商標拒絶査定不服審判
2022-007635
カサツ、ブンサツ
- 審判番号
- 2022-007635
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-147557
- 請求日
- 2022年05月20日
- 審決日
- 2023年07月04日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フマキラー株式会社
- 【請求人代理人】柴田 昭夫
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .13 -Z (W0521)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-147557拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「蚊殺」の文字を標準文字で表してなり、第5類及び第21類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、令和2年11月30日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年9月8日付けで拒絶理由が通知され、同年12月23日受付で手続補正書及び意見書が提出されたが、同4年2月16日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和4年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その後、同5年5月15日受付で手続補正書が提出された。
本願の指定商品は、原審及び当審における上記手続補正書により、第5類「蚊用殺虫剤」及び第21類「蚊用電気式薬剤薫蒸殺虫・防虫器,蚊用電動型ファン式薬剤拡散殺虫・防虫器,電気蚊取器,電池式蚊取器,蚊用忌避剤用プラグイン式散布器」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、別掲1に示した証拠を提示し、「本願商標は、「蚊殺」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成全体から、「蚊をころす」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。そして、本願の指定商品に係る分野においては、蚊などの虫を殺して駆除するための商品が取り扱われている実情がある。そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が、「蚊を殺すための商品」であること、すなわち、単に商品の品質(効能・用途等)を理解、認識するにすぎないから、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、商標法第4条第1項第16号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2に示したとおりの事実を発見したので、令和5年3月31日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。
4 証拠調べに対する回答
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、令和5年5月15日受付の回答書において要旨以下(1)~(4)のように述べた。
(1)本願について、回答書の提出と同時に手続補正書を提出し、その指定商品を補正した。
(2)本願商標「蚊殺」の文字は、一般に多く用いられている「殺○」とは反対に、殺す対象の語の「蚊」を語頭に置き、「殺」の語を後段に配してなる特徴を有し、辞書等に掲載がなく、また、証拠調べ通知中、別掲2の2で挙げる証拠は、本願の指定商品を取り扱う分野においては、蚊を含む害虫駆除を行うための商品が種々提供されていることを確認し得るとしても、「蚊殺」の文字の使用事実を示すものではない。
(3)市場においては、通常、商標より生ずる称呼においても商取引が行われていることは日常経験するところだが、「蚊殺」から生ずる「カサツ」の称呼からは「蚊殺」の文字を直ちには想起し得ないばかりでなく、「カサツ」の称呼によっては、当該商品がいかなる商品か、それが「蚊」を殺すための商品であることを含め、当該商品を具体的に想起することができない。「蚊殺」の文字は、それ自体、日本語にはない、日頃、目に、そして耳にしない構成からなる標章であって、これに接する者をして、「蚊」を殺すことの意をえん曲に漠然と認識させるにとどまる商標である。
(4)証拠調べ通知における証拠中、別掲2の3については、引用した各使用例と本願商標とは、そもそも事案を異にするというべきものであり、これらの使用例をもって、本願商標が識別力を有しないとする根拠とはならない。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号について
上記1のとおり、本願の指定商品は補正されたため、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質の誤認を生ずるおそれはなくなった。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとの拒絶の理由は解消した。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、上記1のとおり、「蚊殺」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲2の1のとおり、本願商標の構成中の「蚊」の文字は「ハエ目カ科の昆虫の総称。」の意味を有し、「殺」の文字は「ころす。」の意味を有する漢字として、いずれも、我が国において広く一般的に親しまれている語であって、本願商標は、これらの2語を組み合わせてなるにすぎないから、本願商標全体としては「蚊を殺す。」ほどの意味合いが容易に認識されるものである。
そして、本願の指定商品は、害虫である蚊を殺して駆除することを目的とする商品であるところ、別掲2の2のとおり、実際に、本願の指定商品を取り扱う分野において、蚊等の害虫を殺して駆除するための商品が販売されているという実情がある。
さらに、別掲2の3のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、生物名(蚊を含む。)と「殺」の文字とを組み合わせた表示(「〇殺」や「殺○」(○には生物名が入る。))あるいはそれに類する表示が、「(その)生物を殺す」ほどの意味合いで使用されている。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「蚊を殺すための商品」であること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解、認識するにとどまると判断するのが相当である。
また、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。
したがって、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標「蚊殺」の文字は、一般に多く用いられている「殺○」とは反対に、殺す対象の語の「蚊」を語頭に置き、「殺」の語を後段に配してなる特徴を有し、辞書等に掲載がなく、また、証拠調べ通知中、別掲2の2で挙げる証拠は、本願の指定商品を取り扱う分野においては、蚊を含む害虫駆除を行うための商品が種々提供されていることを確認し得るとしても、「蚊殺」の文字の使用事実を示すものではない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号、同年9月4日判決)。
また、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号、同年10月21日判決)。
そうすると、上記判決の趣旨を踏まえるならば、「蚊殺」の文字が、たとえ、辞書等に掲載されておらず、取引上一般に使用されている事例が仮に見当たらないとしても、上記(2)のとおり、本願商標は、「蚊」及び「殺」の2つの漢字の構成からなること、各語の語義及び各語がいずれも広く一般的に親しまれている語であること、さらには、本願商標が「蚊を殺す」という語順に従った「蚊殺」の構成よりなることからすれば、これに接する需要者等をして、本願商標からは「蚊を殺す」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。
そして、本願の指定商品を取り扱う分野における、生物名と「殺」の文字とを組み合わせた表示(「〇殺」や「殺○」)あるいはそれに類する表示が、「(その)生物を殺す」ほどの意味合いで使用されている事実、及び蚊等の害虫を殺して駆除するための商品が販売されている実情等を合わせ考慮すれば、本願商標は、その商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標が本願の指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものと判断するのが相当である。
イ 請求人は、市場においては、通常、商標より生ずる称呼においても商取引が行われていることは日常経験するところだが、「蚊殺」から生ずる「カサツ」の称呼からは「蚊殺」の文字を直ちには想起し得ないばかりでなく、「カサツ」の称呼によっては、当該商品がいかなる商品か、それが「蚊」を殺すための商品であることを含め、当該商品を具体的に想起することができない旨、「蚊殺」の文字は、それ自体、日本語にはない、日頃、目に、そして耳にしない構成からなる標章であって、これに接する者をして、「蚊」を殺すことの意をえん曲に漠然と認識させるにとどまる商標である旨主張する。
しかしながら、本願商標は、あくまでも「蚊殺」の文字からなる商標であって、「カサツ」という音からなる商標ではない。
そうすると、「カサツ」という称呼のみによって、本願商標についての判断をすることは、その前提において失当である。
また、たとえ「蚊殺」という既存の日本語がないとしても、上記(2)のとおり、本願商標は、それを構成する各語「蚊」及び「殺」の語義、本願の指定商品を取り扱う分野における取引の実情等を勘案すれば、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する需要者等は、「蚊を殺すための商品」であること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解、認識するにとどまるというべきである。
ウ 請求人は、証拠調べ通知における証拠中、別掲2の3については、引用した各使用例と本願商標とは、事案を異にするものであって、各使用例をもって本願商標が識別力を有しないとする根拠とはならない旨主張する。
しかしながら、別掲2の3の使用例に加えて、本願商標を構成する各語「蚊」及び「殺」の語義、並びに別掲2の2のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、蚊等の害虫を殺して駆除するための商品が販売されていることをも踏まえれば、上記(2)のとおり判断するのが相当である。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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