない一種の造語を表したものと理解、認識されると解するのが自然な解釈であり、本願に接した取引者、需要者層においては、本願のみの態様から、その商品が「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための商品であることを理解し、需要者に当該商品に関心を持たせるための宣伝広告を表示したものと認識されない旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標は、構成全体として、「出てくるよりも早い時点で」又は「形をとって現れるよりも早い時点で」のような意味合いを容易に認識させるものといえる。
そして、別掲2のとおり、本願の指定商品の分野において、「ニキビ」や「シミ」等は、発生するのを事前に抑制することに効果があることがうたわれ、それに対応する「化粧品」や「薬剤」等が実際に取引されて、その際に、「できる前に」の文字が、「「ニキビ」や「シミ」等が発生するよりも早い時点で」の意味合いを理解させる語として、実際に使用されていることがうかがえる。
そうすると、本願商標を、その指定商品中、「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための商品、例えば、そのような効果を有する「化粧水」や「薬剤」に使用しても、本願商標に接する需要者は、その商品が「ニキビ」や「シミ」等の発生を事前に抑制するための商品であること理解するにとどまり、需要者に、当該商品に関心を持たせるための宣伝広告を表示したものと認識されると判断するのが相当である。
(3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張も、採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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